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MTT指揮LSO演奏会

2012年5月27日、バービカンホールにて。

Beethoven Piano Concerto No 3
Mahler Symphony No 4

Michael Tilson Thomas conductor
Elizabeth Watts soprano
Llŷr Williams piano(Yefim Bronfmanの代役)
London Symphony Orchestra

マイケル・ティルソン・トーマスを聴くのは約5年ぶりですがやっぱりいい指揮者です。
ピアノ協奏曲は構成のがっしりしたオケをバックに派手さはないものの堅実に音楽を作る美しいピアノによってしっかり楽しませてくれました。ウェールズ人ピアニスト、フリール・ウイリアムズは名前さえ初めて聞く人ですがイギリスでは結構ポピュラーな存在らしい。写真で見る通り外見的にも地味な人です。MTTは協奏曲でも緻密で豪快な演奏、さすがです。

Llŷr Williams
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マーラーの4番は明快な演奏、各楽器のメロディーがクリアに聞こえる分析的な解釈でスケールの大きさはないものの第3楽章など実にマーラーマーラーしてこの曲も大変楽しめました。第4楽章で独唱のエリザベス・ウォッツは声量はそれほど無いものの持ち前の透明な美声がこの曲によくマッチして秀逸な出来です。

Elizabeth Watts
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Michael Tilson Thomas & Elizabeth Watts
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by dognorah | 2012-05-29 00:44 | コンサート

日本の劇団によるグローブ座でのシェイクスピア

2012年5月22日、Globe Theatreにて。

ロンドンのオリンピックを記念して世界各国の劇団が37カ国語でシェイクスピアの劇をグローブ座で上演する企画Globe to Globeが進行中で、5月21日と22日の二日間に京都をベースに活躍する劇団「地点」によってコリオレイナス(Coriolanus)が日本語で上演された。
演出は三浦基、主演は石田大。

舞台はほぼ何もなく奥に音楽を奏でる人たちが座っているだけ。
俳優達は藍色の虚無僧の衣装を身につけているが、トランペットや能で使われるような面を小道具として使っている。主役は深編笠をかぶっているが時々前を手で持ち上げてしゃべる。何かを表現するために象徴的な動作をそれらの小道具を使いながら行うが意味は私にはよくわからなかった。シェイクスピアの著した台詞は恐らくすべてしゃべっているのであろう、かなり早口で言葉を繰り出す。さすがに発声がきれいでほぼ全部キャッチできる。発声の仕方も真面目にしゃべったり声音を変えてふざけたしゃべり方にしたりと大変面白い。元々悲劇のはずだが聴いているこっちは喜劇のように笑ってしまう。演出家も悲劇を意識しないでやりたいようにやっているだけだろう。俳優達も時には聴衆に話しかけたり、自由闊達に演技しており大変上手い。ヴァイオリンやトランペットなどの楽器もよいタイミングで鳴らされる。トランペットも時にはわざとすーすーと空気の音を出してふざけた効果も出している。コリオレイナス以外の俳優は場面に応じて役をコロコロと変えて、最少の人数で舞台をまかなう。何もない舞台と相俟ってミニマリズム演出といわれているようだが、観客は容易に想像力を働かせることが出来る。
ということで演劇は滅多に見ない私でも大いに楽しむことが出来た。やっとやってきた夏のお陰で寒くはなかったし。

ロンドンで二日間公演した後はモスクワで2公演、サンクト・ペテルスブルクで1公演予定されているようです。日本でこれを公演するのは来年になるとのこと。

俳優達。左端が主演の石田大。
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右端が演出家の三浦基
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by dognorah | 2012-05-26 23:28 | 観劇

南アフリカのオペラカンパニーIsango Ensembleによる「ラ・ボエーム」

2012年5月19日、Hackney Empireにて。

Puccini: La bohème

Adapted and directed by Mark Dornford-May
Conductor: Mandisi Dyantyis
Mimi: Pauline Malefane
Rodolfo: Mhlekazi 'Whawha' Mosiea
Musetta: Nobulumko Mngxekeza
Marcello: Simphiwe Mayeki
Colline: Luvo Rasemeni
Schaunard: Katlego Mmusi

