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ヘンデルのオペラ「ロデリンダ(Rodelinda)」(2月1日)

バービカンホールでコンサート形式での上演がありましたので聴いてきました。ヘンデルのオペラを聴くのはこれが初めてでしたが、筋も結構複雑でなかなか楽しめるものでした。Nicola Francesco Haymの台本にヘンデルが作曲したもので、1725年にロンドンで初演されたそうです。
ヘンデルのオペラ「ロデリンダ(Rodelinda)」(2月1日)_c0057725_23223389.jpg

出演者
・Rodelinda: Emma Bell(ソプラノ)
  ロンバルディアの女王で、Bertaridoの妻。
・Bertarido: Sonia Prina(アルト)
  政敵に王座を奪われ、身を隠しながら復活をもくろんでいる。もともとカストラートによって歌われた役で、今回はアルトが歌っている。
・Grimoaldo: Filippo Adami(テノール)
  ベネヴェントの公爵でBertaridoから王位を奪った。ロデリンダに思いを寄せているが、Eduigeと婚約して取り繕っている。心からの悪人ではなさそう。
・Eduige: Romina Basso(メゾソプラノ)
  Bertaridoの妹。Rodelindaを助けながら兄の復権を願っている。
・Unulfo: Hilary Summers(アルト)
  Bertaridoの忠臣であるが、それを隠してGrimoaldoに仕え、Bertarido復権のチャンスを狙っている。やはりカストラートによって歌われたのをアルトで代用している。
・Garibaldo: Vito Priante(バリトン)
 トリノの公爵でGrimoaldoの友人。イヤーゴ的性格でGrimoaldoをけしかけ、あわよくば王位を手に入れようとしている。

指揮:Alan Curtis
管弦楽:Il Complesso Barocco

ヘンデルのオペラ「ロデリンダ(Rodelinda)」(2月1日)_c0057725_23233895.jpg出演者のうち、ソプラノ、テノール、メゾソプラノが代役でそのうちのテノールが代役の代役。一体やる気があるのかといいたいところですが、代役とはいえタイトルロールのエンマ・ベル(左の写真)がとてもすばらしかったので良しとしましょう。歌がうまく、声がよく、声量があって言うことなしです。コンサート形式なので演技の方はわかりませんが、歌唱では他の出演者を圧倒していました。特に第3幕中間部で歌われる5分にも及ぶ長いアリア"Se 'I mio duol" は絶品で、ちょっと涙が出るくらい感動しました。会場も本日初めてブラヴォーの嵐で、皆も感動したんだと思いました。
彼女はロイヤルオペラで昨秋に公演されたニールセンの「マスカラーデ」に出演していたのですが、ちょうど私の行った日に病欠したので聴けず、本日が初めての体験でした。こんなすばらしい歌手はニールセンなんてマイナーなオペラでなくもっと本格的なものに出してほしいと思います。

その他の歌手ではバリトンのヴィト・プリアンテがしっかりした歌唱で好感が持てました。女声陣ではメゾ・ソプラノのロミナ・バッソがまあまあというところ。夫役のソニア・プリナは歌はうまいのですが声量がなく私はあまり評価できません。もう一人のアルト、ヒラリー・サマーズは声が私には苦手です。

管弦楽は第1ヴァイオリンが5人の小編成ですが、ヘンデルにふさわしい音と演奏で、指揮もピリッとしていました。歌手も歌いやすそうです。指揮者(兼ハープシコード)のカーティスはアメリカ人ですがフィレンツェ在住で、イタリア人の若手を集めたこのオーケストラを1992年に設立した人です。主にバロック音楽を演奏しています。

何はともあれ全編にわたって美しいアリアがいっぱいのこのオペラ、とても楽しめた3時間半でした。


あらすじ
(第1幕)7世紀のミラノが舞台。ロデリンダが、今は死んだと信じている愛する夫ベルタリド(本当は生きている)を思いながら嘆いているところに夫から王位を奪い取ったグリモアルドがやってきて彼女を愛していることを告げ、エデュイゲとの婚約を破棄するので結婚してくれるように懇願する。しかしにべもなく断られる。彼が去った後ガリバルドがやってきて、自由になったエデュイゲのことが好きなので結婚したいと述べる。本心は、将来王位を奪うのに利用しようとしている。というのはロデリンダの幼い息子を将来王の跡継ぎにしたいとエデュイゲが考えているから。

