<   2009年 05月 ( 6 )   > この月の画像一覧

ロンドンフィル演奏会

2009年5月22日、RFHにて。

指揮:Vladimir Jurowski (佐渡裕の代役)
ヴァイオリン:Vilde Frang
合唱:London Philharmonic Choir

プログラム
Grieg: Peer Gynt Suite No.1
Vaughan Williams: The Lark Ascending
Ravel: Tzigane
Holst: The Planets

佐渡裕という人の指揮にはまだ接したことがないので切符を買っていましたが、あっさりとキャンセルを食らってしまって残念です。
しかし代役の音楽監督はさすがで、自分で選んだのではないプログラムもしっかり聴かせる演奏でした。ペール・ギュント組曲は目を見張る美しい弦の響きでしたし、惑星もスケールの大きい演奏でした。間の2曲はノルウェーの若いヴァイオリニストの独奏入りです。ヴォーン・ウイリアムズの曲は恐らくヴァイオリンをヒバリに見立てて構成した曲でしょう。叙情的な美しい曲です。ツィガーヌではテクニックの冴えを見せてくれましたが、音色的にはあまり好みじゃないヴァイオリンでした。
[PR]
by dognorah | 2009-05-24 06:48 | コンサート

ドニゼッティのオペラ「愛の妙薬」公演

2009年5月20日、ROHにて。

L’elisir d’amore: Melodramma giocoso in two acts
Music: Gaetano Donizetti
Libretto: Felice Romani

Director: Laurent Pelly
Conductor: Bruno Campanella

Adina: Diana Damrau
Nemorino: Giuseppe Filianoti
Dulcamara: Simone Alaimo
Belcore: Anthony Michaels-Moore
Giannetta: Eri Nakamura

1年半振りに再演されたプロダクションです。今回のアディーナはすばらしく、ダムラウは安定して良い歌唱を聴かせる人ですね。ネモリーノを歌ったフィリアノーティは3月のヴィーンにおけるエドガルド役でいまいちの調子でしたが今日はよかったです。美声がよく出ていて有名な第2幕のアリアも堪能しました。デュルカマラ役のアライモも立派。この人は5年前のドン・パスクヮーレで聴いて以来です。しかしベルコア役のマイケルズ=ムーアという人は声が汚れているし輪郭のぼやっとした歌唱でよくなかった。ジャンネッタを歌った中村恵理は今回も良い声が出ていましたが、役のせいか今までに比べるとそれほど印象的ではありませんでした。
指揮のブルーノ・カンパネッラをROHで聴くのは「ドン・パスクヮーレ」「連隊の娘」に続いてこれで3回目ですが、いずれもドニゼッティなのでスペシャリストなのでしょうか、今回もいい音を引き出した佳演でした。

以下はカーテンコールの写真です。
Diana Damrau as Adina
c0057725_9331998.jpg

Giuseppe Filianoti as Nemorino
c0057725_9343139.jpg

Eri Nakamura as Giannetta
c0057725_935258.jpg

Bruno Campanella and Diana Damrau
c0057725_936443.jpg

[PR]
by dognorah | 2009-05-23 09:37 | オペラ

ヘンデルのオペラ「クレタのアリアンナ」コンサート形式

2009年5月17日、バービカンホールにて。

Handel: Arianna in Creta (an opera in three acts)
Libretto: adapted from Pietro Pariati

出演
Miah Persson: Arianna (soprano)
Lisa Milne :Alceste (soprano)
Kristina Hammarström: Teseo (mezzo-soprano)
Sonia Prina: Carilda (contralto)
Marina de Liso: Tauride (mezzo-soprano)
Antonio Abete: Minos (bass)
Academy of Ancient Music
Christopher Hogwood: conductor

過去何度かヘンデルのオペラを同じ形式で上演してきたホグウッドとその楽団は今回もすばらしい演奏で会場をうならせました。特に今回は管弦楽が冴えており、弦も管も本当に透明な音色でウットリするほどです。心の底からヘンデルの音楽をエンジョイしました。ホグウッドは先日ROHでパーセルとヘンデルのオペラを2本立てで指揮しましたが、管弦楽をOAEでなくなぜ自分の楽団を使わなかったのでしょう。このAcademy of Ancient Musicの方が遙かに隅々まで神経の行き届いた演奏になったはずなのに。

