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2005年 10月 28日 ( 1 )

ターナー賞の行方は?

ターナー賞というのは、1984年以来、優れた作品を発表したイギリス人アーティストの一人に毎年贈られるもので、名前はもちろんあの有名なJoseph Mallord William Turnerから取っています。現代美術に与えられる賞なのになぜ古いターナーが登場するのかといえば、彼はかねがね若いアーティストへの賞を設けたいと思っていたことと、ターナーの絵は当時は物議をかもす伝統破りのものであったからだと説明されています。それにふさわしく、毎年受賞作品は「あれが美術と言えるのか?」など物議をかもしています。

審査の対象は50歳以下のイギリス人によって、毎年その年の5月までの1年間に発表された作品ということになっています。ということは5月以降多くの候補が審査されてきたのですが、現在は4人まで候補者が絞り込まれています。その4人の代表作が今テート美術館に展示されているので見てきました。
4人の名前は、ダレン・アーモンド(Daren Almond)、ジリアン・カーネギー(Gillian Carnegie)、ジム・ランビー(Jim Lambie)、サイモン・スターリング(Simon Starling)です。今年の作品は、比較的まともというかあまり突拍子もないものはないような気がします。

c0057725_6101587.jpgまず、ダレン・アーモンドですが、左の最初の写真のように展示してあったのはビデオを使ったインスタレーションです。噴水、老婦人の顔の表情、行き交う人の足元を撮影したもの、壁に投射されたムーラン・ルージュのような風車の映像などが暗い部屋にディスプレーされています。まったく理解の外でした。

次の、ジリアン・カーネギーの作品は今回のショートリストの中では一番伝統的な美術に近く、カンバスに描かれた絵画です。色使いが特殊とはいえ、とてもよく理解できるし、私の好感度は大でした。例に挙げた左の2番目の絵は、原画はほとんど真っ暗です。そのままではこの記事を読まれる方にわかりづらいのでちょっと明るくして、何が描かれているかわかるようにしました。黒一色で木立を描いたものですが、近くで見ると筆のタッチでかろうじて立ち木や草むらが表現されているのがわかります。なのに木の質感が風景を圧倒しているのです。これは感心しました。もちろんもっと明るい絵もありますので、この暗い手法が彼女の特徴というわけではなく、単色に近い色使いで様々なものを表現するやり方のようです。

ジム・ランビーは、床一面に同じパターンの模様を貼り付けた上で、鳥の像などをカラフルに塗って展示するインスタレーションです。展示してあったものは左の3番目の写真のように白と黒のストライプを様々な角度で床に貼り付けたものですが、ビデオで見ると虹色の縞模様を全面に貼り付けたりもしています。これも私には理解不能。

最後のサイモン・スターリングは砂漠を走破したときの燃料電池式動力装置を備えた自転車と汚らしい掘っ立て小屋を展示していましたが(左の写真の4番目)、美術と何のつながりがあるのかさっぱりわからない人でした。

ということで、毎年話題になるターナー賞、誰が選ばれても今年はあまりインパクトがないように感じます。最終決定は12月5日です。なお、今年の賞金は、選ばれた人に500万円、ノミネートされたほかの3人にそれぞれ100万円が贈られます。スポンサーはイギリスの代表的なジン製造会社Gordon Ginです。


【12月5日追記】
受賞者はサイモン・スターリングに決定しました。私にとっては4人中最も理解しにくい作品です。
by dognorah | 2005-10-28 06:13 | 美術