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パッパーノ指揮ロンドン交響楽団

2010年12月15日、バービカンホールにて。

Ligeti: Concert Românesc
Bruch: Violin Concerto No.1
Rimsky-Korsakov: Scheherazade

Antonio Pappano: conductor
Midori: violin
London Symphony Orchestra

今日はみどりさん出演のせいで普段あまり見かけることのない日本人聴衆が大勢来ていました。
1曲目のリゲティの作品は初めて聴く曲です。 15分足らずの短い曲ながら4部構成で、1951年の作品にしては美しい弦楽合奏でおとなしめに始まるなぁと思ったらすぐに木管群が暴れ出し、やはり現代曲らしい音やメロディになりましたがルーマニアの民族音楽に基づいているようです。 陽気でなかなか気の利いた音楽で、普段もっと演奏されてもいいじゃないかと思わせるものです。 とても楽しめるいい演奏でした。

みどりさんを聴くのは90年代前半以来久しぶりですが、もう39歳になっているんですね、すっかり中年の女性でした。 昔は大きなハンカチを顎に当てて演奏していましたが今は半分乃至4分の1程度にしていました。 演奏中は目をつぶって顔をヴァイオリンに寝かせるような姿勢で弾きます。 従って指揮者をほとんど見ていないでしょう。 一音一音非常に丁寧に弾く印象で、そのせいかテンポがかなり遅いです。 第1楽章で遅いと感じたそのテンポは第2楽章でさらに遅くなります。 さすがに第3楽章は普通よく聴かれるようなテンポでしたが。 音は非常に美しく、ゆったりと流れる音楽にも抵抗なく入っていけます。 満足すべき演奏でした。 歓声を上げる聴衆に再三呼び戻されたけれどアンコールはなし。
この後インターヴァルになりますが、その間ロビーをうろついていたら何とみどりさんがロビーに出てきて聴衆と対話したり求めに応じてサインしたりしていました。 こういう演奏家に今までお目にかかったことがありません。 気さくな人柄なのでしょう。

Midori
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最後のプログラム、シェヘラザードは威圧的ではない色彩的演奏が美しい。 コンサートマスター、ロマン・シモヴィッチのテーマ演奏は感情がこもって非常に美しいものでした。
オペラ以外でパッパーノの指揮を聴くのはたぶんこれが初めてだと思いますが、オペラと同様一定水準以上の演奏ながら非常に感動させられるというレヴェルでもありません。
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by dognorah | 2010-12-18 00:32 | コンサート

タンホイザー

2010年12月11日、ROHにて。

Tannhäuser: Grosse romantische Oper in three acts (1875 version)
Music and libretto: Richard Wagner

Conductor: Semyon Bychkov
Director: Tim Albery

Tannhäuser: Johan Botha
Elisabeth: Eva-Maria Westbroek
Venus: Michaela Schuster
Wolfram von Eschinbach: Christian Gerhaher
Herrmann, Landgrave of Thuringia: Christof Fischesser
Biterolf: Clive Bayley
Walter: Timothy Robinson
Heinrich: Steven Ebel
Reinmar: Jeremy White
Shepherd Boy: Alexander Lee

