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パリオペラの「ラインの黄金」

2010年3月28日、バスティーユにて。

Paris Opera Bastille, 28 March 2010.

Das Rheingold
Musique et Livret de Richard Wagner

PHILIP JORDAN: Direction musicale
GÜNTER KRÄMER: Mise en scène
ORCHESTRE DE L'OPÉRA NATIONAL DE PARIS

EGILS SILINS: Wotan
SAMUEL YOUN: Donner
MARCEL REIJANS: Froh
KIM BEGLEY: Loge
PETER SIDHOM: Alberich
WOLFGANG ABLINGER-SPERRHACKE: Mime
IAIN PATERSON: Fasolt
GÜNTHER GROISSBÖCK: Fafner
SOPHIE KOCH: Fricka
ANN PETERSEN: Freia
QIU LIN ZHANG: Erda
CAROLINE STEIN: Woglinde
DANIELA SINDRAM: Wellgunde
NICOLE PICCOLOMINI: Flosshilde

パリの新制作Ringの序夜です。最終日。ヴォータンはダブルキャストの人で、ファルク・シュトルックマンではありません。エジルス・ジリンスは2007年にヴィーンでオランダ人を歌ったのを聴いたことがあります。今回もかなりいい線いっている歌唱でした。彼に限らず、歌手は不満を感じる人はいなくてレヴェルは高いと思いました。これまで何度も聴いているペーター・シドムなど上手いなぁと思います。

演出はアイデア盛りだくさんで、まあ楽しめましたが、何か哲学を提示するというほどのものではないとも感じました。幕が上がるとヴォータン達が地球を俯瞰するような構造物の上にいるのですが、奥の方では大勢の作業員がパイプで作った足場のようなヴァルハラ城の建築に携わっています。
変わっているなと思ったのは、巨人族がヴァルハラ城完成の代償にフライアを連れ去ろうとする場面で、応じようとしないヴォータンに業を煮やしたファゾルトの合図と共に作業に携わっていた巨人族が大勢歓声を挙げ赤旗を振りビラを撒きながら舞台や観客席になだれ込んで来るところです。フランスの労組を揶揄したものでしょうか?
また、ヴォータンがアルベリヒの指から無理矢理黄金の指輪を奪おうとする場面で、指を切断してしまうところ。えらく残酷な神様です。これもあって怨念に満ちた呪いをかけるということなんでしょうね。
最後はヴァルハラ城が前面にせり出してきてヴォータン達が高い階段を上っていって終了します。全般に煙を多用するのは頂けない。刺激が少ないものなんでしょうけれど、客席に漂ってきたら私なんか少し咳が出てしまいました。舞台は見難くなるし、嫌いです。
衣装はちょっと変わっていて、下の写真のように女性の場合はぱっと見た瞬間はどきっとするものです。

ジョルダン指揮の音楽は美しい響きで、あまり強音を強調しない大人しめという印象です。最後の方でドンナーがもやもやした空気を払拭する場面でもあまり金属音を使わないでティンパニーがちょっと強めに鳴るだけでした。このシリーズ、6月のヴァルキューレまで見てその後続けて見るかどうか決めようと思っています。

写真はクリックで拡大します。
黄金を払ってフライアを救ったあとホッとするフリッカとヴォータン。煙のためぼやけていますが。後方に写っているのがヴァルハラ城。SOPHIE KOCH and EGILS SILINS
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カーテンコール。左から、ANN PETERSEN、SOPHIE KOCH、EGILS SILINS、MARCEL REIJANS、SAMUEL YOUN、PETER SIDHOM、WOLFGANG ABLINGER-SPERRHACKE
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SAMUEL YOUN, PETER SIDHOM, KIM BEGLEY, WOLFGANG ABLINGER-SPERRHACKE, GÜNTHER GROISSBÖCK, IAIN PATERSON
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by dognorah | 2010-03-29 21:26 | オペラ

エトヴェシュのオペラ「アメリカの天使達」

2010年3月26日、バービカンホールにて。

Peter Eötvös: Angels in America (UK premiere)
Opera in two parts
Mari Mezei: libretto based on the play by Tony Kushner

