<   2009年 11月 ( 7 )   > この月の画像一覧

ロイヤルバレー「くるみ割り人形」公演

2009年11月26日、ROHにて。

The Nutcracker: Ballet in two acts
Music: Pyotr Il’yich Tchaikovsky
Choreography: Peter Wright after Lev Ivanov
Original Scenario: Marius Petipa after E.T.A. Hoffmann’s “Nussknacker und Mausekönig

Conductor: Koen Kessels
The Orchestra of the Royal Opera House

Herr Drosselmeyer: Gary Avis
Clara: Iohna Loots
Hans-Peter/The Nutcracker: Ricardo Cervera
The Sugar Plum Fairy: Miyako Yoshida
The Prince: Steven McRae
Rose Fairy: Helen Crawford
Artists of the Royal Ballet

吉田都さんのくるみ割り人形ももうそろそろ最後かなと思って見に行きました。全くその通りになったようで、今日Naoko Sさんのブログを見たら今シーズン限りでロイヤルバレーを退団されるようです。ロンドン最後の舞台は来年4月の「シンデレラ」になる模様。

実は「くるみ割り人形」の公演を見るのは初めてです。予想以上にすばらしい振り付けで、1幕も2幕も大変楽しめました。Herr Drosselmeyerの手品も堂に入ったもので感心。舞台装置も衣装も華やかでよくできています。
吉田さんの踊りもとても美しいもので、ダンサーとしては高齢の44歳ながらまだまだ問題なく踊れそう。得意の役で鑑賞できてよかった。相手役のスティーヴン・マクレも躍動感溢れるダンスですばらしかったし。
Koen Kessels指揮するオケも好調で美しい音が気持ちよかった。
今日は他にも日本人ダンサーが沢山出演していたようです(あまり顔と名前を一致させられないのです)。Akane Takada、Yuhui Choe、Ryoichi Hirano、Kenta Kura、Yohei Sasaki。
今日は録画収録していて、このDVDは来年発売だそうです。
吉田さんが本当に最後なら来年4月のシンデレラも見てみようかなという気になりました。

左から Gary Avis、Miyako Yoshida、Steven McRae
c0057725_3195792.jpg

Miyako Yoshida
c0057725_3211374.jpg

Miyako Yoshida & Steven MacRae
c0057725_322020.jpg

The Mirlitons. 左から2番目が Akane Takada
c0057725_3223297.jpg

Yuhui Choe
c0057725_323690.jpg

[PR]
by dognorah | 2009-11-28 03:26 | バレー

チェレヴィチキ(Cherevichki)初日

2009年11月20日、ROHにて。

題名とあらすじおよび出演者情報についてはリハーサルの記事を参照して下さい。

歌手ですが、Oxanaを歌ったOlga Guryakovaは最初の方こそ声の固さがちょっと気になりましたが、間もなくそれも取れて高音までよく伸びる美声を楽しむことが出来ました。実はリハーサルの時にちょっとヴィブラートが気になる部分があったのですが本日はそれもなく、堪能しました。彼女を初めて聴いたヴィーン国立劇場での「ドン・カルロ」におけるエリザベッタの時と同様の出来で、健在を久し振りに確認できて嬉しかったです。Vakula役のVsevolod Grivnovはリハーサルも今日の初日も変わらず好調で柔らかくて心地よいテノールが響きます。Solokha役のメゾソプラノ、Larissa Diadkovaは声量もあって立派な歌唱です。ただ、悪魔役のMaxim Mikhailovはリハーサルではよく声が出ていたのに、本日は大変不調で全く声が響かず、残念でした。その他の歌手は概ね十分な歌唱で楽しませてくれました。
この指揮者で管弦楽を聴くのはこのプロダクションが初めてですが、やや不満です。もう少し切れ味よく鳴らして欲しいもので、あまりチャイコフスキーらしさが感じられない気がします。そのために第1幕で冗長さが余計感じられました。ただ、バレーシーンではなかなかよかったという印象です。

このオペラは第1幕と第2幕が合計で80分と長く、筋の運びもやや単調で冗長です。アリアとしては第1幕のSolokhaのもの、Oxanaのもの、Vakulaのものなど聴きどころがあります。第3幕になると俄然テンポもよくなり、たっぷりとバレーシーンもあって最も楽しめる幕です。第4幕では行方不明になったワクラを悲しむソロカとオクサナのアリアがすばらしく、特に最後の二人による二重唱はアリア的には全編の白眉で、歌手がすばらしかったこともあって感動しました。

