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ヴェルディのマクベス公演(2月24日)

ロイヤルオペラハウスの公演です。
ヴェルディのマクベス公演(2月24日)_c0057725_2243665.jpg私はシェークスピアが苦手で、ヴェルディがオペラ化した3つの物語もあまり積極的には見てきませんでした。このマクベスも2002年のプレミア時はパスしたものですが、今回はハンプソンとウルマナ(左の写真)が出演するのに魅かれて見に行きました。

キャスト
マクベス: Thomas Hampson
マクベス夫人: Violeta Urmana
バンクォー: John Relyea
マクダフ: Joseph Calleja

指揮: Yakov Kreizberg
演出: Phillida Lloyd
デザイン: Anthony Ward
振り付け:Michael Keegan-Dolan

歌手はハンプソンとウルマナはもちろんのこと、レリーアもカレジャもすばらしく、非常に質の高い配役だったと思います。

ハンプソンは昨年「仮面舞踏会」で圧倒的な名歌唱を披露してくれた記憶もまだ生々しいのですが、相変わらずの張りのある美しいバリトンを大きな声量で力いっぱい歌ってくれました。演技も、王やバンクォーを殺した罪の意識に苛まれて幻影を見る場面での目の据わり方など鬼気迫る表情はぞっとするくらいの迫真力です。

ウルマナは2004年の「運命の力」でレオノーラを歌い、相手役のリチートラと共にすばらしい印象を与えてくれた人ですが、今回はそのときよりかなりお太りになったものの、相変わらずよく伸びる高音と美しい声でこれも声量たっぷりで満足すべき歌唱でした。演技的には、マクベスに殺人を示唆する場面での悪女振りがややも物足りなかった感じがします。このあたりはビデオで見たMara Zampieri(シノーポリ指揮のもの)がすごかった記憶があります。

バンクォーを歌ったレリーアはROHではよく脇役に借り出されるバス-バリトンで私も過去に何回も見ていますが今日ほど印象深いことはなかったので今回はよほどの上出来だったのでしょう。カーテンコールでも盛大な声と拍手を貰っていました。

マクダフを歌ったカレジャは私は初体験の人です。マルタ島生れのテノールですがバリトンやバスの中で歌われるテノールの声が新鮮なこともあって大受けしていました。テノールにしては体格のいい人で、甘い声で声量もあり、ほんと上手かったと思います。私的には注目株ですね。

指揮者も初めて聴く人ですが、非常にまともな音楽作りと思います。ヴェルディらしい演奏が楽しめます。オケも頑張っていい音を出していたのですが、第4幕でトランペットが耳を覆いたくなる音のはずし様。まあご愛嬌です。写真はカーテンコールの出演者です。
ヴェルディのマクベス公演(2月24日)_c0057725_2261160.jpg

舞台の方ですが、多くの場面が正方形の浮きパネルのような凹凸のあるグレーの壁で囲まれた小さめの空間の中で演じられます。奥の壁は時には一部が開いたり全部が上方に移動して更なる空間を必要に応じて付け加えますが、デザイン的には結構シンプルです。他の装置としては金色のパイプで格子状に構成された台が頻繁に出てきて、静止していることもあればくるくる回転運動をすることもあります。その他の小道具としてはベッドぐらいなもの。あ、それから手を洗うための水道が舞台袖に作られ、ちゃんとジャージャー水が出ていました。舞台装置はこのように象徴的で簡素なものですが、衣装は割りと凝っていて王様は金ぴかの衣装、その他もちょっと古めかしく一応古い時代がわかるようになっています。

この女性演出家の仕事を見るのはこれが初めてですが、血を見せるのが好きな人です。謀反を起こしたコーダーの領主が処刑されて領地がマクベスに与えられるのですが、処刑された領主の血だらけの腰だけ隠した裸体がこれ見よがしに掲げられます。さらに、殺されたダンカンも上に説明した金パイプの台に置かれたベッドの上でほぼ同じ血だらけの姿で見せられます。マクベス夫人もナイフで自殺するということで最後は衣装の胸の辺りが真っ赤です。陰惨さを強調したかったのでしょうか。血ではないですが、マクベスに「女から生れたものには負かされない」という予言をする場面では、魔女の一人が仰向けに横たわり腹から取り出されたへその緒つきの赤ん坊にその台詞をしゃべらせるという気持ちの悪いこともやります。後、マクダフの子供を刺し殺す場面もあります。女性演出家というのは結構リアルなところがあるのでしょうか。
魔女は3人ではなく合唱隊全員がそうです。原作にある髭はつけないで黒い色をちょっと塗っている程度です。この魔女が、予言が実現する場面では黒子のように舞台に出てきて手伝います。例えばダンカンが殺されてみんなが嘆いている場面で王冠を持って現れ、マクベスにかぶせたり、バンクォーが殺される場面では子供を地下に隠して助けるなど。

