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サローネン指揮「トリスタンとイゾルデ」

2010年9月26日、RFHにて。

Wagner: Tristan und Isolde
Conductor: Esa-Pekka Salonen
Video Art: Bill Viola
Philharmonia Voices
Philharmonia Orchestra

Tristan: Gary Lehman
Isolde: Violeta Urmana
Brangäne: Anne Sofie von Otter
Kurwenal: Jukka Rasilainen
King Marke: Matthew Best
Melot: Stephen Gadd
Shepherd/Sailor: Joshua Ellicott
Helmsman: Darren Jeffery

2年前にパリで見たピーター・セラーズ演出のプロダクションで使われたヴィデオを使ったコンサート形式の公演です。
サローネンの指揮は密度が高くてすばらしいものでした。コンサート形式ながら歌手の立ち位置はステージだけではなく会場内のあちこちを使って空間的広がりを表現していましたがアイデアの域を出ないものです。第2幕でトリスタンとイゾルデの密会の現場にマルケ王たちが踏み込む時にブランゲーネが悲鳴をあげることになっていますが、今回はカットされていました。パリの公演ではちゃんと叫んだのに。
ヴィデオは私にとっては2回目なのであまり邪魔にならず、結構楽しめました。
歌手は出演者全員が出来のいい歌唱で文句なしです。すべて声も声量も言うことなしという印象でした。ウルマナのヴァーグナーを聴くのは初めてですが最初から最後までテンションが高く聴いている方が引っ張られました。時折声を張り上げすぎて歌唱が少し荒れることもありましたが概ね立派な歌唱でした。第3幕の愛の死もすばらしく感動しました。このソプラノを最後に聞いたのは2006年2月の「マクベス」ですが、久しぶりに見る彼女、更に立派な体格になっていてびっくりしました。オリジナルキャストのブリューワーよりも大きいかもしれません。
一方、トリスタンを歌ったゲアリー・レーマンは初めて聴く人ですが艶のある声がすばらしくよい歌唱でした。第3幕も全く退屈することなく聴き入ることができました。
ブランゲーネを歌ったオッターもとてもよかった。クルヴェナールを歌ったラジライネンは2年前に同役でバイロイトで聴きましたが、今回もその時同様レヴェルの高い歌唱でした。
非常に感心したのがマルケ王を歌ったイギリス人のマシュー・ベストで、今回初めて聴きましたが立派な歌唱でした。欧州のあちこちでバスの役で活躍しているようです。
ということで大変楽しめた公演でした。
今回は席が悪くてろくな写真が撮れませんでした。
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by dognorah | 2010-09-29 08:05 | オペラ

バロックオペラ「テーベの女王、ニオベ」

2010年9月23日、ROHにて。
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Niobe, regina di Tebe: Dramma per musica in three acts
Music: Agostino Steffani
Libretto: Luigi Orlandi after Ovid's Metamorphoses

Director: Lukas Hemleb
Conductor: Thomas Hengelbrock
Balthasar Neumann Ensemble

Niobe: Vèronique Gens
Anfione: Jacek Laszczkowski
Manto: Amanda Forsythe
Creonte: Iestyn Davies
Tiberino: Lothar Odinius
Clearte: Tim Mead
Nerea: Delphine Galou
Tiresia: Bruno Taddia
Poliferno: Alastair Miles

オペラの題名はおろか作曲家の名前も知らなかった作品です。
このプロダクションは2008年のシュヴェッチンガー音楽祭のものを借りてきたものです。ただし今回はROHとルクセンブルグオペラ劇場との共同制作で、シュヴェッチンガーのものから少し手直しされていると記述されています。

