ザルツブルグ音楽祭で8月7日に公演されたオペラ「La Traviata」はオーストリア放送局によるネット放送がされましたので聴いた方も多いでしょう。私は時間を間違えて第1幕は逃してしまいましたが、第2幕と第3幕は聴きました。負け惜しみじゃないですが、このオペラは華やかな第1幕もいいのですが、第2幕と第3幕の声による感情の表現が聴き所と思っていますので、それは十分楽しめました。PCに録音したので今日も要所を抽出して聴き返して見ました。
しかし、ネトレプコはすばらしかったですね。私は先日ロイヤルオペラで彼女のジルダを聴いたばかりなのですが、あのときの好調さをそっくり維持してザルツブルグに乗り込んだ感じです。64kbpsのWMPというケチな放送にもかかわらず、あのみずみずしい美声は堪能できました。単に美しいだけでなく、揺れ動く心の表現のすばらしかったこと!あの明るい声でもここまで悲しさを表現できるんだと感動しました。特に第3幕のAddio, del passato bei sono pallenti;で始まるアリアの陰影に富んだ歌唱には思わず感涙でした。終了後マリア・カラスのSantini盤で同じアリアを聴き比べてみました。さすがに年季の入ったカラスはさらに劇的で彫が深い表現でしたが、若いヴィオレッタ役としてはネトレプコの歌で十分という気がします。 アルフレードを歌ったヴィラゾンも張りのある声で今まで舞台で聴いた以上に存在感がありました。ジョルジオを歌ったハンプソンは私の大好きなバリトンですが、放送のせいかイメージと違ってちょっと貫禄が足りなかったです。舞台では仮面舞踏会で割りと最近聴いており、あの時は豊かな声量と深みのある声で圧倒されましたが、この放送ではジョルジオ役としてはむしろ声が軽すぎる印象です。 管弦楽はさすがにウイーンフィル、しなやかで美しい弦を響かせながら劇的な表現を楽しむことが出来ました。いい指揮者だったと思います。 舞台は写真で見る限りめちゃめちゃ簡素な現代劇仕様ですね。コスチュームはそれなりに凝っているようですが、私にはちょっとしっくり来ないです。アナウンサーによると歌手に対しては終演後Standing Ovationだったらしいですが、舞台関係者にはどんな反応が出たんでしょうか。 Violetta: Anna Netrebko Alfredd: Roland Villazon Giorgio: Thomas Hampson 指揮:Carlo Rizzi 管弦楽:Wiener Philharmoniker
by dognorah
| 2005-08-08 21:12
| オペラ
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Comments(10)
ネット放映があったのですね、惜しいことをしました。彼女の椿姫は、ウィーン国立でのひとコマが市販DVDに収録されていて、それを聴くだけでも感涙状態になります。そう言えばcalosさんが、そのころザルツに行かれたらしいので、ブログの記事続編を注目しているところです。
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dognorahさんはネトレプコをロイヤルで実際に聴かれてるので、映像を通してでも、より素晴らしさが理解出来るのでしょうね。早く実際に聴いてみたい歌手です。
ハンプソンは確かに父親役にはまだまだ格好良すぎるような…。 指揮は急逝したヴィオッティの代役でしょうが、良かったのですね!
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dognorah at 2005-08-09 07:06
ご~けんさん、放送は映像ではなくラジオです。今回は声だけで十分感動できました。私もkalosさんの続報を待っているところです。キャンセル券を入手されたようなので。
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dognorah at 2005-08-09 07:11
フンメルさん、これは映像ではなくラジオです。私は一応5.1サラウンド音響システムをPCに備えているので結構いい音で聴けます。彼女の声はまさしく実演で聞いた声と同じでした。すばらしいですよ。ぜひどこかでお聴きになってください。ハンプソンは確かにもう少し年取ってからこの役をやった方がいいと思います。もともとバリトンにしては華やかな声ですからね。
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ja8cte at 2005-08-09 07:21
kalosさーん・・・、早くレポート見たいです。ラジオの件、了解しました。ハンプソンはやはりマーラー向きかな、ヌッチ or ブルゾンあたりで聴きたいですね。
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kalos1974 at 2005-08-09 17:14
こんにちは。
この日の公演、カメラが入っていましたので、たぶん、 DVD になるとおもいますよ♪ 演出は、「?」 でした。舞台上に白い壁とソファーしかないのはまだいいのですが、歌手が走りすぎ・・・。ヴィオレッタのイメージが・・・。 ネトレプコもよかったですけど、ヴィラゾンのほうがよい出来だったかもしれません。 感想、もうしばらくお待ちください。
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hummel_hummel at 2005-08-09 20:57
dognorahさん、ラジオでしたか、失礼しました。
私はTVで観てたので。。こちらでも記事にしたのでTBさせていただきます。
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ja8cte at 2006-01-03 01:20
dognorahさん、新年おめでとうございます。本日のBS-hiで全曲見ました。kalosさんのところにもメッセージを入れました。感じるところはいろいろありましたが、彼女の魅力を出し切った演出はacceptableと言って良いように思いました。
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dognorah at 2006-01-03 21:00
ご~けんさん、挨拶が遅れましたが今年もよろしくお願いします。
皆さんが待ちに待ったこの放映、当然録画されたことでしょう。ロンドンでは全く放映がないのでうらやましい限りです。私もラジオで聴いた公演を早く映像で確かめたいです。
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at 2006-01-03 22:25
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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ロンドンに在住です。オペラ、バレー、コンサート、美術展などで体験した感動の記憶を記事にし、同好の方と意見を交わしたいと思っています。最新の記事はもちろん、過去の記事でもコメントは大歓迎です。メールはここにお願いします。
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