BBC Symphony Orchestra
David Robertson: conductor
David Gately: Director
David Adam Moore: Prior Walter
Scott Scully: Louis Ironson/Angel Oceania
Omar Ebrahim: Joseph Pitt/Ghost 2/Angel Europa
Brian Asawa: Belise/Mr Lies/Woman/Angel Africanii
Janice Hall: Hannah Pitt/Rabbi Chemelwitz
Kelly Anderson: Roy Cohn/Ghost 1/Angel Australia
Julia Migenes: Harper Pitt/Ethel Rosengerg/Angel Antarctica
Ava Pine: The Angel/Voice

ストレートとゲイのカップル4人が織りなす荒唐無稽な物語。カップルはそれぞれ別れるもののゲイの一人とストレートカップルの夫が新しいゲイカップルとなる。幽霊が出てきたり天使が出てきたりで話の筋はハチャメチャながら音楽はユニークで心地よいし聴いていて楽しい。電子楽器もいろいろ使われているし、歌手は全てマイク装着である。オケを舞台の奥に寄せて前面にスペースを作りそこで歌手達が演技をするセミステージ形式の上演である。聴くまではどんなオペラか見当もつかなかったが、聴いているうちにどんどん引き込まれていくのはひとえにすばらしい音楽の功績だろう。

出演の歌手達と BBC SO。真ん中の歌手が主役の David Adam Moore
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指揮者 David Robertson
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作曲家 Peter Eötvös(右端)と隣は Julia Migenesと Omar Ebrahim
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by dognorah | 2010-03-28 06:44 | オペラ

ロイヤルバレー「Concerto」他

2010年3月23日、ROHにて。

・CONCERTO
Music: Dmitry Shostakovich
Choreography: Kenneth MacMillan
(1)First Movement
Yuhui Choe and Steven McRae
Bethany Keating, Hikaru Kobayashi, Samantha Raine, Kenta Kura, Ernst Meisner, Johannnes Stepanek
(2)Second Movement
Marianela Nuñez and Rupert Pennefather
Bethany Keating, Hikaru Kobayashi, Samantha Raine, Kenta Kura, Ernst Meisner, Johannnes Stepanek
(3)Third Movement
Helen Crawford
Yuhui Choe and Steven McRae
Marianela Nuñez and Rupert Pennefather
Bethany Keating, Hikaru Kobayashi, Samantha Raine, Kenta Kura, Ernst Meisner, Johannnes Stepanek

音楽は管弦楽部は大したことがないけれど、ピアノが入る部分は美しく振り付けとよく合っている。ダンサーではYuhui ChoeとMarianela Nuñezにどうしても目が行ってしまう。

カーテンコールの写真はクリックで拡大します。
Kenta Kura
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Yuhui Choe
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Yuhui Choe, Steven McRae, Rupert Pennefather, Marianela Nuñez, Helen Crawford
右後方の男性はピアノ独奏のHenry Roche

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・THE JUDAS TREE
Music: Brian Elias
Choreography: Kenneth MacMillan
The Foreman: Carlos Acosta
His Friends: Edward Watson, Bennet Gartside
The Woman: Leannne Benjamin
Workmen: Ryoichi Hirano, Andrej Uspenski, Valeri Hristov, Kenta Kura, José Martín, Erico Montes, Michael Stojko, Eric Underwood, James Wilkie, Thomas Whitehead

マクミランがこういうものを手がけていたとは知らなかった。カナリーウォーフの建築現場で働く男達のところにある女が来て、男達のリーダーであるThe Foremanとその友人達は彼女に惹かれる。しかしリーダー達がいない日に彼女は他の男達によって輪姦される。怒ったフォアマンは彼女を殺して自分も首つり自殺する。労働者姿の男性ダンサー達とベンジャミンの踊りはかなり激しく、アコスタもワトソンも汗びっしょりで、回転すると汗が四方八方に飛び散るすさまじさ。音楽はドライな感じの現代音楽。

終了直後の舞台
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Edward Watson
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Carlos Acosta and Leannne Benjamin
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・ELITE SYNCOPATIONS
Music: Scott Joplin and other ragtime composers
Choreography: Kenneth MacMillan
Sunflower Slow Drag (Scott Joplin with Scott Hayden): The Company
Elite Syncopations (Scott Joplin): The Company
The Cascades (Scott Joplin): Mara Galeazzi, Laura McCulloch, Iohna Loots
Hot-House Rag (Paul Pratt): Paul Kay, Steven McRae, Liam Scarlett, Jonathan Watkins
Calliope Rag (James Scott): Mara Galeazzi
Ragtime Nightingale (Joseph F. Lamb): The Company
The Golden Hours (Max Morath): Iona Loots, Liam Scarlett
Stop Time Rag (Scott Joplin): Sarah Lamb
The Alascan Rag (Joseph F. Lamb): Laura McCulloch, Paul Kay
Bethena (Concert Waltz)(Scott Joplin): Sarah Lamb, Valeri Hristov
Friday Night (Donald Ashwander): Steven McRae
Cataract Rag (Robert Hampton): The Company