あらすじ
ギリシャの王国テーベでの物語。王アンフィオーネと女王ニオベは4人の息子を持ち幸せに暮らしているように見える。しかし女王は彼女を慕う廷臣と遊んでみたり他国のプリンスの愛を受け入れたりと結構奔放で神を恐れることがない性格。テーベが他国に攻められた時、国の周りを囲むように高い壁が出現し、侵入を防いだがそれを王が歌った歌のせいだと吹聴して王を舞い上がらせるが、実は魔界の力を持ったポリフェルノの企みでテッサリーの王子をニオベに近づける策略だった。そんな彼女を諌めるラトナ神の神官のティレシアを殴る蹴るの暴力で疎んじ、神を冒涜する言動から神の怒りを買い、彼女の息子4人は雷に打たれて死ぬ。それを知った王は絶望して自殺、この世をはかなんだニオベは石になってしまう。

タイトルロールのヴェロニク・ジャンスを始め女性歌手はすべてすばらしい歌唱でした。特に印象的だったのはアメリカ人ソプラノでマント役のアマンダ・フォーサイスです。声がとても魅力的です。ジャンスはROHでは「カリスト」以来2年ぶりです。ちょっと痩せた印象ですが相変わらず美しい。ニオベの子供たちの世話をするネレア役を歌ったフランス人コントラルトのデルフィーヌ・ガロウは演技が上手くていい味を出していました。
男声陣も概ねよかったです。テーベの王アンフィオーネを歌ったポーランド人ヤツェク・レシュチュコフスキー(と発音するらしい。守屋さんありがとうございます)はソプラニスタ(男声ソプラノ)と称され、カウンターテノールより高い音域を出せる人です。その音域が多い第3幕のアリアでは確かにすばらしい声と迫力ある歌唱に圧倒されました。しかし低音域はあまり魅力的な声ではなく、その音域が多かった第1幕ではなんとも下手なカウンターテノールだなぁと思ったものでした。
クレアルテ役を歌ったイギリス人カウンターテノールのティム・メッドはまあまあ、テッサリーの王子役を歌ったやはりイギリス人のイエスティン・デイヴィーはなかなか魅力的なカウンターテノールです。
ティベリノ役を歌ったドイツ人テノールは好感の持てる声です。ポリフェルノ役のバス、アラステア・マイルズは実力通りでまあまあ。

登場人物が多くて結構ややこしい筋ですが、音楽は大変すばらしいので字幕をあまり熱心に読まなくてもオペラとして十分楽しめます。演出もよく出来ていると思いますし、舞台が美しいのも見ていて楽しいです。馴染みのない演目なので客の入りは悪いですが、私など安くていい席が入手出来るならもう一度見たい位です。

トップの写真は終演直後の舞台で、人物はすべて固まっています。
以下はカーテンコールの写真です。

歌手全員
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Vèronique Gens
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Jacek Laszczkowski
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Amanda Forsythe
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Lukas Hemleb, Thomas Hengelbrock, Jacek Laszczkowski and Alastair Miles
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Bruno Taddia, Lothar Odinius, Delphine Galou and Iestyn Davies
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Tim Mead
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by dognorah | 2010-09-28 21:12 | オペラ

マーラーの交響曲第3番:ユーロフスキー指揮LPO

2010年9月22日、RFHにて。

Vladimir Jurovski: conductor
Petra Lang: mezzo-soprano
London Philharmonic Choir
Trinity Boys Choir
London Philharmonic Orchestra

Zemlinsky: Six Maeterlinck Songs, Op.13
Mahler: Symphony No.3

最初のプログラムはオーストリアの作曲家ツェムリンスキーがメーテルリンクの詩に基づいて書いた6曲の歌曲です。オリジナルはピアノ伴奏版ですが作曲家自身により管弦楽伴奏版も作られたのでした。マーラーと共に演奏するのはなぜか?と思ってツェムリンスキーをWikiで調べたら、アルマ・シントラーに作曲を教えているうちに恋仲になったんだそう。周囲の反対でアルマは交際をやめてマーラーと結婚したのでした。オーストリアの音楽家や画家などを調べていると、よくアルマに出くわしますが本当に魅力的な女性だったんですね。
ペトラ・ラングの歌唱は詩的で気品があります。管弦楽の伴奏も魅力的だし演奏もすばらしいものでした。