場面変わって、ベルタリドの墓でベルタリドと忠臣のウヌルフォが密会して情報を交換している。ベルタリドが愛する妻子の身を案じて自分が生きていることを知らせたいと言うが、ウヌルフォは姿を現すのはまだ早いと諌める。そこへ人の気配がするので隠れるが、やってきたのはロデリンダとガリバルド。ガリバルドは彼女に、グリモアルドと結婚するように強要する。さもなければ息子を殺すと脅され、彼女はしぶしぶ結婚を承諾する。それを立ち聞きしたベルタリドは嘆き怒る。

(第2幕)ロデリンダはグリモアルドに対して結婚を承知するが条件があると持ちかける。その条件とは、ロデリンダの息子を目の前で殺してほしいというもの。彼の心底悪人ではない性格を読んだ彼女の心理作戦である。ウヌルフォはその提案を受けないように意見し、ガリバルドはそれを受けるように説得する。思い悩んだグリモアルドは決断できず、その場を立ち去る。それを見たガリバルドは彼を凋落させる決意を固める。

場面変わって、美しいロンバルディアの自然を見てかつての幸福を懐かしんでいるベルタリドを妹のエデュイゲが見つけ、再会を喜んでいるところにウヌルフォがやってきて宮廷での経過を報告し、ロデリンダが依然として忠誠であることと、今が身分を明かすときであると述べる。宮廷に忍び込んだベルタリドがロデリンダと歓喜の抱擁を交わすも、グリモアルドに見つかってしまい、ベルタリドは牢に囚われる。

(第3幕)秘密裏に牢の鍵を入手したエデュイゲはそれをウヌルフォに渡してベルタリドを救出するように依頼する。彼は事前に窓から剣を牢内に落としてまずベルタリドを武装させ、ドアの鍵を開けるが、それを死刑執行人と勘違いしたベルタルドはウヌルフォを刺して怪我をさせてしまう。誤解に気付いてウヌルフォを助けながら二人は逃亡する。直後に様子を見に来たロデリンダとエデュイゲは、血を発見してベルタルドが殺されたと誤解し、嘆き悲しむ。

宮廷内では、グリモアルドがしばしの休息を得たいとソファーで眠ってしまうが、それを発見したガリバルドはチャンスとばかりに彼を殺そうとする。そこへベルタリドが現れガリバルドを殺す。放心状態のグリモアルドは改心し、謝罪してすべてを元に戻すことを宣言する。ということで極悪人一人が死んだだけで、ハッピーエンドとなる。
by dognorah | 2006-02-02 23:28 | オペラ | Comments(22)
Commented by stmargarets at 2006-02-03 08:16
しまった。観たいと思っていたのにすっかり忘れてました。私が観た時のEmma Bellはあまり好きではありませんでしたが、よかったみたいでますます残念。
それにしても殆んど代役とはひどいですね・・・。
Commented by dognorah at 2006-02-03 09:15
stmargaretsさんは忙しすぎるんだと思います(笑)。
コンサート形式は昨年のROHの「ポルトガル王ドン・セバスティアン」以来はまっています。もちろん普通に演技してくれる方がいいですが、やる方は手軽なのでいろいろやってくれるでしょう。次はLSOのフィデリオです。
Commented by 助六 at 2006-02-03 09:37
02年にグラインドボーンのシャトレ客演があり、ラトル指揮「フィデリオ」とクリスティー指揮「ロデリンダ」を持って来ました。オケは共に古楽器の啓蒙時代オケ(大変ヴィルトゥオーゾ)でした。草上ピクニックまでは持って来れないけれど、同音楽祭も松竹の歌舞伎もパリで観た方が遥かに安いのは補助金の恩恵で、足向けて寝れません。「ロデリンダ」は「ジューリオ・チェーザレ」翌年のヘンデル最盛期のオペラだから、打ち上げ花火の連続という感じで楽しいですよね。
Commented by 助六 at 2006-02-03 09:38
シャトレでは、ロデリンダ表配役のアントナッチは敢えて遠慮して(当時彼女の声の状態に疑問があったもので)、最終日のエンマ・ベルの日に行ってみましたが立派な歌唱でした。上のお写真で拝見できるのと同じタイプで色は白のドレスに身を包み、スラリとしたエレガントな体型と身のこなしが、20年代無声映画をイメージしたというヴィレジエの演出にピタリとはまってましたねぇ。アントナッチも中々美人でカッコいいですけど。ベルタリードはCTのショルでした。私は女声を使う方が好みです。
カーティスは「ポッペア」の校訂譜とか学者としても有名なイタリア・バロックの専門家で、一度指揮聴きたいと思ってるのですが、果たせてません。羨ましいです。サマーズはブーレーズと一緒に現代物もやったりしてますね。
Commented by Orfeo at 2006-02-03 10:00
dognorahさん、こんにちは。エンマ・ベル、聴いてみたいです。グラインドボーンのDVDの記事を出していたので、TBさせていただきますね。
Commented by Bowles at 2006-02-03 10:23
ヘンデルの愉楽の世界へ、ようこそ!!(笑)