コヴェントガーデンでは1987年以来のタンホイザー上演で、当然新演出です。
序曲に続いて演奏されるバッカナールでは舞台奥にROHの舞台を小型にしてコピーしたもの(カーテンまで同じ)が現れてそれがヴェーヌスベルクだというわけです。そのカーテンが開くたびにヴェーヌスや配下の女性たちが現れてタンホイザーや他の男性を誘惑します。そしてヴェーヌス配下の女性たちを中心に激しい運動量で振り付けられた少々エロティックなダンスが踊られますが、スピード感溢れるもので舞台を凝視させられます。 なかなか面白い趣向です。インターヴァルにロビーにいるとイギリス人男性たちが感想を言いあっていて「これがドイツだったらきっとダンサーは裸だったろうに」と悔しそうなコメントをしていた人がいた。激しく同意。
第1幕最後ではヴェーヌスベルク部分がプールのような形で陥没し、タンホイザーの前に牧童が現れますがこの牧童はよく使われるソプラノではなく本当の少年が歌います。この少年は第3幕でも登場して法王の杖に生える若芽を象徴する苗木を植えるのですが。
第2幕ではそのROHの舞台が廃墟のように瓦礫となっている状態でそれが歌のコンテストを行うホールというわけです。尤も、テューリンゲンという王国は他の国と戦争している状態なのでいろいろ破壊されたという設定はあまり無理がないかも知れません。
第3幕では第1幕幕最後のような陥没した舞台中央に再びヴェーヌスがベッドの上に寝転がった状態でせり上がってきますがエリーザベトの葬列が登場すると平らな地面と入れ替わります。
全幕を通して舞台を囲むように黒い幕が張られていて、ヴェーヌスベルク以外はほとんど色彩はありません。衣装などは現代の設定です。あまり派手な舞台ではないものの、結構説得力があり、私には特に不満はありませんでした。演出的にも割とよくできていると思います。

歌手ですが、久しぶりの新演出に張り切っていい歌手を集めた印象で、すべてすばらしい出来でした。特にタイトルロールのヨハン・ボータには脱帽最敬礼です。完璧な歌唱だったと思います。こういう凄い歌唱を聴くと2008年6月に見たドレスデンの公演でのロバート・ギャンビルなど何だったんだろうと思わせられます。レヴェルが違いすぎます。
エリーザベト役のエファ=マリア・ウエストブルックとヴェーヌス役のミヒャエラ・シュスターもともにすばらしい歌唱で大満足です。
ROHデビューのクリスチャン・ゲルハーハーも声量こそ控えめながら美しいバリトンで切々と歌う様はとても印象的です。
テューリンゲン領主役のクリストフ・フィシェッサーも十分満足できるバスでした。

管弦楽がまたすばらしく、またまたセミヨン・ビチコフのヴァーグナーに感心させられました。滔々と流れる密度の濃い音楽で、ビチコフが各幕で登場するたびに歓声が上がりましたが第3幕ではオケまで拍手して彼の指示にもかかわらず立とうとしなかったくらいです。 このビチコフがカーテンコールで登場したらオケをねぎらう前にまっすぐにボータのところに来て彼を讃えていました(下の写真参照)。

カーテンコールの写真(クリックで拡大)
Johan Botha
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Eva-Maria Westbroek
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Michaela Schuster talking with Christof Fischesser
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Christian Gerhaher
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両手に花のヨハン・ボータ
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ボータを讃えるビチコフ
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Director: Tim Albery
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by dognorah | 2010-12-14 02:32 | オペラ

クリストファー・モルトマンの「美しき水車屋の娘」

2010年12月8日、ウイグモアホールにて。
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Christopher Maltman (baritone)
Graham Johnson (piano)
Schubert: Die schöne Müllerin

CD録音をするためのコンサートが会員に無料で公開されました。 当日は平日の午後2時という時間にもかかわらず会場はほぼ満席でした。
モルトマンはROHに頻繁に出演するのでオペラでよく聴いてきましたがこういうリサイタルは初めてです。 CD録音ならスタジオでも出来るでしょうけれど、聴衆の前で歌う様子を録音したかったんでしょうね。 グレーの背広上下にネクタイという出で立ちで舞台に立ち、約1時間の曲を途中休むことなく一気に歌いきりました。
入念な調整を経てこの録音に望んだに違いなく、歌唱はすばらしくよい出来で、元気いっぱいで始まった第1曲から途中沈んだり高揚したりという起伏を実にドラマティックに表現した後最後の曲を消え入るように歌い終わり伴奏もそういう調子で終わったとき本当に感動しました。
先日はヨナス・カウフマンによる同じ曲のリサイタルがあり、切符が入手できなかった私はラジオの放送でそれを聴きましたが、今日このモルトマンを聴いてどっちがテノールだかわからないという印象でした。 それだけカウフマンはバリトンに近い声だし、モルトマンは若々しく艶のある声です。