ずっと前のTsunami GalaでElite SyncopationsをDarcy Busselが踊る部分のみ放送されたのを見たことがあるだけで全てを見るのは初めて。楽しい以外の何物でもないカラーフルで親しみやすい音楽と舞台だ。

終了直後の舞台
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Sarah Lamb and Valeri Hristov
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Steven McRae and Mara Galeazzi
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by dognorah | 2010-03-28 02:14 | バレー

リンデンの「トリスタンとイゾルデ」公演

2010年3月21日、ベルリン州立歌劇場にて。
Staatsoper unter den Linden, 21 March 2010

Barenboim and Staatskapelle, 背景は巨大なエンジェルの翼
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Tristan und Isolde
Richard Wagner

Musikalische Leitung: Daniel Barenboim
Inszenierung: Harry Kupfer

Tristan: Peter Seiffert
König Marke: René Pape
Isolde: Waltraud Meier
Kurwenal: Roman Trekel
Melot: Reiner Goldberg
Brangäne: Ekaterina Gubanova
Ein Hirt: Florian Hoffmann
Ein Steuermann: Arttu Kataja
Stimme eines jungen Seemanns: Florian Hoffmann

開始前にマイクを持った係員が舞台に登場したので客席からどよめきが・・・
マイヤーは風邪を引いているけれど快方に向かっているので歌いますとのこと。安堵の声と拍手。
始まってみればマイヤーのイゾルデは快調そのもの。一昨年のパリでの公演でも直前に「調子が悪いけれど歌う」とのアナウンスがあって第1幕と第2幕は快調に歌っていたのに第3幕は口パクになってしまった経緯があるので安心はできませんでしたが、今日は最後まで絶好調かと思われる歌唱でした。昨年のミラノでの公演でも第3幕まで全て歌いましたが今回はそのときに勝る調子の良さで、愛の死ではたっぷり泣かせて貰いました。実はイゾルデがトリスタンに会いに来たときは高音がやや掠れ気味で心配したのですが愛の死が始まる頃には調子を取り戻していました。今日の歌唱を見ると彼女のイゾルデはまだまだ行けそうな印象です。今回のシリーズではあと3月28日と4月5日に歌うことになっていますが、来シーズンはチューリッヒで予定されているようです。

トリスタン役のザイフェルトも絶好調でした。彼の同役を聴くのはヴィーン以来 2回目ですが何度でも聴きたくなるすばらしい声で、私的には現在世界最高のトリスタン歌いです。第3幕の長丁場でも全く退屈させない味わい深い歌唱でした。また第2幕のマイヤーとの二重唱の何という美しさ!心がとろけるようでした。

マルケ王を歌ったルネ・パーペは凄い声量で迫力ある歌唱は予想通りながら、マドリードで聴いたときに比べると声そのものがやや分散してぼやけている印象で、マドリードを100点とすると今回は85-90点ぐらいの出来でしょうか。先般の病気による長期欠場の影響がまだ残っているのかも知れません。ということで第3幕のマルケ王の独白はレヴェルは高いものの私的にはやや期待はずれでした。

ブランゲーネ役のエカテリーナ・グバノワとクルヴェナール役のロマン・トレーケルも文句なしの歌唱でした。メルローを歌った歌手はあまり印象的ではないです。

バレンボイム指揮のStaatskapelle Berlinも上手くて唸らせられました。管弦楽の実力は昨日聴いたベルリン・ドイツ・オペラのものより上でしょう。しかしカーテンコールではバレンボイムに対するブラヴォーに混じってかなりはっきりとブーも飛び交っていました。個性的な演奏だけに反発もかなりあるようです。

