2007年6月29日、ROHにて。
THAÏS:Comédie lyrique in three acts and seven scenes Music:Jules Massenet Libretto:Louis Gallet after the novel by Anatole France Conductor:Andrew Davis The Royal Opera Chorus The Orchestra of the Royal Opera House Concert Master:Peter Manning Thaïs:Renée Fleming Athanaël:Simone Alberghini Palémon:Robert Lloyd Nicias:Joseph Calleja Servant of Nicias:Nigel Cliffe Crobyle:Ana James Myrtale:Liora Grodnikaite La Charmeuse:Kiera Lyness Albine:Clare Shearer タイスの瞑想曲として知られる美しい曲しか聴いたことがなかったのですがコンサート形式ながら全曲を初めて聴きました。その瞑想曲のテーマが頻繁に使われるのでメロディが頭にこびりついてしまいます。しかし美しい曲ですね。 主演のルネ・フレミングは最初はちょっと声が固いかなという印象でしたがしばらくするといつもの美声で舞台を支配します。特に第2幕冒頭の、いつまでも美貌が衰えませんように、と歌うアリアは最後の高音を思い切り伸して劇的に終了し、聴衆を圧倒しました。すばらしかったです。ROHには珍しくブラヴォーの嵐で非常に長く拍手が続きました。 タイスの相手役アタナエルはもともとトーマス・ハンプソンが歌う予定でしたが体の具合が悪いらしくシモーネ・アルベルギーニが歌いました。バス・バリトンということですがバリトンよりも遙かにバスに近い声でmonk役にはふさわしいと思いますが、フレミングの細めの声との二重唱になるとちょっと低すぎるのが難点です。これは軽いバリトンのハンプソンの方がよく合ったのではないかと想像します。アルベルギーニも最初かなり固い声で、あまり好きじゃないなぁと思っていたらこの人もすぐに柔軟性を取戻して立派な声と歌唱でした。マルタ生れの若いテノール、ジョゼフ・カレージャはびっくりするぐらいの美声で声量もあります。アタナエルとは対照的な軽い性格にとてもふさわしい声でした。後印象的なのはAlbineを歌ったメゾ・ソプラノのクレア・シーラーです。 フレミングは第2幕までは赤い素敵なドレスを着ていましたが、心を入替えた第3幕はベージュのドレスでした。写真は左からSimone Alberghini、Renée Fleming、Andrew Davisです。フレミングのネックレスはダイヤと思しき宝石を連ねたとても豪華で素敵なデザインでした。 ![]() あらすじ 砂漠で修行する修道士アタナエルはアレクサンドリアを訪問してその享楽的な市民たちに深く失望し、分けても女優で高級娼婦のタイスは最も罪深い女と糾弾する。彼女を救済してキリストに仕える女にすることこそ自分の使命と思いこみ、彼女に近づいて説得を試みる。彼女の唯一の悩みは年をとって美貌が衰えることで、それを強く恐れている。そういう精神状態のところにアタナエルが肉体的な愛ではなく精神的な愛によって永遠の命が得られると説教すると彼女はそれを信じるようになる。そして世俗の快楽をすべて捨てて砂漠の中にある修道院へ行って修行することに同意する。困難な道をアタナエルに導かれて到着し、修道女たちに囲まれて修行する。一方、アタナエルは彼女と別れた後彼女に恋をしている自分を発見して悶々とする。タイスは悟りを開いてアタナエルが当初目標として与えた精神状態になるが、アタナエルに強制された過酷な旅が影響して衰弱する。知らせを受けて駆けつけたアタナエルは、タイスを愛していると告白し、以前彼が彼女に説教したことは全部嘘だから元通り元気になってほしいと懇願するが時既に遅く彼女は死んでしまう。 喜劇ということになっていますが、坊さんのいうことは全部でたらめという意味での喜劇でしょうか。あるいはミイラ取りがミイラになってしまったということを揶揄しているのかも知れません。
by dognorah
| 2007-07-01 09:28
| オペラ
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Comments(12)
どうやらハンプソンは最近の契約をごっそりキャンセルしているようですね。体調が思わしくないのでしょうか?ちょっと心配してしまいます。少なくともフレミングが盛り返してくれてよかったですね♪ドレスのセンスも素敵です。
「タイース」は、私もあの瞑想曲しか聞いたことがないので、いつかは全曲聞くぞ~!と決意だけはしています(笑)
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詳しい情報はありませんがこれだけ長引いていると声帯がおかしくなったかどこか病気かでしょうね。
フレミングのドレスは第二幕までの方がすばらしく(デザイナーの名前も印刷されている)写真を撮らなかったことが悔まれます。コンサート形式でまさか着替えるとは思わなかったのです。 タイスの舞台は今月5日と8日にリセウで上演されます。タイトルロールはフレミングなので、このROHで練習したのかなと思っちゃいます。本文に書きませんでしたが彼女一人だけ暗譜で歌っていた理由もこれではっきりします。
