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久し振りに深町純さんのピアノを聴く

もう数日が経過してしまったが、先日Crane & Tortoise(鶴と亀)というパブで開催された深町純さんのコンサートに行ってきた。以前、ソーホージャパンで初めて聴いてから4年経つ。背中まであった長い髪は短く切られていて、4年前に一緒に来ていたガールフレンドとは結婚されたそうだ。28歳年下という(羨)。相変わらず達者な指捌きで即興演奏を次々と披露していく。聴いていて心地よい。本当に即興演奏なのかどうか疑う方がいるかも知れないので聴衆の方から頂いたメロディでやってみます、というパフォーマンスも前回と同じだし、君が代のメロディはユニゾンでしか弾けないという解説も同じ。前半は彼の独奏のみだったが後半はロンドン在住の音楽家達との共演が盛り込まれていた。最初は彼の作曲した歌曲を2曲メゾソプラノの榎本明子さんが歌った。作曲者の解説によると、日本にはこういうちゃんとしたクラシックの声楽家が歌える歌が今まで無かったので、自分が作ろうと思った。明治時代に時の政府は欧州に有望な作曲家を留学させ、帰国した彼等に小学校で歌える唱歌を作曲させた。それは今でも歌い続けられているが所詮クラシックコンサートで歌えるような代物ではない、とのこと。この件には私は大いに共感した。日本人歌手がロンドンでコンサートをするときは、求められてあるいは自主的に一部日本の歌をプログラムに組むことが多いが、そこで「故郷」「赤とんぼ」「荒城の月」など文部省唱歌が歌われた日には居心地が悪くなって虫酸が走る。欧州の歌曲に比べて出来が悪すぎて鑑賞に耐えないのだ。
ということで今回の歌曲はちゃんとした詩に曲を付けた本格的なものだという触れ込みで、事実なかなか聴き応えがあった。榎本さんの声の調子も大変よかった。今後榎本さんのコンサートで時々聴かせて貰えるだろう。
この後はポピュラー音楽の方へ移り、ヴォーカル、ギター、ヴァイオリンを交えた4人のセッションとなったがいずれも楽しい音楽だった。
コンサート終了後はワインを飲みながら知人達とカンバンまで語り合い、新しく知り合えた人も出来て充実した夜となった。
by dognorah | 2009-11-14 07:05 | コンサート | Comments(2)
Commented by Maintochter at 2009-11-16 11:37 x
こんにちは。お久しぶりです。ロンドンはかなり寒くなって来た頃でしょうか。
深町純さんという懐かしい名前を目にして、久しぶりに書き込みに来ました。私の世代では、井上陽水の傑作アルバム「氷の世界」の参加で印象的に感じていた方です。アルバムの中でも、深町さんのピアノをフィーチャーした「帰れない二人」という曲は、特に名作と思っています。日本の音大に初めてシンセサイザー科を設立した方でもあるのですよね?
お元気で活躍されていたのですね。クラシックとかポピュラーとか言うジャンルにこだわらず、幅広い活動をされていることを知って嬉しく思いました。しかも「歌曲」もお創りとは! 私も日本の演奏家が、コンサートで取ってつけたように「文部省唱歌」を歌うのは好きではありません。それまでがどんなに素晴らしいコンサートでも、そこで一気に白けてしまうことが多いですよね(^^;
深町さんの歌曲、いつか聴いてみたいです。
Commented by dognorah at 2009-11-17 06:26
Maintochterさん、コメントありがとうございます。深町さんをご存じだったんですね。ユニークな方で、こういう人は応援したくなります。シンセサイザー科もそのようですね。芸大を卒業式の10日前に退学したというのも凄いです。
日本の歌曲について同じ感想をお持ちなんですね。心強いです(笑)
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