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PROMSバンベルク交響楽団演奏会

7月27日、ロイヤル・アルバート・ホールにて。

プログラム
Wolfgang Rihm:Verwandlung (UK premiere)
Robert Schumann:Piano Concerto in A minor
Gustav Mahler:Symphony No.4 in G major

出演
ピアノ:Hélène Grimaud
ソプラノ:Inger Dam-Jensen
指揮:Jonathan Nott
管弦楽:Bamberg Symphony Orchestra

PROMSバンベルク交響楽団演奏会_c0057725_0444669.jpg指揮者のノット(左の写真)はケンブリッジ大学出身のイギリス人ですが、2000年以来バンベルクの主席指揮者に就任しています。私は多分初めて聴く人です。


ヴォルフガング・リームという現代ドイツ作曲家(1952-)の作品は初めて聴きました。題名は「変化」という意味か。
ちょっと武満を思わせるような静かで内省的なイントロです。音は各楽器がいろいろ加わってどんどん膨らんでいきますがテンポは相変わらずゆっくりで緊張感が持続される音楽です。中間部で一旦クライマックスに達し、その後再び弦が支配的になりますが、終曲辺りで各種打楽器が大音量でがなりたて、弦との会話があった後イントロと同様に静かに終わります。15-20分程度の時間ですが、緊張と不安による心の変化を表現したものでしょうか。まあ楽しめます。

PROMSバンベルク交響楽団演奏会_c0057725_0451969.jpgシューマンのピアノ協奏曲を独奏したエレーヌ・グリモー(左の写真)は1969年フランス生れの中堅ピアニストです。くっきりと音を浮かび上がらせる溌剌とした演奏でとても好感が持てます。オケは歯切れ良く、スケール感がある演奏で、ピアノとも息がぴったりですごくいい演奏でした。。
下の写真は拍手に応えるグリモーとノットです(露出ミスではっきりしませんが)。
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バンベルク交響楽団というのは昔安いレコードに登場していた記憶がある以外あまり知らない楽団ですが、弦の音はやや痩せていてとても豊麗な音とはいえませんし、管楽器もそれほど上手くはありません。しかし、ノットの作る音楽はとてもまともで、先のシューマンも良かったのですが、このマーラーの4番もテンポの緩急をつけて躍動感を与えたり、どっしりすべきところはスケール大きく構えたり、とアクセントの効いた良い演奏でした。
そして第4楽章のソプラノ独唱がすばらしい。昨年のPROMSで聴いた同曲のクリスティーネ・シェーファーよりはるかに良い(管弦楽は昨年のロイヤル・フィルの方が良かった気がしますが)。インガ・ダム・イェンセンはデンマーク生れのソプラノですが、いい歌手を発見できました。美しい声が大きなホールをものともせず響きわたります。ニュアンスの表現もとても心惹かれるものです。金髪に合わせた金色のドレスというのもなかなか。
写真は拍手に答えるイェンセンとノットです。
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今日の会場は直前の雷雨にも拘らずここ2週間分の熱気がこもっているのか、メチャ暑かった。全く換気の悪いホールです。オケの団員も楽譜で顔を扇ぐ有様。そういう中、グリモーは長袖のぴったりしたブラウス姿で平気な顔をして弾きました。女性なら肩まで出すファッションが使えるのにと、こちらは扇子で扇ぎながらつまらないことを思っていました。
今夜の聴衆は全ての楽章の終わりで拍手をする連中がいてわずらわしい。
by dognorah | 2006-08-01 01:09 | コンサート | Comments(3)
Commented by 助六 at 2006-08-01 08:02 x
dognorahさんの現代曲描写はいつも曲の様子が耳に浮かぶようでありがたいです。リームはやっぱりオペラの人なんでしょうが、小生は室内オペラ「ヤコープ・レンツ」だけで大きなものに接したことがないのが残念です。ちょっと意外ですがブーレーズが彼の器楽曲を振ったのにもぶつかったことがあります。多作家でもうとっくに作品100を越してる由。
グリモーはシューマンのコンチェルト得意にしてて、ディスクも2度入れてるし、私も実演2度(もう1度はキャンセル)当たりましたが、興が乗ったときは、瞬発力とインスピレーションに溢れ眼が覚めるように素晴らしい。フンメルさんのサイトにもコメントさせて頂きましたが、6月のパリでは「肺炎再発で」(!)キャンセルでした。
彼女の「アンチ・ディーヴァ」タイプのファッションは好きですが、そう言えばいつもピタっと着込んでますね。ただ考えてみるとパリで弾いたのはいつも寒い時ばかり。さすが高潔の士フンメルさんの時は馬小屋で高露出だったそうです(羨)。
Commented by 助六 at 2006-08-01 08:05 x
バンベルク響は戦後プラハの独人オケが追放され、その引揚げメンバーを核に設立されたオケで、カイルベルト、シュタインらが常任を務め、特にヨッフムがよく客演してて、彼と共にミュンヘン・オペラ祭のピットに入ったこともあるそうです。80年代パリにもヨッフムと来演が予定されてましたが、結局キャンセルでエッシェンバッハが代役、私は遂にヨッフムの実演を聴けませんでした。
6年前ノットとパリに来て、オール現代曲(シャリーノ)をやったときには、実に高性能のオケに思え、もっと古典曲で聴いてみたいと思わされましたが、今年5月にノットとブルックナー9番をやったときは「もう少しうまそうだったけどなぁ」と思ってしまいましたね。
Commented by dognorah at 2006-08-02 01:24
リームの作品をいくつか既に聴いていらっしゃるのはさすがですね。初めて聴く曲はかなり神経を尖らして聴くので、こんな描写になってしまいます。

実はフンメルさんの記事を読んで、自分もグリモーを聴いたんだと思い出して記事にした次第です。もっと開放的な場所でないと露出は望めないのですね(笑)。

バンベルクはそういう歴史でしたか。以前からお聴きで、ノットの棒のもとで技術的にはもうあまり進展がないという感想でしょうか。
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