終演後のスナップ写真です。Petra Lang and Vladimir Jurovski
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マーラーの3番は先月のプロムスで聴いたばかりです。でも、今日の方がはるかに感動しました。ユーロフスキーは凄い!特に感心したのが第1楽章で、こんなに金管ががんがん鳴っても全く刺激的ではなく、終始朗々と心地よい響きですが指揮者のコントロールのよさを強く感じました。冒頭の9本のホルンによる第1テーマの魅力的なこと!演奏時間の長いこの楽章もちっとも長いとは感じませんでした。早くも演奏の虜になってしまいました。欲を言えば、全楽章を通じて低弦のエネルギーがもっとほしいかなというところです。
この楽章の終了後独唱と合唱の入場。ユーロフスキーは譜面台の前に置いてある椅子に座ってしばし休憩。最初、何であんなところに椅子が向こう向きに置いてあるんだろうと思いましたが納得。
第2楽章は特に感心はしませんでしたが第3楽章からまた集中力が高まります。第4楽章のラングの独唱はゆったりしたテンポで心のこもった歌唱ですが、欲を言えばもう少し潤いと深みのある声が望ましいと思いました。第5楽章の少年合唱団も女性合唱団もとてもすばらしい合唱でした。そして第6楽章、再び第1楽章と同様にテンションの高い演奏で聴いている方の気持ちも高ぶってきます。大満足の演奏会でした。ブラヴォー!

それにしても第3番だけで演奏時間は100分かかるのにツェムリンスキーの作品(20分)まで演奏してしまうユーロフスキーのエネルギーには脱帽です。ゲルギエフもそういう傾向がありますが一般的にロシアの指揮者はそういう性格なのでしょうか。

この第3番を聴くのはこれで6回目だと思うのですが自分の記録のために過去の分をまとめてリストアップして置きます。
(1) ヴェルザー=メスト指揮クリーヴランド管弦楽団(2005年8月)
(2) パーヴォ・ヤーヴィ指揮ロンドン交響楽団(2006年6月)
(3) ビエロフラーヴェク指揮BBC交響楽団(2007年4月)
(4) アバド指揮ルツェルン祝祭管弦楽団(2007年8月)
(5) ラニクルズ指揮BBCスコティッシュ管弦楽団(2010年8月)
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by dognorah | 2010-09-25 01:54 | コンサート

バルトリとエルンマン出演の「セメレ」

2010年9月17日、テアター・アン・デア・ヴィーンにて。
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Georg Friedrich Händel: Semele

Musikalische Leitung: William Christie
Inszenierung: Robert Carsen
Les Arts Florissants
Arnold Schoenberg Chor

Semele: Cecilia Bartoli
Jupiter/Apollo: Charles Workman
Cadmus/Somnus: David Pittsinger
Ino: Malena Ernman
Juno: Birgit Remmert
Athamas: Matther Shaw
Iris: Kerstin Avemo

このプロダクションはすでに昨年チューリッヒで見ていますが、マレーナ・エルンマンのファンクラブを運営していらっしゃるレイネさんから号令がかかり、ロンドンの椿姫さんと共にヴィーンに馳せ参じて3人で鑑賞したという次第です。
チューリッヒとはセメレ、ジュピター、ジュノ役が同じですが他は異なります。中でもオケがクリスティ手兵のレゼール・フロリッサンであることとイノ役がマレーナ・エルンマンであることが大きい違いでしょうか。
今回出演した歌手はすべてとても調子がよく、管弦楽もいつもの調子で音楽的にも演劇的にも大いに満足しました。バルトリはほぼ完璧で、終了後お二人が出待ちをすると言うので従いましたがその場にいた彼女のことをよく知っているファンの皆さんの言葉では楽屋口から出てきたバルトリはことのほか上機嫌だということでした。それだけ歌の方も調子がよかったのでしょう。第3幕でベッドから降りたり上ったりする場面で何かに足を取られてばたんと派手に転んでいましたがたいしたことはなかったようでそのあとも平気で歌っていました。
エルンマンの女性姿は背の高さもあってかっこよく、美人度大です。歌もよかったのでもっと歌唱が長ければなぁと思いました。
ワークマンは昨年とほぼ同じ調子で好演していました。
Cadmus役を歌ったピッチンガーは美しい低音でとても素敵でした。

