Rouault, Matisse Correspondancesという展覧会がパリ市立近代美術館で開催されています。趣旨はあまりよくわからなかったのですが、持ち帰ったパンフレットを英語に機械翻訳してわかったことは、Gustave Moreauの弟子時代からGeorges RouaultとHenri Matisseの二人は仲がよく、死ぬ直前まで手紙のやり取りをして芸術に関する意見を交わしていたということです。付き合いは家族ぐるみであったらしく、本人の死後も交流は続いていたことがわかっています。
二人とも尊敬するモローから多大な影響を受けたことが知られていますが、お互いにも当然のことながら影響しあっていたので、この展覧会ではモローを含む3者の作品をパリの主だった美術館から借りてきて年代順あるいはテーマ別に展示してそれを感じてもらおうということです。作品数はルオーが圧倒的に多く、モローとマティスは付録みたいなものです。 正直なところ、ルオーの絵からはモローの影響は感じられましたが、それ以外は余りよく実感できませんでした。ということで普通に3人の絵を鑑賞するスタイルに徹しました。 ルオーの絵というのはカンヴァスに分厚く絵の具を塗って描いたキリスト像などを思い出すだけで、あまり好きでもないことからほとんどまとめて見たことはありません。今回は年代順に見ていって、そういう類の絵は晩年のスタイルであることを知りましたが、初期の作品などを見るとやはり相当な腕前の持ち主であることがよく理解できました。次の絵は紙に水彩とパステルを使って仕上げたものですが、そのヴォリュームの迫力ある表現に圧倒されました。一番目玉作品なのかポスターにもなって地下鉄の通路に張ってあります。写真でも結構魅かれる絵ですが、実物の前では暫し動けないほどの感銘を受けました。 Georges Rouault: Fille/Nu aux jarretieres rouge, 1906 Aquerelle et pastel sur papier, 71 x 55 cm, Musée d’Art moderne de la Ville de Paris 残念ながら他の作品はやはり好きになれず、マティスもたいした作品は展示されていません。そういう中で、モローの作品で風景を描いたものにちょっと抽象的な趣を感じたのが新しい発見でしょうか。写真は入手できませんでしたが、モロー美術館所蔵のものです。以前、そこを訪れたことがあるので見ているはずですが、やはり絵というものは時と場所で印象は違ってくることを改めて感じました。 Rouault, Matisse Correspondances Musée d’Art moderne de la Ville de Paris 27 October 2006 – 11 February 2007
by dognorah
| 2006-11-11 09:42
| 美術
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Comments(2)
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助六
at 2006-11-12 09:49
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いつものことながら、dognorahさんの好奇心旺盛さと行動力・消化力には驚かされます。私にも励みになります。そう申す小生は「トロイ人」だけでもう飽和状態なもので。
この展観はプレスもあまり報じてないので気付かずにいました。ボケは確実に進んでます。 ルオーも当初フォーヴの一員だったからマティスと接点があるのは解りますが、確かに古典的で高度な知的洗練を示すマティスと、表現主義的契機が強いルオーでは、到達した造形には相当距離がありますよね。 でも師モロー同様眼に見えない価値を高く志向してた2人は、造形的・技術的側面で接点が少ないだけに、むしろ却ってケンカにもならず、2人とも知的なタイプだし、一定の距離を保って友情と相互刺激を保てたのではないかと思います。 考えてみると、ルオーはパリでもう20年来回顧展の対象になってませんね。私も反射的に思い浮かぶのは、あの七宝焼きのレンブラントみたいな不思議な光を放つ厚塗りの作品で、初期作品はあまり知りませんので、見に行ってみようと思います。
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dognorah at 2006-11-12 10:29
いえいえ、単なる貧乏性でして、せっかくパリまで行ったから目いっぱい見てやろうという程度のものです。
記事には書きませんでしたが、花瓶の焼き物にヌードの絵付けをしたものも数点展示されていて、結構味わい深いものがありました。やはり初期作品です。絵画も含めて展示会で見たときはそれほど強い関心を引かなかった作品群が、今頃になっても印象が消えないでじわじわと心の中にしみこんでくる不思議な感じです。
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