2009年3月25日、バービカンシアターにて。
シェイクスピアの戯曲Twelfth Nightをアレンジして歌舞伎役者が演じた公演。 演出:蜷川幸雄 脚本:今井豊茂 (小田島雄志の翻訳に基づく) 出演 尾上菊五郎 尾上菊之助 中村時蔵 中村翫雀 中村錦之介 市川亀治郎 板東亀三郎 尾上松也 河原崎権十郎 板東秀調 市川団蔵 市川段四郎 市川左團次 舞台は大きな鏡とアールデコ調のセットと日本風が入り交じった感じのもので、伝統的歌舞伎のイメージではない。舞台転換はスマートでスムーズであった。台詞は歌舞伎調に現代言葉を時々挟む物。シェークスピアの原作は読んだことがないが、演劇としては全体に冗長感が否めず、ストーリーの先も読めてしまうのでやや退屈で、蜷川の手腕はあまり感じられない。脚本はもっと練るべきだろう。 各役者はさすがに上手くて台詞は時々とちることがあったもののすばらしい発声を楽しめた。菊五郎が二役を、また菊之助が三役を早変わりしたが見事な早さであった。声音の使い分けもさすが。亀治郎と時蔵の女形はこれもさすがのうまさ。特に亀治郎。 久し振りに一流の歌舞伎役者を見ることが出来たのは幸せだが、蜷川でなしにやはり本格的な歌舞伎を持ってきて欲しかった。 写真はカーテンコールのもの。左から尾上菊之助、蜷川幸雄、尾上菊五郎。 (文中、亀治郎の漢字を間違えていましたので修正しました。)
by dognorah
| 2009-03-27 09:02
| 観劇
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Comments(16)
同じ公演を見ましたが、私も亀次郎さんが一番上手だと思いました。彼は2006年の市川海老蔵ロンドン公演でも芸達者ぶりを見せてくれましたね。
ところで、今日(26日)お昼にバービカンで菊之助のインタビューに行ったのですが、25日は掛け声がなくてさびしかったと言ってました。初日は声が掛かったんでそうですよ。やっぱり掛け声がないと歌舞伎は調子が狂いますよね。
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dognorah at 2009-03-27 10:15
私も声が掛からないなぁと思っていましたが、こういう変則的な演しものだから、とまどいがあったのかと思っていました。初日は熱心な歌舞伎ファンがいたんですね。
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Sardanapalus
at 2009-03-27 21:08
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ご一緒させていただいて、終演後も楽しくおしゃべりできてうれしかったです。そうそう、私も大向うがなくて寂しいなぁと思っていました(笑)
NINAGAWA十二夜は、やはりシェイクスピア劇と歌舞伎が中途半端に融合している感が否めませんでしたね。特に、脚本はもっとよくできると思いました。あと、どうせ歌舞伎ならもっと舞を入れてほしいです。冒頭の少年たちの歌う歌にあわせて大篠左大臣が静かに舞っても面白そうですし、黄色づくしの丸尾坊太夫が有頂天になっている舞をまうのもいいですよね。 菊五郎、菊之助、亀次郎が揃っているなら古典作品が見たかったというのが本音ですが、こういった新作をロンドンで見るというのは貴重な体験でした。
歌舞伎座で、初演&再演とどちらも見ていて、しかも菊之助のファンなので、ロンドンではどうだったのか、気にしていました。
日本でやっている時から、「これをイギリスの人が見たら、どう思うのかな?」と興味津々でしたが・・・男と女を自在に変わる菊之助は、やはりビックリものなのでしょうかね?