リハーサルの時はストール席のど真ん中で見たものですから、出来のよい舞台は隅々までよく見えてその点でも大いに楽しめたのですが、今日はオケピット横の席のため、意外に奥行きのある舞台はかなり見切れてしまいました。最初に全体を見ていてよかったと思いました。でなければあれほど舞台のことを褒めなかったかも。ただ、バレーシーンはさすがに間近で見ると細部まで堪能できて満足です。日本人男性ダンサー(多分蔵健太さん)も出演しているのが分かりました。

Olga Guryakova
c0057725_0212297.jpg

豪華な靴型のソリから降りる主役二人
c0057725_0222663.jpg

Gary Avisとバレーダンサー達
c0057725_023168.jpg

他のバレーダンサー達
c0057725_024639.jpg

コサックダンサー達と Olga Sabadoch
c0057725_0245570.jpg

演出の Francesca Zambelloと右側は Larissa Diadkova
c0057725_0254090.jpg

余談ですが今日はもう一つ面白いことがあって、いつも読ませて貰っているすばらしいブログIntermezzo の著者とお話しが出来たことです。全く顔を知らなかったのですが、私のオペラ仲間で時々コメントも書いて下さるPrimroseさんから「多分あの人だ」と教えて貰い、無礼にも話しかけてみたらご本人だったというわけです。その人も私のブログを時々覗いているのは知っていましたが、英語で書いているわけではないので写真だけ参照しているんだろうと思います。どんなカメラを使っているのか見せて欲しいと言われました(笑)
[PR]
by dognorah | 2009-11-23 00:28 | オペラ

シュニトケのオペラ「The History of D. Johann Faustus」抜粋

2009年11月18日、RFHにて。

Conductor: Vladimir Jurovski
Dr Faustus: Stephen Richardson (bass)
Mephistophila: Anna Larsson (mezzo-soprano)
Mephistophiles: Andrew Watts (counter-tenor)
Narrator: Markus Brutscher (tenor)
Chamber Choir of the Moscow Conservatory
London Philharmonic Orchestra
Director: Annabel Arden

プログラム
Haydn: Symphony 22 (The Philosopher)
Wagner: Prelude and Good Friday Spell from Parsifal
Schnittke: Excerpts from the opera ‘The History of D. Johann Faustus’

シュニトケはロシアの作曲家ということになっているけれど、彼の体内には一滴だってロシア人の血が入っていないドイツ系の人間らしい。何でも18世紀にドイツ系の女帝Catherine the Greatの誘いでドイツから大量の移民がEngelsという地方に来てそこはソ連時代もドイツ系の連邦として存在していた。彼の両親もドイツ語を話す人達で、従って彼はドイツ文化に惹かれながら成長したらしい。彼の母親は古いドイツ語を話す人で、彼は後年モーツァルトの手紙の中に同種のドイツ語を発見して驚喜したようだ。一方では当然ソ連内の、特にロシア文化の影響も多大に受けており、必然的にロシアと西洋の両文化をミックスした作品スタイルといわれている。今日のプログラムはドイツ移民が始まった年に作曲されたハイドンの交響曲第22番と多大な影響を受けたヴァーグナーの音楽をイントロにして、1994年に作曲されたオペラの抜粋を配したものだ。
オペラのもとになった物語は1587年にフランクフルトで出版されたDas Volksbuch vom Doktor Faustであるが、ここに至るまでにシュニトケは若い頃からファウストの物語に惹かれてトーマス・マンやゲーテなどファウストに関するあらゆる文献を読みあさっていたらしい。
このオペラでは、人生や哲学などあらゆることをもっと深く極めたいという欲求からメフィストを呼び出し、何でもいうことを聞いて貰う代わりに24年後には魂も肉体もメフィストに提供するという契約を結ぶが、期限が来ても満足せず、泣く泣く悪魔に身を捧げるというストーリーである。しかし魂に関しては神の審判が降りるまではメフィストも自由に出来ないと慰められる。ゲーテの物語とは違ってここでは女のメフィストも登場するが、役割はいまいちはっきり理解できなかった。歌詞は当然ドイツ語で、物語の進行役としてナレーターが結構活躍する。
音楽はシュニトケらしい響きでなかなか魅力的である。メフィストフィレスを演じるカウンターテナーがメフィストフィーラを歌うメゾソプラノより高い声域を出しているのじゃないかというくらい高音が伸びていて、独特の雰囲気を出していた。出演者は全てよく声が出ており、満足すべき出来と言える。合唱(ドイツ語なのになぜモスクワから呼んだのか不思議)も立派。
演出は、ナレーターが客席の一部も使って動き回って変化を付けていたのは理解できる。しかしメフィストフィレスが最初はちゃんとした背広を着ていたのに後半はズボンを脱いでハイヒールを履いた姿にしたのはよく理解できない。
抜粋なので大きなことは言えないが、とにかく初めて経験するシュニトケのオペラは大変興味深いものがあった。

