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Emma Bellソプラノリサイタル

2011年2月13日、ウイグモアホールにて。

Emma Bell: soprano
Andrew West: piano

Programme
Alban Berg (1885-1935): Sieben frühe Lieder (Seven early songs)
Bruno Walter (1876-1962)
* Tragödie I – III
* Waltrauts Lied I & II
Joseph Marx (1882-1964)
* Hat dich die Liebe berührt
* Traumgekrönt
* Und gestern hat er mir Rosen gebracht
Richard Wagner (1813-1883): Wesendonck Lieder

日曜の午後に開催される短いリサイタルですが、こういう歌曲のリサイタルは1時間ぐらいが丁度いいですね。入場料も£12と手頃ですし。
今日はエマ・ベルがドイツ歌曲だけを歌うものですが、大変楽しめました。
彼女は今までオペラのコンサート形式を2回ほど経験しています。今まで聴いてよかったなぁと思った声は今日もそのままで、相変わらず声量もたっぷり。
ベルクは前半はやや地味な歌ですが後半はダイナミックで聴いている方はヤンヤヤンヤというところ。完成度の高い演奏でした。
二つ目のブルーノ・ヴァルター、この指揮で有名な人はフルトヴェングラー同様作曲もしていたんですね。当初は交響曲も作っていたらしいですが、師のグスタフ・マーラーの域には到底達することが出来ないと自覚し、早々とやめてしまったそうです。今回の最初の3曲はOp.12からのもので、次の2曲はOp.11から取ったものです。俄然後のものが聴き応えがあって好きです。
次のヨーゼフ・マルクスはヴァルターとほぼ同年代の作曲家で多くの作品があるそうですが、今日演奏されるのは歌曲のみだそうです。なかなか面白い作品たちで、ベルのすばらしい表現力と相まって強い印象を受けました。
最後のヴァーグナーのものは「ニーベルンクの指輪」を作曲中に出会ったマチルデ・ヴェーゼンドンクと激しい恋に落ち、「トリスタンとイゾルデ」を作曲する傍ら彼女が贈った詩に基づいても作曲したのがこの作品。当然のことながら「トリスタンとイゾルデ」や「ヴァルキューレ」で使われたモチーフがこの歌曲にも使われています。今日これを聴いて、彼女のやや厚めの声はヴァーグナーのオペラを歌っても十分行けるのではないかと思いました。体力的にも十分だろうし。
それはともかく、各歌曲とも十分な準備に基づいたレヴェルの高い表現で、雨風の中にもかかわらず聴きに来てよかったなぁと心から思ったのでした。

Emma Bell and Andrew West
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by dognorah | 2011-02-14 09:12 | コンサート | Comments(2)
Commented by 助六 at 2011-02-19 06:26 x
プログラムが魅力一杯ですね。
ベルは02年にシャトレでグラインドボーンの引越しのクリスティー指揮ヘンデル「ロデリンダ」上演で初めて聴きました。アントナッチの裏配役で表題役を歌ってて、私は当時アントナッチの声の状態に不安があって、あえてベルの歌う日に行ってみたら悪くなかったので、よく覚えてます。その後もガルニエのヘンデル「アルチーナ」やシャトレのバッハ「ヨハネ」の舞台上演なんかで聴いたんですか、こちらはまるで印象に残ってません。その後はやや重めの役にも進出してるようですね。
私にとっての彼女のイメージからはちょっと意外なレパートリーですが、このプログラムでこの値段で彼女の別の面も聴けるのなら、雨の日曜午後でも、と言うか雨の日曜午後だからこそ、私もふらふら出掛けてしまいそうです。幸せな気分で帰れそうですね。
Commented by dognorah at 2011-02-22 09:10
助六さん、ベルは上手いのですが、英国では主役で登場することはまれなようです。最近は全く舞台の姿を見ていなかったこともあって、こういうリサイタルに出かけたのでした。
ウイグモアホールではこの手の短いリサイタルをよくやります。来月はルカ・ピサロニです。
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