6月4日、Sadler’s Wellsにて。
ここで歌舞伎をやるのは3-4年ぶりか。前回は近松の浄瑠璃「曽根崎心中」をやったので中村雁次郎と扇雀など今回よりたくさん来てはるかに華やかな歌舞伎だったけれど(浄瑠璃は本当の歌舞伎じゃないという意見もありますが)今回は主演二人だけの小規模公演です。 演目 ・藤娘(30分) 市川海老蔵(藤娘) ・かさね(50分) 市川亀治朗(かさね) 市川海老蔵(与右衛門) 藤娘は海老蔵の女形としての踊り。しらふのときと酒を飲んで酔っ払ったときの踊りの違いを見せる。衣裳を2回替えるので舞台上での早業を見れるのかと思ったら、全くそんな用意はしていなくて舞台裏に引っ込んでかなり時間をかけて着替えただけ。イギリス人観客も多かったので引き抜きの技を見せてあげたかったなぁ。 かさねは怪談物。人殺しなど平気でやってのける悪浪人、与右衛門は腰元のかさねに手をつけて妊娠させてしまう。当局から追及の手が伸びているのでとんずらを考えているがかさねから一緒に連れて行けと縋られてしまう。そこに川の水に流れて鎌が刺さったどくろが到着する。卒塔婆も一緒についており、それはかつて与右衛門が殺した男のもの。ところがその男はかさねの父親であり、自分を殺した憎い男と駆け落ちしようとする娘に憑依して顔に醜い傷跡を現す。それを見て嫌気が差した与右衛門はその鎌を使って彼女も殺す。 ![]() ![]() 荒事の様式がきちんと表現された本物の歌舞伎でした。海老蔵も悪くなかったけれど題名役の亀治朗はとても上手かった。写真はカーテンコール時のものです。下の写真は、花道もちゃんと作ってあるところを示したものです。藤娘でカーテンコールがなかったのは残念。 前回のときもそうだったけれど、イギリス人観客で声を出す人が数人いて、盛んに「Naritaya!」とか「11代目!」とか掛け声を発していました。また、私たちの隣にいたイギリス人女性の二人組は歌舞伎を見るのは初めてで翻訳機も借りずに見ていたのに、舞台だけで大体の筋を掴んで感動して泣いていました。全くの異国の文化を見るために大枚叩いて入場するというのも感心しますが、それを理解するという感受性にも感嘆です。こういう人たちが多くの芸術を支えているんでしょうね。 私はもっと別の演目、例えば「勧進帳」みたいなのを見たいものだと思っていますが、ここはロンドン、贅沢いっちゃいけませんね。次回はいつになるでしょう。
by dognorah
| 2006-06-07 01:04
| 観劇
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Comments(6)
私は見に行きませんが、周りの日本人は結構見に行きます。
それより、観客の8割がイギリス人だというところがすごいです。 しかも、マスコミの評価も非常に高い。 私がはまっているオペラ・バレエもそうですが、 歌舞伎にしろ中国の舞踊にしろ、俗に厳しい修行をつんで 実現する古典芸能は本当に場所に関わらず人の心をうつのだと 思います。グローバル化の時代、厚みを持つ芸術は国境を 越えて人の心を打つ物だと確信しています。 じゃあ、お前はなんで歌舞伎を見ないのかと言われると ウッなんですけどね。 個人的思い入れから、藤娘は見たかった。
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Matthewさん、藤娘に思い入れがあるということは結構今まで見ていらっしゃったわけですね。来月日本に帰るわけですからここで無理して見る必要はないでしょう。
仰るとおり、閉じた世界で昇華した芸能というのは万人の心を打つものだと思います。これに限らず、鎖国の江戸時代に発展した芸術と技術はとても偉大なもので時には誇りを感じたりします。当時の人々は生活的にはかなり厳しい制約を課されていたわけですが、そういう条件下でもすばらしい文化を発展させたというのは世界史的にも面白い例だと思うのです。その伝統芸能が異なる世界でも継続されているわけですが現代のエネルギーを得てさらに発展してくれることを心から願っています。
亀治朗さんの評判が良くて嬉しいです。個人的には海老様(笑)よりも好きなんですよ。与右衛門の海老様はカッコイイですけど~。
カーテンコールつきの歌舞伎は、一度は経験したいですね~。異文化の芸術の魅力を感じられた時、人間って素晴らしい!とつくづく思います。
Sardanapalusさんはどの分野でも贔屓の人を作っていらっしゃるんですね。幅広い趣味に感心します。
亀治朗の字を間違えていたようですね。直しておきました。ありがとうございます。
評判の歌舞伎はやはり素敵だったのですね。行きたかったなあー、でも藤娘の早業がなかったのは残念ですね!
それにしても観客の過半がイギリス人というのは脱帽です。 イギリス人は外の文化に閉鎖的という先入観を持っていましたが、そんなことは決してないのですね。 リンク貼らせて頂きました(ご迷惑でなければ良いのですが)。 今後とも是非宜しくお願い申し上げます。
canary-londonさん、イギリス人は大陸の文化には競争心が頭をもたげるようですがエスニックなものは結構素直に受け入れるところがあるような気がします。
リンクありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします。
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ロンドンに在住です。オペラ、バレー、コンサート、美術展などで体験した感動の記憶を記事にし、同好の方と意見を交わしたいと思っています。最新の記事はもちろん、過去の記事でもコメントは大歓迎です。メールはここにお願いします。
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