Theater an der Wienは今回が初めての経験ですが、中に入ってみてその小さいスペースにちょっと驚きました。チューリッヒの1100席より更に小さい1000席だそうです。一番遠いところでも舞台は近そうですが、チューリッヒ同様2階や3階では前に座る人が邪魔で見難いようです。ギャラリーに座るなら最前列がいいでしょう。私は2階のサイドギャラリーに座ったのですが前列の人が見切れ部分を少なくするために身を乗り出すので彼らの頭が少し邪魔でした。音響はいいと思いました。今回の切符はレイネさんに取っていただいたのですが争奪戦は熾烈だったようです。いい公演をこのアットホームな雰囲気でまた楽しみたいと思いましたので再び来るかもです。

上に述べたように公演終了後は劇場入り口の真裏にある楽屋口に駆けつけて歌手の出待ちをしました。20人ぐらいの方が待っていましたがほとんどはバルトリ目当てでした。私はクリスティ、エルンマン、バルトリのサインをもらいましたが、あとのお二人に頼まれて彼らのスリーショットを撮ってあげました。歌手の方々は快く何枚も写真を撮らせてくれましたね。その写真はお二人のブログをご覧ください。

以下はカーテンコールの写真です(クリックで拡大します)。

Cecilia Bartoli
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Cecilia Bartoli & Charles Workman
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Malena Ernman
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Kerstin Avemo, David Pittsinger and Birgit Remmert
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William Christie
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by dognorah | 2010-09-22 21:42 | オペラ

ドニゼッティのオペラ「ドン・パスクアーレ」

2010年9月14日、ROHにて。

Don Pasquale: Dramma Buffo in three acts
Composer: Gaetano Donizetti
Libletto: Giovanni Ruffini and Gaetano Donizetti

Director: Jonathan Miller
Conductor: Evelino Pidò
Royal Opera Chorus
Orchestra of the Royal Opera House

Ernesto: Barry Banks
Don Pasquale: Paolo Gavanelli
Doctor Malatesta: Jacques Imbrailo
Norina: Íride Martínez
Notary: Bryan Secombe

このプロダクションは2004年12月にフローレスやコルベッリなど錚々たる歌手で見ており、今回はあまり馴染みのない歌手ばかりなので期待薄でした。しかしバリー・バンクスとイリデ・マルティネスがすばらしい歌唱だったので大いに楽しみました。それに加えて指揮のエヴェリノ・ピドが絶妙な演奏で管弦楽がすばらしかったのです。序曲から音の運びの上手さに感嘆し、その後も躍動感溢れる演奏で歌手との合わせもぴったし。オケは主力が日本公演中ながらいつもと変わらない印象でした。
バリー・バンクスはイギリスのテノールで、過去に一回だけROHで聴いたことがありますがあまり印象に残っていません。しかし今回は声のすばらしさに感嘆しました。フローレスの声とはかなり違いますが、これはこれでとても魅力的です。
コスタリカ出身のソプラノ、イリデ・マルティネスは痩せ型の小さい人ですが演技も上手く、歌唱もすばらしい。声質は全面的には好きなタイプではありませんがかなりいい声と思います。
研修生出身のジャック・インブライロも明るいバリトンがなかなかよく、頑張っていました。ちょっとがっかりだったのがリゴレットでお馴染みのパオロ・ガヴァネッリで、調子が悪かったのか声につやがありません。
舞台は3階建てのドールハウスのような構造ですが機能的にも大変よく出来ています。2001年プレミエのフィレンツェから借りてきたものです。人形を意識してかメーキャップがかなり特殊です。

