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ロンドン国際ピアノコンクール最終日

2009年4月28日、RFHにて。

3年に一度開催されるLondon International Piano Competitionは4月18日より24名のピアニスト達によって競われてきたが、28日は最終選考に残った3人によるGrand Final(本戦)であった。主催側の発表によると事前選考には世界各国から100名近い応募があり、その中から24名が選ばれてロンドンにやって来たわけである。日本人もAnna Kurasawaという人が入っていたが、残念ながらGrand Finalにはいなかった。選考は4段階に分かれており、Stage 3(準決勝)まではピアノ独奏で腕を競うが、本日の本戦ではピアノ協奏曲を演奏する。曲はバルトークからチャイコフスキーまで古今の名協奏曲を網羅した21曲の中から演奏者が2曲を候補として挙げ、本戦の段階で審査員がどちらかを指名するという方式である。なお、残った3人は全て男性であった。

演奏した順に記すと、
Andrejs Osokins (Latvian) リストの第1番
Alessandro Taverna (Italian) ショパンの第1番
Bezhod Abduraimov (Uzbek) プロコフィエフの第3番
管弦楽はロンドンフィル、指揮はJames Juddである。

結果からいうと優勝はウズベキスタン人のAbduraimovという18歳の最若年の人である。第2位はイタリア人のTavernaであった。
さすがにそれぞれ大変上手であるが、最後の人は一等飛び抜けていたようだ。選んだ曲のプロコフィエフはつい前日に私はアルゲリッチの名演で聴いており、この若者が全身全霊を傾けて必死の指捌きで弾いている様を見て、アルゲリッチという人はやっぱり凄いピアニストだということを痛感した次第である。彼女はさらさらっと苦もなく弾いているように見えたけれど、実は凄く難しいテクニックが要求される曲だったんだ。それはともかくこのウズベキスタン人はほぼ完璧に引きこなして迫力満点だったので終わった途端会場はStanding Ovationでブラヴォーの嵐となった。最初の二人の候補者に対しては単に拍手だけだったことを考えるとこの騒ぎは審査員に対するインパクトも充分だったのであろう。もし弾けるならこの曲をひっさげてコンクールに臨むのはとても良いアイデアと思う。

コンクールを傍聴するのは初めてだが、終わってからああだこうだと他の人達と順位付け議論をするのはなかなか面白い。実は26日の準決勝も聴きに来る予定だったが、交通事情が悪くて遅刻してしまい、断念したのはちょっと残念である。

ところで、このコンクールはあまり有名ではないようだ。1991年より開催されているが、入賞者にはあまり活躍している人はいないような気がする。私の知っているピアニストはイギリス人のPaul Lewis (1994年第2位)ぐらい。因みに第1回目の1991年優勝者はChiharu Sakaiという日本人であるが、私はその名前は聞いたことがない。
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by dognorah | 2009-04-30 09:09 | コンサート

アルゲリッチ+デュトワ

2009年4月27日、RFHにて。

プログラム
Sergey Prokofiev: The Love for Three Oranges, Suite
Sergey Prokofiev: Piano Concerto No.3
Sergey Prokofiev: Romeo and Juliet, Suite arr. Dutoit

出演
Charles Dutoit: conductor
Martha Argerich: piano
Royal Philharmonic Orchestra

シャルル・デュトワは昨年11月にフィルハーモニア管を振ったのを聴いていますが、今回はダニエレ・ガッティの後任としてRPOの音楽監督就任後初のコンサートです。ガッティは10年間勤めて、その間彼の数少ないコンサートはさすがと思わせるいい音をロンドンでもあまり評価の高くないこのオケから引き出していましたが、レパートリーや音の傾向の全く違うデュトワにはまた違った意味の期待を抱いています。

最初の曲はコンサート発表時のベルリオーズから変更したものですが、あまり実演では接していない有名曲だけに私としては歓迎。期待通り彼の色彩表現がすばらしいし、活き活きしたリズム感が溌剌とした印象を与えてとても楽しめました。オケの反応もすばらしく、彼の音楽監督振りにも期待を充分抱かせるものです。