この公演は11月24日にBBC Radio 3で放送されるため、出演者は全てマイクを装着しており、ナレーターのものは直接会場のスピーカーで拡声されていた。最後の方では悪魔二人がカラオケのようにマイク片手に歌う部分もあった。

写真は左から指揮者Vladimir Jurovski、演出のAnnabel Arden、ファウストのStephen Richardson、メフィストフィラのAnna Larsson、メフィストフィレスのAndrew Watts、ナレーターのMarkus Brutscher
c0057725_192966.jpg

[PR]
by dognorah | 2009-11-22 01:12 | オペラ

チャイコフスキーのオペラ「Cherevichki」(女帝の靴)リハーサル

2009年11月18日、ROHにて。

指揮者と出演者達
c0057725_3121.jpg

Cherevichki: Comic-fantastic opera in four acts
Composer: Pyotr Il'yich Tchaikovsky
Libretto: Yokov Polonsky amplified by Nikolai Chaev and the composer after Nikolay Gogol’s story “Christmas Eve”

Director: Francesca Zambello
Set Designer: Mikhail Mokrov
Costume Designs: Tatiana Noginova
Lighting Designer: Rick Fisher
Choreography: Alastair Marriott
Conductor: Alexander Polianichko
Royal Opera Chorus
Orchestra of the Royal Opera House

Oxana: Olga Guryakova
Vakula: Vsevolod Grivnov
Solokha: Larissa Diadkova
Chub: Vladimir Matorin
The Devil: Maxim Mikhailov
Schoolmaster: Viacheslav Voynarovskiy
Pan Golova: Alexander Vassiliev
Panas: John Upperton
His Highness: Sergei Leiferkus
Master of Ceremonies: Jeremy White
Wood Goblin: Changhan Lim
Principal Dancers: Mara Galeazzi, Gary Avis
Dancers: Dancers of The Royal Ballet

まず、題名について。ロシア語原題のCherevichkiの意味は「可愛い靴」らしいのですが、ROHは内容から意訳して「女帝のスリッパ」としています。しかしここでいう英語のslippersは日本語のスリッパからイメージするものとは異なり、公式パーティのような改まった席でイヴニングドレスと共に履くおしゃれな靴のことです。舞台でも宝石を散りばめた燦然と輝く靴が使われていました。
発表時のチャイコフスキーはこれは自分の最良のオペラと言っているくらいの自信作らしい。もともと1874年に作曲コンクールに応募するために作ったオペラ「鍛冶職人ワクラ」を11年後に大幅に改訂したものです。因みに、その作曲コンクールではこれが優勝演目となってマリンスキー劇場で初演されました。そのときの審査員をしていたリムスキーコルサコフは使われた原作に興味を示して、自身も後にこれに基づいたオペラを作曲しているそうです。

さて、このオペラは恐らくROHで初めて公演する演目と思いますが、今回のプロダクションはとても良くできていて子供から大人まで万人が楽しめるステージとなっています。舞台装置はメルヘン調で丁寧に作られているし、衣装も然り。指揮者と共にロシア人スタッフです。歌手達も主要役は全てロシア人で固められています。チャイコフスキーのバレー音楽を思わせる管弦楽も美しいし、アリアもたっぷり、それに加えてバレーシーンが結構あり、おまけにコサックダンスのシーンまであってentertainment性は盛大。
歌手の出来など詳しいことは、本番を見たときに書くことにして、ストーリーのあらすじだけ紹介しておきましょう。

