2011年9月10日、ベラ・バルトークコンサートホールにて。
このホールは2005年に出来た比較的新しいものです。そのせいか、ブダペスト街外れの凄く不便なところにあって、初めて来た旅行者にとっては敷居の高いところです。地下鉄駅は付近にはないので自分のホテルからきちんとバス、トラムなどでのアクセスを調査していかなければ成りません。私は今回Buda側に泊まったので余計不便でした。結局2系統のバスを乗り継いでいくことになりました。Pest側だと川沿いに市内の北の方からNo.2のトラムが走っているので比較的行きやすいです。 ホールは大きな建物の一角を占めていて、残りのスペースにはLudwig Museum(ルドビク美術館)などがあります。 ![]() ![]() ![]() 中に入ってみて、ホールの形状がスイスのルツェルン祝祭劇場とそっくりなのに驚きました。すなわち、幅が狭い縦長で3層になったギャラリーが平土間席を取り囲んでいる構造です。床や壁など見える部分はすべて木で作られており音響への配慮が伺えます。事実、コンサートが始まるとすばらしい音でした。各楽器の音がクリアで全く混濁することなくフォルティッシモが聞こえます。座席数は約1700席だそうです。今回は平土間の前から6列目、真ん中よりやや左寄りに座りました。これで上から2番目の料金ランクで7700フォリント(約25ポンド)で、最高席は約40ポンドなのでほぼロンドンのコンサートホールと同じですね。物価の安いこの国にしてはかなり高い料金設定と思われます。これを考えるとオペラは割安です。 切符はインターネットで購入したのですが、無料でUKまで郵送してくれるというサーヴィスを敢えて選ばず、現地で受け取ることにしました。より確実と思ったからですが、これは失敗でした。何と切符はホールで受け取ることが出来ず、直接管弦楽団の事務所へ行かなければならなかったからです。そこがまた中心ではなくBuda側の北の方にあったので結構苦労してバスを乗り継いで行ったのでした。つまらないことに時間を取られてしまいました。大体オペラと同じ代理店が扱っているのに、オペラは自宅のプリンタで切符を印刷できるにもかかわらず、このコンサートチケットはそれが出来ないというのは納得できません。 前置きが長くなってしまいましたが当日のプログラムは以下の通りです。 George Enescu: Orchestral Suite No. 1 in C major, Op. 9-1, Preludiu la unison Orbán György: Serenade No.4, bemutató Wolf: Harfenspieler No.1(Denk'es, o Seele, Gesang Weylas, Herz, verzage nicht, Gebet) Mahler: Symphony No.1 Titan baritone: Wolfgang Holzmair Conductor: Iván Fischer Budapest Festival Orchestra 開始前の舞台を見るとオルガンを隠すように大きなスクリーンが下がっています。これは開始前に指揮者や作曲家のインタヴューヴィデオを上映するためでした。ハンガリー語なのでさっぱりわかりませんが指揮者のイヴァン・フィッシャーは冗談を連発して聴衆を大いに笑わせていました。終了後はスクリーンは上にしまわれ、オケ後ろの聴衆やオルガンが見えるようになります。 エネスクの曲は初めて聴きましたが弦楽が主に活躍する緊張感溢れるすばらしい曲です。演奏時間は約8分。2番目の曲は現代ハンガリー作曲家の作品で現代音楽の要素はあるものの割りと伝統的な音でコダーイのある種の作品によく見られる賑やかな調子のものです。楽しめます。 3番目はゲーテの詩に基づくヴォルフの歌曲。歌手はオーストリー人でよく通る明るい声の持ち主です。今夜は音程が盤石とは言えずちょっと気になるところがありましたが聴衆には結構受けていてヴォルフからもう一曲アンコールを歌っていました。 Wolfgang Holzmair & Iván Fischer ![]() 最後の曲はお馴染みのマーラー第1番。私が最後にこの曲を聴いたのは6年以上前のハイティンク指揮LSOでした。それがあまりにも完璧な演奏で大いに感動したので暫く聴くのを封印していたのでした。しかし今回はオペラの前後に何かコンサートはないかという観点から選んだので聴く羽目になってしまいました。演奏は大変すばらしいもので長年のコンビによる息の合った様が伺えます。フィッシャーがテンポをかなり動かすのですがオケは全く動じる風もなく完璧にフォローしていきます。そして第4楽章のコーダの部分、これでもかこれでもかという具合にぐんぐん押していくような凄まじい演奏で、度迫力のエンディング、速いテンポにもかかわらずすべての楽器が全く破綻することなくぴたっと決めました。