5月18日、ハイドパークチャペルにて。
約2ヶ月ぶりにこの教会に来てみたら以前のコンサート担当者がアメリカから戻ってきていてお互いに再会を喜びました。彼女の、演奏者と聴衆を交流させようというやり方が好きです。 プログラム Sofia Gubaidulina:Chaconne (1962) Franz Liszt:Ricordanza (Transcendental Study No.9) Franz Liszt:Harmonies du Soir (Transcendental Study No.11) Ludvig van Beethoven:Sonata No.30 in E major, Op.109 Yuki Negishi(根岸由起)さんは、1977年生れ。5歳のとき方NYでピアノを始め、10歳のときにジュリアードのPre-College Divisionに入学、12歳で日本に帰国、桐朋学園に入り大学を卒業後The Amsterdam Conservatoryを経てロンドンのRoyal College of Musicでも学んだ。現在はそこのArtist Dioloma Programmeで研鑽を積んでいる。 数々の賞を取って、UK、オランダ、フランス、ドイツ、ルーマニア、日本、米国で演奏活動をしてきた。 演奏は全てすばらしいものでした。特に音が一音一音磨き上げられたかのように美しいのに感心。ここのピアノは教会が外装を他の調度品のデザインに合わせて特注したスタインウエーの小型グランドピアノですが、今まで聴いた限り、ピアニストによっては汚れた音が出る扱いにくそうな楽器です。そのピアノがまるで別物のような音を奏でます。 1曲目のシャコンヌはつい1ヶ月前のMari Sakataさんのリサイタルで聴いたばかりです。このような頻度で演奏されるということはグバイドゥーリナも随分ポピュラーな作曲家になったのだといえるでしょう。この曲は演奏時間10分足らずで演奏しやすいということがあるからかもしれませんが、何と言っても聴き応えのある曲だし演奏家の共感を得やすいのだと思います。なお、作曲年は今回は1962と標記されていたのでそれに従いましたが、Mari Sakataさんのときは1961とされ、ネットで調べたら1963という説も出てきて、正確なところは不明です。あるいは作曲家による改訂があったか。 演奏ですが、Mari Sakataさんと比べるとダイナミズムの点で控えめな性格(舞台での振舞いから判断)が反映されている気がしますが、音楽そのものは魅力的です。スタイルの違いといってもいいでしょうが、前回はベーゼンドルファーのフルコンサートグランドであったことも影響しているかもしれません。 2曲のリストの作品は続けて演奏されましたが、今日一番感銘した演奏でした(特にRicordanza)。抒情性溢れる詩が煌めく音を通してジーンと心に染み入る気がします。曲の持つ良さを余すところなく表現する丁寧な演奏でした。 ベートーヴェンの30番も魅力的な演奏ですが、特に第3楽章の内省的なニュアンスがよく表現されていたと思います。聴き応え十分。さすがにRCMのベートーヴェンコンクールで2位を獲得した実力の持ち主です。 今後の活躍を期待したいところですが、コンクール暦を見ても優勝経験がないということは何か飛び抜けて目立つところがないのでしょう。そこが問題かもしれません。
by dognorah
| 2006-05-19 21:10
| コンサート
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Comments(11)
【兄やんは秋葉系、私は天然??】
お友達増やし中です♪
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本文と関係ないコメントですみません。
私は、携帯電話上で≪音楽神殿≫という演奏家図鑑を運営しております。≪音楽神殿≫は、世界レベルのクラシック音楽家、国内外の合唱、オーケストラなどの音楽団体の着うた(R)を配信しています。音楽家からのメッセージやコラム、コンサートスケジュールなどをリアルタイムに掲載し、着うた(R)を通じて 今までにない「生きた音楽家とユーザーとを結ぶネットワーク」をau携帯公式サイト上で展開しています。 是非、1度ご覧になって下さい!失礼いたしました。
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at 2006-05-22 16:25
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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dognorah at 2006-05-22 18:01
田中さん、始めまして。サイトを見せていただきました。ところで私は日本の携帯を持ったことがないのでよく知らないのですが、着うたというのは着めろというのと同じものなのでしょうか?要するに携帯の呼び出し音の代わりに音楽が流れるものですよね?
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dognorah at 2006-05-22 18:10
snow*******さん、こんにちは。間違いを修正しました。ありがとうございます。
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ブヌワ
at 2006-06-18 21:42
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僕はフランス人です。バイオリンをして。10年前にフランスで根岸由起さんと会うことがありました。同じ夏のアカデミーに勉強しました。すばらしいな音楽家です。偶然でこのブログを見付けてよかった!
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dognorah at 2006-06-18 22:11
ブヌワさん、ようこそ!ご訪問ありがとうございます。日本語が達者なのにびっくりしました。今はフランスで活躍されているのでしょうか?根岸さんとは直接お話もしましたがほんとにすばらしい音楽家ですね。
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ブヌワ
at 2006-06-19 02:09
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返事してくれてありがとう。日本語が自分で勉強しますから沢山の間違いのはごめんなさい。僕はまだバイオリンしていますが、やっぱりすばらしいのは根岸さんですよね。あの時には彼女といろいろ話せましたけれども、私たちが学生でした。ですから今はもう会える事情がないと思います。根岸さんはロンドンでよくリサイタルしますか?
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dognorah at 2006-06-19 02:25
ブヌワさん、言いたいことはちゃんとわかりますから気にしないで日本語を使ってください。お二人は学生同士だったのですね。昔の友人の消息を知るのは懐かしい思いですね。
彼女はロンドン在住なので時々リサイタルをしています。詳しくは彼女のHome Pageに書いてありますので、次のサイトを見てください。 http://yukinegishi.hp.infoseek.co.jp/
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ブヌワ
at 2006-06-19 04:53
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そのサイトがしらなかった!彼女の今度のコンサートが書いてあることがいいですね。ロンドンで根岸さんのリサイタルを見ることができるのかもしれません。dognorahさん、手伝ってくれてどうもありがとうございます!!
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dognorah at 2006-06-19 06:20
ブヌワさん、お役に立ててうれしいです。
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ロンドンに在住です。オペラ、バレー、コンサート、美術展などで体験した感動の記憶を記事にし、同好の方と意見を交わしたいと思っています。最新の記事はもちろん、過去の記事でもコメントは大歓迎です。メールはここにお願いします。
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