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コルンゴルトのオペラ「死の街」

2009年1月27日、ROHにて。

2004年にヴィーン国立歌劇場でプレミエだったプロダクションを借りてきて上演したもので、ROHがこのオペラを上演するのは今日が初めてです。

Die tote Stadt
Opera in three acts
Music: Erich Wolfgang Korngold
Libretto: Paul Schott after Georges Rodenbach’s novel Bruges-la-Morte

Director: Willy Decker
Conductor: Ingo Metzmacher
The Royal Opera Chorus
The Orchestra of the Royal Opera House

Paul: Stephen Gould
Marie/Marietta: Nadja Michael
Frank/Fritz: Gerald Finley
Brigitta: Kathleen Wilkinson
Gastone/Victorin: Steven Ebel
Kleine Graf: Ji-Min Park
Juliette: Simona Mihai
Lucienne: Jurgita Adamonyte

コルンゴルトのオペラを聴くのは2007年の「ヘリアーネの奇跡」に次いで2回目ですが、音楽的には「ヘリアーネの奇跡」の方がより叙情的で好きです。しかしこの「死の街」を23歳で書いたなんて凄いと思いました。管弦楽は随分多彩な音だし、歌手への要求も易しいものじゃなさそう。特にマリエッタは長時間にわたって声量ある高音を出し続けなければ務まりません。テノールだってそれなりのものが要求されるのでヘルデンを持ってきた訳ですね。

その歌手達ですが、スティーヴン・グールドは昨年のバイロイトで体験した柔らかくて伸びのある声はあまり聴けませんでしたがちょっと硬いものの高音はちゃんと出ていましたし声量もまあまあ。演技的には図体が大きいせいかあまり印象的ではありませんが。

ナディア・ミヒャエルは昨年見た「サロメ」の時と同様の好調さで、きつそうな高音も美しく歌い上げていました。細い体でよくスタミナがが続くなぁと感心するぐらい声量もありましたし。なぜかここROHではジンクスのように「サロメ」と同様の下着姿で演技し、しかも今回はそれに加えてスキンヘッド!双眼鏡でじっくり見ましたが鬘の縁は見えなかったので、この舞台のために髪を剃り落としてしまったのでしょう。演技も体をよく動かして舞台中かけずり回っていました。好演!

有名歌手ではバリトンのジェラルド・フィンリーが出演していますがそれほどの人を持ってくる必要はあまり感じられない役でした。

おや、と思ったのがROHではよく脇役で出ているメゾソプラノのカスリーン・ウィルキンソンで、今回はメード役としても結構長い歌があてがわれており、それをとても魅力的に歌いました。美声です。

メッツマッハー指揮の管弦楽は、ちょっと一本調子かもしれないけれどメリハリを付けて豊かに鳴っていました。これも好演でしょう。

演出ですが、舞台の左手奥にもう一つ舞台を出現させてしかもそれを遠ざけたり近づけたりして時間的空間的変化を与え、夢か現実かよく分からない曖昧さを創出するなど、観客をしっかり惹きつける魅力があります。

亡くなった妻の写真や遺品に囲まれて思い出に浸るだけの生活をしているパウルを見ていると暗い気持ちになりますが、筋や音楽は違ってもオペラ全体からはベルクのヴォツェックから受ける感じと似ている印象を持ちました。

下の写真は主役二人、Nadja MichaelとStephen Gouldです。
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次の写真はGerald FinleyとIngo Metzmacherも入れて。
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by dognorah | 2009-01-30 09:56 | オペラ

ヴェルディ「シモン・ボッカネグラ」公演

2009年1月25日、チューリッヒ歌劇場にて。
カーテンコールの舞台。合唱の皆さんです。
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Simon Boccanegra – Verdi
Melodrama in a prologue and three acts by Giuseppe Verdi (1813–1901)
Libretto by Francesco Maria Piave (with the collaboration of Giuseppe Montanelli) and Arrigo Boito

Conductor: Carlo Rizzi
Producer/production: Giancarlo del Monaco
Orchester der Oper Zürich
Chor der Oper Zürich

CAST
Simon Boccanegra: Leo Nucci
Maria Boccanegra/ Amelia Grimaldi: Isabel Rey
Jacobo Fiesco: Roberto Scandiuzzi
Gabriele Adorno: Fabio Sartori
Paolo Albiani: Massimo Cavalletti
Pietro: Giuseppe Scorsin
Hauptmann: Benjamin Bernheim
Amelias Magd: Julie Bartholomew