アルゲリッチはロンドンではプロムスで一回聴いたきりかなというおぼろげな記憶がありますが、とにかく実演は久し振りです。彼女がロンドンに来るのもかなり久し振りじゃないでしょうか。そのせいか彼女が舞台に登場したとたん大歓声が巻き起こりました。本人も気持ちがよかったことでしょう。今回も昔の夫君の伴奏です。別れてからも音楽では共演することが多いので円満な別れ方をしたんですね。そういう例はヴァイオリンのムターと指揮のプレヴィンでも見られますが。
それはともかく演奏は圧巻でした。今年6月の誕生日が来れば68歳になるけれど、テクニックの衰えなど微塵も感じられない達者な指捌きで、オケとの呼吸も完璧、名演というほかないでしょう。第1楽章でも第3楽章でもコーダの迫力は凄まじいものでした。もっと頻繁にロンドンに来て欲しい人です。今日はご機嫌麗しかったのかアンコールを2曲も弾いてくれました。最初のはよく分かりませんが2曲目は多分ショパン。
写真は終演後にデュトワと共に挨拶するアルゲリッチです。白いものが目立つ髪は非常に長く、演奏中はしばしば耳の後ろに束ねて視界を確保していました。
Martha Argerich and Charles Dutoit
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最後の曲はバレー音楽ですが40分程度にまとめた抜粋です。この全曲は昨年11月にゲルギエフ指揮ロンドン響の名演で聴いていますが、今回はやはりデュトワの特徴がよく出ていた演奏で、より色彩的で派手ですがスケールも大きく迫力がありました。こういう演奏もなかなかすばらしくもっと聴いていたいと思わせるものでした。
ということで今日のコンサートは大満足。今後のデュトワが楽しみです。
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by dognorah | 2009-04-28 21:52 | コンサート

グリモー+ジョーダン

2009年4月23日、RFHにて。

メンデルスゾーン:序曲、フィンガルの洞窟 Op.26
ブラームス:ピアノ協奏曲第1番ニ短調、Op.15
シューマン:交響曲第2番ハ長調、Op.61

ピアノ:Hélène Grimaud
指揮:Philippe Jordan
管弦楽:Philharmonia Orchestra

今回はグリモーを間近で見るためにステージから5メートルくらいの席で聴きました。
ジョーダンは19日の日曜にベートーヴェンの皇帝協奏曲とブラームスの4番をやったようで、今回のプロと合わせてドイツロマン派音楽を集中的に指揮したことになりますが恐らく最も彼が得意とする音楽なのでしょう。

メンデルスゾーンの序曲はゆっくりしたテンポでオケを朗々と鳴らすスタイルで、スケールの大きい演奏でした。この曲に対するイメージとしてはもう少し軽やかなものを持っていましたが、メンデルスゾーンはこうなんだといわんばかりの重厚な音楽作りで、これもありだなぁと納得させられる演奏でした。ところで、オケを見て気付いたことは、今日は10人のチェロ奏者がなんと全員女性でした。以前から女性奏者が多いことは気付いていましたが男性が一人もいないのを見るのは初めてかも。