演出はプレミエから丁度10年になるものです。舞台は全幕を通じてまるで何かを嘆くかのように巨大な天使がうつぶせになっている像が中央に置かれているだけで、場面に応じてそれが水平回転します。あとは光と背景のスクリーンで各場面の情景を表現していますが、具象的なことはほとんど無く観客の想像力を刺激するような方針です。私はこのオペラにふさわしいものと思いました。好きです。
昨年見たミラノでの公演と同様今回も第2幕でトリスタンとイゾルデの逢い引きの場にマルケ王達が乱入するとき、ブランゲーネは悲鳴をあげません。これは演出家の指示ではなくバレンボイムの指示によるカットでしょう。演出家が異なるのに同じ指揮者のもとで起こりましたから。私が気がつかないだけで他にもバレンボイムはいじっているのかも知れません。その辺を気付いている観客がブーを叫んだのかもと思いました。悲鳴が音楽の流れを阻害するとも思えず、なぜカットするのか疑問です。

ともかく、これでこのオペラは8回目の体験ですが総合的に見て今までで最も満足度の高い演奏といえるでしょう。でも、まだまだ聴いていくつもりです。

カーテンコールの写真はクリックで拡大します。
Waltraut Meier
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Peter Seiffert
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René Pape
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Peter Seiffert, Waltraud Meier and Daniel Barenboim
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Daniel Barenboim
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Roman Trekel and Ekaterina Gubanova
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Roman Trekel, Florian Hoffmann, René Pape and Ekaterina Gubanova
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この劇場はまあまあ美しい内装で音響もよく舞台も見やすいものです。座席数は1396席だそうで、これぐらいのこじんまりした劇場は音響的にも視覚的にもいいですね。ただ、私の座った2.Rang最前列は手すりが邪魔でちょっと見難い席でした。これより下の階がいいと思います。今回は各幕とも終了時はブラヴォーの嵐で、ほとんどの客はStanding Ovationをやるため最前列に座っていないとカーテンコールは非常に見難いものになります。
この劇場は今シーズンを最後に3年間閉館して大改装を行うとのことです。閉館中は昨日知り合ったブロガーのgalahadさんによるとシラー劇場を使って公演を続けるそうです。なお、ブロガーでは本日はベルリン中央駅さんにも初対面していろいろお話を聞くことが出来ました。
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by dognorah | 2010-03-26 02:36 | オペラ

「ランメルモールのルチア」公演

2010年3月20日、Deutsche Oper Berlinにて。
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Lucia di Lammermoor: Dramma tragico in 3 Akten
Music: Gaetano Donizetti
Libretto: Salvatore Cammarano

Musikalische Leitung: Stefano Ranzani
Inszenierung, Bühne, Kostüme: Lorenzo Sanjust

Enrico: Vladimir Stoyanov
Lucia: Eglise Gutiérrez
Edgardo: Roberto Alagna
Arturo: Burkhard Ulrich
Raimondo: Hyung-Wook Lee
Alisa: Katharine Tier
Nomanno: Jörg Schömer

ディアナ・ダムラウがルチアを歌うというので買った切符でしたが、直前に病気降板してしまい、代役は昨年9月にROHのシャモニーのリンダで聴いたエグリーゼ・グティエレスです。
この人の歌唱はそのときと全く同じで歌は上手くて高音もまあまあながら中低音以下の声が汚くて私は好きになれません。今夜は時々最高音が苦しそうなときもありましたが、各アリアともブラヴォーが沢山出ていました。しかしダムラウで聴きたかった。

男声陣は概ねすばらしくて、アラーニャは第1幕ではちょっと太めの声でいつもの彼らしい繊細さが感じられなかったものの、第3幕ではこれぞアラーニャの声と思われる美声を響かせています。エンリーコを歌ったウラディミール・ストヤノフは初めて聴くバリトンですが迫力あるいい歌唱でした。演技的にはちょっと一本調子で視線をやや下げた表情で歌い続けるのが欠点といえるでしょうか。

ランザーニの指揮はドニゼッティらしさが充分出たいい演奏でした。オケは非常に上手いとは言えないもののまあまあ。今日の狂乱の場の楽器は残念ながらフルートでグラス・ハープではなかったです。

この演出はパンフレットによると丁度30年前の1980年に初演されたもので、ベニヤ板の舞台装置も安っぽくて色褪せたものでした。衣装はドレスとケープのカラーコンビネーションなどどうもあまりいただけない趣味ですが、昔のスコットランドの雰囲気は充分出ています。なお、第3幕(第2部第2幕)の嵐の夜のエンリーコとエドガルドの対決の場がカットされており、その後なぜエドガルドが墓場に赴くのか理解しにくいものになっています。二人の応酬は聴き応えのある場面でもあり、カットせずに上演して欲しいものです。
でもオペラとしては今回も楽しめました。

