Francis Bacon
11 September 08 - 4 January 09 Tate Britain テートブリテンでやっていたフランシス・ベーコンの回顧展を終了する前に見に行った。元々この人の画風は嫌いなのだが、高値で取引されているということは何らかの魅力があるに違いないのでそれを見極めようというわけだ。美術館側はイギリスの画家として扱っているのだが彼はアイルランド人。生まれたときはしかしアイルランドはイギリスの植民地だったのでイギリス人扱いとなっているようだ。日本でも朝鮮を併合したあとはオリンピックなどで活躍した朝鮮人選手を日本人扱いしているから都合のいいように解釈するのだろう。 それはともかく、かなりの点数が展示されている絵画を時代順に見ていくとやはりインパクトはあった。彼がゲイであったことも初めて知った。グロな絵画はある表現を突き詰めていくとそうなるということも理解できた。また、ゴッホの戦争で破壊された絵画「The Artist on his Way to Tarascon」に基づく一連の絵画を見るとこの人の色彩感覚にはかなり惹かれる。 Figures in a Landscape 1956 ということで、毛嫌いしていた画家もちょっとは親しみを憶える存在にはなったので見に行ってよかった。昔(70年代か80年代)東京のデパートで何かいい絵はないかと見て回っていたら係の人からベーコンなんていかがでしょう?と勧められたことがある。そのときの絵が例のグロな感じのもので直ちに却下したが、もし買っていたら今頃はかなり値が上がっていたに違いない。当方は投資で絵を買うという発想はなかったので所詮縁がなかったわけだが。
by dognorah
| 2009-01-06 08:10
| 美術
|
Comments(13)
ベーコンのこと、毛嫌いから、ちょっとは親しみを覚える存在に格上げされて、うれしく思います。
2001年にハーグでベーコンの回顧展が催されたのを見に行って、大きなインパクトを受けました。それ以来、わたしにとっては、現代美術で一番重い位置を占める画家になってます。絵も好きなんですが、自己破滅的な性格や生き方にもなぜか惹かれます。 男友達とのショッキングな関係は、映画にもなってますね。 ベーコンのアトリエのあのすさまじいカオス、写真だったかインスタレーションだったかも展示されていました。画家のパレットは、絵の映し鏡だと思ったものです。 最近、超高値で取引されてるのをファンとして喜んでいいのやら、複雑な気分です。 ナイジェラ・ローソンになりたい!
0
Commented
by
dognorah at 2009-01-08 06:09
レイネさんはベーコンがお好きなんですね!それもかなり。
カオスの写真は配布されたパンフレットに載っていました。凄まじいですね。 私もこれから彼の作品を見る目が変わるだろうと思います。 ところでブログを開設されたのですね。未だ日が浅いので全てを読むことが出来ました。これからオペラの感想などがアップされるのかと思うと非常に楽しみです。そのうちコメントもできるだろうと思いますのでその節はよろしく。
こんばんわ。お加減は如何ですか?
僕は、ベイコンは好きになれないままだと思います。面白いことに、モダンでは、更に好きでないロスコの展示と、この秋のテイトの特別展には足が向きませんでした。 ところで、テイト・ブリテンに2月までプエルト・リコから里帰りしているバーン・ジョーンズの「アヴァロンで眠るアーサー王」はご覧になりましたか?