歌手ではスェーデン人ソプラノのミア・パーソンがさすがのうまさで以前聴いた「フィガロの結婚」でのスザンナ役と同様感動しました。声も美しいのですがコントロールがすばらしく感情表現が深味もあってずば抜けていました。
Teseo役を歌ったデンマーク人メゾのクリスティーナ・ハンマーストロームは肺炎で降板したキルヒシュラーガーの代役ですが声も良いしかなりレヴェルの高い歌唱ではありました。しかしもう少しメリハリを付けて起伏の大きい歌唱を望みたいところです。長身の美人でズボン役にはぴったりですが。この役は出番が多くて恐らくアリアの数では一番多いものと思われ、それだからこそキルヒシュラーガーが予定されていたのでしょうからちょっと残念です。
Alcesteを歌ったリサ・ミルンは充分上手い歌唱でした。唯一のデブ振りが際立っていましたが。イタリア人コントラルトのソニア・プリナも非常に上手い人です。声も良いです。Tauride役のイタリア人メゾは上背がないせいか声はソプラノに近い声質ですが声も歌唱もなかなかのものです。唯一の男性歌手(多分イタリア人)アントニオ・アベーテは低音の響きのすばらしい人で心地よい声です。

最初の写真は二人のソプラノリサ・ミルン(左)とミア・パーソン。
Lisa Milne (left) and Miah Persson
c0057725_22123438.jpg

次は左からソニア・プリナ、マリーナ・デ・リソ、クリスティーナ・ハンマーストローム、クリストファー・ホグウッド、ミア・パーソンです。
c0057725_22131034.jpg

あらすじ
クレタとアテネを中心とするギリシャ連合の戦いの結果、7年ごとにアテネはクレタのミノタウロスへ捧げる犠牲として7人の若者と7人の処女を提供する義務を負っている。今回はその3度目の責務を果たす年。選ばれた7人の処女の中には、クレタ王ミノスの娘なのに誘拐されてテベスの王の娘として育てられたアリアンナおよび美人のカリルダが含まれているがアリアンナおよびミノスともに彼女の本当の身分を知らされていない。選ばれた若者達の中にはミノタウロスを殺す意図を持ったテセオと勇猛なアルチェステが含まれているが、テセオとアリアンナは相思相愛、アルチェステはカリルダに片思い、カリルダはテセオに片思いという恋愛関係にある。ミノスとクレタの武将タウリーデは犠牲の若者達をラビリンスの中に閉じこめてあるミノタウロスへ届ける手はずを相談するが、その中でラビリンスに入って無事に出てくる手段として糸をたぐる方法およびミノタウロスを殺すには喉に剣を突き立てるしかないことなどの会話が交わされ、それをアリアンナに盗み聞きされてしまう。それはすぐにテセオにもたらされ、それを元に彼は成功裏にミノタウロスを殺した上無事に帰還し、今度はタウリーデに挑戦するが、タウリーデはすぐに降参してしまう。こうしてアテネの責務は解消され、テセオとアリアンナは結ばれる。またテセオをあきらめたカリルダはアルチェステの愛を受け入れる。
[PR]
by dognorah | 2009-05-19 22:15 | オペラ

パーセルのオペラ「アーサー王」コンサート形式

2009年5月6日、バービカンホールにて。

King Arthur:A dramatic opera in five acts
Music: Henry Purcell
Libretto: John Dryden

演奏
Le Concert Spirituel
Hervé Niquet: conductor
Susan Gritton: soprano (Philidel, Nereid, Venus)
Anders J. Dahlin: tenor (Tenor 1)
James Gilchrist: tenor (Tenor 2, Comus, Shephard)
Andrew Foster-Williams: bass-baritone (Grimbald, Cold Genius, et.al)
Deborah York: soprano: soprano (Philidel, Cupid, Nereid, She)

法事で日本に行っていたためレポートが遅れました。
フランスの古楽演奏団体ル・コンセール・スピリチュエルはモーツァルトのパリ交響曲を初演したりした18世紀の音楽集団から名前を取って指揮者エルヴェ・ニケによって1987年に設立されたものです。
今回演奏されたパーセルのオペラは演劇部分と音楽劇部分で構成されているそうですが、今夜は音楽部分だけが演奏されました。

