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2007年 11月 23日 ( 2 )

ロイヤルバレー「Jewels」(ドレスリハーサル)

2007年11月22日、ロイヤルオペラハウスにて。

Jewels: Ballet in three parts
Choreography: George Balanchine
Set designs: Jean-Marc Puissant
Costume designs: Barbara Karinska
Lighting: Jennifer Tipton
Conductor: Valeriy Ovsyanikov
The Orchestra of the Royal Opera House

1966年にニューヨークを訪問していたバランシンがマンハッタンの宝石店のショーウインドウを見たときにひらめいて創作したバレー。特に筋はなく、エメラルド、ルビー、ダイヤモンドと名付けられた3つのパートから成り、それぞれ異なった音楽を用いた。翌1967年にNY City Balletで初演された。1970年末になってロイヤルバレーで一部上演されたりしていたが、3部が完全な形で公演されたのは2000年と比較的新しい。
ドレスリハーサルとはいえ豪華メンバーによる公演ですばらしいダンスを楽しめた。

(1)Emeralds
Music: Gabriel Fauré
Tamara Rojo
Leanne Benjamin
Edward Watson
Ivan Putrov
Deirdre Chapman
Laura Morera
Steven McRae
Artists of The Royal Ballet

コスチュームは当然エメラルド色に擬似エメラルドをあしらったもの。心の中に響くような美しいフォーレの音楽に乗ってソロ、デュエット、群舞が踊られるが音楽の性格上激しい動きはない。ソロではロホの可愛くまとまったダンスに比べてベンジャミンはよりスケールが大きく好ましい。
写真は前列左からマクレー、モレラ、ワトソン、ロホ、プトロフ、ベンジャミンかな。
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(2)Rubies
Music: Igor Stravinsky
Sarah Lamb
Carlos Acosta
Zenaida Yanowsky
Artists of The Royal Ballet

音楽はストラヴィンスキーにしては割と古典的ながらリズミカルなので振り付けもきびきびした動きが主であるが一部体操を思わせる動きがあまり好みじゃない。その中でアコスタとラムのデュエットは流れるようなスムーズな動きでさすがと思わせるダンス。見応えがあった。写真は左からヤノフスキー、アコスタ、ラム。
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(3)Diamonds
Music: Pyotr Il’yich Tchaikovsky
Alina Cojocaru
Rupert Pennefather
Deirdre Chapman
Lauren Cuthbertson
Isabel McMeekan
Laura Morera
Valeri Hristov
Kenta Kura
Yohei Sasaki
Thomas Whitehead
Artists of The Royal Ballet

視覚的には白とクリーム色のコスチュームで前の二つに比べるとやや地味という印象であるが、やはりバレーはチャイコフスキーの音楽が一番しっくり来ると思わせる振り付け。スムーズさとメリハリが感じられる。コジョカルとペニファーザーの組み合わせは珍しいが、彼はサポートで手一杯という印象でコジョカルの相手にはちょっと役不足の感は免れない。でも、ソロの部分ではなかなか見せるダンスで、今後の成長が期待される。
写真はコジョカルとペニファーザー。
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by dognorah | 2007-11-23 22:03 | バレー

コルンゴルトのオペラ「ヘリアーネの奇跡」(コンサート形式)

2007年11月21日、ロイヤル・フェスティヴァル・ホールにて。

Das Wunder der Heliane, Opera in three acts (UK première)
Libletto: Hans Müller after Hans Kaltneker
Music: Erich Wolfgang Korngold

Patricia Racette: Heliane (soprano)
Michael Hendrick: Stranger (tenor)
Andreas Schmidt: Ruler (baritone)
Ursula Hesse von den Steinen: Messenger (mezzo-soprano)
Willard White: Porter (bass-baritone)
Robert Tear: Blind Judge (tenor)
Andrew Kennedy: Young Man (tenor)
EUROPACHORAKADEMIE
London Philharmonic Orchestra
Vladimir Jurowski: conductor