第1幕終了後のカーテンコール。左からRoberto Scandiuzzi、Fabio Sartori、Isabel Rey、Leo Nucci、Massimo Cavallettiです。
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ヴェルディの数あるオペラの中ですっかり好きになってしまったこのオペラ、今回も大変楽しむことが出来ました。
まず歌手達がすばらしい。タイトル・ロールを歌ったレオ・ヌッチはカチッとした声と表現力豊かな歌唱、それに演技のうまさでうなってしまいました。第1幕第2場でパオロがアメリア誘拐の真犯人と感じたシモンが犯人を呪う言葉をパオロに繰り返すよう要求する場面での大迫力には圧倒されます。目が爛々と輝き、こういう上司だと怖いなぁと思わせる演技が凄い。
Leo Nucci
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フィエスコを歌ったロベルト・スカンディウッチは昨年もROHの公演で同役を好演した人ですが、今回も文句なしのすばらしいバスの歌唱を披露してくれました。この人はこの役を最も得意としており、このチューリッヒ公演の最中に400回目を演じたことが加藤浩子さんのブログに記されています。 なお、加藤さんはこの公演中に彼にインタビューして、その内容も掲載されています。
Roberto Scandiuzzi
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更に、パオロ役を演じたバリトン歌手マッシモ・カヴァレッティも注目に値する声で、まだ若そうなのに円熟を感じさせる歌唱に感心しました。
アメリアの恋人役ガブリエレを歌ったテノール、ファビオ・サルトリはヨハン・ボータそっくりの太い体型でちょっと引きましたが、本日は余り調子がよくなかったのか第1幕は喉に骨が刺さっているような声でちょっとがっかり。しかし後半はやや持ち直し、第2幕でパオロからシモン暗殺をそそのかされて悩む場面でのソロアリアはなかなか聴かせてくれました。調子がよければかなりのレヴェルの人だということは分かりました。
Fabio Sartori
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マリア/ アメリア役のスペイン人ソプラノ、イザベル・レイは私の好みの声だししっかりした歌唱だし、いい歌手だと思いました。30代後半ぐらいの年齢でしょうか。スタイルもいいです。
Isabel Rey
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カルロ・リッチ指揮の管弦楽はなかなか質の高い音で歌手との連携もスムーズだし、決めるべきところはばっちりでオペラを楽しませてくれる演奏でした。この指揮者は会場から拍手が湧くとすぐに自分も指揮棒で左手を叩いて停止します。無視して演奏を続ける人もいますが、リッチは迎合派ですね。
Carlo Rizzi
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今回は往年の名テノール、マリオ・デル・モナコの息子による新演出ですが、伝統的なもので、プロローグは紗幕を使って25年という時間の流れを感じさせたり、平民派と貴族派を赤と黒で色分けしたり、わかりやすいように工夫していることが感じられます。何よりもこのドラマを正攻法で構築しているのが好ましい。大理石調の舞台や衣装は大変美しいものでした。舞台の奥は建物の扉になったりジェノアの海が拡がったりで空間の創出が大変上手いと思いました。
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by dognorah | 2009-01-29 01:41 | オペラ

ヘンデルのオペラ(オラトリオ)「セメレ」

2009年1月24日、チューリッヒ歌劇場にて。

Semele - Händel
In English with German surtitles
Opera after the manner of an oratorio
Music by Georg Friedrich Handel (1685–1759)
Libretto by William Congreve

Conductor: William Christie
Producer/production: Robert Carsen
Chor der Oper Zürich
Orchestra: La Scintilla der Oper Zürich

Semele: Cecilia Bartoli
Ino: Liliana Nikiteanu
Juno :Birgit Remmert
Iris :Rebeca Olvera
Jupiter/ Apollo: Charles Workman
Cadmus/ Somnus: Anton Scharinger
Athamas: Thomas Michael Allen

新年になってコヴェントガーデンはバレーは頻繁に上演していますが、オペラは昨年12月からのトゥーランドットの残りを上演しているもののその他はなく、27日になってようやく「死の都」が始まるというスロースタートに我慢できず、チューリッヒへ見に行ってしまいました。これが私の今年初オペラです。
チューリッヒオペラはこれが初めての訪問です。以前、ガラちゃんことbibingaさんから日曜のマチネーが狙い目で、日帰りで行くもよし、土曜日にもう一つ見て一泊すれば「一粒で二度おいしい」思いが出来る、と聞いていたのでチャンスを窺っていたのでした。今回は24日(土)の夜に「セメレ」を、25日(日)の昼に「シモン・ボッカネグラ」を見てその日のうちに帰ってきました。