カーテンコールの写真はクリックすると大きくなります。
Roberto Alagna and Eglise Gutiérrez after the 1st Act
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Roberto Alagna, Eglise Gutiérrez and Vladimir Stoyanov after the 2nd Act
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Vladimir Stoyanov, Eglise Gutiérrez, Roberto Alagna and Hyung-Wook Lee after the 3rd Act
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Roberto Alagna
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Stefano Ranzani, Vladimir Stoyanov and Hyun-Wook Lee
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初訪問のこの劇場はDeutsche Oper地下鉄駅を出たところに位置し、雨が降っても濡れることなく入場できる便利な場所です。座席数は1885席。音響的には問題なく、またどこに座っても舞台は見切れることはない印象です。内装は全くと言っていいほど装飾はない味も素っ気もないただの箱という感じ。外観も取り立てて話題にするほどの建築ではありません。利用しませんでしたがレストランは付属しています。インターネット予約したので3人分のチケットを窓口で受け取りましたが、チェックすると別の日本人の方のチケットも混じっていました。あわてて返しに行きましたが酷いミスをするものです。
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by dognorah | 2010-03-25 03:59 | オペラ

マルティヌーとブラームスの演奏会

2010年3月19日、バービカンホールにて。

MARTINŮ: Symphony No. 5
BRAHMS: A German Requiem

Ana María Martínez soprano
Benedict Nelson baritone
BBC Symphony Chorus
BBC Symphony Orchestra
Jiří Bělohlávek conductor

マルティヌーの交響曲第5番は戦争終結を歓迎して明るく元気よいメロディで始まりますが、第1楽章はあまり印象深くはないものの第2楽章は美しくて魅力的、第3楽章は元気が貰える喜びに満ちあふれた音楽で最後は輝かしいエンディングです。まあ楽しめる曲でした。

ブラームスのレクイエムも実演では初めて聴く曲です。お母さんが亡くなったのをきっかけに作曲を進めていましたが、シューマンの死も曲に反映されているとのことです。ブラームスらしい緻密で構成のがっしりしたすばらしい音楽です。主役は合唱ですがBBC Symphony Chorusは本当にすばらしい出来で、この曲の魅力を余すことなく伝えてくれました。ソプラノもバリトンもしっかりした歌唱で声も魅力的です。しかし何でこの二人の出番はこんなに少ないのか、ブラームスの作曲方針には疑問を感じました。バリトンは確か2回歌うだけでソプラノに至ってはたったの1回!あとは椅子にずっと座りっぱなし。名のある歌手が出演しているのにもったいない。もっと聴かせて欲しいものです。

写真はクリックで拡大します。
Ana María Martínez, Benedict Nelson and Jiří Bělohlávek
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BBC Symphony Chorus and BBC Symphony Orchestra
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by dognorah | 2010-03-24 21:39 | コンサート

Ensemble Disquiet演奏会

2010年3月15日、St Stephen’s Churchにて。

Chiho Tsunakawa – piano
Horia Vacarescu – violin
Rui Pinheiro – conductor

Luis Soldano: There is no question
Mendelssohn: Double Concerto in D minor for Violin, Piano and Chamber Orchestra

演奏者は全てRCMの学生です。ピアニストが日本人なので行ってみました。12歳からロンドンに住んでピアノを学んでいます。ヴァイオリニストは先日ルーマニア文化会館で聴いたばかりの人です。共にRCM修士最終学年在籍中。指揮者はポルトガル人でやはりRCMで学んでいます。

最初の曲は1972年生まれの作曲家の作品。10分程度の短い弦楽合奏曲で現代曲の香りはするものの古典的要素もあり物静かで聴きやすいものでした。これが世界初演ということで終演後は作曲者も壇上に。

次のメンデルスゾーンの曲は恐らく初めて聴く作品で珍しいものを聴かせて貰いました。演奏時間40分ぐらいの大作で大変楽しめました。もっと演奏されてもいい曲です。ヴァイオリンは先日と同様あるいはそれ以上に伸び伸びと美音を響かせて演奏をリード。ピアノは第1楽章ではやや控え目な演奏でもっとガンガンやってもいいのではと思いました。第3楽章になってかなり自己主張するような感じでしたが。オケは見事なアンサンブルで盛り上げていました。
演奏後は近くの家でパーティがあり1-2時間仲間達と歓談してから駅の方に戻ると何と今日の独奏者二人とばったり路上で出会ってびっくり。少し話をしましたが、あまり演奏されないのにとてもいい曲だったので今回のプログラムに選んだとのこと。彼女はイギリス生活が長いので日本語は大丈夫かなと思いましたがちゃんと日本語で会話できました(笑)
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by dognorah | 2010-03-19 19:28 | コンサート