このホールの分離のいい音響効果とも相俟って、こんな凄い終わり方は初めて経験しました。当然ブラヴォーの嵐です。何度も何度も呼び戻される指揮者、こちとら終演後に食事をしたいので早く終わってくれないかなーと思っていましたが、コンサートマスターが意を決して帰ったのでやっと皆さんもあきらめて帰路につくことができました。このオケはロンドンでも何回か聴いていますが、やはりホームでの演奏はそれなりの発見があって面白いです。実力的にはLSOの方が上だと思いますし、今回のマーラーだって感動の大きさはやはりハイティンクに軍配が上がりますが、コンサートとしては大変楽しめました。 帰りがまた不便で、トラムNo.2で都心に行き、食事をしたいのにその電車がなかなか来ず、小さなプラットホームが人で溢れそうです。やっとの事でレストランにありつける場所まで行ってももう10時半を過ぎているので素早く食べ終わる必要があります。なぜならこの街は午後11時過ぎには200路線あるすべての公共交通が終了してしまい、たった5路線のナイトバスが運行されるだけになるからです。タクシーで散財したくないなら11時には帰路につく必要があります。事前にそれを知らなくてBuda側にホテルを取ったのは悔やまれます。これからもし来ることがあるなら何が何でもPest側の都心に泊まるつもりです。Budaというのはロンドンでいえばテームズ河の南に相当する不便なところなのです。
by dognorah
| 2011-09-14 22:55
| コンサート
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Comments(5)
おー、懐かしいですねえ。このホールはできたばかりのプレオープンの演奏会から始まって、数えてみると2年ちょっとで合計44回通いました。当時はブダ側に住んでいて、毎回車で行ってたので、そういえば公共交通機関で行ったことはないですね。いまだにアクセスは不便ですか。特に帰りのトラムの混みようは凄そうですね。勝手が分かっていれば、携帯で安全なラジオタクシーを呼ぶのが一番良いのですが。
お写真を拝見すると、ホール内部の壁の色が変わったような。以前は原色の赤とか青に塗装した木材を使っていて、音響は良かったものの、悪趣味な色彩感覚だけはずいぶんと評判が悪かったです。平土間6列目はちょうど私がいつもシーズンチケットを買っていたあたりです。2006年当時でそのあたりの席は確か3500フォリントでしたから、ずいぶんと物価はあがりましたね。それでも祝祭管のチケットはオケでは他より相当高めの値段だったんです。
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そうそう、ブダ側は外国人が多く住むどちらかというと高級な住宅街でしたので、テムズ川の南という比喩はちょっと実情と違うと思います。ラジオタクシーを使いこなせるか、レンタカーがあれば、どこでも問題なく動けるんですが、確かに、地下鉄・バス・トラムだけだと相当の慣れが要るかもですね。次回もし行かれる際には、是非いろいろとアドバイスを押し売りいたします。(笑)
同行の友人が昨年も来たというので安心してMiklosさんからアドバイスをいただくのをサボってしまいましたが、この次はよろしくお願いします。
ホール内部ですが私の写真の範囲では確かに原色はありませんね。しかしサイドの壁には原色がかなりありますよ。チケットの値段は今でも他のオケに比べるとかなり高いようです。プライドが高いのでしょうか。でもお客さんは一杯でした。
祝祭管のチケットについて、ホールでも交換可能かを念のためJegymesterに問い合わせたところ、ホールのチケットマシンでも発券可能です、との答えが返ってきました。次回行かれるときは参考にされてください。(そのときまでには自分でプリントできるようになっていると、なお良いんですけどね)
実は私も11月にブダペスト旅行を計画しており、それに合わせて祝祭管のチケットをオンラインで買って、現地交換にしていました。バウチャーには確かにオケの事務所で交換となっていたので「あちゃー」と思ったのですが、場所は分かるから事務所まで行けばいいやと考えておりました。聞いてみるもんですね。
おお、なるほど。しかしそういう情報はウェブに載せておいて欲しいですね。
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ロンドンに在住です。オペラ、バレー、コンサート、美術展などで体験した感動の記憶を記事にし、同好の方と意見を交わしたいと思っています。最新の記事はもちろん、過去の記事でもコメントは大歓迎です。メールはここにお願いします。
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