人気ブログランキング | 話題のタグを見る

オスカー・ココシュカ展

オスカー・ココシュカ展_c0057725_139956.jpg

Schlafende Frau (aus: Die träumenden Knaben)
1907/1908 ,Farblithografie , 23,5 x 21,5 cm , Lentos Kunstmuseum Linz

Oskar Kokoschka (1886 – 1980)の1923年頃までの初期の作品をデッサン、版画、油彩など130点を集めた展示である。2月にヴィーンを訪問したときも開催されていたがあまり好きな作家でもないので敬遠していたものの3月は暇をもてあましていくことにした。

行ってみれば面白い作品は見つかるもので、彼が1907/8年頃制作した「夢シリーズ」の版画連作(上の写真参照)は詩情溢れる傑作で、豊かな才能に満ちていた人であったことがよく分かる。

油彩の画風も後年の情念がうねったような曲線タッチや色遣いはまだ少なくて素直なものが多い。

時代順に見ていって面白いと思ったのはアルマ・マーラーとの恋愛で、この事実は初めて知った。しかしアルマ・マーラーって女性は一体何人の男を虜にしたのだろう。ココシュカは26歳の時に彼女に出会い、約3年間の相愛関係が続く。アルマが彼に見切りをつけてさっさと他の男と結婚した後も5年間彼は彼女への思いを断ち切れず、彼女の等身大の人形まで作って常にそばに置いておくというやや精神異常的な行動までする。この人形は1920年にやっと捨てられるが、なんとそれを再現したものが会場に置かれていた!人形メーカーへの彼の指示書がそっくり残さされていたために容易に再現できたらしいが、人形もそういうものを再現するという行為もグロテスクに思える。
人形を捨てて過去に決別してからの画風が別人のように明るくなっていて完全に吹っ切れたことが伺える。しかし芸術家の恋愛というのは作品という形になって我々に提示されるのでこの上なく面白い。

Oskar Kokoschka. Träumender Knabe – Enfant Terrible
24.1 – 12.5.2008
Unteres Belvedere
by dognorah | 2008-04-02 01:44 | 美術 | Comments(3)
Commented by 助六 at 2008-04-07 09:24
小生もココシュカ、ピンとこない方ですけど、初期の版画はあまりに見事にユーゲントシュティルそのものなので、驚いたことがあります。改めて見ると大変優れた作品ですね。色彩感覚、抒情性、ファンタージー、流麗かつ周到な構図など確かな才能を感じさせられます。
考えてみると、ココシュカがピリピリした表現主義的緊張感に貫かれた作品を描いたのは第一次大戦前夜の数年だけに思え、これはアルマとのクサレ関係の期間と重なってるわけですね。
表現主義は時代と社会の不安を濃厚に反映している部分が大きいと思いますけど、ココシュカは政治意識も強く亡命重ねたにも拘らず、第一次大戦後の絵は何か緊張感が弛緩してしまうのが不思議でした。人形の話を伺って、そこまで行くくらいアルマが強迫観念になっていたのならガテンが行く気がします。ココシュカの表現主義は社会不安よりサイコロジカルな要因が大きかったのかも知れませんね。
Commented by 助六 at 2008-04-07 09:24
彼は長生きしたものの、第二次大戦後の作品など些か痛々しいくらいヤワで、よく言えば抒情的、悪く言えば限りなくボケに近いと思え、やはり彼は本質的にはリリカルな素質の絵描きで、たまたま表現主義期に活動期間がぶつかってしまったが故に、面白い成果もあげると共に、長続きもしなかったのかもとも。20-30年早く生まれてアール・ヌーヴォーの画家・版画家として活躍した方が幸せだったかもなどと考えました。
Commented by dognorah at 2008-04-08 06:45
仰る通り、これだけの才能に恵まれた人なので時代が時代なら偉大な画業をものした可能性はありますね。今回は初期の作品に重点が置かれていましたが今まで後期の作品で感心したことは皆無なのでなんかこれだけで充分という感じがしてしまいました。アルマに魂を抜かれてしまったというところでしょうか。
<< ピーター・ドイグ展 ロイヤルオペラの「カルメン」再演 >>