2008年5月3日、Jerwood Hall, LSO St Luke’sにて。
久し振りにLSOのリハーサルを見学するチャンスがありました。今までロストロポーヴィッチの指揮で2005年6月と7月に2回リハーサルを聴いていますが、その後LSOはあまりリハーサルを公開しなくなってずっと聴いていなかったのです。今回はSt Luke’sのある北ロンドン地区の住人30名にだけ公開するというイヴェントだったのですが、規定の人数が集まらず、南ロンドンに住む私にも声がかかったのでした(事前に電話で希望を伝えておいたので)。 指揮者:Pierre Boulez リハーサル演目:Matthius PintscherのOsiris これは5月11日に予定されている演奏会用のもので、本番はシェーンベルクのオペラ「幸運な手」とバルトークのオペラ「青髭公の城」と共に演奏される予定になっています。 シカゴ交響楽団とカーネギーホール、並びにロンドン交響楽団の共同委嘱で2007年に作曲されたものでブーレーズに捧げられています。世界初演は2月25日にブーレーズ指揮シカゴ交響楽団によりカーネギーホールで行われました。そして今回のロンドンでの公演が欧州初演と言うことになります。 ブーレーズはA2ぐらいの大きさのスコアを脇に抱えて登場。割と流暢な英語であまり楽員の方は見ずスコアと首っ引きでワン、トゥー、スリー、・・・と拍子を取りながら指揮します。ときどきアン、ドゥ、トロワとフランス語になったりしますが。スコアの小節番号か何かで頭を指示して演奏すべき箇所を示します。同じ箇所を繰り返すこともなく淡々と先へ進みます。時々コンサートマスターから質問が出ていましたが。ロストロポーヴィッチの時と違って地味で見ている方はあまり面白くなかったです。音ががんがん鳴っているときはそれなりに楽しめますが。 オケは最後列の打楽器類がずらっと並び、ピアノやチェレスタも使われます。金管はホルン4挺始めトランペット、トロンボーンが3挺ずつでテューバも。クラリネットは通常のもの2本にバスクラリネットにコントラバスクラリネットも加わります。バスーン2本にコントラバスーンも。フルート3本とピッコロ2本、ハープ2挺と弦。かなり大きな編成です。特に低音の木管が多くて聴いていても目立ちます。 これだけ編成が大きいと楽器によっては休止期間が長く、その間楽員は指揮者の方は見ずに新聞や雑誌を読んだり、携帯でテキストを打ったりヴォイスメールを聴いたり座を外したりといろいろですが、ほぼ全員が携帯を譜面台に乗せていてそれをいじっている人が一番多いのには驚きました。おしゃべりも多く、時々第1ヴァイオリンの方から「シーッ」と窘めていました。 1時間半経過で休憩が入ったのでそこで退出しましたが、後半はシェーンベルクかバルトークをやったことでしょう。 11日の本番は行く予定なので楽しみです。
by dognorah
| 2008-05-06 05:21
| コンサート
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Comments(2)
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助六
at 2008-05-22 09:50
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これは羨ましいです。
ブーレーズ、指揮者としても大好きですし、練習風景はTVで抜粋少し見たことがあるだけですが、独語英語の自由さにまず脱帽ですし、大変ムダのない合理的な練習のように思えましたので。 語学力に加え、作曲・指揮・クレー論にまで及ぶ著作をこなし、コレージュ・ド・フランスでの授業なんかも明快で理路整然たる話しぶり、授業の2時間後にはパリ管を振るなんて具合でしたから、外国語1ヶ国語もまともにこなせぬこちら凡人は絶望的な気分になります。 ブーレーズや他の指揮者でも大体そうですが、プログラム全てに十分な時間は避くのは不可能だから、恐らく後半の「青髭」を重点にして、前半のピンチャーは、技術的な問題を調整しながら流すだけという感じになったのではと想像します。しかし80才過ぎて、自分の半分以下の年の若い作曲家の面倒な譜面勉強する姿勢には、頭が下がりますね。
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dognorah at 2008-05-23 00:05
ブーレーズのリハーサルに立ち会うなんて恐らく最初で最後と思いましたので、LSO事務局に頼み込んだのでした。本当に年なんか感じさせない流暢な仕事運びであっけにとられました。頭脳明晰なのには舌を巻きます。仰る通り若い作曲家の譜面を読み解いて音楽にしていく旺盛なエネルギーには頭が下がります。
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ロンドンに在住です。オペラ、バレー、コンサート、美術展などで体験した感動の記憶を記事にし、同好の方と意見を交わしたいと思っています。最新の記事はもちろん、過去の記事でもコメントは大歓迎です。メールはここにお願いします。
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