私のブログに以前は「ガラちゃん」、最近はご自分のブログを書かれているために「bibinga」というハンドルでよくコメントを下さっていた方が今月下旬に4年間のロンドン生活にピリオドを打って東京に帰任されることになった。最後にどこかへ一緒に旅行しようということで意気投合し、行き先については紆余曲折があったものの最終的には西洋音楽や美術とは関係ない場所ということでモロッコのマラケシュを訪問し、次いで同国内のサハラ砂漠を探訪することとなった。 旅程は次のとおり。 第1日目: ロンドンからマラケシュへ 第2日目: マラケシュから車でオートアトラス山脈を越えてワルザザートへ 第3日目:ワルザザートから西へ300km離れたリッサニという町近くの砂漠へ 第4日目:リッサニからマラケシュへ車で戻る 第5日目:終日マラケシュで過ごす 第6日目:夕方の便でマラケシュからロンドンに 私にとっては初めてのアフリカ大陸訪問であったがモロッコは想像以上に開けていてサハラ砂漠に自家発電と地下水を使って運営されているようなホテルでも水洗便所やシャワーが完備されていることにちょっと驚いた。もっともテントに泊まるとトイレはなく、適当にその辺で用を足すようだが。 ロンドンからマラケシュまでは飛行機で3時間半の距離。冬は時差無し。モロッコの産業については現地ではあまり情報が得られなかったが、オレンジ、オリーヴ、トマト、小麦などを栽培する農業は盛んで食料は恐らく充分自給可能のように見える。肉は羊や鶏が主であるが地中海では魚も結構捕っておりスペインの漁船とは結構トラブルもあるらしい。工業では燐鉱石が沢山取れて輸出しているとのこと。金銀も少しは採れるらしい。国旗は赤地に緑の星マークであるが緑は恐らくオリーヴを、赤は国土の多くを占める赤土かあるいはトマトを表しているのか。 国土は日本よりちょっと大きく、日本と同様に真ん中の長手方向に山脈が走っている。それが結構高くて最高高度は4167mもある。これが壁になって山脈の北と南で気候が全く異なる。北は比較的湿潤で緑が豊富、南は乾燥しきって砂漠が主体になる。雪解け水が豊富であるが南では夏は川が涸れて緑はオアシスだけである。マラケシュを始め大都市はすべてこの山脈の北側にある。 人口3300万のうち65%はアラブ人で30%がベルベル人という。厳しい気候の南に住んでいるのはほとんどがベルベル人である。彼等は紀元前3000年以上前からアフリカ北部に住んでいた人種で7世紀にアラブ人が侵入するまでは結構独自の王国をいくつも築いて抗争を繰り返したりしてきた民族である。ちなみにヴェルディのオペラ「オテロ」の主人公はムーア人となっているがベルベル人のことだそう。ムーアというのはローマ人が名付けたらしい。 現地では旧宗主国であったせいだろうフランス人観光客が圧倒的に多い。アラビア語が公用語であるがほとんどの人がフランス語も話すようだ。観光業では英語も通じるが第2外国語的地位のためか英米人観光客が少ないせいかフランス語ほど流暢ではなかった。驚いたのは若い世代では日本語を習っている人が多いようで、マラケシュでも南部の町でも挨拶程度ではあるがよく日本語で話しかけられた。すれ違いざまに声をかけてくるだけなので他意はないようだ。中学生ぐらいの子供からも声をかけられたことがある。観光業では日本人観光客が多いのでたいていの人は簡単な挨拶ができる程度に話す。商店などでは客引きに必要な短い会話が発せられる。駱駝引きなどは駱駝の乗り降りや歩行中の安全に関する短い会話もする。それにつられてつい日本語で応えてしまうがそれは通じないようだった。 空港のパスポートコントロールは時間がかかるもののまずまずのサーヴィス。搭乗手続きなどイギリスよりも遙かにテキパキしている。町では交通取り締まりの警官によく出会う。定員オーヴァーの車やオートバイが多いので取り締まっているそうだ。結構態度が大きい。 通信などのインフラはかなり整備されているようで、荒涼たる砂漠や山岳地帯に延々と送電鉄塔が連なっている。また各地で道路を掘り返して太い下水管のようなものを埋める工事も多かった。メイン道路はほぼ100%舗装されているが地方では住宅地の道路は未舗装だった。車はやはりフランス製が多いがトヨタも結構目立った。トラックは三菱が多い。排気ガス規制が全くされておらず、古い車とオートバイが排出する猛烈な公害に辟易する。 マラケシュの気候は南(北緯32度、九州の最南端ぐらいか)なだけあって暖かい。2月下旬でブーゲンビリアが咲き乱れており、晴れていれば午後は20度を超すようだ。ただ、日が傾くと急激に温度は下がり夜間は10度ぐらいであったろうか。 次回はマラケシュの街の印象について。
