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ニュルンベルクのマイスタージンガー

2011年12月19日、ROHにて。

Die Meistersinger von Nürnberg
Music & Libretto: Richard Wagner

Director: Graham Vick
Conductor: Antonio Pappano
Hans Sachs: Wolfgang Koch
Walter von Stolzing: Simon O'Neill
Eva: Emma Bell
Sixtus Beckmesser: Peter Coleman-Wright
Veit Pogner: John Tomlinson
David: Toby Spence
Magdalene: Heather Shipp
Kunz Vogelgesang: Colin Judson
Konrad Nachtigall: Nicholas Folwell
Fritz Kothner: Donald Maxwell
Hermann Ortel: Jihoon Kim
Balthazar Zorn: Martyn Hill
Augustin Moser: Pablo Bemsch
Eisslinger: Andrew Rees
Hans Foltz: Jeremy White
Hans Schwarz: Richard Wiegold
Nightwatchman: Robert Lloyd
Royal Opera Chorus
Orchestra of the Royal Opera House

ROHでは9年ぶりに上演された楽劇「マイスタージンガー」の初日です。9年前は事前に飲んだワインのために半分寝ているような状態で見たことを思い出しますが、今回は素面を維持して臨んだもののあまりにも美しい音楽は時々睡魔に襲わせてくれます。
それはともかく、ヴォルフガング・コッホのハンス・ザックスとサイモン・オニールのヴァルターが秀逸な出来で、それに加えてパッパーノの指揮がとてつもなくすばらしく、感激しっぱなしです。他の歌手も相当な出来で、音楽的には非常に満足した一夜でした。
ドイツ人バスバリトン、コッホは揺るぎのないしっかりとした歌唱に加えて堂々とした体躯にものを言わせて演技的にも立派なハンス・ザックスでした。この人が説得したら他の親方も賛成せざるを得ない雰囲気を出しています。
ROHではお馴染みのニュージーランドのテノール、サイモン・オニールはようやく太るのが止まった印象のそれでもコッホをしのぐ体躯による堂々とした演技で美声を朗々と響かせます。高音の伸びや美しさはヨハン・ボータの方がやや上でしょうが迫力と見てくれの点では断然オニールです。
エファ役のエマ・ベルは第2幕まではとてもすばらしい歌唱でしたが第3幕は惜しくも声がかすれ気味でちょっとミソをつけました。ファイト・ポグナーを歌ったお馴染みのジョン・トムリンソンは相変わらず低音はよく出るもののお年のせいかちょっと声の輪郭がぼやけ気味で両手を挙げて満足とは行かなかったです。
ダフィット役のトビー・スペンスは声も演技も少年らしさがよく表現されていて文句なしです。

演出は古典的なものを予算の関係でやや簡略にした感じの舞台ですが、ハンス・ザックスの性格付けが過去に見た他のプロダクションのもの(といってもコンサート形式以外ではヴィーンのものバイロイトのものしか見ていませんが、バイロイトのものは比較のしようがありません)に比べて本を机からたたき落としたりストールを机の脚辺りに投げつけるなどかなり激しいものになっています。優しいだけのおじさんじゃなくて感情の起伏が激しいという解釈なんでしょう。
第2幕の喧嘩のシーンでは地上の乱闘だけじゃなくて天井の穴から人がぶら下がったり等猥雑さを強調しています。

Antonio Pappano
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Simon O'Neill & Wolfgang Koch
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Emma Bell & Toby Spence
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John Tomlinson
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by dognorah | 2011-12-21 03:22 | オペラ

アバド指揮ルツェルン祝祭管弦楽団演奏会

2011年10月11日、RFHにて。

過去の演奏会の記事がまだ続きます。
Claudio Abbado: conductor
Lzerne Festival Orchestra
Mozart – Symphony no.35 in D major, KV 385, ‘Haffner’
Bruckner – Symphony no.5 in B-flat major

