2006年12月12日、バービカンホールにて。
George Frideric Handel (1685 – 1759) Messiah (1741 – 42) 指揮:Colin Davis ソプラノ:Susan Gritton アルト:Sara Mingardo テノール:Mark Padmore バス:Alastair Miles 合唱:Tenebrae 管弦楽:ロンドン交響楽団 ヘンデルは1710年にロンドンに移住してからの25年間にイタリア語のリブレットによるオペラを大量に書いて大成功を修めますが、1730年ごろから彼のオペラ人気も翳りが見え始め、本人も悩んでいたようです。そこで新たに英語歌詞によるオラトリオというジャンルで作曲をし、これでどうだ、とばかりに世に問うたところまたまた大成功。アマチュア合唱団が積極的に取り上げたこともあり、以後、250年以上にわたって人気を保ち続けているというわけです。 作品の存在は有名なので知っていましたが、実演でもCDでもとにかく聴くのはこれが初めてでした。ヘンデルらしい親しみやすいオーケストレーションと美しい歌で楽しめましたが、今日もテネブレイという合唱団の実力を再認識しました。先日の「キリストの幼時」で初めて接したこの合唱団、今日は曲のダイナミックさもあって、より凄さを発揮した感じです。本日のメンバーは女声14名、男声20名でしたが透明な響きを保ったままで発せられる力強いフォルテの気持ちよさはたまりません。よほど一人一人の実力が秀でているのでしょう。 独唱陣も無難にこなしていましたが、女声陣がよりよかった。男声陣ではバスのマイルズが風邪でも患っているのかいつもの豊かで張りのある低音が出せず、今まで何度か聴いた彼の歌唱の中では最悪でした。 管弦楽は前回と同様美しい演奏です。 独唱陣の役割はテキストに書いてあるのとはずいぶん違って、アルトやソプラノの指示部分をバスやテノールが歌ったり、あるいはその逆であったりとかなり変えていました。指揮者の判断でしょうか。聴いている方は別にどちらでもいいのですが。 曲は全体が3部に分かれており、第2部の最後の34番でハレルヤと始まると多くの聴衆が起立しました。理由はよくわからないので私は座ったまま聴いていましたが。 歌詞はかなり単純で、それを何度も輪唱のようにして繰り返すので演奏時間がかかるということもわかりました。しかしこのアンサンブルの優れた合唱団による輪唱はことのほか美しく、ちっとも長いとは感じませんでした。 写真は、向かって指揮者の左側がテノールとアルト、右側がソプラノとバスです。前半は女声が左、男声が右だったのですが、後半にテノールとアルトのデュエットがあったのでこういう配置になったものです。
by dognorah
| 2006-12-14 22:01
| コンサート
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Comments(8)
dognorah様こんにちは。
イギリスは今が「メサイア」シーズンですので、きっとdognorah様もお出かけになられるとは思っていましたが…。この公演のメンツ、とても素晴らしすぎます(羨望)。このライブ、CD化されないものでしょうか。 それからイギリスでは「ハレルヤ・コーラス」のとき観客が立ち上がるのですね!噂には聞いていましたが、本当だったのですね!先月私がアーノンクールの指揮で同曲を聴いたとき、会場では1名だけ起立していましたが、その人物以外は全員座して聞き入っていました…。私には堂々と胸を張って立っていたその観客が神々しく見えましたが。
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dognorah at 2006-12-14 23:36
おかか1968さん、こんにちは。この公演は録音されていてCD化されるようです。TVカメラも入っており今月BBC Fourで放送される予定です。
日本でも音楽大学関連イヴェントでは起立する人が多いと友人の歌手が言っていました。しかし、一人だけだと後ろの席からクレームが出そうな気が(笑)
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Bowles
at 2006-12-15 07:39
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ミンガルド!!
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dognorah at 2006-12-15 09:25
グリュックやヘンデルのオペラで大活躍なのでBowlesさんは当然ご存知だろうと思っていましたが、かなり評価されているご様子ですね。
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stmargarets
at 2006-12-18 00:19
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ハレルヤの時にイギリスで観客が立ち上がるのは、メサイアの初演の時に聴きに来ていた時の国王(確かジョージ2世だったと思います)が、ハレルヤにあまりに感動して立ち上がってしまい、国王が立ち上がったから皆立ち上がった。という話からそれが慣習化したものだと聞いたことがあります。
(ってdognorahさんの事なので既にお調べとは思いますが一応コメントしてみた)
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助六
at 2006-12-21 10:11
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90年頃コルボがモーツァルト編曲版「メサイヤ」やったことがありましたが、歌ったことがあるという歌手の方は「全然違う!」と驚いてましたね。まあそれは当然かもしれないけど、パロットがやった時もソロ配分違いましたね。
ヘンデルは1742年のダブリン初演以来生前36回「メサイア」を演奏してるんだそうで、その度に歌手の陣容に合わせて手を加え、オーケストレーションにも手を入れてるから、数多くのヴァージョンがあり、指揮者はしばしば色々混ぜて演奏してます。 この機会にと思って少し調べてみましたが、ソロ歌手の数も、41年初稿(演奏されなかった)は2S(内一人ボーイS)、1A、2CT、1T、1Bの7人で、42年ダブリン初演時は、1S、2A、1CT、1T、2Bの7人とすでに変わっています。 ディスクだとデイヴィス(66年録音・混合版)は勿論、ホグウッド(54年版)、ハルノンクール(混合版)でさえSATBの4人という現実的選択。 ガーディナー(混合版)、パロット(53年版)、マッギガン(7種だかの版を聞けるようになっている)は、2S、1A、1CT、1T、1Bと6人の歌手を使ってます。 丁寧な表を作っておられる方がいました。 http://www.mengelberg.net/messiah/mesedition.html
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dognorah at 2006-12-22 00:07
stmargaretsさん、由来を教えていただいてありがとうございます。いえ、私はまだ調べていませんでした、と言うか、ここに書くと誰か教えてくれるかなと思っていました(^^;
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dognorah at 2006-12-22 00:10
助六さん、詳しい調査をありがとうございます。そういうこととは知りませんでした。4人の歌手の分担もそれでいろいろ違ってくるのですね。
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ロンドンに在住です。オペラ、バレー、コンサート、美術展などで体験した感動の記憶を記事にし、同好の方と意見を交わしたいと思っています。最新の記事はもちろん、過去の記事でもコメントは大歓迎です。メールはここにお願いします。
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