ブラームスのピアノ協奏曲は当初第2番をやるということで切符を販売したのですがピアニストが間近になって第1番に変更したのでした。私はどちらも好きな曲なのでどうでもよかったのですが演奏者にとっては意味があったのでしょう。理由を説明したレターを受け取ったのですが内容は失念。
ここでもジョーダンはゆっくり目のテンポで序奏を演奏しますが今日は終始オケの低弦に合図を送って強調させてスケールの大きい迫力を出しています。そしていよいよピアノの導入、ところが意外に小さな音でしかも硬い。オケとのマッチングもややちぐはぐな感じでした。しかし第1楽章も3分の1を過ぎる頃からピアノはガンガン鳴りだしオケとの呼吸も合ってきて力強い演奏となりました。強烈なタッチで鳴らされる芯のあるカチッとした音はスケール感溢れるオケと見事に調和し、背中がぞくぞくするような演奏になりました。ブラヴォー!
写真は終演後贈呈された花束と共に。
Hélène Grimaud
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シューマンの2番は昨年12月にラトル指揮OAEで聴いていますが、今日は近代オケでの演奏。これもスケールの置きい演奏で、オケの弦楽部が特に美しく朗々と鳴って迫力ある演奏となりました。テンポはやや遅めながら体を揺すりたくなるようなリズム感もたっぷりで、卓越した演奏でした。ところで第2楽章後半のエキサイトする部分でジョーダンは指揮棒を振り回しすぎて指揮台後部のガードレールにぶつけてしまい、指揮棒の先端部が砕けて破片が飛び散るというハプニングがありましたが、それだけ彼は熱中してモーションを大きくしていたのでした。譜面台がなかったのも思う存分振り回す原因となったかもしれません。とにかく納得のいく熱演で演奏としてはラトルと甲乙付けがたいものですが、音響的には私はやはり近代的なオケによる演奏が好みです。
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by dognorah | 2009-04-26 02:38 | コンサート

ヴェルディのオペラ「トロヴァトーレ」公演

2009年4月21日、ROHにて。

Il trovatore
Dramma in four parts
Music: Giuseppe Verdi
Libretto: Salvadore Cammarano after Garcia Gutiérrez’s play El trovador

Conductor: Carlo Rizzi
Director: Elijah Moshinsky
Set Designs: Dante Ferretti
Costume Designs: Anne Tilby
Lighting: Mike Gunning

CAST
Count di Luna: Dmitri Hvorostovsky
Leonora: Sondra Radvanovsky
Azucena: Malgorzata Walewska
Manrico: Roberto Alagna
Ferrando: Mikhail Petrenko
Ines: Monika-Evelin Liiv
Ruiz: Haoyin Xue

このオペラを見るのは丁度5年ぶりです。前回の印象が弱くて(歌手も全く大物は出ていなかった)はてどんな舞台だったかと思いながら臨みましたが、実物を見ると一部思い出しました。さすがにモシンスキーの舞台は丁寧な作りで美しいです。フェルランドが部下の兵士達にジプシー女が火刑になった恐ろしいいきさつを語る場面では列柱の奥の壁が真っ赤になるなど説明的でもあります。第2部第2場でレオノーラが修道院入りする場面は駅舎のような鉄骨とガラスを組み合わせた建物が美しいのですがいまいち物語とかけ離れているような気はします。
リッツィの指揮はいつものようにオケからいい音を引き出していました。

歌手ではやはり5年前のファウスト以来久し振りに見たアラーニャがすばらしい声で、第3幕のハイCの入ったカバレッタも迫力ある歌唱だったと思います。
レオノーラを歌ったラドヴァノフスキーはとても歌の上手い人だとは思いますが、3年前の「シラノ・ドゥ・ベルジュラック」で聴かせてくれた美声はもうどこかへ行ってしまったらしく、大幅に増えたビブラートに代表されるような不快な声は2年前の「スティッフェリオ」の時よりも更に酷くなり、アリアを楽しむというわけにはいかない状態でした。それでもこういう声が好きだという人もいるらしく盛大な拍手と歓声を受けていましたが、私は今後御免被りたい歌手です。
ルーナ伯爵を歌ったホロストフスキーはなかなか調子がよく、スタミナをセーヴするようないつもの悪い癖もありませんでした。といってもこの人はどうも非常に好きになるというタイプの歌手ではないですが。
アズチェーナを歌った人は初めて聞く名前ですが、無難に歌うもののもう少し迫力を期待したい役柄です。エンリーコとの二重唱もあるのに全くアラーニャの相手役としては不足です。
ペトレンコはよく声が出ていたと思いますが時には出過ぎ?と思うことも。
しかし、指揮者以外イタリア人が一人もいないというのも凄いですね。