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amao
at 2009-03-28 02:59
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歌舞伎は男だけでやるもの、と思っていたら女優もOKなのですね。
帰国したおりに歌舞伎座に行ってみたら市川ぼたんという海老蔵の妹が兄や玉三郎と同じ舞台に立っていてびっくり。ところが調べてみるとあの松たか子も初舞台は歌舞伎のようです。名門の娘だけの特権かもしれませんが。
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dognorah at 2009-03-28 09:35
Sardanapalusさん、思い出しましたが船のシーンは演出としてはよくできていたと思いました。しかし全体のまとめ方がちょっと甘かったですね。ロンドンですから贅沢言っちゃいけませんが、過去にロンドンでもパリでも本格的な歌舞伎で感動していますからつい愚痴っちゃいますね。
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dognorah at 2009-03-28 09:41
REIKOさん、イギリス人は菊之助が早変わりしたのは気付いていないかもしれません。あまりにも早いので(^^) 事前にちゃんと予習した人は最初から分かっていたでしょうが、終盤になって気付いた人が多いかもしれませんよ。
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dognorah at 2009-03-28 09:43
amaoさん、それは初めて聞きました。そうなんですか、ヴィーンフィルと同様女性が進出するようになったんですね。拡がると女形なんて無くなるかもしれませんね。
記憶と記述が混乱していましたので整理しました。06年の十二月大歌舞伎の夜の部「紅葉狩」に、市川ぼたんは侍女野菊として出演です。(海老蔵は更科姫実は戸隠山の鬼女。丁度一年後に玉三郎が「信濃路紅葉鬼揃」という「紅葉狩」を舞踊化した新作で鬼女を踊っているのでそれと混同してしまいました) これは舞の披露でしたが、松たか子の方は彼女のオフィシャルサイトの記事(名前にリンク)を見ると16歳でお芝居やってますね。それにしてもネット上に記事も少なく、当時そういうニュースに気づかなかったということは、野郎歌舞伎以降もこういうことは珍しくなかったのでしょうか?詳しい方がいらしたら解説をお願いしたいところです。
おはようございます。初日に観てきました。菊之助さんや菊五郎さんが出てきた時に、「音羽屋」と。歌舞伎役者にとっては、うれしいものなんでしょうね。レヴューは割れていますね。そんな中でも、亀治郎さんは誰も大絶賛です。
サドラーズでギエムの新作を観たときに、会場で芸術監督のスポルディング氏にこの歌舞伎を見に行くかたずねたところ、「僕は歌舞伎の伝統が伝わる舞台のほうがいいな」、といっていたのが印象的でした。
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dognorah at 2009-03-29 08:06
amaoさん、いろいろお調べいただきありがとうございます。日本のブロガーも歌舞伎のそういう細かいことについては気付かなかったということでしょうか。
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dognorah at 2009-03-29 08:12
守屋さん、スポルディング氏はしっかりと見極めていますね。サドラーズでやったちゃんとした歌舞伎というものが期待されているのは私と同じデイを強くしました。サドラーズでは声を掛ける英人を見たことがありますがそういう面々も今回は本格的歌舞伎じゃないということでパスした可能性はありますね。
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まさみ
at 2009-03-31 11:44
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あ~、いいないいな。私も見たかったです、この公演。私亀次郎様の大大大ファンで、真剣にファンクラブに入ろうかしらと考えたこともあるんです。でも、歌舞伎役者のファンクラブ何か入ったら、お金かかってしょうがなくなりそうなので、もう少しお金持ちになるまで待つことにしました。(笑)
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at 2009-03-31 20:43
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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dognorah at 2009-04-01 10:55
まさみさんも亀治郎のファンでしたか。そうすると3年前のロンドン公演は何度も見に通ったのかしら。東京では見れる機会が多いでしょう。
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dognorah at 2009-04-01 11:01
鍵コメントさん、いろいろ教えていただきありがとうございます。サドラーズで掛け声を発する英人も見ていらっしゃるのですね。漢字の分からなかった人達の分、早速使わせていただきました。
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ロンドンに在住です。オペラ、バレー、コンサート、美術展などで体験した感動の記憶を記事にし、同好の方と意見を交わしたいと思っています。最新の記事はもちろん、過去の記事でもコメントは大歓迎です。メールはここにお願いします。
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