Commented
by
dognorah at 2009-01-09 08:13
守屋さんどうも。別件でちょっと悩ましい状態です。
私はベーコンに比べたらロスコの方が抽象なだけに受け入れやすかったです。これは行こうと思っていますが寒いのでそのうちに。 アヴァロンで眠るアーサー王は聞いた記憶がありますが、守屋さんの日記だったかしら?未だ見ていません。
Commented
by
Sardanapalus
at 2009-01-11 23:45
x
ベーコンは私も好きになれない…というか、代表作は精神的なダメージが大きすぎて楽しめないので、折角の展示でしたが渡英時にスルーしちゃいました(^_^;)ですが、この初期作品はまだ見ていられます。確かに色彩感覚は優れていますよね。
ロスコーは開催1日前に帰らなくちゃいけなくて涙をのんだんですよねぇ~。私にとってはロスコーとベーコンの会期を逆にしてくれたら嬉しかったんですが。それより、バーン・ジョーンズの「アーサー王」が戻っているんですか!?いいなぁ~羨ましいなぁ~。テイト・ブリテンには現代作品じゃなくて後期ラファエル派の展覧会をして欲しいです。
Commented
by
dognorah at 2009-01-12 00:34
Sardanapalusさんはスルーしちゃいましたか。どんな作家でもスタイルはどんどん変化するわけですが、その全てに共感できることは希ですよね。私はある時期の作品に共感できればそれで充分という気がして、従って今回もごく短期間であれ好きな画風を見つけることが出来て満足でした。
後期ラファエル前派がお好きなんですね。結構収蔵品は持っているでしょうからそのうちやるでしょう。
dognorahさん、横レス、且つ自己宣伝お許しのほど。
Sardanapalusさん、いつもこちらでのコメントを楽しく拝見しています。バーン・ジョーンズの絵は、2月末くらいまでテイト・ブリテンにて展示されています。先日見てきましたが、大変興味深い絵でした。 ttp://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-760.html
Commented
by
Sardanapalus
at 2009-01-12 13:15
x
dognorahさん>
ラファエル「前」派の「前」が抜けていました。フォローありがとうございます。「後期」というのは私が勝手によんでいるだけですが、ロセッティとかモリスの影響を受けて作品を描いた画家達のことです。「ラファエル前派」というと凄く限定されてしまうので、どちらかというと、象徴主義の画家達と言ったほうがいいのかしら。あの耽美な感じがいいんですよ(笑)時代遅れだろうが何だろうがいいのです。もし収蔵作品を展示してくれるなら、絶対に駆けつけますよ!! 守屋さん> 早速お邪魔します。2月末は無理なんですよ~。3月なら何とかなるんですけど…。
Commented
by
dognorah at 2009-01-12 22:10
Sardanapalusさん、私はロセッティとかミレーあたりは何となく好きですが、その影響を受けた人たちというのはあまり認識していませんでした。象徴主義というのはベルギーのクノップフにしても不思議な魅力を湛えていますよね。イギリスのそれもこれから気をつけて見るようにします。
Commented
by
助六
at 2009-01-13 10:04
x
ベーコンは私にもピンと来ない作家の一人です。造形的な新味はないし、内容的にももっと恐ろしいような孤独感を湛えた絵はたくさんあるような。
95年に一度だけ南仏サン・ポールのマーグ財団に寄ってみたとき、あろうことか「ルシアン・フロイトとベーコン」展なんてのをやってまして、「夏のヴァカンス時にはもう少し爽やかなものに当たりたかった」なんて思ったものです。暑さが倍加しました。翌年ポンピドーで回顧展があったんですが、私にはこんなに発見が無くすぐ見終わってしまった回顧展もなかったような。 もう随分前のことですし、dognorahさんやレイネさんのお話伺ってもう一度、機会があったら見直してみようかという気も起きてきました。 仮にカネがあっても、ロスコの10分の1じゃなきゃ買いませんねぇ。いずれにせよ部屋にかけたら妄想が沸くから、金庫入りでしょうね。
Commented
by
レイネ
at 2009-01-13 18:15
x
皆さんのコメントを読む限りでは、ベーコン人気の形勢不利ですね。。。
いったい誰が値段を吊り上げてるんだろう?まあ、芸術作品の感動と値段は比例しませんし、一般人にはうかがい知れない闇の世界がありそうですからね、美術品への投資って。 そして、作品の好き嫌いはぴんと来るかこないかに落ち着きます。ついでに白状しますと、ルシアン・フロイトも好きな部類に入る画家です。彼の絵、わたしには結構さわやかに感じられますが。やっぱりフロイトとベーコンは対で観たいです。部屋に飾るのも厭いませんわ。
Commented
by
dognorah at 2009-01-13 21:40
助六さんもあまりお好きじゃないわけですね。過去に回顧展もご覧になっていらっしゃるなら次回も同じかもしれませが、新たな発見があれば是非教えて下さい。
>いずれにせよ部屋にかけたら妄想が沸くから、金庫入りでしょうね。 これには爆笑です!
Commented
by
dognorah at 2009-01-13 21:48
レイネさん、ベーコンもフロイトもお好きとは!周りにはなかなかそういう方が見つからないので凄い希少価値です。せっかくブログもお始めになったわけですから、是非そういう作家達に関する記事も書いて下さいよ。レイネさんの視点を是非知りたいです。
|
最新の記事
以前の記事
2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 08月 2005年 07月 2005年 06月 2005年 05月 2005年 04月 2005年 03月 2005年 02月 カテゴリ
プロフィール
ロンドンに在住です。オペラ、バレー、コンサート、美術展などで体験した感動の記憶を記事にし、同好の方と意見を交わしたいと思っています。最新の記事はもちろん、過去の記事でもコメントは大歓迎です。メールはここにお願いします。
検索
その他のジャンル
ブログパーツ
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||