アーサー王というのは実在が確かめられているわけではなく伝説上の人物らしい。それはともかくドイツ方面からサクソン人がブリテン島を侵略に来たのは事実で、それを退けた英雄がアーサー王というわけである。防御側も侵略側も魔法使いを従えており、物語としては漫画みたいなものだが、アーサーの愛する盲目の女性エメリンが敵の大将オズワルドを愛しているなどおきまりの状況もしつらえられている。最後はアーサーがサクソンを追い返した上エメリンも得るというめでたい話になっている。

音楽部分だけだと筋もあまり筋だっているわけではなく、字幕も出ないので物語の内容は分かりにくいものでした。しかし音楽はなかなかすばらしく、歌手の皆さんも水準が高くコンサートとしては充分楽しめました。歌手の中ではバスバリトンのアンドリュー・フォスター=ウイリアムズが声の良さと歌唱で一番印象的でした。

最初の写真は左からテノールのAnders J. Dahlin、ソプラノのSusan GrittonおよびソプラノのDeborah Yorkです。
c0057725_0335068.jpg

次の写真は左から指揮者のHervé Niquet、バスバリトンのAndrew Foster-WilliamsおよびテノールのJames Gilchristです。
c0057725_0342417.jpg

[PR]
by dognorah | 2009-05-16 00:35 | オペラ

「ローエングリン」公演

2009年5月5日、ROHにて。

終了直後の舞台。歩いているのはクヮングチュール・ヨーン
c0057725_22191114.jpg

Lohengrin: Romantische Oper in three acts
Words and music: Richard Wagner

Director: Elijah Moshinsky
Designs: John Napier
Conductor: Semyon Bychkov
The Royal Opera Chorus
The Orchestra of the Royal Opera House

CAST
Lohengrin: Simon O'Neill
Elsa von Brabant: Edith Haller
Ortrud: Petra Lang
Friedrich von Telramund: Gerd Grochowski
Heinrich I: Kwangchul Youn
Herald: Boaz Daniel
First Noble: Haoyin Xue
Second Noble: Ji-Min Park
Third Noble: Kostas Smoriginas
Fourth Noble: Vuyani Mlinde

感動しました。すばらしい公演です。ビシュコフの指揮が凄くてオケもそれによく応えた演奏でした。舞台裏やボックス席を使って大編成の金管を鳴らした効果もよく出ていました。第3幕開始時の拍手と歓声に応えてビシュコフがオケを立たせようとするとオケメンバーが指揮者を讃える仕草をするだけで立とうとしなかったぐらい(ROHでは初めて見るシーンです)オケも指揮者にぞっこんだったのです。それぐらい今夜のビシュコフは憑かれたような指揮振りで、これまた好調の歌手陣と共に類い希な舞台を見せてくれました。

Semyon Bychkov
c0057725_22202735.jpg

演出はモシンスキーですからかなり古いものだと思いますが、彼特有のこてこての伝統的舞台ではなく、背景は現代舞台のようにすっきりした壁のようなものながら、小道具と衣装が美しくまた厳かなもので充分ローエングリンらしい神秘性と厳粛さを表現していました。これならまだまだ使い続ける価値のある演出だと思います。ただ、第1幕で延々と紗幕の向こう側で演じさせるのは不愉快です。ローエングリン登場を効果的にする狙いは分かりますが、ただそれだけのためにはあまりにも犠牲が大きすぎます。果たしてモシンスキーのオリジナル演出がそうなっているのかどうか不明ですが。ROHではよく別のディレクターが演出をいじることが多いので。

歌手ですが、何といってもタイトルロールのサイモン・オニールが特段にすばらしい。この人は2007年に公演されたROHの「ヴァルキューレ」でジークムントに出演して絶賛を博したニュージーランドの若いテノールで、今回はヨハン・ボータとダブルキャストになっているので敢えて彼の出演する日を選んだのでした。ジークムントの時よりやや太めになっていますが、まだまだボータほどではありません。このローエングリンで要求される高音を本当にスムーズに美しく出し続けてくれて、ビシュコフの音楽作りに大きな寄与をしたと思います。第1幕で登場したときの衝撃的美声は昨年5月にヴィーンで聴いたクラウス・フローリアン・フォークトにはかないませんが。

Simon O'Neill & Edith Haller
c0057725_22213468.jpg

エルザを歌ったエディット・ハラーは昨年のバイロイトの「指輪」で何役にも登場していたもののそれほど強い印象は受けなかった人ですが、今回のエルザ役としては充分及第点で、この人も高音は美しく出ていました。

