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Cézanne en Provence 2006展

セザンヌ(1839-1906)の没後100年を記念してエクス(Aix)周辺で制作された絵画を中心とする回顧展がAix-en-Provenceで開催されていますので見てきました。油絵と水彩画を合わせて約70点です。
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特別な年ですので米国やロシアなどからも多くの作品が集められて大変見応えのある展覧会になっています。先般開催されたピサロとセザンヌの交友関係に焦点をあてた展覧会もなかなかすばらしかったのですが、今回は年代的にも幅が広くてその分多彩なセザンヌを見れる分迫力がありました。普段はなかなかお目にかかれないアメリカに散らばっている作品や個人蔵のものを見ることが出来たのも大収穫です。改めて彼の偉大な画業を実感した次第です。やはり故郷で落ち着いて描く絵には凝縮したエネルギーが感じられます。迫力がありました。特に十数点に及ぶサント・ヴィクトワールを描いた作品は芸術的価値はどうであれ圧巻です。上の絵は、Montagne Sainte-Victoire (1902-06 - Oil on canvas, 65.1 x 85 cm Private collection)です。

今回学んだことは、
・同じ場所を繰り返し描くことの意味。自然が提示する対象は時間的に一つとして同じものはありえず、時々刻々変化する自然を描くことこそが自然の本質に迫ることである、との彼の言葉の意味が少しわかったこと。
・風景画に人物を描き入れることをしないのは、人間の作った構築物を描くことで人間の存在を示しているからである。
・カンヴァスの空白は塗り残しではなく、あえて塗らずに空気を描こうとしたかららしい。
・対象の建物が傾いていたり、静物のりんごが転げ落ちそうなのはヴィデオのようなダイナミックな動きを表現したかったのでは。
・彼の描く道はたいてい画面のどこかで途切れていて先が見えないのは、不確定性を表現したかったのでは。
Maison au toit rouge (Jas de Bouffan)
R603 - 1885-1886 - Huile sur toile, 73 x 92 cm
Collection privée
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・1906年に死なずにさらに画業を続けていたらカンディンスキーを待たずとも抽象への道をもっと明確に提示していたのでは?死ぬ直前に描いた次の絵を見てそう思いました。
Le Jardin des Lauves
R926 - c.1906 - Huile sur toile, 65,5 x 81,3 cm
The Phillips Collection, Washington, D.C.
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・彼の人物画というものをそれほど注目していなかったけれど、次の農夫を描いたものはカード遊びをする場面の絵と同様に人物の内面を描き切っている感じがして感銘を受けました。
Le Paysan
R704 - 1890-1892 - Huile sur toile, 55 x 46 cm
Collection privée
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今回の絵で特に気に入ったものを挙げるとすれば、上の抽象画的なものと、次の初めて見た個人蔵の絵です。この絵は真ん中に木があるという彼が良く用いる手法のものであまり愉快な構図ではないですが、木の両側で別世界を描きながら、さらに水による鏡面で第3の世界を付け加え、すごく惹かれる色の配合によってそれらを有機的に繋げている絵がなんともいえない魅力を放っています。
Le bassin du Jas de Bouffan en hiver
R350 - c. 1878 - Huile sur toile, 52,5 x 56 cm
Collection privée
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とても暑い日でした。11時入場の切符を持っていったら少々早くても入れてもらえるだろう(5月のオルセーでのセザンヌとピサロ展ではそうだった)という甘い考えは見事に打ち砕かれて炎天下できっちり行列。前後の客を見るとみんな私と同じ時間の予約客でした。でも、中に入るとそれほど混雑はしていなくてまあまあ自分のペースで鑑賞できました。日本語のオーディオ解説機器が用意されていたのも便利でした。

美術館の中で、どこかで見たことのある日本人女性がいました。考えたら昨日のオペラの合唱隊にいた人です。声をかけたらやはりそうで、今日は公演がないので美術館に来ていたようです。ヴィーン在住で、ドイツ人のご主人ともどもこの魔笛はヴィーンとエクスの両方で出演しているとのこと。ひとしきり話して名詞を交換させていただきました。こういう出会いは楽しいことです。

約2時間ぐらい鑑賞した後、大汗を掻きながら近くのレストランで昼食を取り、家内の買い物に付き合ってゆっくり宿に帰ろうとしたら突然雷雨に襲われました。昨日に続いて夕立です。雨が降る前に地下駐車場に飛び込み、走り出したらものすごい豪雨。しばらく邪魔にならない路上で様子を見ていましたが、お陰で汚れ放題だった車はすっかりきれいに洗車されてしまいました。夕食時にはすっかり雨が上がったので再びセンターに戻り、歩道に張り出したレストランのテーブルで夕食を取りました。Romaniというどうやらイタリア系のチェーン店で、牛肉のカルパッチョの食べ放題というのをやっていました。私には一皿で十分でしたが、現地人がどれだけ食べるか興味があったので観察していたらみんな3皿で降参でした。薄切り肉だからたいしたことはないと思うけれど結構な量なんですね。味は前菜も含めてまあまあ良かった。

Cézanne en Provence
9 June – 17 September 2006
Musee Granet
Place Saint-Jean de Malte、Aix-en-Provence
by dognorah | 2006-07-30 00:19 | 美術
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