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The Virgin Mother by Damien Hirst

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もう旧聞なのでタイムリーな話題ではないですが、刺激的な作品でいつも物議をかもしているイギリスのターナー賞受賞(1995年)アーティスト、デイミアン・ハーストの巨大ブロンズ作品に「The Virgin Mother」というのがあり、その二つ目のコピーが5月末にピカデリーにあるRoyal Academyの中庭に設置されました(上の写真)。妊婦のヌード立像ですが、彼女の右半分は皮を剥いだ状態になっており、頭蓋骨、筋肉組織、胎児などが露になっています。The Virgin Mother by Damien Hirst_c0057725_1494863.jpg立っているスタイルはドガのブロンズ作品「小さな踊り子」(右の写真)とそっくりで、恐らく敢えてそれをモデルにしたのだろうといわれています。

高さ10メートルを優に超える巨体で、よくここへ持って来れたなぁと思っていたのですが、BBC TVでグロースター州の工房からこのロンドンの都心までトレーラーに乗せて運んでくる様子が放送され、ちゃんとアーチ型の正面入り口をくぐって搬入されたことがわかりました。工房では各パーツが鋳型で製造された後、溶接で各部を接合して全体像を作り、多くの作業員が表面を機械ポリッシュして仕上げる様も紹介されていました。ブロンズだけでは足首など細い部分が全体重を支えきれないので、その内側にステンレスを入れて補強してあるとのことです。

The Virgin Mother by Damien Hirst_c0057725_1503146.jpg上の文章で二つ目のコピーと書きましたが、実は最初のコピーは2005年9月にニューヨーク(Madison AvenueにあるLever Houseの敷地内)に設置されています。その作品は、皮を剥いだ部分が赤い色に塗ってあり、より生々しい印象です(左の写真)。
現在第3体目が製造中で(一体の完成に18ヶ月かかる)、聞きそこないましたが欧州内のどこかに設置されるようです。

この像が設置されて以来ニューヨークでもロンドンでも様々な反応があるのは当然ですが、概してネガティヴな意見が多いようです。もっとも、みんなから歓迎されるようではハーストの名が廃れますが。私は実物を見に行って、「さすがハースト、なかなかやるじゃん」と思いました。少なくとも動物のホルマリン漬けよりはずっとましな芸術作品と思います。今回も奇抜なアイデアではありますが、とてもユニークである点は相変わらず。展示は8月20日ごろまではされるようですが、ずっとそこに置いておいてもいいじゃないかと思います。
しかし、ロイヤル・アカデミーがこういう作品を展示するとは時代も変わったものです。ここは代々、非常に保守的な雰囲気を維持してきたところで、あの印象派の作品が世に出たときは真っ先に否定的な態度を表明したものです。
by dognorah | 2006-06-24 01:54 | 美術 | Comments(6)
Commented by Sardanapalus at 2006-06-24 23:20
うわ、また凄い作品ですね。旧聞?いえいえ、私には初耳です。今度時間つくって早速行ってみようと思います。これを見るだけならお金いらないですよね?

ところでハーストですが、新作で
>動物のホルマリン漬け
に回帰しているそうです。羊がバスルームで何かやっているシリーズだそうですよ。数日前のMetroに載ってました。
Commented by Bowles at 2006-06-24 23:28
ハースト、とっても面白いと思っています。この巨大さはうけますね。ポーズは、私にはドガというよりも(というかドガの作品自体も)古典的なコントラポスト、また皮をはいだ部分は、レオナルドの素描への言及のような気がします。

まったく話はかわりますが、今日届いたOperaを見ていたら、7月5日のSt.John'sでのRegazzoのリサイタルの広告をみつけましたが、dognorahさんはいらっしゃいますか?
Commented by dognorah at 2006-06-25 00:12
Sardanapalusさん、これを見るだけだと無料です。いつでも見れるわけじゃないので、ロンドンにいらっしゃる間にぜひ見てください。
ハーストはまた羊ですか?まあ、ああいう人ですから前回の類似物ではなく、なにかあっといわせるものだろうとは思いますが。
Commented by dognorah at 2006-06-25 00:28
Bowlesさんもハーストがお好きなんですね。

>古典的なコントラポスト・・・
フーム、なるほど。そういえば、左右が異なりますが古典的なコントラポストを参照したというサンドロのヴィーナスともよく似た姿勢ですね。

>レオナルドの素描への言及・・・
これも言われてみれば納得です。

ところで、7月5日は別のコンサートを手当てしてしまっているのでRegazzoのリサイタルは行きません。この歌手についてはよく知らないのですがBowlesさんが注目されている人なんでしょうか?
Commented by Bowles at 2006-06-25 00:44
英国では多分まだCenerentolaにしか出演していないと思いますが、イタリアそしてフランスの一部では、たいへん注目されているもはや中堅どころの歌手です。ヤーコプスのフィガロが彼。ヴィヴァルディ、ヘンデル、モーツァルト、ロッシーニをレパートリーの中心にしているので、ちょっと一般的には地味ですが、とても素晴らしいバスです。セリアもブッファも両方いける。今年もまたペーザロで聴けるのが楽しみ。最近naiveで出たヴィヴァルディのアリア集にもびっくり。
Commented by dognorah at 2006-06-25 04:20
Bowlesさん、情報ありがとうございます。リサイタルの曲目は仰るとおりのレパートリーですね。そんなにいい人とは知らず行けなくて残念です。オペラ界ではロンドンはほんとに田舎なのでこういう情報はありがたいです。この人の名前も記録しておかないと。

>今年もまたペーザロで・・・
毎年行かれているんですよね。私は俗っぽくヴェローナに行って来ます。ついでにエクスでも見たかったのですが切符が取れなかったのでセザンヌ展だけになりそうです。
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