From left, Barry Banks, Paolo Gavanelli and Íride Martínez
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Barry Banks
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Barry Banks and Íride Martínez
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by dognorah | 2010-09-21 08:48 | オペラ

キルヒシュラーガーとボストリッジのヴォルフ歌曲集共演

2010年9月13日、ウイグモアホールにて。

Angelika Kirchschlager: mezzo-soprano
lan Bostridge: tenor
Jullus Drake: piano

Hugo Wolf
Songs frorn the Spanisches Liederbuch

Geistliche Lieder (聖なる歌曲)
・Nun bin ich dein
・Die du Gott gebarst, du Reine
・Nun wandre, Maria
・Die ihr schwebet (K)
・Führ mich, Kind nach Bethlehem
・Ach, des Knaben Augen (K)
・Müh'voll komm' ich und beladen (K)
・Ach, wie lang die Seele schlummert!
・Herr, was trägt der Boden hier
・Wunden trägst du, mein Geliebter (K)

Weltliche Lieder (世俗歌曲)
・Klinge, klinge mein Pandera (K)
・Wer sein holdes Lieb verloren
・Trau nicht der Liebe (K)
・Treibe nur mit Lieben Spott
・Herz, verzage nicht geschwind
・Sagt, seid Ihr es, feiner Herr (K)
INTERVAL
・Ach, im Maien war's, im Maien
・Ob auch finstere Blicke glitten (K)
・Dereinst, dereinst, Gedanke mein
・Tief im Herzen trag ich Pein
・Komm, 0 Tod, von Nacht umgeben
・Bitt' ihn, 0 Mutter (K)
・Köpfchen, Köpfchen, nicht gewimmert (K)
・Auf dem grünen Balkon
・Wer tat deinem Füßlein weh? (K)
・Seltsam ist juanas Weise
・Mögen alle bösen Zungen (K)
・In dem Schatten meiner Locken (K)
・Sie blasen zum Abmarsch (K)
・Und schläfst du, mein Mädchen
・Bedeckt mich mit Blumen (K)
・Alle gingen, Herz, zur Ruh
・Wenn du zu den Blumen gehst
・Geh, Geliebter, geh jetzt!(K)

プログラムの題名のあとに(K)とあるのはキルヒシュラーガーが歌った歌曲でその他はボストリッジが歌ったものです。
ヴォルフの「スペイン歌曲集」はスペインの民謡を元にEmanuel GeibelとPaul Heyseがドイツ語で書いた詩に曲をつけたものです。
最初の「聖なる歌曲」は題名どおり厳かな内容で、次の「世俗歌曲」は男の片思いから始まった二人の関係が次第に相思相愛に変わっていく様を表現しています。どちらもヴォルフらしい聴き応えのある内容で、絶好調のキルヒシュラーガーとボストリッジによる表現力豊かな演奏は大変楽しめました。二人で34曲、密度の高いコンサートでした。それゆえアンコールなしでも大満足です。この小さなホールで聴く声量豊かなボストリッジの声は耳にびんびん響きます。ピアノ伴奏もぴたっと決まっている印象でした。キルヒシュラーガーは髪型を変えていたので以前から持っている印象と随分違いました。

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by dognorah | 2010-09-21 07:14 | コンサート

モンテヴェルディの「1610年の夕べの祈り」(Prom 75)

2010年9月10日、ROHにて。

* Monteverdi :Vespers of 1610

Monteverdi Choir
London Oratory Junior Choir
Schola Cantorum of The Cardinal Vaughan Memorial School
English Baroque Soloists
His Majestys Sagbutts and Cornetts
Sir John Eliot Gardiner: conductor