友人のWさんに誘われてちょっと変わったオペラを見てきました。Isango Ensembleはケープタウンをベースにした演奏団体です。音楽は管弦楽ではなくザイロフォンとスティールドラムを組み合わせて演奏されます。オリジナル音楽はかなりカットしていて、休憩を合わせて演奏時間は2時間程度です。歌詞は英語です。舞台中央が演技空間で、両脇にオーケストラが配置され、指揮者は左側のオケの前で指揮します。
各歌手の出来はまあまあでプッチーニの音楽はそれなりに楽しめます。ソプラノではムゼッタの声がいいです。南半球でのストーリーに読み替えてあるので、物語は6月から始まります。舞台装置は無きに等しく、ガラクタを並べただけのものです。
Wさんも仰っていたけれど、アフリカの要素をふんだんに取り入れて、オペラ自体を自分たちのものにして生き生きとして上演していることに感心しました。幕間にはコーラスやオケの連中も含めて舞台上でアフリカンダンスを披露するのです。時にはカルメンの音楽をちょっと演奏して観客の笑いを誘ったり・・・エネルギーに満ちあふれているという印象ですね。日本のオペラだって日本の伝統を取り入れてユニークなものにして世界中で上演することを考えてもいいじゃないかというWさんの言葉には大変共感しました。
南アフリカのオペラは以前にも見たことがありますが、あのときの演奏形態は西洋のそれに近いものでしたが、今回のようなヴァリエーションも含めて結構音楽活動は盛んなんですね。

やはりWさん情報ですが、ちょっとネガティヴな事実が。舞台上の出演者はすべて黒人ですが、このカンパニーを牛耳っているお偉方はすべて白人らしい。そして、このロンドン公演はこのオペラのほかに演劇が2演目あるのですが、週末はこれら3つがすべて一日に上演されるという過密スケジュールです。出演者はその3つでほぼ共通ということで、歌手もオペラに全力投球できないという状況。それにしても舞台上の皆さんは明るいですね。

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左から、ムゼッタ、ロドルフォ、指揮者、ミミです。
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by dognorah | 2012-05-23 00:07 | オペラ

ヴェルディのオペラ「ファルスタッフ」新演出初日

2012年5月15日、ROHにて。

Falstaff: Commedia lirica in three acts
Music: Giuseppe Verdi
Libretto: Arrigo Boito after William Shakespeare's plays "The Merry Wives of Windsor" and "Henry I and II"

Director: Robert Carsen
Conductor: Daniele Gatti

Sir John Falstaff: Ambrogio Maestri
Alice Ford: Ana María Martínez
Ford: Dalibor Jenis
Meg Page: Kai Rüütel
Mistress Quickly: Marie-Nicole Lemieux
Nannetta: Amanda Forsythe
Fenton: Joel Prieto
Dr Caius: Carlo Bosi
Bardolph:Alasdair Elliott
Pistol: Lukas Jakobski
Royal Opera Chorus
Orchestra of the Royal Opera House

4年前にヴィーンで初めて見て以来の経験です。ROHは10年ぐらい前にやったらしいですが私はそのときはパスしているのでROHとしてはこれが初めてです。10年前のプロダクションはそれっきりでお蔵入りし、今回はカーセンによる新演出です。2回しか見ていなくてこういうのも何ですが、このオペラは第2幕まではよく書けているものの第3幕の出来が悪く、全体としては魅力の薄いオペラになっている印象です。ヴィーンのプロダクションもカーセンの新演出も第2幕までは共によくできていると思うのですがやはり第3幕は救いようがない感じです。再演されても見に行くかどうか微妙ですね。

さてカーセンの演出ですが完全に現代に読み替えたもので、各シーンとも部屋の出来や家具調度も立派なもの。第2幕ではモダンで広々としたキチンが設営されますが、このシーン後半のドタバタから第3幕にかけての群衆処理はあまり感心しません。特に第2幕でフォードが手下を大勢連れてきてファルスタッフを探し回る部分で、戸棚の中のものをすべて床の上に投げ出すシーンなど不愉快でちっとも面白くありません。カーテンコールで結構彼に対するブーが出ていたのはそういうところに原因があるのではないかと思いました。

音楽の方は、とにかくガッティの指揮がすばらしく、これだけ饒舌に質の高い音楽をこのオケから引っ張り出すのを目の当たりに見ると、最近とてもすばらしい音楽を作るようになったといつも私がほめているパッパーノも色あせて見えてしまいます。これは経験とかじゃなくて持って生まれた資質なんでしょうね。この人がオペラを指揮するのを見るのは4年前のバイロイトでの「パルジファル」以来2回目で、もちろんROHでは初めてですが、もっともっとオペラを指揮して欲しい人です。

