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ヤナーチェクのオペラ「カーチャ・カバノヴァー」

2007年6月25日、ROHにて。

KATYA KABANOVA (KÁT'A KABANOVÁ):Opera in three acts
Music Leoš Janáček
Libretto by the composer after V. Červinka's translation of the play Groza (The Thunderstorm) by Alexander Nikolayevich Ostrovsky

Conductor: Char1es Mackerras
Director: Trevor Nunn
Revival Director: Andrew Sinclair
Designs: Maria Bjornson
Lighting: Patricia Collins
The Royal Opera Chorus
The Orchestra of the Royal Opera House
Concert Master: Peter Manning

Váňa Kudrjáš: Toby Spence
Glaša: Miranda Westcott
Savìl Prokofjevič Dikoj: Oleg Bryjak
Boris Grigorjevič: Kurt Streit
Fekluša: Elizabeth Sikora
Marfa Ignatěvna Kabanová (Kabanicha): Felicity Palmer
Tichon Ivanyč Kabanov: Chris Merritt
Katěrina (Kát’a): Janice Watson
Varvara: Liora Grodnikaite
Kuligin: Jeremy White
Zena: Renata Skarelyte
Chodec: Neil Gillespie

なんてすばらしい音楽でしょう。美しい旋律が全編に散りばめられていて台詞のように歌われる歌と共に音楽的には至高の作品と感じました。舞台はもちろん音楽も初めて体験しましたが、マッケラス指揮のオケも歌手たちも文句なしの出来で、これはめっけもんと思った作品です。さすがにチェコ音楽を得意とするマッケラス、第2幕終了時のインターヴァルでのブラヴォーに加えて一番盛大な拍手をもらっていました。主演のジャニス・ワトソンは高い音域までよく声が出ていましたし、憎まれ姑役のフェリシティ・パーマーも立派。それに加えて代役で出演したROHヤング・アーティスト・プログラムのリオラ・グロドゥニカイテも柔らかい美声ですっかり上手くなったなぁと感心しました。男声のトビー・スペンス、クルト・シュトライト、クリス・メリット、ジェレミー・ホワイトも上手かった。
ただしオペラの筋はあまりおもしろいものでもありませんが。原作はショスタコーヴィッチの「ムツェンスク群のマクベス夫人」と同じで、こちらの作品では舅の代りに姑がいて彼女が嫁いびりを生甲斐としており、息子が親に頭が上がらないという設定と最後に嫁が川に身投げする点は同じです。

演出も舞台装置もよくできています。新作ではなく前回公演は19942000年ですので久し振りに引張り出された舞台装置は田舎道と粗末な木の階段が螺旋状に組合わされたもので、がらくたを組合わせたように見えながらもはっとする美しい空間を作り出しています。3幕とも基本的に舞台は同じというシンプルさですが照明の効果も相俟ってこれで十分と思いました。

写真は、Charles Mackerrasを挟んで左がLiora Grodnikaite、右がJanice Watson、その右がKurt Streitです。
ヤナーチェクのオペラ「カーチャ・カバノヴァー」_c0057725_1045787.jpg

あらすじ
気が弱くて母親の言いなりの商人ティホンの妻カテリーナは姑の絶え間ないいじめで生活にいい加減うんざりしている。ある日ティホンが商用で10日ほど出張する。その機会を狙ってボリスが予てから思いを寄せているカテリーナを誘惑する。恋仲の学校の先生と上手くやっている姑の養女ヴァルヴァラの勧めも味方して、罪の意識がありながらも自身も彼のことを憎からず思っていたカテリーナはそれを受入れ、10日間毎日のように密会する。しかし罪の意識から脱することが出来ず、ティホンが帰宅すると半狂乱状態になりみんなの前で告白してしまう。ヴァルヴァラもとばっちりで養母から部屋に閉じこめられるが上手く家を抜出し、学校の先生とモスクワへ駆落ちしてしまう。ボリスは世話になっていた叔父から勘当されてシベリアに行くことになり、カテリーナも一緒に行こうと誘うが前向きに考えるヴァルヴァラと違ってカテリーナは罪を償うべきだと考えてそれを断わり、ヴォルガ河に身投げしてしまう。
by dognorah | 2007-06-26 10:05 | オペラ | Comments(9)
Commented at 2007-06-26 14:07
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ロンドンの椿姫 at 2007-06-26 18:28
私は19日の初日に行ったのですが、まだ記事が書けないでいます。筋書きはdognorahさんのをご覧下さいって済ませてしまおうかしら?