Olga Guryakova & Vsevolod Grivnov
c0057725_314369.jpg

Mara Galeazzi and dancers
c0057725_32174.jpg

あらすじ
ウクライナの鍛冶職人ワクラには同じ村に住むオクサナという恋人がいて、結婚したいと思っているが彼女自身もワクラを好きなくせに態度はいまいち煮え切らない。彼の母親ソロカは魅力的な寡婦でしかも魔女なので悪魔、村長、校長、オクサナの父親チュブと4人もの男が彼女の家に次から次に押しかけ、彼女はその度に先に訪問していた男を石炭袋に隠す。最後は息子のワクラがかえってきて、家の中に沢山ある石炭袋を始末するために持ち出す。途中でクリスマスイヴの準備で賑わっている広場にさしかかったとき、オクサナは友人が綺麗な靴を履いているのを見て自分も欲しいとワクラにねだる。挙げ句の果てに宮殿にいる女帝が履いているような豪華なものが欲しいと言い出し、皆の前でもしワクラが女帝の靴を手に入れてくれたら彼と結婚する、と宣言する。そんなことできっこないと意気消沈したワクラは悪魔の入っている袋だけ引きずりながら自殺を考える。川岸に来たときに、水の精から川に引き込まれようとするが、悪魔が袋から出てきて「待て!オクサナと結婚できるように取りはからってやるから、その代わりに魂を俺にくれ」と言って水の精を追い払う。その隙に悪魔の後ろに回り込んだワクラはしっぽを捕まえて悪魔をさんざんいたぶる。悪魔は「言うことは何でも聞くから勘弁してくれ」と言って、ワクラの希望通りサンクトペテルスブルグの宮殿に空を飛んで連れて行く。そこでワクラが粘って無事に女帝の靴を手に入れ、再び悪魔に助けて貰って村に帰る。オクサナにその靴をプレゼントして二人はめでたく結婚する。
[PR]
by dognorah | 2009-11-20 03:04 | オペラ

久し振りに深町純さんのピアノを聴く

もう数日が経過してしまったが、先日Crane & Tortoise(鶴と亀)というパブで開催された深町純さんのコンサートに行ってきた。以前、ソーホージャパンで初めて聴いてから4年経つ。背中まであった長い髪は短く切られていて、4年前に一緒に来ていたガールフレンドとは結婚されたそうだ。28歳年下という(羨)。相変わらず達者な指捌きで即興演奏を次々と披露していく。聴いていて心地よい。本当に即興演奏なのかどうか疑う方がいるかも知れないので聴衆の方から頂いたメロディでやってみます、というパフォーマンスも前回と同じだし、君が代のメロディはユニゾンでしか弾けないという解説も同じ。前半は彼の独奏のみだったが後半はロンドン在住の音楽家達との共演が盛り込まれていた。最初は彼の作曲した歌曲を2曲メゾソプラノの榎本明子さんが歌った。作曲者の解説によると、日本にはこういうちゃんとしたクラシックの声楽家が歌える歌が今まで無かったので、自分が作ろうと思った。明治時代に時の政府は欧州に有望な作曲家を留学させ、帰国した彼等に小学校で歌える唱歌を作曲させた。それは今でも歌い続けられているが所詮クラシックコンサートで歌えるような代物ではない、とのこと。この件には私は大いに共感した。日本人歌手がロンドンでコンサートをするときは、求められてあるいは自主的に一部日本の歌をプログラムに組むことが多いが、そこで「故郷」「赤とんぼ」「荒城の月」など文部省唱歌が歌われた日には居心地が悪くなって虫酸が走る。欧州の歌曲に比べて出来が悪すぎて鑑賞に耐えないのだ。
ということで今回の歌曲はちゃんとした詩に曲を付けた本格的なものだという触れ込みで、事実なかなか聴き応えがあった。榎本さんの声の調子も大変よかった。今後榎本さんのコンサートで時々聴かせて貰えるだろう。
この後はポピュラー音楽の方へ移り、ヴォーカル、ギター、ヴァイオリンを交えた4人のセッションとなったがいずれも楽しい音楽だった。
コンサート終了後はワインを飲みながら知人達とカンバンまで語り合い、新しく知り合えた人も出来て充実した夜となった。
[PR]
by dognorah | 2009-11-14 07:05 | コンサート

ドニゼッティのオペラ「マリア・ディ・ロアン」

2009年11月7日、RFHにて。

Gaetano Donizetti: Maria di Rohan
(concert performance)