この組み合わせの演奏会を聴くのは4年ぶりで、そのときはRAHでマーラーの3番でした。

モーツァルトの自然な響きとかつ深みのある表現はこの音楽を堪能するにふさわしい名演でした。音響はうっとりと聴き惚れるすばらしさです。このホールでもとてつもなく大きいRAHよりは遙かによい音がします。

ブルックナーの5番は実演ではあまり聴いていない気がします。最初の3楽章はさすがの演奏で大いに楽しめました。しかし第4楽章はCDなどで聴いたときの印象と同じでどうも苦手です。金管を中心にがんがん鳴っているだけと感じてしまいます。アバドの指揮を持ってしても好きになれないのはこの楽章とは相性が合わないということでしょう。

終演後のClaudio Abbado
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by dognorah | 2011-12-15 01:43 | コンサート

さまよえるオランダ人

2011年10月29日、ROHにて。

Der Fliegende Holländer: Romantische Oper in one act
Music and Libretto: Richard Wagner

Conductor: Jeffrey Tate
Director: Tim Albery
Royal Opera Chorus
Orchestra of the Royal Opera House

Daland: Stephen Milling
Steersman: John Tessier
The Dutchman: Egils Silins (Falk Struckmannの代役)
Senta: Anja Kampe
Mary: Clare Shearer
Erik: Endrik Wottrich

2年前にプレミエだった舞台の再演です。
2年前もオランダ人、ゼンタ、ダーラントには大いに感心したものですが、今回も3役には深く感動しました。特にゼンタを歌ったカンペは2回目の出演ということもあるのでしょうか、一段と迫力が増していてブラヴォーです。ファルク・シュトルックマンが病気のため降板という知らせにはがっかりしましたが、代役のエギルス・シリンズは立派に大役をこなしたのでまたすばらしいバリトンに出会えた思いでした。ダーラントを歌ったスティーヴン・ミリングもよかったし、エリック役のエントリク・ヴォトリッヒも昨年のテノールよりは声量があって満足です。
今日の指揮者ジェフリー・テイトは名前は知っていたものの実演に接するのは初めてです。多重の肉体的ハンディキャップを持っていらっしゃることも初めて知りました。彼の指揮する音楽は感動的名演でした。そういうハンディを乗り越えて立派な音楽を作る人を目の前にしてまた別の感動も味わいました。

Jeffrey Tate
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Egils Silins as the Dutchman
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Anja Kampe as Senta
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Stephen Milling as Daland
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Endrik Wottrich as Erik (far right)
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by dognorah | 2011-12-15 00:46 | オペラ

Plácido Domingo Celebration

2011年10月27日、ROHにて。

OTELLO Act IV
Otello: Plácido Domingo
Desdemona: Marina Poplavskaya
Emilia: Hanna Hipp
Iago: Jonathan Summers
Cassio: Pablo Bemsch
Lodovico: Paata Burchuladze
Montano: Jihoon Kim

RIGOLETTO Act III
Rigoletto: Plácido Domingo
Gilda: Ailyn Pérez
Duke of Mantua: Francesco Meli
Sparafucile: Paata Burchuladze
Maddalena: Justina Gryngyte

SIMON BOCCANEGRA Act III
Simon Boccanegra: Plácido Domingo
Amelia: Marina Poplavskaya
Gabriele Adorno: Francesco Meli
Jacopo Fiesco: Paata Burchuladze
Paolo Albiani: Jonathan Summers
Captain: Lee Hickenbottom

Conductor: Antonio Pappano
Orchestra of the Royal Opera House

ドミンゴがロイヤルオペラにデビューしてから40年になるのを祝って特別に企画された公演です。ヴェルディの3つのオペラからテノール役をオテロから、バリトン役をリゴレットとシモン・ボッカネグラからそれぞれ1幕を選んで上演されました。3つともちゃんとした舞台を作ったので裏方は大変だったでしょう。
ドミンゴはさすがに70歳を超えた年齢では大きな声は出せないのでしょう、舞台脇にスピーカーを隠して歌いましたが、歌唱そのものは大変立派で、それに加えて演技が入魂もので感動的でした。オテロとシモン・ボッカネグラの相手役が悪評高いマリーナ・ポプラフスカヤなので危惧していましたが、今日はほとんど破綻することなく上々の出来で、いつもこれくらい歌ってくれたら悪口を書くこともないだろうにというレヴェルでした。