こんばんわ。個人的に第1幕は退屈でしたが、2幕、3幕と進むたびに素晴らしかったですね。
フレミングが舞台に出てきてすぐに、「あ、今晩はヴィヴィアン・ウェストウッドのガウンじゃない」、と思いインターヴァル中に確認したら、全く知らないデザイナーでした。でも、美しいガウンでしたね。 それと、僕は彼女は絶対に衣装を替えると思っていました。というのも、数年前の「ルザルカ」のときも一人だけ幕の内容にあわせて衣装を替えていましたから。僕は彼女のドレスを選ぶセンスは好きです。すいません、肝心のコンサートよりも衣装についてのほうが長くなってしまって。
お会いしませんでしたが、29日にいらしてたのですね。
私は両方行きました。27日の方がフレミングは調子よかったような気がします。高音は29日の方がよく出たので、全体としてはまあ同じ位のできでしたが。 前半の赤いドレスの写真は私のブログに載せときました。dognorahさん程良い席ではなかったしカメラも腕も悪いのでボケてますけど。 なるほど、彼女だけ暗譜で芝居付きだったのはそういう理由だったのですね。どこかで近いうちにやるのかなとは思ってましたが。
守屋さん、これからは彼女のコンサートでは気をつけることにします。ところで、Eva Meiによるフェニーチェ劇場のDVDを持っているのですが、フレミングが大ブラヴォーを取ったあのアリアは非常にあっさり歌われて盛上がらずでした。指揮者の指示でそうなったのでしょうが、フレミングの場合は彼女の指示でああいう歌い方にしたのでしょうね。
ロンドンの椿姫さん、写真拝見しました。しかしROHとリセウを上手く渡り歩くというかリセウでやるならその前にうちで歌ってとROHが言ったのかすごいタイミングですね。フレミングとしては労せず4日分のギャラを貰えちゃうし。
こんばんは。リセウのタイス、聴いてきました。
リセウも2公演だけだったので、結構切符を取るのが大変でした。コンサート形式で、しかもハンプソンはやっぱりお休みだったのに、高いなーと思いましたね。 フレミングは特に後半が素晴らしいと思いましたね。リセウでも、あのアリアの後と、オペラの後は、長い拍手とブラボーの嵐でした。 TBさせてくださいね。
gyuoperaさん、そちらでもハンプソンが出る予定だったのですね。フレミングのドレスはこちらと同じですね。
お久しぶりです。パリでは、4月に演奏会形式でシャトレで歌ってくれました。彼女は確か10年ほど前に「タイス」スタジオ録音してたと思いますけど、舞台ではシカゴで歌っただけだそうです。来来シーズンにメトの舞台上演で歌う予定だそうですが、今回なぜ演奏会形式で3箇所で続けて歌ったのかは、よく分かりませんね。
パリでは2幕のアリアの高音がちょっときつく、音色の使い方が作為的に響くとこがある気がしたものの、華があり最終的にはとても楽しませて頂きました。ただ仏語の発音はまるでおダンゴ。ディクション面ではコーチを付けて大変プロな仕事が多い(バスティーユの「マノン」再演など、ヴィデオ収録があったせいかも知れませんが、仏語も見事でした)彼女にしては、ちょっと残念でしたが、まあそう毎回完璧を期してはいられませんね。 エッシェンバッハ指揮パリ管のバックは、技術的には燦然たるものだったけど、指揮はいかにもゲルマンぽくて色気ゼロ。マスネではダイナミズムと品格の天才的なバランス感覚を示すプラッソンの指揮が限りなく懐かしく思えました。
助六さん、里帰り後の多忙な時期にコメントありがとうございます。
4月にパリでもやったことは知りませんでした。やはりハンプソンは出演しなかったのでしょうか。 フランス語に関しては私は全くわかりませんが、当日のパンフレットを見るとコーチの名前もありますから一応指導は受けているようです。 エシェンバッハはやはりドイツものを聴くのがいいのでしょうか。
シャトレでは最初からハンプソンは予定されておらず、アタナエルはカナダのバリトン、ジェラルド・フィンリーでしたけど、様式・仏語ともに立派な出来でした。10年前の「タイス」録音でも既にハンプソンが一緒でしたね。
エッシェンバッハは、パリ管常任としてフランス物も定期的にプログラムに組んでますけど、個人的には個性的な名演奏として思い出すのはまずマーラー、続いてブルックナーなんかです。期待した「指環」は今一つでしたが。 ベルリオーズ「ベンヴェヌート・チェッリーニ」演奏会形式で、大演奏を聴かせてくれたこともありましたが、猪突猛進の大迫力で音色感などはやはり不足するタイプの演奏と思います。ベルリオーズですから気にはなりませんでしたが。
ジェラルド・フィンリーでしたか。彼はいつ聴いても安定していますよね。
エッシェンバッハはやはりお国ものがいいのですね。私はこれまで2回しか聴いていませんが、チャイコフスキーは今ひとつで、ベートーヴェンが格段によく、ブルックナー8番は希代の名演と思いました。
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ロンドンに在住です。オペラ、バレー、コンサート、美術展などで体験した感動の記憶を記事にし、同好の方と意見を交わしたいと思っています。最新の記事はもちろん、過去の記事でもコメントは大歓迎です。メールはここにお願いします。
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