歌手の方は全員それぞれの実力を出し切っている印象で、なかなかよかったです。主役のマエストリは4年前のヴィーンでも歌った人ですが今日はそのときより遙かにだみ声が少なく、迫力ある歌唱でした。演技もなかなか堂に入ったもので、大いに笑わせてくれました。このオペラではアリーチェ役が女声陣の筆頭でしょうけれど、歌唱的には前回と同様ナンネッタとフェントンが楽しめます。今回の二人もかなり楽しませてくれました。フォード役もとてもよい出来で、文句なし。

Robert Carsen & Daniele Gatti
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Ambrogio Maestri
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Ana María Martínez
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Joel Prieto & Kai Rüütel
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Marie-Nicole Lemieux & Amanda Forsythe
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Dalibor Jenis & Ana María Martínez
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by dognorah | 2012-05-17 06:33 | オペラ

ヤンソンス指揮コンセルトヘボー

2012年5月12日、バービカンホールにて。

Strauss Also sprach Zarathustra
Strauss Metamorphosen
Strauss Der Rosenkavalier - Suite

Royal Concertgebouw Orchestra
Mariss Jansons conductor

ヤンソンスを聴くのは久しぶりです。一段とコンセルトヘボーとの関係が緊密になっている印象を受けました。指揮姿もとても楽しそうだし。特に「バラの騎士」組曲ではカルロス・クライバーがニューイヤーコンサートでヴィーンフィルを指揮しているときに見せた上機嫌の笑顔そっくりの表情を浮かべていて思わずこちらも嬉しくなってしまいます。

最初の曲は昨年2月にハーディング指揮で聴いてhttp://dognorah.exblog.jp/15904832/以来ですが、冒頭の有名な部分はあまり劇的にせずにあくまで美しく謙虚に音を鳴らすという印象でした。それに続く音楽もオケの特上のアンサンブルを楽しませるという風な演奏で、あまり好きでないこの曲もまあ楽しめました。コンサートマスターの音も実にすばらしい。

2曲目のメタモルフォーゼンは23挺の弦楽器で演奏される曲で実演に接するのはこれが初めてです。指揮者無しで、コンサートマスターの合図で演奏をしていました。演奏時間は約20分ぐらいか。弦の音は美しいけれど重苦しくもの悲しい響きです。積極的に聴いてみたい曲とは思えませんでした。

最後の曲は本日一番楽しめた曲で、明るく緻密なアンサンブルと各パートの名人芸的うまさが思う存分発揮されました。こういうオケがピットに入っている舞台を見られたら本当に楽しいでしょうねぇ。そのときは勿論オクタヴィアンはエリーナ・ガランチャでなくてはなりません。
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by dognorah | 2012-05-15 01:41 | コンサート

デイミアン・ハースト展

2012年4月から9月9日までテート・モダンにて。

Damian Hirst at Tate Modern

上記美術展が開催されているので見てきました。最近20年間の作品の中から選んで展示しているとのこと。彼の名を一躍有名にした牛や羊などのホルマリン漬けは多数展示されています。その他、鮫、魚、鳥なども。
牛の生首にたかるハエの群れは生きたまま展示。ハエの死骸を多数集めて黒い絵の具で塗り固めて直径数メートルの円盤状にした「黒い太陽」も気持ちが悪い。
極彩色の蝶々の羽を熱帯地方から何十万か何百万枚か集めてそれを元にパターンを創作してパネル状にしたものなど彼のものすごいエネルギーを感じると共に偏執狂的一面も強く感じます。ガラス戸棚に多数の薬品類を並べたものとかタバコの吸い殻を同様に並べたものとか、とにかく多数のものを集めて何かを表現しようとする点も偏執狂だなと思わせます。

このブログで一度彼の作品について書いたことがありますが、その作品と類字のものは1点あり(The Anatomy of an Angel)、私は彼の作品の中ではこの手のものが理解可能なんだと思い知りました。
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この作品は素材もイタリアのカラーラから入手した非常に美しい大理石であることも好ましい。写真はmetalonmetalblog より拝借しました。