モンテヴェルディが当時の声楽、合唱および管弦楽の教会音楽を集めてまとめたもの。
声楽も管弦楽も大変レヴェルが高いし、大変美しい音楽ではありますが、私にはやや退屈でした。
ガーディナーはいつものように独唱者、合唱隊、ソロ奏者などを舞台上だけでなく広い会場のあちこちにも頻繁に移動させて微妙な音響変化を織り込んでいました。音の聞こえ方に変化が出るのは新鮮だし視覚的にも楽しめるのですが、所詮退屈な音楽の本質は変わるわけではありません。
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by dognorah | 2010-09-20 06:41 | コンサート

スピノジ指揮アンサンブル・マテウス (Prom 70)

2010年9月6日、ROHにて。

Handel
・Julius Caesar - 'Empire, dirò, tu sei'
Vivaldi
・Three arias from 'La fida ninfa' and 'Orlando furioso'
Telemann
・Concerto in E minor for recorder, flute and strings, TWV 52el
Porpora
・Polifemo - 'Alto Giove'
Vivaldi
・Orlando furioso - 'Ah sleale , .. lo ti getto elma'
・Concerto in D major for two violins, strings and continuo, RV 513
・La fida ninfa - 'Dimmi pastore'

Marie-Nicole Lemieux: contralto
Philippe Jaroussky: counter-tenor
Laurence Paugam: violin
Alexis Kossenko: recorder
Jean-Marc Goujon: flute
Jérôme Pernoo: cello continuo
Ensemble Matheus
Jean-Christophe Spinosi: violin/director

夜10時から始まるLate Night Promsです。
スピノジ指揮のアンサンブル・マテウスを聴くのは2007年3月、パリのシャンゼリゼー劇場以来です。
今夜の演奏はかなり乗っていて、ヴァイオリンを弾きながら指揮をする時は手が使えないものだから足をドンドン踏み鳴らして合奏団を煽ったりしていました。
最初に歌ったジャルスキーはちょっと緊張していたのかその1曲目はやや声に張りがなく、あれー?不調かな?と思わせましたがそのあとは全くそういうことはなく好調に歌い続けました。
特にOrland furiosoからのアリア"Sol d te, mio dolce amore" はしっとりとした歌唱が美しく、感じ入りました。
もう一人の歌手マリー=ニコル・レミューはかなり体格のいい女性ですが、この人は最初から最後まで好調でがんがん飛ばしてヤンヤの喝采です。演技的に表現力があるのにも感心しました。今日のプログラムは二人で諍いをしたり一人で怒ったりと激情的な表現が主でしたが二人の掛け合いが面白くて客席は笑いの渦です。休憩なしの1時間半、とっても楽しい夕べでした。

Marie-Nicole Lemieux, Jean-Christophe Spinosi and Philippe Jaroussky
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Philippe Jarousskyの後ろの金髪はコンサートマスターのLaurence Paugam
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by dognorah | 2010-09-19 18:58 | コンサート

オペラ「コシ・ファン・トゥッテ」

2010年9月4日、Woodhouse Operaにて。

Mozart: Cosi fan tutte (Two acts opera buffa)
Producer, Design, Costumes and Director: Monika Saunders
Conductor: Joseph Samir Ramadam
Fiordiligi: Susan Parkes,
Dorabella: Martha Jones,
Guglielmo: Edward Grint,
Ferrando: David Webb,
Despina: Helen-Jane Howells,
Don Alfonso: Henry Grant Kerswell
With singers, chorus and orchestra from RAM and RCM