助六さんがシャトレでお聴きになった年のグラインドボーンの公演はDVDで出ていますが、2004年、アイムが指揮したグラインドボーンのロデリンダは、最初からエンマ・ベルでした。実際の舞台でその役を歌い演じているというのは、強みだと思います。私はラジオで聴いただけですが。彼女、ヘンデルのアリア集を出しましたね。まだ実際に聴いたことのない歌手なので、一度聴いてみたいと思います。

ロミーナ・バッソはひじょうに地味な人ではありますが、地味ながらも出身地ゴリツィアの作曲家の歌曲を編纂したりと、なかなかの経歴を重ねてきた人で、このところ自分の歌うレパートリーをほぼ古楽にしぼり、やっとこの1,2年イタリア国内以外での活躍が増えてきましたつい先週もナントのラメフォル・ジュネルでディドを歌っていたのが放送されました。去年の秋のヴィヴァルディ、Andromeda liberataで日本の声好きの聴衆は彼女を発見した、というところでしょうか。

ベルタリドは2004年のグラインドボーンでもこれまた魅力的なミヤノヴィチが歌っていましたが、私も助六さん同様、女声で歌われるほうが好みです。もともと女声低音フェチなもので...。

Commented by Bowles at 2006-02-03 10:24
ソニア・プリーナ、いい歌手だと思いますが、だめでしたか?
私の大好きなミンガルドもそうですが、この手の歌手は声量があまり無いことがネックかもしれません。それはまた、ヘンデル等のオペラやオラトリオが、現代の大きなホールで演奏・上演されることの問題でもありますね。

カーティス、一時つまらない指揮をしていましたが、最近乗ってます。ロデリンダも全曲録音がありますが、やはりオペラはライヴがいちばん!!
Commented by dognorah at 2006-02-03 20:47
助六さんはほんとに何でもご覧になっていますね。グラインドボーンオペラが本場よりも安く見れるなんて何となく矛盾を感じます(笑)。

>打ち上げ花火の連続・・・
まさに仰るとおりです。うまい表現ですね。
CTは私も苦手なので今回は女声でよかったです。
エンマ・ベルは立ち姿だけでもとてもエレガントでした。もっとも、西洋では一般の人でもそういう人は多いですが。
サマーズはそうですね、現代ものにずいぶん出ているようです。この日の声で判断する限り、低音はとてもよく出ているのですが声全体に張りがなく、出来の悪いCTのような印象でした。
Commented by dognorah at 2006-02-03 20:51
Orfeoさん、TBありがとうございます。改めてお読みしたら思い出しましたが、自分が記事を書いているときには思い出さないものですね(笑)。
Commented by dognorah at 2006-02-03 21:17
Bowlesさん、ヘンデルもなかなか楽しいことを発見してうれしいです。来月のHerculesがとても楽しみです。指揮は助六さんがロデリンダでご覧になったクリスティです。
エンマ・ベルはそうするとこのオペラの第一人者的存在なのですね。知りませんでしたが、幸運な出会いです。代役でかえってよかったのかもしれませんね。ちなみにオリジナルキャストはシモーネ・ケルメス(Simone Kermes)でした。
ロミーナ・バッソは今回は出番の少ない役でしたが、これから露出度が増える人なのですね。
ソニア・ブリーナ、私に不満なのは声量がやや足りないという点だけですが、ヴェルディオペラじゃないんだという観点から判断しないといけないんですね?ついそれを求めてしまいます。このホールはROHより小さく、声はよく響くところと思っています。

>やはりオペラはライヴがいちばん!!
オペラは演劇でもありますから全くその通りですね。DVDでは舞台全体を見たい場合でも一部をアップしたりしますから。もっとも、私はオペラに限らず生ま派ですが。
Commented by Bowles at 2006-02-04 09:42
まず最初に、前回の私の投稿のミスのあれこれ、ひとつずつ訂正いたしませんが、たいへん失礼いたしました。ひどいもんですね。

>ちなみにオリジナルキャストはシモーネ・ケルメス(Simone Kermes)でした。

あらまっ! もし彼女が歌っていたらいたで、強烈な印象をお持ちになったと思いますよ。ベルとでは役作りそのものがまったく違うというか。ケルメスはAndromedaで聴きましたが、ヴィヴァルディの音符にタックルするように歌う姿が印象的でした。驚異的なテクニックの持ち主だと思いますが、声自体が私の好みでないのが残念です。

ちなみに、当初メッツォは誰が予定されていたか伺わせていただけますか?