動物や虫を使ったものは例えば蝶々の羽で構成したパネルは美しいし芸術的とは思いますがホルマリン漬けなどは未だに理解できません。また、蝶々でも特殊環境の部屋でさなぎと成虫の生態を生きたまま展示しているものなどユニークさは理解できるもののArtとしては受け入れることは出来ませんでした。この部屋は実際に飛んでいる蝶々を間近で見ることができるので人気があり、鑑賞者の人数を制限しているので見るときは行列しなければなりません。この展示を維持するためには生きた蝶々やさなぎを定期的に補充しなければならないでしょう。

この展覧会、彼の創作意欲やエネルギーを感じるために一見の価値はあると思います。
なお、私は写真を全く撮りませんでしたが、このサイトには多くの写真が掲載されています。
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by dognorah | 2012-05-11 20:34 | 美術

再びエトヴェシュ指揮LSOのコンサート

2012年5月8日、バービカンホールにて。

Bartók Music for Strings, Percussion and Celeste
Bartók Violin Concerto No 2
Szymanowski Symphony No 3 (‘Song of the Night’)

Peter Eötvös conductor(Pierre Boulezの代役)
Nikolaj Znaider violin
Steve Davislim tenor
London Symphony Chorus
London Symphony Orchestra

バルトークの弦、打楽器およびチェレスタのための音楽は以前どこかで聴いたことがあったように思うのですが自分のブログにも記録がないので聴いたとしてもかなり前のことなのでしょう。舞台上の楽器配置(チェロを除く弦楽器が半分ずつ左右対向に置かれている。チェロは打楽器の前に10人が横一列に並ぶ。下の写真参照)を見てびっくりしたので、いずれにしてもほぼ初めての実演と等しいです。
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昔フリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団のLPを持っていてその演奏の記憶が未だに強烈に頭に残っているのですが、それに比べると今日の演奏の何と生ぬるいことか。リズム感が無く切れが悪いので終始不満でした。前回の公演でエトヴェシュはまあまあの指揮者だと思いましたがこれで点数はガクッと落ちました。大作曲家の作品に対して同じハンガリー人の演奏とは思えません。

ところが次のヴァイオリン協奏曲はすばらしい演奏でした。ヴァイオリン独奏のニコライ・ズナイダー(デンマーク生まれ)は指揮も得意にしているのでリハーサルでエトヴェシュにいろいろ要求を出したのかなと思ってしまいました。そのヴァイオリンですが美しく芳醇な音で大変感心しました。1741年製ガルネリだそうです。結構難しそうな曲だと思うのですがそんなことは感じさせず苦もなく弾いていく感じです。カデンツァも聴き応えがあります。長身を真っ直ぐ保って弾く姿も美しい。
この曲は恐らく初めて聴いたと思いますが、曲想豊かで聴いていて面白く、なかなかの名曲と思いました。ヴァイオリン独奏部分も管弦楽部分も凄く聴き応えがして豊かな音楽という印象が強く、いい音楽を知ったとほくそ笑んだのでした。

Nikolaj Znaider
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最後のシマノフスキーの交響曲第3番も初めて聴く曲ですが、胸にキュンと来るような叙情性とスケールの大きさを持った曲でなかなか楽しめます。歌詞は美しい夜に空に思いを馳せる詩的な内容です。合唱と独唱を必要としている分演奏されにくいと思われるので、こうして聴けてよかったと思いました。元々ピエール・ブーレーズの選曲ですが。独唱のオーストラリア人テノール、スティーヴ・ダヴィスリムはやや太めの声が気持ちよく出る人で声量もまあまあと思いました。

Peter Eötvös & Steve Davislim
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by dognorah | 2012-05-10 00:52 | コンサート

ROH公演「ラ・ボエーム」

2012年5月5日。

Puccini: La bohème
Conductor: Semyon Bychkov
Director: John Copley

Marcello: Fabio Capitanucci
Rodolfo: Joseph Calleja
Colline: Matthew Rose (Yuri Vorobievの代役)
Schaunard: Thomas Oliemans
Benoit: Jeremy White
Mimi: Carmen Giannattasio (Anja Harterosの代役)
Parpignol: Luke Price
Musetta: Nuccia Focile
Alcindoro: Donald Maxwell
Customs Officer: Christopher Lackner
Seargeant: Bryan Secombe

