2009年8月30日、RAHにて。
Vivier: Orion (UK premiere) (13 mins) Ravel: Piano Concerto in G major (22 mins) Prokofiev: The Love for Three Oranges - Symphonic Suite* (17 mins) Musorgsky, orch. Ravel: Pictures at an Exhibition (30 mins) Martha Argerich: piano Royal Philharmonic Orchestra Charles Dutoit: conductor 席に着いてびっくりしたことがあります。この月曜にグラインドボーンへオペラを見に行った際に私と同様一人で来たイギリス婦人と知り合って長いインターヴァルの間音楽談義をやったのですが、その人が私の席から一つ置いたすぐ近くに座っていたのです。グラインドボーンではロンドンのオペラハウスやコンサートホールにはちょくちょく行くと聞いていたので「どこかのホールでまた会いましょう」とお互いに別れの挨拶をしたのですが、こんなにすぐ会えるとは!しかも収容人員6000人というRAHで。奇遇としかいいようがありません。話していたら間に座っている別の婦人も話に加わってきました。その人はアルゲリッチオタクらしく、彼女のコンサートはかなり行っていて、最後のリサイタルといわれたスペインでのリサイタルにも行ったのだとか。そのほか彼女の産んだ3人の子供の話とか癌にかかって治療を続けている話などいろいろ喋ってくれました。癌については気になったので私も調べてみましたがかなり若い頃に皮膚癌が発見され、転移の恐れを心配しながらも30年ぐらい様子を見ていたらしい。しかし15年ぐらい前に癌の進行が認められ、彼女はカリフォルニアで3度にわたる手術と新薬の注射という治療を受けた結果、現在は安定した状態だそうです。それとは直接関係はないでしょうが、体調は万全ではないので今夜予定されていた2曲のピアノ協奏曲のうちプロコフィエフの1番は取りやめとなり、代わりにオーケストラが「3つのオレンジへの恋」組曲を演奏することになりました。 最初の曲はあまり聞いたことがないカナダの作曲家の作品です。柔らかい金管がリードする啓示に満ちたメロディで構成されています。弦の味付けもすばらしく、効果的な打楽器と相俟って独自の世界を提示してくれる佳作です。途中で2回ほど人間の発する掛け声のような音が聞こえたのですが、舞台上には発声する人はいず、ちょっと謎です。なお、このヴィヴィエは1948年モントリオールで生まれ、惜しいことに1983年に同性愛がらみの青年にパリで刺殺されています。 アルゲリッチの弾くラヴェルのピアノ協奏曲は期待通りのすばらしさでした。特に第2楽章でオーボエをバックに弱音で連ねられるメロディの辺りは美しさの極致と言えるもので、涙が出そうになったくらい。何気なく弾いているようなのに心に迫る音楽が奏でられる感じです。アンコールはスカルラッティのトッカータと隣のオタクが教えてくれました。アルゲリッチはアンコールでしかこの曲を演奏しないそう。 歓声に応えて挨拶するMartha ArgerichとCharles Dutoit ![]() プロコフィエフの「3つのオレンジへの恋」は今年の4月に同じ演奏者で聴いたばっかり。急遽差し替えだからやむを得ないかも知れません。今日も改めてデュトワが振ると色彩豊かな音になることを確認しました。演奏は快調そのもの。 続くムソルグスキーも同様の調子で洗練された響きですが、テンポが遅めで流れが悪くダイナミックさもやや控え目な感じでちょっと退屈しました。
by dognorah
| 2009-09-01 01:49
| コンサート
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Comments(2)
>こんなにすぐ会えるとは!しかも収容人員6000人というRAHで
凄い確率ですね!記事からも、様々なお話が盛り上がった様子が分かりますが、こういう偶然は嬉しいですよね。 ところで、アルゲリッチは1曲キャンセルしたのですね。体調不良とのことですが、ラヴェルではその不調な部分は感じましたか?自分もiPlayerで聞いてみますけれど…。まだまだ活躍して欲しいピアニストですので、ちょっと気になります。
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体調不良というのもそのアルゲリッチオタクから聞いた話ですが、ラヴェルでは特に不調は感じられず、大事を取っただけじゃないかと思います。
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ロンドンに在住です。オペラ、バレー、コンサート、美術展などで体験した感動の記憶を記事にし、同好の方と意見を交わしたいと思っています。最新の記事はもちろん、過去の記事でもコメントは大歓迎です。メールはここにお願いします。
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