さて、その「セメレ」ですが、ストーリーは単純で前に見たオペラ「カリスト」と似たような内容で、ギリシャ神話の神ジュピターが例によって女性を見初めて我がものにし、奥さんの怒りを買ってその女性が仕返しを受けるというものです。「カリスト」では女性が熊にされてしまい、哀れを催したジュピターによって死後は星座にして貰えますが、今回は焼き殺されてしまうのです(因みに神話では彼女の胎児はジュピターに助けられて、後に酒の神バッカスになるそうです)。本来悲劇のはずですがリブレット上でもあまり悲劇的な扱いではなく、ロバート・カーセンはこれを喜劇仕立てにしてセメレの死を誰も気にしない結末になっています。

演出は例によって舞台装置はシンプルで時代設定も現代風すが、衣装が凝っていて美しいし光の使い方が上手いしで、大変よくできていると思います。舞台だけでなく出演者も省エネで、最後にアポロが登場するはずが、ジュピターが「アポロがこう言っていたよ」とアポロの台詞を歌ってしまい、アポロ役をカット。また、Juno役のメゾが大柄な女性で、Iris役がとても小さいソプラノで、凸凹コンビにして二人で笑いをとる仕草が軽妙で感心しました。また、鷲に変身したジュピターがセメレをさらっていくシーンでは何もなく、ただ人々が芸能紙の一面トップで二人の中をゴシップ記事に仕立てたものを広げて読むことで置き換えたり、Juno達がいざジュピターがセメレを囲っている場所に飛んでいこうというときに、BAのティケットをハンドバッグから取りだして見せたり、なかなかアイデア一杯で楽しめます。また、合唱隊が扮する群衆の扱い方も上手くて感心しました。合唱の出来もとても良かったです。

La Scintillaというオーケストラは余りよく知りませんが多分この劇場付きのバロック管弦楽団なのでしょう。とても上手いし、クリスティの指揮がすばらしくて心底楽しめるヘンデルでした。

歌手では、タイトルロールのバルトリが期待通りの歌唱で、時折声が掠れる場面があるもののそれは小さな瑕で、終始例の声が瑞々しく響いてすばらしいものでした。彼女のあまり大きくない声にはこの小さな劇場(1100席しかないそうです)はとてもふさわしいもので、好んでここで歌う理由がよく分かります。
ジュピター役のアメリカ人テノール、チャールズ・ワークマンも絶好調で、滑らかな美声がとても気持ちのいいものです。ジュノ役のドイツ人メゾ、ビルギット・レンメルトも感心した歌手の一人で、輪郭のはっきりした声が好ましく声量もたっぷり。イリス役のメキシコ人ソプラノ、レベカ・オルベラも悪くない歌手です。イノ役のメゾはあまり感心しません。アタマス役はカウンターテノールかと思うような声でしたが、普通のテノールのようです。茫洋とした声はあまり好みじゃないです。カドムスとソムヌスの二役をやったバス歌手はまあまあ。

全体としてはとても楽しめた公演で、急遽見に来た甲斐がありました。

下の写真はカーテンコールでのCecilia BartoliとWilliam Christie。
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次の写真はJupiterに扮するCharles Workman。
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次はJunoに扮するBirgit Remmertです。
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このオペラ劇場は上に書いたようにとても小さくて、雰囲気はいいのですが今回私が座った3階正面(Parkett Galerie)の4列目は柱の関係で3列目の客がいないにも拘わらずその前2列のお客の頭が邪魔でとても見難い席でした。これで220フランはちょっと酷い。最高額は320フラン(約25000円)でした。翌日の「シモン・ボッカネグラ」が最高270フランでしたので、バルトリのギャラがいかに高いか分かります。しかし4月のネトレプコが出演する「椿姫」は380フランなのでネトレプコのギャラはバルトリを凌ぐようです
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by dognorah | 2009-01-27 21:56 | オペラ

榎本明子さんの東京コンサート

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私の友人であるロンドン在住のメゾ・ソプラノ歌手、榎本明子さんが3月に東京でコンサートを行うことになりましたので、この場で宣伝させていただきます。
日英国交再開150周年ということで、イギリスと日本の名曲を中心に歌いたいとのことです。
フジテレビの紹介サイトはこちら

メゾ・ソプラノ: 榎本明子
ピアノ: ジェレミー・シルヴァー
日時: 2009年3月30日 19時
場所: 紀尾井ホール (チケットセンター電話03-3237-0061)
料金: S席 5000円 A席 3500円 B席 2000円

榎本さんの略歴等はこちらをご覧下さい。

ご興味ある方は是非参加下さい。
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by dognorah | 2009-01-27 07:58 | コンサート

ダニエレ・ガッティ指揮マーラー9番

2009年1月14日、RFHにて。

Daniele Gatti
Royal Philharmonic Orchestra

マーラー:交響曲第9番

切符を買ったときはマーラーの前にハイドンの104番もプログラムされていたのに、当日はマーラーだけになっていた。ちょっとした詐欺?