ラ・ボエームを見るのは久しぶりながらお目当てのアンヤ・ハーテロスが降板してしまってかなり興味が薄れた公演となってしまったけれど、代役のカルメン・ジアンナッタシオはまあまあの歌唱だったし、ロドルフォを歌ったジョセフ・カレジャはすばらしいの一語に尽きる満足すべき出来だったので良しとしなければならないでしょう。
ジアンナッタッシオは2002年にパリで開催された「プラシド・ドミンゴ国際オペラ声楽コンクール」で優勝したソプラノで、私は過去にドニゼッティのオペラ「パリシーナ」の題名役とロッシーニのオペラ「エルミオーネ」のやはり題名役で聴いていますが、パリシーナはすばらしくエルミオーネはまあまあの歌唱だったので今日はどうかなと思って聴いていました。しかし第1幕はあまり調子が上がらず、「私の名はミミ」は全く感動のない歌唱でがっかり。テンポも遅すぎです。その直前のカレジャがブラヴォー飛び交う大拍手だったのに彼女の場合が拍手もぱらぱらという状態。ところが第3幕と第4幕は俄然よくなり、大いに歌唱を楽しめました。こうなると彼女の舞台上での容姿の可憐さと連動してますます引込まれることになりました。
カレジャは今まで何度も聴いている人ですがいつも安定してすばらしい歌唱をする人という印象があり、今回も例外ではありませんでした。
ムゼッタを歌ったヌッチア・フォチレはそれほど印象的な歌唱ではなく、まあまあというところ。
マルチェッロを歌ったファビオ・カピタヌッチは大変立派な歌唱で聴き応えがありました。
最近はコンサートでよく聴いているビチコフがオペラを振るのは1年半ぶりに見ましたが、こういう演目も振るのはちょっと意外でした。しかし文句なしの指揮でレパートリーの広い人です。

Nuccia Focile, Carmen Giannattasio & Joseph Calleja
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Fabio Capitanucci
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Joseph Calleja
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Carmen Giannattasio
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Semyon Bychkov
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Carmen Giannattasio
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ところで今日はちょっと変わった趣向がBBCとの共催で催され、そのために第2幕を2回見ることになりました。催しとは素人の指揮者(しかし名前はTVなどで比較的知られている人たち)にオペラを振らせて誰が一番出来がよかったかを競わせるもので、その中で優勝した人が実際にROHのピットに立って実舞台を振るというものです。ということでこの余興は主要歌手と指揮者を変えて(他の出演者とオケはそのまま)第2幕だけ上演したのでした。
指揮に挑戦したのはMr. Trever Nelson(Broadcaster and presenter), Miss Josie Lawrence(Actress), Professor Marcus du Sautoy(Mathematician, author and presenter) and Mr. Craig Revel Horwood(Director and choreographer)の4人で、優勝したのはHorwood氏です。

出演者は、Susana Gaspar(Mimi), Pablo Bemsch(Rodolfo), Madeleine Pierard(Musetta), Daniel Grice(Schaunard), Jihoon Kim(Colline), Zhengzhong Zhou(Marcello)で全員ROHのJet Parker Young Artists Programmeに属している人たちです。この中ではムゼッタ役のニュージーランド人ソプラノが歌も上手く長身の舞台映えする美人で印象に残りました。
指揮者は素人とはいえ、なかなか上手く指揮をしていましたが、やはりこの人の職業を考えると音楽に接することが多そうで有利なんでしょう。なお、この様子は5月18日にBBC Twoで9時から放映されます。

中央の燕尾服がCraig Revel Horwood、左側はムゼッタを歌ったMadeleine Pierard
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by dognorah | 2012-05-09 02:26 | オペラ

LPOによるチェコ音楽の夕べ

2012年5月2日、RFHにて。

Leos Janácek: The Cunnning Little Vixen Suite
Antonin Dvorák: Piano Concerto in G minor
Interval
Josef Suk: The Ripening - symphonic poem, Op.34

London Philharmonic Orchestra
Vladimir Jurowski conductor
Martin Helmchen piano
Ladies of the London Philharmonic Choir

「利口な女狐」組曲は作曲家自身が編曲したのかどうか知りませんが随分端折ったもので20分ぐらいの演奏時間しかありません。それでもあの美しいメロディを聴くと情景が彷彿としてきます(ただし覚えているのは最初の方の情景だけですが)。音響的には十分楽しめました。