ハインリッヒ1世を歌ったヨーンは上記のフォークトの時も出ていたし、昨年のバイロイトでもいくつかの役で聴いていますが、それらに比べると今日の出来はちょっとよくなかった。声に艶が無く低音の迫力もいまいち。特段悪いというわけではないですが調子が悪かったのでしょう。これが本日唯一の瑕。

Kwangchul Youn & Petra Lang
c0057725_22222378.jpg

テルラムントを歌ったゲルト・グロチョフスキーは今年2月にミラノでクルヴェナール役で聴いた人です。そのときもいい声と思いましたが、今日はそのときにも勝るすばらしい印象を与えてくれました。美しく張りのある声が魅力的だし声量もあります。

Gerd Grochowski
c0057725_22231417.jpg

オルトルート役のペトラ・ラングもいつにも増して高音がスムーズでいい歌唱でした。意地悪女の表現が大変上手い。

私がROHでこの舞台を見るのは2003年6月以来6年ぶりですが、そのときはロバート・ディーン・スミス、ルネ・パーペ、ヴァルトラウト・マイヤーなど錚々たる歌手が出ていたにも拘わらず、よかったなー程度の印象しか無く、モシンスキーの舞台もほとんど憶えていないので恐らく私は居眠りでもしていたのでしょう(^^; でも、今回はしっかり印象に刻まれました。また見たい舞台です。
[PR]
by dognorah | 2009-05-06 22:25 | オペラ

中村恵理、ストラヴィンスキー歌曲とマーラー第4番で独唱

2009年4月29日、Purcell Roomにて。

恐らく中村恵理さんがROH研修生となったときにすぐコミットさせられたプログラムと思いますが、将来を嘱望される若手音楽家達に演奏機会を与える目的でロンドンフィルが主催しているイヴェントです。これまでの彼女のROHにおける活躍振りからすると今更こういうプログラムに参加する意義はあまりないと感じられるものでしたが、海のものとも山のものとも分からない昨年夏の段階で決められたのでしょう。出演者は15名足らずの器楽奏者と若手指揮者、それに中村さんです。指揮者はケンブリッジ大学とRoyal College of Musicを卒業し、あちこちのオーケストラを客演したり副指揮者を務めている人です。中村さんは恐らく3曲目のストラヴィンスキーの曲がフランス語歌詞とはいえ日本の詩に基づくものだったせいで指名されたものと思われます。

プログラム
・Stravinsky: Eight Instrumental Miniatures
・Schoenberg: Three Pieces for Chamber Orchestra
・Stravinsky: Trois Poésies de la lyrique japonaise
1.Akahito
2.Mazatsumi
3.Tsaraikuni
・Schoenberg: Three Pieces for Chamber Orchestra – repeat
・Mahler: Symphony No.4 in G

マーラー以外の曲は全てとても短い曲で、最初は10分足らず、2曲目は2-3分、3曲目の歌曲も3曲歌って5分足らずです。4曲目は2曲目の繰り返しで、プログラミングには大いに問題ありです。まあ全て悪くないものでしたが。歌曲はソプラノの高音域だけで歌われるような印象で、これも非常に魅力的とはいえないまでも悪くない音楽です。各歌詞の題名は何を表しているのかいまいちよく分かりませんが。中村さんは何をやっても一定レヴェル以上の結果を残す人であることは今回も示してくれました。フランス語もしっかりとした発音で情感たっぷりの表現でした。
マーラーは弦楽器5人と木管それに打楽器を主とし、あとの楽器はオルガンとピアノで代用という室内楽団用アレンジをしたものです。一応形はなっているものの原曲を知っているものにとってはやや退屈というのは否めません。早く第4楽章になって中村さんが登場してくれないかなぁとつい思ってしまいます。しかし第3楽章は編曲が良いのかなかなか聴かせてくれました。
そして第4楽章、中村さんの歌唱は諧謔的な歌詞を活き活きと喜びに満ちあふれたような表現がすばらしく、ここでも何でも歌える器用な人という印象です。
会場にはROH研修所のディレクターであるDavid Gowland氏もいましたが、弟子の出来には満足だったことでしょう。
写真はマーラー終了後の中村さんです。
Eri Nakamura
c0057725_8252562.jpg

[PR]
by dognorah | 2009-05-01 08:25 | コンサート