ヴェルディは原作を結構端折って作ったものの、ほぼエッセンスは表現できていると思いました。
by dognorah | 2006-02-25 22:11 | オペラ | Comments(8)
Commented by Sardanapalus at 2006-02-26 12:55
やっぱり良かったんですね。ハンプソンのマクベスは映像で見て気に入ったので、見られなくて残念!Callejaは確かにテノールにしては大柄ですね。でも、こういう役回りならぴったりでしょう。あ、そういえばグリアドウはどうでした?

>血を見せるのが好きな人
容赦ない感じで、凄いですねぇ。何だか気持ち悪くなりそう(^_^;)魔女の使い方は面白そうですけど。
Commented by YOKO at 2006-02-26 20:01
ホント、ウルマ-ナ、太っていますね!本気で、ソプラノ道、極めるつもりでしょう。。。もう、撮って下さった、この、映像、見るだけで、素晴らしさが、ワカリマス。ベルディは、もう、スジより、声の、饗宴ですから、主役、ふたりが、大満足なら、この、マクベス、OKです。ワタシも、シェ-クスピアが、苦手、もう、一生、あの戯曲、読むことは、ないでしょう。映画で、ゴマカシテイマス。さわりの、部分だけ。。。それにしても、ヤッパ、ロンドンは、イイナ-、新国の、マクベスの、悪口書くのも、最近は、ムナシクテ。。。歌手は、凄かったのに、以前、大竹しのぶと、仲良かった、演劇畑の、幼稚な演出、ワダエミ?さんの、お金、カケテナイ、陳腐な衣装。。。やっぱり、ちょっと、書いてしまいました。。。(笑
Commented by dognorah at 2006-02-26 21:26
ハンプソンは年に一回ぐらいしか出演してくれませんが、何を歌っても安心して聴いていられる人ですよね。Sardanapalus さんがこれを見ていたら延々と書くことがあっただろうなーと思っちゃいました。グリードウは相変わらずきれいな低音でしたが、今回の役は歌う時間が非常に少ないのが残念です。
Commented by dognorah at 2006-02-26 21:29
YOKOさん、この写真は私が撮ったものではなく公式写真を拾ってきたものです。さすがにこういう演技中の写真は一般人は撮れません。
ウルマナはこう太っちゃうと私はちょっと引けちゃうんですよねぇ。
Commented by stmargarets at 2006-02-27 00:03
この人、確かミュージカルMamma Mia! の演出家です。私は観てないのでどんな物だか分かりませんが・・・。血とかセクシャルなものをやたらリアルにみせる演出、演劇で時々見かけます。それが女性演出家に多いかどうかは気に留めた事がないので分かりませんが。今度見かけたらチェックします(笑)。
Commented by dognorah at 2006-02-27 07:30
ほおー、Mamma Mia!ですか。私も見てないですが物語の内容から言って血やセクシャルとは無縁のような感じですね。ところで、女性演出家というのは圧倒的に少ないですよね?
Commented by stmargarets at 2006-02-27 17:38
そうえばあまり比率を意識したことはないのですが、確かに女性の方が少ないです。それでもフリンジ系ではそれなりにいると思いますが、大型プロダクションになると益々少ない気がします。
Commented by Sardanapalus at 2006-03-01 15:29
おや、Mamma Mia!も彼女でしたか?それは知らなかったです。空間と舞台装置の使い方が上手くて、話の流れを止めない素敵な演出だと思います。青と白を貴重にした爽やかなセットですから、何だかイメージが全く違いますが、それはそれ、これはこれでしょうか。ちなみに、Mamma Mia!に血は一滴も出てきません(笑)
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