ドヴォルザークのピアノ協奏曲を実演で聴くのはこれが初めてです。第1楽章はスケールが大きく、かなり力を入れて作曲したんだなぁと想像できるものです。第2楽章になると彼独特の郷愁を呼び起こすようなメロディがふんだんに出てきて、ここでも沸々と湧き起こる創作意欲が強く感じられます。とても好ましい音楽です。第3楽章もその流れを敷衍しながら展開していきます。ピアノ独奏のマーティン・ヘルムヒェンは第1楽章ではまあ普通のピアニストかなぐらいの印象でしたが楽章が進むにつれて詩的な雰囲気を強く感じさせる弾き方と美しい音が好感度を増していきます。全曲終わってみれば大変すばらしい演奏だったと思わせるもので、会場も沸きました。残念ながらアンコールはありませんでした。

最後のスークの曲は全く初めて聴く音楽です。彼の曲といえばヴァイオリン協奏曲を聴いたことがあるかなぁとか思って調べるとそんなものは存在しなくて、孫の高名な同名のヴァイオリニストが弾いたドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲の演奏と混同していたことに気付くお粗末さ。ということでこれが作曲家スークの音楽初体験ということになります。残念ながらあまり好きな音楽ではありませんでした。管弦楽編成は大きく、舞台せましと奏者が並びますが、大きな音ががんがん鳴るもののやや単調で音楽にのめり込めません。それにしてもユーロフスキーは珍しい音楽を引っ張ってくるものです。お陰で客の入りはかなり悪いものでした。
今日は友人につきあって参加したコンサートなのであまりいい席ではなく、写真は撮れませんでした。
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by dognorah | 2012-05-07 01:40 | コンサート

エトヴェシュ指揮LSO演奏会

2012年4月29日、バービカンホールにて。

Debussy Three Nocturnes
Szymanowski Violin Concerto No 1
Scriabin Symphony No 4 (‘Poem of Ecstasy’)

Peter Eötvös conductor (Pierre Boulezの代役)
Christian Tetzlaff violin
Ladies of the London Symphony Chorus
London Symphony Orchestra

ピエール・ブーレーズは目を患っているので降板らしい。もう恐らく聴くチャンスはないかもと思ってしまいました。
代役のペーテル・エトヴェシュは彼の作曲したオペラ「アメリカの天使達」のUK初演の際に舞台に顔見せしたのを見たことがありますが指揮を聴くのはこれが初めてです。指揮棒を持たずにしなやかな音楽を作る人で腕はなかなかのものです。オケのアンサンブルという観点からするといつものLSOとはちょっと違って緻密さがあまり感じられませんでしたが音楽的には3曲とも大変楽しめました。
ドビュッシーの夜想曲は実演では多分初めて聴いたと思いますが聴き応えのあるすばらしい曲で、音の強弱、音色の変化がいかにも彼らしい作品です。割と短めの曲なのに第3部に女声合唱を使うところから演奏回数は多くなさそうですがもっと聴きたい音楽です。
シマノフスキーのヴァイオリン協奏曲はこれが2度目の体験で最初に聴いたのは2006年のプロムスで独奏者はツィンマーマンでした。そのときと同様今回も曲の神髄を聴き取ったという状態ではありませんでしたが、テツラフのヴァイオリンがとにかく美しく、非常に楽しめました。純粋で品のある音色には本当に魅せられます。大きな拍手に応えてアンコールを演奏しましたがその曲は彼の特徴を思う存分発揮できる曲を選んだに違いなく、曲名も知らないのに(恐らく同じシマノフスキーか他の東欧の作曲家の作品と思われます)音楽を堪能しました。なおテツラフを経験するのもこれが2度目で、前回はベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲でした。演奏スタイルはそのときとほとんど同じです。

Christian Tetzlaff
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3曲目はスクリャービンの「法悦の詩」。2008年に初めて聴いて以来これが2回目の経験です。ヴォリュームたっぷりの芳醇な音が楽しめるのは実演ならではで、あまりCDなどで聴く気はしません。この曲はオーガズムを表現したものだという説があり、それを連想しながら聴いてみましたがなるほどという感じでした(^^;)

Peter Eötvös
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by dognorah | 2012-05-01 01:12 | コンサート