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2005年 10月 25日 ( 1 )

あるイタリア料理店にて

ウインブルドンは駅から北の方に向かって上り坂になっており、そこをバスで2-3駅行くとウインブルドンヴィレッジという昔から商店やレストランなどが固まっているところがある。レストランはあらかた試したのだが、最近また新しくイタリア料理店が開店したというので行ってみた。7時前なので客はちらほら。楽勝だと思っていたら、マネージャー氏、予約表を見ながら思案顔。そうか今日は土曜日だったか。「テーブルに案内するけど8時45分までに終わってください」とのこと。

奥に細長い店内は可能な限りテーブルを並べてあるので結構窮屈である。クリーム色を基調にした壁と明るいこげ茶色のテーブルとそれにマッチした椅子、グラスや食器類はなかなか高級感のあるデザインのものを使っていて、雰囲気はよろしい。壁にかかっている絵もモダンな油絵で、色使いも新鮮なもの。ウエーター、ウエートレスもみんなフレンドリーだ。アペリティフと共にサーブされるオリーブもパンもなかなかおいしい。

本日のスープをスターターにしてパートナーは海鮮タリアテレ、私はホタテのパルマハム巻きをメインにオーダー。スープは一見コーンスープ風だがコーンと見えたのはそうではなく、何か豆を煮て固めたような食感で、よく素材はわからないがとろっとしたスープとよく合っておいしい。ここまでは、なかなかいけるじゃん、という感想。

次に出てきたメインは、モヤシを軽く炒めたもののベッドにホタテのパルマハム巻きを載せたもの。見たところおいしそうである。しかし味付けはというと、主にパルマハムの塩気のみで、後は新鮮なホタテの天然の味に頼ったもの。ベッドのモヤシに至ってはほとんど味がない。パルマハムのお陰でかろうじて赤ワインと合わせられるものの、あまりイタリア料理らしくないなぁ。これでは私が田崎真也さんのレシピで作るホタテのベーコン巻きの方が料理らしい料理だぜ。その料理では、ソースとしてベーコン巻きホタテを焼いて香りがついたフライパンでブイヨンを赤ワインで煮詰めてバターを入れたものを作り、さらにバルサミコ酢でアクセントをつけてベーコンを巻いたホタテの上からかける。ただし、ベーコンが物によってはちょっと強すぎる感が無きにしも非ずなので、このレストランのようにパルマハムを代わりに使うことでそのあたりをマイルドにできるかもしれない。

パートナーが頼んだタリアテレはちょっと見物で、料理全体が紙に包まれた状態で出てくる。ウエーターが皿を置いた後マネージャーが徐に登場し、ナイフとフォークで紙に切れ目を入れ、紙を上に引っ張ると貝類や手長えびなどと絡められたタリアテレが皿の上にどばっとサーブされるというパフォーマンスで、周りのテーブルの客たちも固唾を呑んで見守る。その瞬間、皿からは湯気がもわーっと立ち上っていかにもおいしそうだ。しかし彼女のコメントではトマトソースの味がちょっと甘口で、好みではないとのこと。

ということでメインは共に料理の見栄えはいいのだが肝心の味そのものがいまいちという結果であった。

最後にデザートとしてペアのワイン煮を頼んだ。これも出てきたときには、ウーンというかっこいい仕上げで、皮を剥いて扇状に切れ目を入れたペアが大きくかっこいい皿の真ん中に鎮座し、赤ワイン色のソースを全体にかけられ、皿の淵の部分にはもちろん粉砂糖などが散りばめられて見栄えはとても豪華である。ところがこのペアがまだ熟しておらず、しかもあまり煮なかったと見えてゴリゴリ。あてがわれたスプーンとフォークでは切り分けるのも難しいのでナイフを持ってくるように頼む始末。しかしそれでも口に入れて食べ始めるとソースの味も滲み込んでいない状態で、ゴリゴリと噛むのにも飽きて遂に放棄。いぶかったウエーターが声をかけたので正直にクレーム。マネージャー氏が飛んできて、代わりの物を出そうかというが断った。喧嘩はしたくないので、「これはほんのちょっと硬いだけだけれど、もうおなかがいっぱいで食べられないんだよ、ところで君の眼鏡のフレームはかっこいいねぇ」というと相好を崩して、「この前2週間ほどイタリアに里帰りして買ってきたんですよ、イギリスじゃろくなデザインはないものね」。勘定書きを見るとさすがにデザートの分はチャージされていなかった。約束の時間を20分も過ぎて席を立ったが、予約客を含めて入り口付近はごった返していた。土曜日だし、新規開店と内装がかっこいいということで客が集まっているのだろう。イギリス人にとっては味は二の次でいいから。私たちはもう来ることはないだろうな。ちなみに店の名前は、Zero Quattro。
by dognorah | 2005-10-25 09:47 | グルメ