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ティチアーノの名画が国外流出の危機に

現在ロンドンのナショナル・ギャラリーに行くと、表題のようなことが起こっているのでそれを救うために寄付をお願いしたい、というキャンペーンにお目にかかるでしょう。対象となっている絵は、ナショナル・ギャラリー・スコットランドにある「ディアナとカリスト」という作品と、
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ナショナル・ギャラリー・ロンドンにある「ディアナとアクタエオン」という作品です。
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先般「カリスト」というオペラを見たばかりなので上の最初の絵はどういう場面かすぐ分かって親しみが感じられますし、両方ともスペイン王フィリップ2世のために描いたという2m四方ぐらいの大作でとても充実した絵です。「ディアナとアクタエオン」は裸体を見られたディアナが怒って後に猟師アクタエオンを追いかけて殺すのですが、その殺す場面もティチアーノは絵にしていて、その絵は既にナショナル・ギャラリー・ロンドンが所蔵しています。対になっているということでナショナル・ギャラリー側は両方一緒に所蔵したいという思いが強いようです。

これらの作品は両方ともイギリス人オーナーから半世紀以上の長きにわたって借りていたものです。ところが恐らくそのオーナーが亡くなったのでしょう、遺族がそれらを買い取って欲しいと言ってきたのです。相続税が多額なので現金が必要なのかもしれません。もし買い取ってくれないならオークションに出すつもりだとのことで、そうなると国際的にバイヤーが集まって外国人が落札する可能性が高いのです。
買い取り要求金額は、それぞれ5000万ポンド、現在のレートで約70億円です。合わせて140億円が必要ですが政府はそんな金は出せないと言っています。このままだとヴィーンのクリムトと同じ運命になるというので、一般から寄付を募っているわけです。数ヶ月前にもルーベンスの絵で同様のことが起こって、そのときは何とかお金が集まったそうですが、このようにお金持ちのコレクターから借りている絵は相当数あってこれからも美術館側を悩ますことでしょう。

一方では、いい話もあって、スーパーマーケットで有名なセインズベリー氏のようにコレクションを遺言で美術館に寄付する人も多いのですが。Simon Sainsbury氏は2006年に亡くなっていますが、18点の作品をテートとナショナル・ギャラリーに遺贈し、ナショナル・ギャラリーへ渡る5点のうち3点が丁度同じタイミングで展示されています。モネの絵が2点とゴーギャンのものが1点です。モネの2点は雪景色とユニークな色使いの睡蓮です。ゴーギャンのものは彼のものにしてはユニークな作品と思いますが、セザンヌ風の静物でしっかり描かれた立派な作品です(下の写真)。
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by dognorah | 2008-12-03 10:08 | 美術
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