by dognorah
| 2008-03-06 02:59
| 旅行
|
Comments(8)
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snow_drop
at 2008-03-06 11:06
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dognorahさん、こんにちは。
わぁ~モロッコを旅されてらしたのですね。(^^) 私も一昨年マルタ島を訪ねて以来、北アフリカにも、とても興味がわき、モロッコかチュニジアあたりを旅してみたいなぁなんて思っていたのです。 今、公私ともどもバタバタしていて、なかなかdognorahさんのブログにもお邪魔できないので、また改めて、ゆっくり旅行記を拝読させていただきに参りますね。(^^)
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dognorah at 2008-03-07 10:18
マルタ島は私も数年前に行きましたが、モロッコの方が遙かに面白いですよ。刺激がひと味違います。北アフリカでは政情も一番安定していますし。
おかえりなさい。
男性二人で楽しいこと悪いことたくさんなさったのでしょうね。 モロッコはやっぱり日本人がたくさん行くのですね。 私が25年も前にタンジールに行ったときは、皆から「チノ、チノ」と言われ、しかも見たことがない人種だったようで、かなり注目を浴び、老若男女から髪など撫でられました。 そういう所が世界中のどこかにあるのでしょうか?
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dognorah at 2008-03-08 03:43
観光地のほとんどすべての商店で「見るのはただヨ」など日本語で話しかけられるのでかなりの数が訪れるのでしょう。
ロンドンの椿姫さんは25年前ですか。珍しがられたのはタンジールだからじゃないでしょうか?カサブランカやマラケシュはその頃でも既に日本人が行っていたでしょう。
Dognorahさんお久しぶりです。モロッコは暖かいしフランス語が通じるしで、確かにフランス人の大好きなヴァカンス先です。マラケシュが一番人気で、家まで買ってしまう人も多々あり。私たちは2004年のクリスマスにマラケシュとワルザザードへ行きました。砂漠の要塞集落、今や殆ど廃墟のアイット・ベン・ハドゥが、圧巻でした。また行きたい国です。
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dognorah at 2008-03-09 10:08
sottovoceさんもとっくに行かれていましたか。私もアイット・ベン・ハドゥには多大な感銘を受けました。地理的に近いスペイン人が少ないのはやはり言葉の問題でしょうかねぇ。
bibingaさんの方も読みましたけど、興味深い旅行だったようですね。
>地理的に近いスペイン人が少ないのはやはり言葉の問題でしょうかねぇ。 昨年末だったか、スペインのカルロス国王夫妻が、モロッコ国内にある、スペイン領の二箇所の飛び地を電撃的に訪問して、両国間に緊張が走ったそうです。そんな理由もあるのではないかと思いました。
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dognorah at 2008-03-11 10:26
守屋さん、もう一つ思いつきましたがスペイン人にとっては自国と似たような文化なのでわざわざ旅行しようとは思わないのかもしれません。
あのスペイン領の飛び地はその昔グラナダをイスラムから奪回したときについでに占領して今日に至っているみたいですね。
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ロンドンに在住です。オペラ、バレー、コンサート、美術展などで体験した感動の記憶を記事にし、同好の方と意見を交わしたいと思っています。最新の記事はもちろん、過去の記事でもコメントは大歓迎です。メールはここにお願いします。
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