2007年3月11日、バービカンホールにて。
ソプラノ:Sally Matthews メゾソプラノ:Karen Cargill 合唱:London Symphony Chorus 指揮:Michael Tilson Thomas 今日は一昨日の空席が目立つ客の入りから一転してほぼ満席でした。 マーラーの交響曲第2番を聴くのはこれでキャプラン、ハイティンクについで3回目ですが過去2回はいずれもロイヤル・アルバート・ホールなので今回ようやくまともなコンサートホールで聴いたことになります。それを差し引いても今日は鬼気迫るすばらしい演奏でした。 第1楽章冒頭、トーマスのとてもきめ細かい指揮で低弦の迫力あるアンサンブルが心に響きます。完全にツボを押さえているという感じで全聴衆が固唾を呑んで咳一つしないで(ロンドンではとても珍しいこと)音楽に集中している様子が感じられました。テンポや間の取り方がとても納得のいくものだし、音楽の流れがマーラーそのもの。安心して身を任せる気になります。これでヴァイオリン群がもう少しいいアンサンブルだということはないのですが。でも第2楽章ではそのヴァイオリン群が羽毛のように軽く柔らかい音を出してくれて挽回。コンサートマスター(これがゲストなんですねぇ。ロンドンではよくあること)がひときわ秀でた音を奏でていました。フルートとの競演が多い曲ですが共に優れた演奏でした。第2楽章、第3楽章ともまったくだれることなく大きな流れを受け継いで行きます。第4楽章のメゾソプラノもこの流れに乗って静かながら説得力ある美しい歌声を響かせます。そして第5楽章、トーマスはますます乗ってきたという感じでぐいぐい引っ張っていきます。舞台裏の管楽器や打楽器も程よい音量レヴェルです。長い管弦楽の後合唱と独唱が交互に歌う部分に入って、中間どころで合唱がWas entstranden ist, Das muss vergehen! Was vergangen, auferstehen!(創造された者、それは死ななければならない!亡くなった者は復活しなければならない!)を歌う場面で涙が流れ出し、後は終曲まで止めどもなく流れ続きました。妻を思い出して嗚咽しそうになるのを必死にとどまり、まだまだ私の精神状態は尋常ではないことを思い知りました。 それにしても、マイケル・ティルソン・トーマスはすばらしい指揮者だと思います。独唱、合唱とも大満足。管弦楽はわずかに難ありといったところでした。 写真は向かって指揮者の左がメゾソプラノのカーギル、右がソプラノのマシューズです。
by dognorah
| 2007-03-12 10:07
| コンサート
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