私はこのプロダクションを2000年に観たことがあるのですが、そのときは主演の女性二人はちがう人でした。トビー・スペンスはすでに出ていた記憶があります。
この日はヴァルヴァラ役のスウェーデン人は出なかったんですね。役柄にぴったりで、トビー君とは素敵なカップルでしたが。
パフォーマンスも素晴らしくて、満足できる出来でしたね。
Commented by dognorah at 2007-06-26 21:19
守屋さん、ロンドンの椿姫さんの指摘で前回公演は2000年ということで本文を修正させていただきました。
今回はマッケラスが殊勲賞ですね。前回のマッティラもきっとすばらしいカーチャだったでしょう。リオラとトビーのラヴシーンもとても素敵でしたよ。リオラはちょっと痩せたようで容姿的にはプラスですね。
私はもう一度聴きたいと思いましたがあと3回の公演日はいずれも既に予定が入っていてかないません。
Commented by がらちゃん at 2007-06-27 05:30
私は22日(金)に行きました。マッケラスは最初登場するなり、いきなり会場からブラヴォー、ブラヴォーで、振る前からこれかよ、みたいな感じでしたが、本当にこの方は愛されているんですね。そして、そのとおり、指揮振りも、マッケラス御大が振ると全てが滋味に溢れ、すみずみまで暖かく血の通った音楽になるんですね(本当にそうなっているのかどうかはともかく、少なくともそう思わされてしまいます)。「巨匠」というとちょっと偉すぎるイメージかもしれませんが、巨匠と呼べる素晴らしい指揮者ですね。22日はオケの出来が技術的に今一つでしたが、御大の素晴らしい棒に心を一つにしようとしている雰囲気は十分に伝わってきました。歌は総じて○でした。メリット(ティホン)はちょっとシュトライト(ボリス)に食われた感がありました。
Commented by dognorah at 2007-06-27 08:54
がらちゃんさん、マッケラスはやはりヤナーチェクが得意なんですよ。お客もそれはよく知っている感じです。この日はオケもなかなかの技術でしたよ。
Commented by Sardanapalus at 2007-06-27 20:24
マッケラスのヤナーチェクなんて羨ましいです~。トビー君もでてるし(^^)グロドニカイテも元気そうですね。よかったよかった。マッケラスはちょっと痩せましたか?体調に気をつけて、できるだけ長く振っていただきたいものです。
Commented by dognorah at 2007-07-01 00:31
マッケラスファンとしては得意の作曲家のオペラを聴きたかったでしょう。足は相変らずちょっと歩きにくそうですが以前と変りませんので体調はいいのでしょう。まだしばらく活躍できると思いますよー。
Commented by 助六 at 2007-08-08 08:27
「カーチャ」はほんとに素晴らしい。リズム細胞が増殖しながら、ヒタヒタと清冽さをもって押し寄せてくるような音楽に否応なく感動してしまいますね。色々気移りした後、結局「カーチャ」がヤナーチェクの最も心に滲みる音楽という確信を得つつあります。それをヤナーチェクに関しては文字通りの天才マッケラスの指揮でお聴きになれたとは羨ましいです。
私も今シーズンはデノーケの「マクロープロス」やブーレーズの「死の家」に触れられたので、マッケラスの「カーチャ」が加われば、例外的ヤナーチェクの大アタリ年になっていたのでしょうが、残念です。
Commented by dognorah at 2007-08-08 22:00
>リズム細胞が増殖しながら、ヒタヒタと・・・

助六さんならではの表現に感嘆しきりです。私など逆立ちしたってこんな文章は書けません。
それにしてもこの音楽は至高の領域にあると思いますがやはりマッケラスで聴いたからこそなのでしょう。他のヤナーチェクも是非彼の棒で聴いてみたいものです。
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