クリスティとレザフロのHercules、舞台つきですよね?
結局Hercules夫妻以外のキャストは変わってしまったようですが、あのボンディの舞台がご覧になれるとはうらやましい...。
Commented by dognorah at 2006-02-05 00:59
Bowlesさん、私にはどれがミスなのかわかりませんが(汗)
ケルメスやはりご存知でしたか。代役がベルだということはオリジナルキャストもそれなりの人だろうとは思っていましたが、相当個性的な名歌手のようですね。これからも古典的オペラは拾っていくつもりですのでそのうち体験することになるでしょう。
当初のメッツォはEufemia Tufanoという人でした。

Herculesは舞台つきで、プロダクションはエクス、パリオペラ座、Wiener Festwochenとの共同制作です。
3回しか公演しないのですが、私は初日に行くので、もしよかったらまた行こうかと考えています。

>キャストは変わってしまった・・・
DVDに入っているキャストと異なるという意味ですか?
Commented by Bowles at 2006-02-05 01:45
dognorahさん

いやいや、こちらのほうが冷や汗ものです、ひどいタイプ・ミスで...。当初の予定がエウフェミア・トゥファーノだったとしたら、ロミーナ・バッソは「当たり!!」ですね。トゥファーノ、何度か聴いたことがありますし、悪い歌手ではありませんが、そりゃもうバッソのほうが、まずあの声の深々しさだけをとっても私は聴きたい歌手です。

Hercules、エクスの前にボーヌでも演奏会形式で演奏され、それ以来シメル/ディドナート/トビー君の三人は不動のキャストだったのですが。ロンドンの椿姫さんが残念に思われていることでしょう。
Commented by ロンドンの椿姫 at 2006-02-05 07:21
Bowlesさん、
トビー君のバロックは聞いたことがないので是非聞きたかったです!ロッシーニより良いはずですもんね。
dognorahさん、
マスカラーデでエマは病欠だったんですね。私が行ったときは彼女でしたが、あの役には合わないと思いましたよ。
バービカンのコンサート形式オペラはいいですよね。私は結構いくつか行きましたが、形式は様々で、まるでフルオペラのものから突っ立って楽譜見ながら歌うだけのものまで色々。
まだHerculesの切符取ってないので買わないといけないです!
Commented by dognorah at 2006-02-05 09:27
Bowlesさんは、どの歌手が出てこようとコメントできる経験を積んでいらっしゃるんですね。今更ながら恐れ入りました。ディドナートとトビーがずっと一緒だったことと先日の理髪師でも共演だったことを考えると多分二人とも同じエージェントに属していますね。
Commented by dognorah at 2006-02-05 09:33
ロンドンの椿姫さん、もしトビーが出ているんなら昨年3月に切符を買っていたでしょうに。
私の席は天井桟敷で、Box Officeの人に、ここは見難いよ、と警告を受けたくらい。何しろこの劇場はまだ入ったことがないので勝手がわからないんですよ。あまりにひどい席の場合も、別の日にもう一度行くかもです。
Commented by stmargarets at 2006-02-06 07:08
Hercules、私も興味が湧いて来たのでチケット取ろうと思ったらもうSold outでした・・・。初日に並ぼうかなぁ。
Commented by dognorah at 2006-02-06 08:04
えーっ!売り切れちゃいましたか。DiDonato効果ですね。もっといい席を取っておけばよかった。
Commented by ロンドンの椿姫 at 2006-02-06 22:17
売り切れ?! 私もがっかりです!
でも近くなると時々リターンが売りに出されるので、時々電話してみようっと。売り切れたと言われると余計行きたくなりますよね!
Commented by dognorah at 2006-02-07 01:56
電話での感触を教えてくださいね。恐らく、当日開演直前に入り口でリターンティケットを捌くのではないかと思っていますが。
Commented by stmargarets at 2006-02-07 06:24
じゃぁ私も時々電話してみます。
椿姫さん、dognorahさん、もし行きたい日がや席種が決まってたらご一報下さい。自分が電話したときについでに聞いてみますよー。
Commented by dognorah at 2006-02-07 07:46
私は15日は取っているので、17または18日どちらでもいいです。天井桟敷より良い席の方がいいです。最高価格でもかまいません。
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