今回は右隣におしゃれな若い白人女性が珍しく一人で座っていて、目が合うとにっこりの状態でちょっと気になっていたのですが(笑)、2回目ぐらいの場面転換の小休止の時に私のオペラグラスを貸して欲しいとの要望が来ました。聞けば、近視なのに眼鏡を忘れてきて、字幕はもちろん歌手の顔もおぼろげであまり楽しめないとのこと、喜んで協力しました。舞台は近めだし私はもう主な出演者の顔も一通り見たあとで特に必要もなかったし。ちょっと言葉に訛りがあったので質問したらメキシコ人という。現在スコットランドにあるSt Andrews大学(プリンス・ウイリアムズが行っていましたね)に留学中で、この演目を見るために一晩だけロンドンに出てきたとのこと。実演はそれほど見ていないけれど凄いオペラ通で、大抵の歌手やオペラは知っていました。メキシコ人歌手ではビリャソンよりバルガスの方が好きだそうです。今回はバリトンのホロストフスキーが目当てだそうで、彼のアリアでは盛大な拍手をしていましたね。終演後、オペラグラスのお礼がしたいというのでワインを一杯奢って貰って楽しい会話のひとときを過ごしましたが、こういう効用もオペラグラスにはあるんですな。

以下の写真は全てカーテンコールから。
Roberto Alagna
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Sondra Radvanovsky
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Dmitri Hvorostovsky
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Malgorzata Walewska
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by dognorah | 2009-04-23 05:02 | オペラ

ROHの2009/2010シーズン

今日受け取った情報によると来期は9月7日、ドニゼッティの「シャモニーのリンダ」で開幕。例年のようにコンサート形式である。

次いで9月中旬から10月にかけて「ドン・カルロ」。カウフマン、キーンリーサイド、トムリンソン、フルラネットなどが出るがエリザベートにまたポプラフスカヤなのがいただけない。

「トリスタンとイゾルデ」が新演出で久し振りに上演されるがシュテンメのイゾルデはともかくトリスタンがベン・ヘプナーとはがっかり。もう少しましなテノールを手当てして欲しかった。

「カルメン」はガランチャとアラーニャで脇役はダルカンジェロとリピン・ザン。これは行くしかない。ヴィーンのように脇役にネトレプコというわけにはいかないようだが。

舞台の美しい「バラの騎士」が5年ぶりに再演されるので楽しみ。コッシュとイソコスキーの共演なのでまあまあだろう。

チャイコフスキーの聞いたこともないオペラ「The Tsarina’s Slippers」が新演出で上演されるが主演にオルガ・グリヤコワが出るので楽しみ。恐らくROHデビューだろう。彼女もネトレプコとほぼ同じ時期に妊娠していて昨年ミュンヘンの「エフゲニー・オネーギン」は振られてしまったが、出産後の活躍については話題になっていない。

ドミンゴがヘンデルの「タメルラーノ」という演目に出るのは話題作りか。共演はシェーファー。彼はバリトン役の「シモン・ボッカネグラ」も歌うことになっている。

新演出の「アイーダ」はカロシ、マルセロ・アルバレス、ディンティノ競演で面白そう。私の知る限り、ディンティノはROHデビューか。

「椿姫」は5月と7月にやるが7月は久し振りにゲオルギューで、そのときはパパジェルモンにルチッチが再び出る。アルフレード役のヴァレンティという人はあまり知りません。

「連隊の娘」は前回と全く同じ顔ぶれ。

6月から7月にかけての「マノン」は三番煎じくらいだがネトレプコとビリャソンの共演。
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by dognorah | 2009-04-19 07:43 | オペラ

文楽鑑賞

2009年4月13日、国立文楽劇場(大阪)にて。

演目
義経千本桜の三段目(椎の木の段、小金吾討死の段、すしやの段)

