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ホックニーの舞台美術による「魔笛」

手元に2種類の「魔笛」のDVDがある。両方とも舞台美術はDavid Hockney、演出はJohn Coxのコンビである。 最初の写真は、1978年にグラインドボーンで初上演されたもので、次のものが1991年にメトロポリタンで上演されたものの記録である。

ホックニーの舞台美術による「魔笛」_c0057725_16883.jpgグラインドボーン盤のキャストは次の通り。
Pamina: Felicity Lott
Tamino: Leo Goeke
Papageno: Benjamin Luxon
Sarastro: Thomas Thomaschke
Queen of the night: May Sandos
The Speaker: Willard White
Conductor: Bernard Haitink
Orchestra: London Philharmonic


ホックニーの舞台美術による「魔笛」_c0057725_162928.jpgメトロポリタン盤は次の通り。
Pamina: Kathleen Battle
Tamino: Francisco Araiza
Papageno: Manfred Hemm
Sarastro: Kurt Moll
Queen of the night: Luciana Serra
The Speaker: Andreas Schmidt
Conductor: James Levine
Orchestra: Metropolitan Opera



グラインドボーンのDirectorであったCoxは1961/62年のシーズンに上演するストラヴィンスキーのオペラA Rake’s Progressの舞台装置と衣装を当時ポップアートで名声を博していたホックニーに依頼した。それは大成功で、その後何度もアメリカでも上演された。
ホックニーの舞台美術による「魔笛」_c0057725_18896.jpgそれを受けて次に計画されたのがこの1978年の「魔笛」である。右の写真は公演を準備中の二人。向かって右がホックニーである。舞台は下の写真にメトロポリタン盤から撮った一部を示すように、とても美しい出来に仕上がっているが、当時のホックニーはエジプトに多大の興味を持っていた時期だったので、全般的に舞台も衣装もエジプト趣味が反映されている。

ホックニーの舞台美術による「魔笛」_c0057725_1104219.jpg
演奏のほうは、グラインドボーン盤が1978年と古い録音なので画質音質共にあまりよくないのが聴くほうには影響してしまう。指揮はレヴァインがより劇的で私は好きだ。歌手陣は両者とも拮抗する出来と思う。全体的にはメトロポリタン盤が勝っているかもしれない。パミーナのキャサリーン・バトルは美しい声で歌もうまい。3人の少年たちとの合唱も彼女の声の質が少年たちとよく溶け込んですばらしい出来だ。ちなみにグラインドボーン盤では少年の役を女性歌手にやらせているが、これはボーイソプラノを使う方がよいように思う。

パミーナはしかし私はフェリシティ・ロトの方が好きだ。声がみずみずしくてより温かみがある。彼女はバトルより1歳年上で今年58歳だがバトルと違ってまだ大活躍だ。昨年4月にロイヤルオペラで上演された「ばらの騎士」でMarschallinを演じたのを観たが、演技もさることながら歌唱がすばらしく、大いに感動したのを覚えている。この「ばらの騎士」の出来は飛び切り上等だったけれど、彼女の存在がそれに大きく寄与していたのは間違いない。
by dognorah | 2005-06-15 01:21 | DVD | Comments(0)
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