2009年1月25日、チューリッヒ歌劇場にて。
カーテンコールの舞台。合唱の皆さんです。 Simon Boccanegra – Verdi Melodrama in a prologue and three acts by Giuseppe Verdi (1813–1901) Libretto by Francesco Maria Piave (with the collaboration of Giuseppe Montanelli) and Arrigo Boito Conductor: Carlo Rizzi Producer/production: Giancarlo del Monaco Orchester der Oper Zürich Chor der Oper Zürich CAST Simon Boccanegra: Leo Nucci Maria Boccanegra/ Amelia Grimaldi: Isabel Rey Jacobo Fiesco: Roberto Scandiuzzi Gabriele Adorno: Fabio Sartori Paolo Albiani: Massimo Cavalletti Pietro: Giuseppe Scorsin Hauptmann: Benjamin Bernheim Amelias Magd: Julie Bartholomew 第1幕終了後のカーテンコール。左からRoberto Scandiuzzi、Fabio Sartori、Isabel Rey、Leo Nucci、Massimo Cavallettiです。 ヴェルディの数あるオペラの中ですっかり好きになってしまったこのオペラ、今回も大変楽しむことが出来ました。 まず歌手達がすばらしい。タイトル・ロールを歌ったレオ・ヌッチはカチッとした声と表現力豊かな歌唱、それに演技のうまさでうなってしまいました。第1幕第2場でパオロがアメリア誘拐の真犯人と感じたシモンが犯人を呪う言葉をパオロに繰り返すよう要求する場面での大迫力には圧倒されます。目が爛々と輝き、こういう上司だと怖いなぁと思わせる演技が凄い。 Leo Nucci フィエスコを歌ったロベルト・スカンディウッチは昨年もROHの公演で同役を好演した人ですが、今回も文句なしのすばらしいバスの歌唱を披露してくれました。この人はこの役を最も得意としており、このチューリッヒ公演の最中に400回目を演じたことが加藤浩子さんのブログに記されています。 なお、加藤さんはこの公演中に彼にインタビューして、その内容も掲載されています。 Roberto Scandiuzzi 更に、パオロ役を演じたバリトン歌手マッシモ・カヴァレッティも注目に値する声で、まだ若そうなのに円熟を感じさせる歌唱に感心しました。 アメリアの恋人役ガブリエレを歌ったテノール、ファビオ・サルトリはヨハン・ボータそっくりの太い体型でちょっと引きましたが、本日は余り調子がよくなかったのか第1幕は喉に骨が刺さっているような声でちょっとがっかり。しかし後半はやや持ち直し、第2幕でパオロからシモン暗殺をそそのかされて悩む場面でのソロアリアはなかなか聴かせてくれました。調子がよければかなりのレヴェルの人だということは分かりました。 Fabio Sartori マリア/ アメリア役のスペイン人ソプラノ、イザベル・レイは私の好みの声だししっかりした歌唱だし、いい歌手だと思いました。30代後半ぐらいの年齢でしょうか。スタイルもいいです。 Isabel Rey カルロ・リッチ指揮の管弦楽はなかなか質の高い音で歌手との連携もスムーズだし、決めるべきところはばっちりでオペラを楽しませてくれる演奏でした。この指揮者は会場から拍手が湧くとすぐに自分も指揮棒で左手を叩いて停止します。無視して演奏を続ける人もいますが、リッチは迎合派ですね。 Carlo Rizzi 今回は往年の名テノール、マリオ・デル・モナコの息子による新演出ですが、伝統的なもので、プロローグは紗幕を使って25年という時間の流れを感じさせたり、平民派と貴族派を赤と黒で色分けしたり、わかりやすいように工夫していることが感じられます。何よりもこのドラマを正攻法で構築しているのが好ましい。大理石調の舞台や衣装は大変美しいものでした。舞台の奥は建物の扉になったりジェノアの海が拡がったりで空間の創出が大変上手いと思いました。
by dognorah
| 2009-01-29 01:41
| オペラ
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Comments(4)
素敵な写真満載の公演レポート、楽しく拝見させていただきました。
拙ブログもご紹介くださって、ありがとうございます。 サルトーリ調子悪かったんですね。私の見た日(16日)は、レオ・ヌッチが出だし?という感じでしたが、さすがにどんどんよくなりました。 スカンディウッツィによると、「風邪がすごくはやってて、男性はみんなやられてるんだ!イザベル・レイだけ無事!」ということでしたが(18日の話)。彼も着ぐるみみたいな格好してました・・・。
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dognorah at 2009-01-30 03:28
加藤浩子さん、この日は恐らく皆さんの風邪は相当治まっていたのじゃないでしょうか。全員とても元気そうでしたから。
こんばんは、いつも拝読させて頂くばかりですが、今日は好きなチューリッヒ歌劇場のお話だったので出て来てしまいました。この公演はヌッチにスカンデウッツィ、それに去年『ルチア』(ネッロ・サンティ指揮)のエンリーコで聴いてすっかり気に入っているカヴァレッティが出るので気になっていたのですが、新年はフローレスの『清教徒』を観にボローニャへ行ってしまったので涙を飲んで諦めました。演出も伝統的で綺麗そうですね(やっぱりジャンカルロさんの演出にロッシーニなんかよりヴェルディの方が愛情を感じるのですが気のせいでしょうか)。それにバルトリのセメレも・・・羨ましいです。
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dognorah at 2009-02-07 01:58
babyfairyさん、相変わらず各地へ遠征のようで行動力には感心します。それに随分きちんと書いていらっしゃる内容の濃い記事にも。
今回カヴァレッティを初めて聴いたのですがいい歌手ですね。大変気に入りました。 私も下手な読替演出よりもこういう伝統的な舞台を使ったものが好みです。
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