ドミンゴのリゴレット役は初めて見ましたが立派な役作りです。ジルダ役のペレスは可憐な声でまあまあ、フランチェスコ・メリの公爵は非常にすばらしい歌唱で大満足です。有名な4重唱もマッダレーナ役がよくてすばらしいアンサンブルでした。ただ、スパラフチレ役はもう少し低音のドスのきいた声で聴きたかったと思いました。

シモン・ボッカネグラは昨年10月にドミンゴはモシンスキーの演出したもので全幕を歌っていますが、今日はそのときとは異なる演出のもので上演されました。それは以前ガーディナーの指揮で見たことのある Ian Judge演出のものです。恐らくドミンゴが、こっちもやってみようと言ったのでしょう。

ずっと前はドミンゴといえば単に舞台で突っ立って歌うパヴァロッティほどじゃないにしてもあまり演技が上手いという印象はなかったのですが年期を経て演技も洗練されてきたのでしょう、3つとも悲劇的な表現が凄みのあるものでした。今後この人がロイヤルオペラの舞台に出ることはあまりないでしょうから、ひょっとしたらこれが見納めかも知れません。

Plácido Domingo as Otello
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Plácido Domingo as Rigoletto
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Plácido Domingo as Simon Boccanegra
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Francesco Meli as Gabriele Adorno
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Paata Burchuladze as Jacopo Fiesco
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Marina Poplavskaya as Amelia
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With Antonio Pappano
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by dognorah | 2011-12-14 03:27 | オペラ

バレー「眠れる森の美女」

2011年12月10日、ROHにて。

The Sleeping Beauty: Ballet in a Prologue and three Acts
Music: Pyotor Il'yich Tchaikovsky
Choreography: Maurice Petipa

Princess Aurora: Lauren Cuthbertson
Prince Florimund: Sergei Polunin
Carabosse: Kristen McNally
Lilac Fairy: Claire Calvert
Conductor: Boris Gruzin
Orchestra of the Royal Opera House

2006年以来5年ぶりに見ました。5年前もオーロラ姫はカスバートソンでしたので私は彼女の眠り姫しか見ていないことになります。そのときの印象からすると彼女はちょっと痩せたかなという印象を持ちました。
今回の相手役はポルーニンですが二人のパドゥドゥは本当に見応えがありました。
5年前と同じ出演者がもう一人います。それはプロローグでFairy of the crystal fountainと第3幕でPrincess Florine役を踊ったユフイ・チェでした。第3幕の役は前回と全く同じです。相変わらず美しい踊りを楽しめました。
リラの精を踊ったクレア・カルヴァートは今まで見たことがあるのかどうか不明ですが、とても印象的な踊りをする人で魅力的です。多分誰かの代役で抜擢されたのでしょう。今シーズンFirst Artistに昇格したばっかりで、この役にはちょっとランクが下過ぎでしょうから。

出演者達
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Lauren Cuthbertson & Sergei Polunin
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Alexander Campbell & Yuhui Choe
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Sergei Polunin & Clair Calvert
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by dognorah | 2011-12-13 07:56 | バレー

English Chamber Orchestraのコンサート

2011年12月1日、Cadgan Hallにて。

Paul Watkins: conductor
Igor Levit: piano

Programme:
WAGNER: Siegfried Idyll
BEETHOVEN: Piano Concerto No. 3 in C minor, Op. 37
BRITTEN: The Young Apollo (for piano and string orchestra)
BEETHOVEN: Symphony No. 2 in D, Op. 36