Sir Mark Elder: conductor
Krassimira Stoyanova: Maria, Countess of Rohan
José Bros: Riccardo, Count of Chalais
Christopher Purves: Enrico, Duke of Chevreuse
Loïc Felix: Armando di Gondi
Brindley Sherratt: De Fiesque
Graeme Broadbent:Il Visconte di Suze
Christopher Turner:Aubry
Riccardo Simonetti:Un Familiare di Chevreuse
Geoffrey Mitchell Choir
Orchestra of the Age of Enlightenment

上演時間は1時間50分程度のマイナーなオペラで、存在を初めて知りました。例によってOpera Raraの公演です。ドニゼッティのオペラでよく耳にするようなメロディ満載の音楽で楽しめます。

主役の二人、クラッシミーラ・ストヤノワとホセ・ブロスが絶好調のすばらしい声で非常に盛り上がった公演となりました。二人とも透明感のある美声で高音も伸び伸びとして気持ちのいい歌唱です。
ストヤノワはヴィーンで見た「フィガロの結婚」の伯爵夫人で初めて聴いて以来これで3回目の経験ですが必ず満足を与えてくれるポーランド人ソプラノです。
スペイン人テノール、ホセ・ブロスもヴィーンで見た「清教徒」のアルトゥーロで初めて聴き、次いで「パリシーナ」のウーゴ役をロンドンで聴いたのでやはりこれが3回目で同じくいつも満足を与えてくれる歌唱で非常に安定していますね。フローレスよりほんのちょっと重めの声です。
次いで重要な役であるエンリーコ役はイギリスのバリトン、クリストファー・パーヴェスによって歌われましたが、大略いい歌唱だったものの全面的には感心できずちょっと残念です。一部音域でやや不安定で魅力を欠く声でした。
他の役所はそれほど大した台詞は無いし今日の出演者で十分の出来です。
合唱はほとんどが第1幕で歌われますが、文句なしの出来でした。

マーク・エルダーの指揮するOAE管は美しいアンサンブルと古楽器とは思えないほどの迫力で感嘆すべき演奏でした。感情の起伏をメリハリたっぷりで歌わせる指揮振りはさすがドニゼッティを得意とするエルダーらしい出来です。

終演後の盛大な拍手に応えて、珍しく主役二人によるアンコールが演奏されました。第1幕で歌われる美しい二重唱です。

José Bros and Krassimira Stoyanova
c0057725_23254624.jpg

会場では録音されていませんでしたが、本日とほぼ同じ出演者でスタジオ録音されて2011年にCDが発売されるそうです。
なお、イタリア語リブレットなので舞台ではマリア・ディ・ロハンと発音されますが、フランスの物語ということで日本ではロアンと表記されるようです。


あらすじ
ルイ13世が統治するパリのルーヴル宮廷での話。マリアと秘密裏に結婚しているエンリーコは禁止されている決闘で時の宰相リシュリューの甥を殺したため逮捕されて死刑の宣告をされている。マリアは彼を助けるため自分を愛してくれているリッカルド(王の信任が厚い)に会いに行き、王に釈放を取りなしてくれるよう依頼する。彼等の結婚の事実をまだ知らず、エンリーコを単なる恋敵と思っているリッカルドは悩むが意を決して王に頼みに行く。それは奏効してエンリーコは釈放される。そうこうしているうちに宰相リシュリューは解任されたというニュースが伝わり、甥の結婚相手にマリアをと考えていたリシュリューを恐れて秘密にしていた結婚をエンリーコは公にする。次いで、王から使者が来てリッカルドに宰相となるよう依頼される。しかしリッカルドはある男から決闘の挑戦を受けていて法に反してそれを遂行しようとしているため、王の申し出を断る。そして決闘の準備をするが、彼を恩人と思っているエンリーコは彼と共に決闘に参加することにする。そうこうしている間にリシュリューが再び宰相に任命されたというニュースが伝わり、リシュリューは政敵を葬るためにリッカルドの家を家宅捜査し、全ての書類を押収する。その中にマリアに宛てた恋文があり、それは宰相の差し金でエンリーコに渡される。激怒したエンリーコは彼の居所をリシュリューの捜索隊に知らせるとともに自身で彼を殺そうとする。マリアと一緒の逃亡を企てていたリッカルドは絶望してピストル自殺をする。マリアは夫に自分も殺してくれるよう頼むが、エンリーコは一生恥知らずな女として生きろ、と冷たく言い放つ。
[PR]
by dognorah | 2009-11-08 23:28 | オペラ