***主な出演者***
 竹本住大夫
 竹本綱大夫
 鶴澤寛治
 鶴澤清治
 吉田簑助
 吉田文雀 ほか

諸般の事情で4月7日より大阪にいます。16日にはロンドンに戻りますが。
ちょっと時間が出来たのでホテルから日本橋の方へ千日前通りをぶらぶら歩いていたら国立文楽劇場に行き当たった。文楽はTVでしか見たことがないので大いに興味をそそられる。しかしその公演時間割を見て驚く。第1部が午前11時開始、午後3時25分終了。第2部が午後4時開演、午後9時14分終了。ヴァーグナーもびっくりの長丁場だ。しかも休憩時間がきわめて少ない。これをまとめて見る時間的余裕はないので、幕見席と言って1幕のみを見る切符を買った。上記の三段目のみを見たわけだが、これだけでも休憩なしの2時間45分とオペラ並みの時間がかかる。幕見席は特殊な切符なので左右後方の席があてがわれており、小さな人形を見るにはやや遠い。今回は持っていなかったけれど双眼鏡が必要だ。それでも生の舞台は大変楽しめた。人形は遠くても語りの声や三味線がすばらしいし、話の筋も良くできている。上記出演者には浄瑠璃語りをやる大夫が二人しか書いていないが実舞台では交代で6-7人出演していた気がする。三味線や、人形遣いもしかり。
平日のせいか客の入りは6-7割であったが、熱心なファンが多いように見受けられた。またいつか、今度は舞台間近で見たいものだ。
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by dognorah | 2009-04-16 00:03 | 観劇

久し振りにヴァイオリンリサイタル

2009年4月3日、Wigmore Hallにて。

Kawoon Yang: violin
Olga Sitkovetsky: piano

Programme
Mozart: Sonata for piano and violin in A major KV305
Schubert: Duo Sonata in A D574
Ravel: Sonata for violin and piano
Fauté: Violin Sonata No.1 in A major Op.13

c0057725_75427.jpgヴァイオリニストは30歳前後の韓国の女流。豊麗な音で極めて正統的な演奏。4曲とも非の打ち所のないまっとうな演奏で大いに楽しめました。好みの問題ですが特に後半のフランスものは心に響きました。それにも増して感心したのがロシア人ピアノ伴奏者で、舌を巻くほど上手い。こちらは40代か。1991年にメニューインに請われてメニューイン音楽学校で伴奏者として2000年まで働き、多くの生徒が国際コンクールで賞を取る手助けをしたという。卒業生達は世界のあちこちで演奏をする場合今でも彼女に伴奏を依頼しているそう。そうしたくなる気持ちはとても良く分かります。舞台上でヴァイオリニストはのびのびと自分の持てる力を発揮して弾くだけで渾然一体となった音楽が出来てしまうという印象を受けました。写真はヴァイオリニストでネットより借用。
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by dognorah | 2009-04-05 07:08 | コンサート

またまた「カプレーティ家とモンテッキ家」

2009年4月2日、ROHにて。

Bellini: I Capuleti e i Montecchi

予告通り6回目の観劇をこなし今回も感激でした。
ガランチャとネトレプコの歌唱はもう言うことなし。ストレートに感動できるレヴェルの高い歌唱で、二人の調子がこんなに揃って絶好調なんてあまり無いことでしょうし、大体今後この二人の共演が他のオペラで実現できるかというとROHではなかなか無いでしょうし。アリアで共演してDVDを出しているノルマあたり期待したいところですが。
6回のうち5回がこの二人の共演でしたが、そういうことを考えるとこれだけの回数見れたことは幸せと言うほかありません。特に今日の席は舞台から数メートルの至近距離でしたので二人の息継ぎの音もはっきり聞こえ、歌声が耳にびんびん響いて迫力でも満点でした。
オーケストラも今日は序曲からしっかりした音で熱演でした。ただ、全般にもう少しテンポを速めて欲しいとは思いました。特に二人のアリアではスローすぎると感じることもままありましたから。
もう既に写真はたっぷり撮りましたので今回は写真はありません。
来週から日本に一時帰国しますので、このプロダクションの鑑賞は今回で打ち止めです。
ロンドンの椿姫さんやレイネさんなどご一緒させていただいた方々、ありがとうございました。おしゃべりする時間がもっと欲しかったくらい喋らせていただき、大変楽しい夜でした。
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by dognorah | 2009-04-03 09:34 | オペラ