ヘンデルのオペラ「タメルラーノ」公演

2010年3月5日、ROHにて。
All the photos were taken after the performance and enlarged by clikking.
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Tamerlano: Opera in three acts
Music: George Frideric Handel
Libretto: Nicola Francesco Haym

Director: Graham Vick
Conductor: Ivor Bolton
Orchestra of the Age of Enlightenment

Tamerlano: Christianne Stotijn (mozzo-soprano)
Andronico: Sara Mingardo (mozzo-soprano)
Bajazet: Kurt Streit.(tenor)
Asteria: Christine Schäfer (soprano)
Irene: Renata Pokupić (mozzo-soprano)
Leone: Vito Priante (bass)

バヤゼット(Bajazet)役を歌うはずだったドミンゴがキャンセルして一気に熱が覚めた雰囲気ですが、オペラ自体もプロダクションもとても素晴らしくて、特にドミンゴファンでもない私には十分に楽しめました。
まずヘンデルの音楽がとてつもなく美しい。ストーリーから当然の雰囲気になるどうしようもない物悲しさが漂うわけですが、それをイボール・ボルトン指揮のOrchestra of the Age of Enlightenmentが感動的美しさで表現してくれるので長いオペラ(休憩を入れて4時間半)もちっとも長いとは感じないで音楽に没頭できました。ボルトンという人は今まで何度かROHで見ましたがいつも大体バロックオペラを振っているのでこういうのが得意な人なんですね。
Ivor Bolton
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歌手では、ドミンゴの代わりに歌ったクルト・シュトライト(あるいはアメリカ人なのでカート・ストリートとでも読むのでしょうか)はハンサムで演技上手な上、美声とかなりの声量の持ち主で満足すべき出来でした。
Kurt Streit
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しかし、タイトルロールを歌ったクリスティアンネ・ストテインは声はいいものの声量がまるでなく、皇帝としての覇気もないし歌唱も感心する出来ではなかったです。ダンスはまあ頑張っていましたが。
Christianne Stotijn
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アンドロニコを歌ったサラ・ミンガルドとアステリアを歌ったクリスティーネ・シェーファーも声は小さくて地味ですが歌唱はじっくり聴くとまあまあで、第2幕の二重唱など感動的美しさでした。二人とも演技的にはたいしたことがないものの役にふさわしい感情表現が上手かったと思います。
Christine Schäfer and Sara Mingardo
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イレーネ役のレナータ・ポクピッチは声量もあってなかなかの歌唱でした。
レオーネ役のヴィト・プリアンテもハンサムな上、艶と張りのある声が素晴らしい。
Renata Pokupić and Vito Priante
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Sara Mingardo and Renata Pokupić
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演出のグレアム・ヴィックは今までなんどかROHで仕事をしていますが、基本的に様式美を追求する人という印象です。今回はそれがすごく効果的で黒服に白いターバンを巻いた俳優たちが事あるごとに出てきて歌手たちの後ろで歌詞や台詞を補足するがごとく太極拳のような動作をするのですが、カチッと決まっている感じで見るものに感銘を与えます。
タメルラーノやイレーネは何度か色彩豊かな美しい衣装も着ますが舞台装置と衣装は概ね白と黒で統一されていてそれが非常に美しい。このオペラにふさわしい演出と言えるでしょう。最初見てすぐに5年ほど前に見たモーツァルトの「ポント王ミトリダーテ」を思い出しました。様式美の追求の仕方がそっくりで、これがヴィックの特徴となっているのでしょう。
Ivor Bolton and Graham Vick
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なお、この演出は2001年にフィレンツェで公演されたプロダクションを借りてきたものです。2008年のマドリードでも上演され、これはドミンゴが出演していてDVDにもなっています。