ところで、ピアノ伴奏のグレアム・ジョンソンは長期にわたり多くの歌手の伴奏を務めてきた人ですが、今日のコンサートの終了後、その功績を讃えてRoyal Philharmonic Societyから名誉会員の称号を受けました。 この音楽協会は1813年にロンドンで設立されて多くの音楽家をサポートしてきたそうです。 今回授与された名誉会員にはヴェーバー、ロッシーニ、メンデルスゾーン、ブラームスなど錚々たる名前が連なっています。
現在の会長はなんとウイグモアホールのディレクターでもあるJohn Gilhooly氏で、彼の手から賞状がグレアム・ジョンソンに手渡されました。 コンサート終了後にホールの控え室で撮影された写真が協会のウエブページに載っています(下の写真)。
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by dognorah | 2010-12-11 02:25 | コンサート

ショルとジャルスキーの共演

2010年12月7日、バービカンホールにて。

Andrea Scholl (counter tenor)
Philippe Jaroussky (counter tenor)
Ensemble Artaserse

Henry Purcell
Overture: Bonduca
Hark how the songsters of the grove - Duet
Fairest isle - Philippe Jaroussky
Strike the viol - Andreas Scholl
Hark, hark each tree - Duet

Abdelazer suite (overture + autre pièce + célèbre rondeau )
In vain the am’rous flute - Duet
Now that the sun Philippe Jaroussky
One charming night Andreas Scholl
Sound the trumpet - Duet

Purcell
Overture: Fairy queen
Bid the virtues - Philippe Jaroussky
Either this way - Philippe Jaroussky
Sweeter than roses Andreas Scholl
O solitude - Andreas Scholl

Suite - Fairy Queen
My dearest, my fairest - Duet
Music for a while - Andreas Scholl
O let me weep - Philippe Jaroussky
Now the night - Duet

二人のカウンターテノールがヘンリー・パーセルの作品で共演するコンサートで、元々切符を買っていなかったのですがブログ仲間のbonjourさんやgalahadさんがそれぞれデンマークと東京からいらっしゃるというので急遽集まりに参加することにしたわけです。
ジャルスキーはこれまで何度か聴いていますがショルは初めてでした。ジャルスキーに比べると10cmぐらい上背がある大きな人ですね。今日の伴奏をしたEnsemble Artaserseは2002年にジャルスキーと数人の奏者が協力して作った団体だそうで、中心メンバーに日本人チェンバリストのYoko Nakamuraという人がいます。
二人の声を聞き比べるとジャルスキーは輪郭のはっきりした高めの音域で、ショルは茫洋とした声で音域は低めで、背丈の違いがそのまま音の高さに表れていますね。声質からすると私の好みはジャルスキーです。歌唱ははっきりとわかるぐらいジャルスキーの方が優れていました。特に前半最後のソロで歌ったNow that the sunは声の抑揚といいニュアンスの表現といい心に訴えるものがあり非常に感動しました。ただ、ロンドンの椿姫さんなどブログ仲間たちのコメントによると、今日のショルは風邪か何かのせいで調子が悪いとのことでしたが。
プログラムのパーセルは美しいけれど私にはちょっと地味という印象でヴィヴァルディやヘンデルの方が好ましかったなぁというのが正直なところです。なお、詳しいレポートは旅行中にもかかわらず素早くアップされたbonnjourさんhttp://bonnjour.exblog.jp/15579714/のブログに掲載されていますので是非ご参照ください。

私はカーテンコールの写真でお茶を濁しておきます。
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どっちが先にアンコールを歌うか相談するショルとジャルスキー
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by dognorah | 2010-12-10 22:20 | コンサート