ヘンデルのオペラ「アシスとガラテア」初日

2009年3月31日、ROHにて。
「ダイドーとイニーアス」との2本建てです。こちらはやや長く、上演時間は約90分です。

Asis and Galatea: Pastoral opera in two acts
Music: George Frideric Handel
Libretto: John Gay, Alexander Pope and John Hughes

Conductor: Christopher Hogwood
Director and Choreographer: Wayne McGregor
The Royal Opera Extra Chorus
Orchestra of the Age of Enlightenment

CAST
Galatea (sung by): Danielle de Niese
Galatea (danced by): Lauren Cuthbertson
Acis (sung by): Charles Workman
Acis (danced by): Edward Watson
Damon (sung by): Paul Agnew
Damon (danced by): Steven McRae
Damon (danced by): Melissa Hamilton
Coridon (sung by): Ji-Min Park
Coridon (danced by): Paul Kay
Polyphemus (sung by): Matthew Rose
Polyphemus (danced by): Eric Underwood
Dancers of The Royal Ballet

こちらの台本も神話から取ったと思われる内容です。ニンフ、羊飼い、巨人が出てくるのですが、半分神であるニンフ、ガラテアを巡ってアシスという羊飼いと巨人の三角関係の末、巨人がアシスを殺すというもの。ガラテアは神としての力を使用して死んだアシスを噴水の神に蘇生させておしまい。


ウェイン・マグレガーはバレーに関してはこちらに重点を置いたようで、プリンシパル・ダンサーも配してなかなか見応えのある踊りを見せてくれました。オペラで歌手達が演じることを同時並行でバレーでも表現するという見る方にとっては大変忙しい舞台ではありますが、振り付けも優雅さと複雑さがあって満足の出来るものでした。オペラの演出も舞台装置も特に違和感なく内容に入っていけます。この作品はオペラというよりオラトリオと分類されるのが普通のようですが、確かにヘンデルのオペラとしてはちょっと弱いという印象です。内容からしてバレーと組み合わせるには適した演目かもしれません。

今日の歌手は際立って優秀というわけではなかったです。ダニエル・ドゥ・ニースもこれがROHデビューですが意外に小柄な人なんですね。今日の履き物がペタンコのものだったのでよく分かったのです。昨年夏にバービカンRAH で見たときは長身の人という印象を受けたのですがきっと高いハイヒールだったのですね。今日はそれほど声が出ている印象ではなかったし全般に印象が薄い舞台でしたが、最後のアリア (Heart, the seat of soft delight) だけはいい声がよく出ていてすばらしい出来でした。音楽的にもこの部分が一番よく書けていると思いました。
アシス役のチャールズ・ワークマンはまあまあの声です。巨人のマシュー・ローズはセーラ・コノリー同様の状態であることがアナウンスされていましたが、確かにいつもの調子ではなかったです。合唱はROHの2軍なんでしょうがなかなか上手いものです。
オケの演奏そのものは高い水準でした。
目から飛び込んでくる情報も凄く多いので、ちょっと一回きりでは消化できそうもありません。パーセルとヘンデルの記念年だから企画されたものなので当分見れないかと思うと少し残念です。