1曲目のヴァーグナーは特に好きな曲でもないので聞き流していましたが、ポール・ワトキンスという指揮者はなかなか頑張る人らしく、退屈にならないような配慮が随所に感じられる好演でした。テンポは頻繁に変えるし、メリハリも効いてます。それでいて叙情的なところは十分に歌わせるので好感が持てました。多分彼を聴くのはこれが3度目ぐらいですが、この時点で若手成長株という印象を持ちました。

ベートーヴェンのピアノ協奏曲は先日5番を聴いたばかりですが、今日の第3番は管弦楽もピアノも無骨とも思える男性的な表現(元々そういうタイプの曲とは思いますが)でした。ロシアの若手ピアニスト、イーゴール・レヴィットは普通に腕の立つ人で、特にめざましい印象はありませんが管弦楽と共に構成のしっかりした演奏で十分にこの曲の魅力を堪能できました。

3曲目のブリテンは弦楽器群とピアノによる演奏で、ピアノは2曲目と同じ独奏者が受け持ちました。曲自体は繰り返しが多いものの溌剌として深みのあるピアノが聴けるもので、1曲目のヴァーグナーよりは楽しめました。ピアニストは譜面を見ながら演奏したのですが、テンポが速いせいか曲の長さ(10分乃至15分程度)に比べてページ数が多く、譜めくりの人はほとんど席を温める暇がないほど忙しい思いをしていたのが笑えます。

最後の曲は1曲目と同様指揮者の特徴がよく出た演奏でした。しかしこれだけ続けて自分の持ち味を露出してしまうと聴く方はやや辟易してくるということをこの人は知るべきでしょう。隙のない密度の濃い演奏なんですが聴いていてちょっとしんどくなってきました。上記の若手成長株という印象は取り消しです(笑)。リーダーシップはいいものを持っているんですが。
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by dognorah | 2011-12-03 03:16 | コンサート

LPOのコンサート

2011年11月30日、RFHにて。

いろいろやることがあったり、風邪で寝込んだりしたため、またまた間隔が空いてしまいました。
取り敢えず最新のものから投稿していこうと思います。

Matthias Pintscher: Towards Osiris
Ludwig Van Beethoven: Piano Concerto No.5 (Emperor)
Anton Bruckner: Symphony No.1 in C minor (Linz version)

London Philharmonic Orchestra
Vladimir Jurowski: conductor
Lars Vogt: piano

1曲目のピンチャーの作品、大変魅力的なもので大いに楽しめました。作品スタイルは武満徹の音楽をかなり饒舌にしたような感じです。打楽器の音などとても心地よい。

2曲目の「皇帝」はピアノの華やかさが少し足りない気がしますがまあまあ納得できる演奏でした。全体に弱音の美しさが目立つ演奏で、反面第1楽章など敢えてダイナミズムを捨てたような印象もあり派手さが後退しました。第3楽章は一転ダイナミックな面も見せてくれましたが、全体的に音の小さいピアニストですね。
管弦楽の演奏は大変すばらしく、雄大さと美しさが十分感じられる表現で音響の良さも堪能しました。協奏曲ということでユーロフスキーの指揮も余裕が感じられ、正面から見る指揮姿も優雅でこちらも楽しめました。

3曲目のブルックナー1番は1曲目同様実演では初めて聴く曲です。第1楽章が始まってすぐに聞き慣れたブルックナーらしさがたっぷり感じられる完成度の高さです。第2楽章もまた彼の緩徐楽章特有の美しさが全編に漂うものでうっとりと聞き惚れました。第3楽章のスケルツォもまた一本調子でなく変化に富んだ楽想が感じられます。ここまで聴いてきてこれはなかなかの名曲じゃないか、どうしてもっと頻繁に演奏されないのだろうかとか思いましたが、第4楽章に入ってその思いは吹っ切れました。この楽章はそれまでの努力を台無しにするようなつまらない音楽で、がっくり来ました。惜しいですね。ブルックナーの交響曲では第5番でも同じように感じたことがあります。
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by dognorah | 2011-12-01 21:10 | コンサート