コンサート形式とはいえ初めてコルンゴルトのオペラを経験しました。この作品は1927年にハンブルクで初演されたものですがやっと80年後にイギリスで初演されたのです。この作品をオペラにする契機となったのは彼が好きな女性と結婚しようとしたときに父親に猛反対されたことのようです。愛の強さが逆境を克服できると強調したかったのでしょう。

オケの編成が大きいため最前列の座席を撤去して舞台を広げても歌手の立つ場所が確保できず、歌手はすべて合唱隊と並んでコーラス席に横並びとなり、観客からは一番遠い場所で歌うことになってしまいました。若い常任指揮者ユーロフスキーの指揮はダイナミックで劇的な面を強調するものだったので大音響の舞台上のオケが邪魔してしばしば声が聞き取りにくくなったのがやや残念です。しかし歌も管弦楽も饒舌な音楽ですね。音の饗宴を楽しみました。今夜のロンドンフィルは好調、持てる力を存分に発揮した感じですが、やはり指揮者による力が大きいと感じました。

歌手は概ねよい出来でした。特に主役のヘリアーネを歌ったパトリシア・ラセットがすばらしく、第2幕第3幕の長丁場でも全く衰えを知らぬ熱唱で魅了してくれました。美声を微妙にコントロールして全く破綻がなく劇的ニュアンスを表現する様には感嘆。安心して聴ける名ソプラノだと思います。私はこれが初の経験ですが、主に北米で活躍しているアメリカ人でレパートリーもプッチーニ、ヴェルディからヤナーチェクまで幅広くカヴァーしているようです。
Strangerを歌ったマイケル・ヘンドリックは柔らかい声で好演していましたがやや声が通らず迫力不足の面もありました。
独裁者を歌ったアンドレアス・シュミットは大音量のオケをものともせず声を飛ばしていました。いいバリトンと思います。彼はオケの向こうに声を届かせようとするかのように左手の甲をあごの辺に持ってきて発声していましたが功を奏していたのじゃないかと思います。
Messenger役のシュタイネンも大きな美声で目立っていました。
Porter役のウイラード・ホワイトは聴くのが久し振りでしたが、かなり衰えたなぁという印象です。声に張りも潤いもなく、もう過去の人という感じです。
合唱はドイツから来ましたがヴォリュームもたっぷりながらやや一本調子という印象でした。そういう音楽なんだと言ってしまえばそうですが。
写真は終演後のもので左から、Andreas Schmidt、Patricia Racette、Michael Hendrickです。
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あらすじ
独裁者が人々を抑圧しているある国を旅行していたStrangerが人々に笑もなく喜びもない状態に接して、喜びを持とうと演説したら逮捕されて死刑を宣告される。独裁者の妻ヘリアーネが翌日に死刑執行を控えている囚人を慰めるために牢にやってくる。そこでお互いに話すうちに愛が芽生え、求められるままにヘリアーネは裸になるがそれ以上の行為に躊躇して隣のチャペルに籠もる。そこへ独裁者がやってきて、自分は妻の愛を未だに得られない、お前は愛を人々に説いたそうだがどうしたら妻の愛を得られるか教えて欲しい、うまくいったら死刑を撤回してお前と彼女を共有して暮らしてもいい、と相談を持ちかける。と、そのとき未だに裸のヘリアーネがチャペルから戻ってくる。独裁者は妻を不貞罪で逮捕させ、Strangerの死刑を執行するように命令する。ヘリアーネは不倫を否定するが強い疑心を持つ独裁者は二人の言い分を聞いて裁判官に判断するよう要請するなかStrangerは何も言わず自殺してしまう。その後神の出現でStrangerは一時的に生き返り、ヘリアーネと共に愛を賛美しながら昇天する。
by dognorah | 2007-11-23 02:44 | オペラ