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ベートーヴェンの交響曲第8番+第9番

2007年5月10日、カドガンホールにて。

指揮:Janusz Piotrowicz
ソプラノ:Anna Leese
アルト:Louise Poole
テノール:Shaun Dixon
バス:Krzystof Szumanski
合唱:London Concert Choir
管弦楽:Royal Philharmonic Orchestra

同じ指揮者によるベートーヴェンサイクルの最終日でした。実物を見るのも名前を聞くのも初めての指揮者ですが、50代後半というところでしょうか。ポーランド系のイギリス人だそうです。全部暗譜でほとんど目をつぶって一心不乱に指揮をするというスタイルです。イン・テンポ気味に楽譜に忠実を心がけるという感じがします。第8番はそういう演奏スタイルが合っている曲と思いますが、とてもまっとうな演奏でしっかりまとまっていました。
第9番も高水準の演奏でした。もう少し味付けがほしいかなとは思いましたが。第4楽章では指揮者も起伏をつけて盛り上げていましたしオケもよく反応していたのですが、実演ではもっと激情を発露してもいいのじゃないかと。歌手は、陰ながら応援しているソプラノのアナ・リースが群を抜いて上手い。いつもの通り声はきれいだし声量もある。さすがにオペラ舞台で経験を積んでいるだけのことはあります。初めて見たときから比べるとかなり肉がついてきたのが気になりますが。バスのシュマンスキもROHのYoung Artist Programmeに参加して舞台経験もあるのですがバスにしてはえらく明るい声です。声量はあって最初の発声のところは無難にこなしていましたがもうちょっと低音を響かせてほしい。それにときどきリズム感が悪くなったり音を外したりといまいちでした。アルトは余り目立たず。テノールはほんとにテノールか、というくらいバリトンに近い声。ニュージーランドのヘルデンテノールと紹介されていますが、この人がヴァーグナーを歌うなら遠慮したいです。合唱はまあ水準というところです。7-80名程度でしたが舞台には全員乗れず、ギャラリーの一部を使っていました。従って今日の観客数は700名に満たなかったはずです。私はギャラリーの舞台に近いところに席を取って聴きましたが、各楽器が非常によく聞こえ、合唱が声を張り上げている裏でヴァイオリン群がこんな音を出していたのかとか普段気づかないことがいっぱいあって楽しかったです。第4楽章での低弦群の響きも迫力が感じられました。こういうのはロンドンの他のホールでは経験できないことででカドガンならではです。

写真は、手前右の緑のドレスがアナ・リース、その後ろの金髪男性が指揮者のピョートロウイクス、赤いドレスがプール、左側がディクソン、シュマンスキです。アナ・リースは初めて見たときから比べるとふてぶてしい面構えになっていてびっくりです。
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by dognorah | 2007-05-13 00:10 | コンサート | Comments(2)
Commented by ロンドンの椿姫 at 2007-05-14 21:46 x
アナ・リ-スは私もあれから注目しています。去年の夏のサドラーズでのコジ・ファン・トゥッテは粗っぽくてまだまだ修行が必要だと思いましたが、去年のROHで代役で出たボエームのムゼットは素晴らしかったですよ。私が聴いたROHのムゼッタの中でベストと言える程。代役出演は一度だけだったかもしれませんが、才能のある人ですからあれで更に認められるだろうと確信しました。でも、太りやすい体質のようですから、気をつけて欲しいですね。
Commented by dognorah at 2007-05-15 00:20
そのラ・ボエームではリハーサルに出たアナ・リースと本番のフォチレの両方を見ましたが、断然リースの方がよかったです。
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