最初の写真はダニエル・ドゥ・ニース。
Danielle de Niese
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次は左からクリストファー・ホグウッド、チャールズ・ワークマン、ダンサーのポール・ケイ、演出と振り付けのウェイン・マグレガー。
Christopher Hogwood, Charles Workman, Paul Kay and Wayne McGregor
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その次はバレー主役達のローレン・カスバートソンとエドワード・ワトソン。
Lauren Cuthbertson and Edward Watson
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その次は巨人を演じたマシュー・ローズとエリック・アンダーウッド。
Matthew Rose and Eric Underwood
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最後はデイモンを演じたメリッサ・ハミルトンとスティーヴン・マクレー。
Melissa Hamilton and Steven McRae
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by dognorah | 2009-04-02 08:04 | オペラ

パーセルのオペラ「ダイドーとイニーアス」初日

2009年3月31日、ROHにて。
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Dido and Aeneas: Opera in three acts
Music: Henry Purcell
Libretto: Nahum Tate

Conductor: Christopher Hogwood
Director and Choreographer: Wayne McGregor
The Royal Opera Extra Chorus
Orchestra of the Age of Enlightenment

CAST
Dido: Sarah Connolly
Belinda: Lucy Crowe
Aeneas: Lucas Meachem
Sorceress: Sara Fulgoni
Spirit: Iestyn Davies
Sailor: Ji-Min Park
First Witch: Eri Nakamura
Second Witch: Pumeza Matshikiza
Second Woman: Anita Watson
Dancers of The Royal Ballet

ベルリオーズのオペラ「トロイ人」と同様、トロイ滅亡後にカルタゴに逃げてきたイニーアスとカルタゴの女王ダイドーが恋に陥るも、イニーアスが神のお告げ(今回のオペラでは魔女によるトリック)を受けたということでカルタゴを去り、絶望したダイドーが死ぬ。ベルリオーズのものより遙かに単純で上演時間は約1時間。

今回の上演はこのあとの演目「アシスとガラテア」と同様ロイヤルバレーとの共演という珍しい演出なのが話題です。オペラの筋の進行に合わせてダンサーも踊るというものです。ただ、ダイドーとイニーアスの場合は振り付けがあまり優雅でなく、衣装も含めて体操のような印象で、別にバレーはなくてもいいかと思いました。舞台の作りはシンプルながら美しいもので、オペラの内容には充分即したものと言えます。衣装は結構凝っていて、上半身はいいデザインと思いました。下半身は女性はロングスカート、男性は袴からヒントを得たのじゃないかと思われる襞の多いパンタロン風です。まあエキゾティックで悪くはないですが。

開始前にセーラ・コノリーがこの数週間なにか(多分風邪か)を煩ってきて今でも回復途上にあるのでお含み置きを、とのアナウンスがありました。実際彼女の声は絶好調とはいいがたいものでしたが、まあそこそこ歌えていました。驚いたことに彼女はこれがROHデビューなんだそうです。
相手役のアメリカ人バリトン、ルーカス・ミーチェムはテノールに近い軽めの声で好演でした。
ダイドーのメード、ベリンダ役は主役に匹敵するくらい沢山歌いますが、イギリス人ソプラノ、ルーシー・クロウは爽やかな声でこれも好演でカーテンコールでは盛大な拍手喝采を貰っていました。昨日のリサイタルに続いて今日も歌った中村恵理さん、今回はそれほど歌の量がなかったのですが無難にこなしていました。
ホグウッド指揮のオケは水準の高い出来だったと思います。合唱もなかなか。

下の写真は左からルーシー・クロウ、セーラ・コノリー、ルーカス・ミーチェム、セーラ・フルゴーニです。初日なので女性出演者は全員花束を贈呈されました。
Lucy Crowe, Sarah Connolly, Lucas Meachem and Sara Fulgoni
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次の写真は中村恵理とPumeza Matshikiza、バックに写っているのはダンサー達です。
Eri Nakamura, Pumeza Matshikiza and dancers of The Royal Ballet
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by dognorah | 2009-04-02 04:10 | オペラ