ルネ・フレミング+シャルル・デュトワ

2009年11月3日、RFHにて。

プログラム
Sergey Prokofiev: Romeo and Juliet - Montagues and Capulets
Sergey Prokofiev: Romeo and Juliet - The Young Juliet
Sergey Prokofiev: Romeo and Juliet - Madrigal
Sergey Prokofiev: Romeo and Juliet - Minuet (The Arrival of the Guests)
Sergey Prokofiev: Romeo and Juliet - Masks (Romeo and Mercutio masked)
Sergey Prokofiev: Romeo and Juliet - The Balcony scene
Sergey Prokofiev: Romeo and Juliet - The Death of Tybalt
Sergey Prokofiev: Romeo and Juliet - Romeo at Juliet's Tomb
Interval
Peter Ilyich Tchaikovsky: Tatiana's Letter Scene (Eugene Onegin)
Peter Ilyich Tchaikovsky: Fantasy Overture, Romeo & Juliet (vers. standard, 1880)
Ruggiero Leoncavallo: Musetta svaria sulla bocca viva (La Boheme)
Ruggiero Leoncavallo: Mimi Pinson la biondinetta (La Boheme)
Umberto Giordano: Nel suo amore (Siberia)
Giacomo Puccini: Sola, perduta, abbandonata (Manon's aria) (Manon Lescaut)

Royal Philharmonic Orchestra
Renée Fleming: soprano
Charles Dutoit: conductor

フレミングがデュトワの棒で歌うという珍しい組み合わせのコンサートです。あるいはアメリカあたりでは既に共演したことがあるのかも。10月31日にアムステルダムで同じ伴奏で同内容の歌を演奏した後ロンドンにやってきたようです。ただし管弦楽曲は一部違っていますが。恐らく欧州各地で公演してきたのでしょう。今夜のガウンは凝ったデザインでちょっとややこしいものです。ベージュ系のおとなしい色ですがもう少し派手でもいいのに。多くの微小ダイヤによる細かい細工のネックレスが素敵でした。つい数ヶ月前の「椿姫」以来の彼女ですがそのときよりちょっと太めになったかなと思いました。

前半はプロコフィエフの「ロメオとジュリエット」組曲抜粋。1年前にゲルギエフ指揮で全曲を聴いており、/それは名演でしたが、デュトワが振るとまるで違う雰囲気です。しかしこういうスタイルもありで、充分音楽を楽しめました。とにかく上手いです。
後半になってようやくお目当てのフレミングが登場。いきなりエフゲニー・オネーギンの手紙のシーンという大曲です。出だしはちょっと声のコントロールがうまくいかない部分がありましたが歌うにつれてどんどんよくなり、結果としてはすばらしいシーンでした。彼女は2007年にゲルギエフ指揮でMETでこれを演じているんですね。

次のチャイコフスキーの「幻想序曲」は前半とこの直前のプログラムからの連想で持ってきたものでしょうけれど、曲が悪いのか演奏が悪いのか退屈で、早く終わってくれないかなぁ状態。こんな演奏で20分以上も時間が費やさせるのは納得がいかない。

この後の3曲はレオンカヴァルロの「ラ・ボエーム」にしろジョルダーノの「シベリア」にしろ存在さえ知らなかったオペラからのアリア。レオンカヴァルロのものは両曲とも諧謔性がありとても楽しめる音楽です。美しい声が際立ちます。ジョルダーノは愛を歌ったものなのでしょう、しっとりした静かな音楽です。これも素敵な歌唱でした。「マノン・レスコー」からの音楽はプッチーニらしい劇的な音楽です。こういう美声で全編聴いてみたいと思わせるもので、表現力も凄い。
アンコールは「ジャンニ・スキッキ」から例のアリア「私のパパ」。先日ROHの舞台で見たばっかりですが、あのときと違って豊かな感情表現が感じられてさすがに風格があります。こんな風に娘に歌われたら父親もたじたじでしょう。翌日の朝起きてもこのメロディが頭の中をぐるぐる回っていました。

出来れば前半も歌って欲しいコンサートでした。しかしこのホールは彼女の声にはやや大きすぎる気がします。せいぜいバービカンホールくらいがいいでしょう。オケはちょっと鳴らし過ぎなところもありました。控え目に願いたいものです。

Renée FlemingとCharles Dutoit。左端は今夜のコンサートマスター。
c0057725_9583086.jpg

Renée Fleming
c0057725_100585.jpg

[PR]
by dognorah | 2009-11-05 10:00 | コンサート