私はこの公演を大変楽しみましたが、ヘンデルのオペラに興味が無くてドミンゴが出演するというだけで切符を買った人には退屈だったでしょう。第1幕終了時にはかなりの客が帰り、第2幕終了時には更に大量の客が逃げ出しました。第3幕終了時間が午後11時という事情もあったかも知れませんが。ドミンゴが出演予定の公演は切符が売り切れで、そうでない公演は同じオペラでも大量に切符が売れ残ったという事実は、オペラには元々興味がないお客が大量にいるということで、何だかなぁと思ってしまいます。先日のヴィーンフィルの演奏会でも普段のコンサートでは見ることのない大量の日本人客がいましたが、同様のお話しですね。
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by dognorah | 2010-03-07 11:25 | オペラ

3月のエネスコ協会定例コンサート

2010年3月4日、ルーマニア文化会館にて。
Enescu Society Concert at Romanian Cultural Institute, London
Horia Vacarescu (violin)
Constantin Sandu (piano)

Programme:
A. Corelli / F. Kreisler: La Folia
L. van Beethoven: Sonata in A Major, Op.47 "Kreutzer"
E. Chausson: Poème
G. Enescu: Sonata no.2 in F minor, Op.6

今月の演奏者は共にルーマニア人で、ヴァイオリニストはブカレストで音楽教育を受けてから留学したRCMの修士最終学年です。ピアニストは1964年生まれで現在ポルトガルでピアノを教えています。共に幼少時からステージで演奏してきた経験があります。

今日も楽しめたコンサートでしたが、特にショーソンの詩曲は格段に美しくて深みもあって好きです。聴き慣れたベートーヴェンのソナタは力演で迫力がありましたが、エネスコのソナタの方が聴き慣れない分新鮮だし、演奏も緻密でより素晴らしいものでした。やはり同国人作曲家への思い入れは他とは異なるのでしょう。あまり親しみやすいメロディは出てこないものの、ノーブルなヴァイオリンの音色が素晴らしいし、何かを語りかけるような構成も面白い。全体にやや憂いを帯びた調子で、特に第2楽章は特に消え入りそうな音色に託した感情表現が美しくて魅入られてしまいます。普通の演奏会ではめったに聴けないエネスコの素晴らしい音楽を聴けて幸せでした。
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by dognorah | 2010-03-06 23:58 | コンサート

ヴィーンフィル演奏会(ロンドン)

2010年3月2日、バービカンホールにて。

Beethoven Symphony No 6 'Pastoral'
Debussy La mer
Ravel Daphnis et Chloé Suite No 2
(アンコール)ブラームスハンガリー舞曲第5番

Vienna Philharmonic Orchestra
Lorin Maazel conductor

VPOを聴くのは昨年9月以来ですが、マゼール指揮のものは2008年5月に本拠のムジークフェラインで聴いて以来です。その時と同様今回もマゼールの棒さばきに圧倒されました。

ベートーベンの6番は9曲の中では最もVPOで聴いてみたい曲で、予想通りゆったりとしたテンポでオーストリーの田園風景を彷彿とさせる大満足の演奏でした。弦も管も本当に美しく、過去に聞いた田園の中で最高の体験です。アンコールに出てきたマゼールはオケを立たせて自分も拍手しながら退場することでオケを讃えていました。

ドビュッシーの「ラ・メール」とラヴェルの「ダフニスとクロエ」も名演で燦然と輝く色彩感が素晴らしい演奏でした。もっとしっとりとした演奏も過去に聴いていていいものだと思いましたが、私は今回のようにオケの実力を目一杯使ったド派手なものが好きです。テンポも中庸で曲とオケの特徴を最大限発揮したような演奏で聴きごたえがありました。

アンコールは打って変わってマゼール流を前面に出した演奏で、テンポは揺らぐは、長い間を取るわでもうやりたいようにやり通した演奏で、オケメンバーもそれを楽しむように一糸乱れず彼の指揮棒について行きました。とても面白い演奏で、アンコールというのはこうやるもんだという見本みたいな演奏です。いやー、元気なじいさんです。御年80歳ですべて暗譜で指揮しました。まだまだ振り続けるでしょう。

写真は終演後のもので、コンサートマスターは見慣れない人ですがSteudeさんでしょうか。クリックすると拡大します。
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幕間に友人と話している時に女性奏者が少ないというコメントがあったのでドビュッシーの時に数えてみたら少なくとも9名はいました。結構増えましたね。
(追記)コンサートマスターはRainer Honeckさんであることを友人から教えて頂きました。
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by dognorah | 2010-03-04 09:03 | コンサート