サリー州の片田舎のWoodhouseというところでやっているオペラです。会場は丘に囲まれている感じで、木立が美しい。池も風情がある。広すぎることもないのでピクニックにはちょうどいい。しかし3箇所しかないトイレの2箇所が壊れているっていうのはどうよ。
オーケストラは各パートは一人ずつながら、歌手は衣装も美しく、英語で歌うもののかなりまともな公演でした。出演者は当然若い人ばかりです。
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舞台は上の写真のように第1幕が丘の中腹の木立の中に設営されていました。オケは地面に掘った穴にいるような感じです。歌手は舞台後方の階段や左右の坂道を上がってきて歌います。グリエルモとフェランドが徴兵されたと嘘を言って姉妹と別れるシーンでは舞台下方にある池で本当にボートに乗って出ていくというリアルさで大いに湧かせました。全体に出演者たちは音楽大学での演劇の訓練がきっちりされていて演技はとてもうまかったです。
第2幕はメインの建物の前の階段部分を使います。4時から開始ながらインターヴァルは1時間以上取るので第2幕終了時にはあたりは真っ暗で、建物の近くでないと無理ということでしょう。日が落ちてくるとじっと座って見ている方はちょっと寒いという感じですが、まあオペラは楽しめました。歌手では、ドラベラ役とグリエルモ役が結構上手かった。特にグリエルモは声がすばらしい。次いでデスピーナ役か。
今回は晴れていて幸運だったけど、雨が降るとどうなるかは案内には書いていない。
来年はドン・ジョヴァンニをやるそうだけど、多分私はもう来ないでしょう。
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by dognorah | 2010-09-07 20:08 | オペラ

ヘンゼルとグレーテル(Proms 61)

2010年8月31日、RAHにて。

* Humperdinck: Hänsel und Gretel
(semi-staged; sung in German)

* Alice Coote: Hänsel
* Lydia Teuscher: Gretel
* Irmgard Vilsmaier: Mother
* William Dazeley: Father
* Wolfgang Ablinger-Sperrhacke: Witch
* Tara Erraught: Sandman
* Ida Falk Winland: Dew Fairy

* Glyndebourne Chorus
* London Philharmonic Orchestra
* Robin Ticciati: conductor

恒例となっている今年のグラインドボーンオペラの演目をセミステージ形式で演奏するものです。歌手もオケもすばらしくて大変楽しめました。この演目はキルヒシュラーガーとダムラウによるROHの公演を比較的最近見ていますが、その時に感じたフンパーディンクの音楽のすばらしさを今日も再確認しました。イギリスの若い指揮者ロビン・ティッチアーティはとてもいい指揮者と思います。色々な楽器を学んだあと15歳で指揮者に転向し、コリン・デイヴィスとサイモン・ラトルの薫陶を受けたそうで彼らが目を掛けただけに豊かな才能に恵まれた人なのでしょう、驚くべき音楽性に溢れた演奏でした。指揮中はサイモン・ラトルのようににこやかな顔をしています。
私はオーケストラの右端近くに座ったのですぐ前にハープがあり、普段は音量のせいであまりクリアに聞こえないハープの音がはっきり聞こえたのは楽しかった。一番下の写真で左端に大きく写っている方がハーピストです。

歌手ではアリス・クートが歌唱も演技も絶好調でした。グレーテル役のリディア・トイチャーはいい声ではありますがちょっと線が細くて声量不足です。母親役のイルムガルト・ヴィルスマイヤーは声量豊かな美声ですばらしかった。父親役はまあまあのバリトン。演技がちょっと大げさです。この公演では魔女役は男性によって歌われましたがなかなかうまいものです。公演後のカーテンコールでは盛大なブーを受けていましたが歌唱ではなく役柄に対するブーで、本人もそれを楽しんでいました。

演出はまあストーリーに即したごく当たり前のものでした。狭いステージで上手くやっていましたね。最後の大勢の子供たちは全員沢山パッドを入れて太らしていましたが、恐らく魔女がおいしく食べれるように太らせたと言う設定なんでしょう。

右側がAlice Coote、真ん中はIrmgard Vilsmaier、左端はIda Falk Winland
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Lydia Teuscher
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Robin Ticciati
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右からTara Erraught、William Dazeley、Wolfgang Ablinger-Sperrhacke
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by dognorah | 2010-09-02 22:59 | オペラ