それはともかく今まで聴いた中では最もわかりやすい分析的解釈でスケール感もある魅力的な9番の演奏でした。第1楽章で特にそれが強く感じられ、それに身を委ねて聴いてみようという気になりました。第4楽章の涸れた静けさが感じられる美しい演奏も印象的です。
暗譜で指揮するガッティ、例によって開始時はかなり遅いテンポながらその後は結構揺れ動き、トータルではむしろ短か目の演奏時間でした。オケはアンサンブルの乱れなど無くきっちりとガッティの指揮について行っていますが、実力なのかちょっと薄っぺらな響きだったのが残念です。なお配置は第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが左側にまとまり、右側手前にヴィオラが来るものです。
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by dognorah | 2009-01-18 05:24 | コンサート

マーク・ロスコ展

Tate Modernで昨秋から開催中のものを見てきました。展示の趣旨をよく読まずにとにかくもうすぐ終了するので雨が降って無くて寒くない日を選んで見に行ったのですが、画業を概観するものではなく、次のようにちょっと特殊な集め方をした感じです。

(1)ニューヨークのシーグラムビルにあるレストラン四季のために描かれた壁画大作を15点集めたもの(制作年は1958年と1959年)
(2)Black on Blackシリーズ (1964年)
(3)Brown and Grayシリーズ (1964年)
(4)Black on Grayシリーズ (1969、1970年)
(5)その他数点(1958、1964年)

レストラン用は30点ぐらい制作されたようですが、結局レストランに展示されることなく、各地の美術館に寄贈されたとのことです。その中の9点がテートにあり、7点が佐倉市の川村美術館にあります(これは寄贈じゃないそうです)。今回は川村美術館から5点が(なぜ全部来ないのか不思議ですが)、ワシントン・ナショナル・ギャラリーから1点が貸し出されてテート分と合わせて合計15点が展示されています。ただ、それぞれが大作なだけに15点を全て展示できるだけの部屋が無く、一番大きい部屋に14点を掛け、残り1点は隣の部屋に掛けてあります。部屋には何人かの人たちがじっと座って絵が支配する空間を楽しんでいる様子ですが、私も何ともいえないこの雰囲気に魅せられて、じっと座っていたり、あるいは一枚一枚の大きな絵の前に佇んでみたりと随分時間を費やしました。最後は「閉館ですから」という係員の要請で渋々出ていきましたが、時間さえあればいつまでもいたい空間でした。何を描いたか分からないこれらの絵なのになぜこんなにほっとする気持ちになれるのでしょう。以前テートにあったロスコルームで感じたのとはまた違って今回の方がよりコージーな感覚にとらわれたのは明らかに川村美術館などの作品群が加わったせいでしょう。

今回数十点の作品を見て感じたのはロスコが色の創出に凄くこだわっていたということで、暗い色調の色の組み合わせをじっくり観察すると、各色自体が重要な意味を持ち、更にそれぞれのの微妙なニュアンスの違いで何か複雑なメッセージを発信していることに気付きます。その色は練りに練って作り出されたもののようで、美術館側も赤外線など科学的手法を駆使してロスコがどういう風にこの色を作り出したかを解説したコーナーを設けています。とにかくキャンヴァスの前に立つと各色と組み合わせの両方に魅せられて佇んでしまいます。例えば次の絵など。
Untitled 1964, Collection of Kate Rothko Prizel
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Brown and Grayシリーズではそれぞれの色の塗り方がややラフで、また作品によってBrownもGrayも色合いが違い、それがまたこちらの想像力を掻き立てるので、絵の前にいる時間が長くなってしまいます。例えば次の絵。
Untitled (Brown and Gray) 1969, National Gallery of Art, Washington
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Black on Grayシリーズも然りで、各作品でGrayの色合いがかなり異なっているし、Grayの塗り方にも変化があって面白いです。例えば次の絵など。
Untitled 1969, Collection of Christopher Rothko
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色に関する発見もあったし充実した時間でした。暇があればもう一度見に行こうかという気になっています。ロスコもあまり人気がないのか、昨年秋の開幕時のことは知りませんが、今回の会場はガラガラで、じっくりと見て回れました。観客数は先日のベーコン展の方が多かったと思います。

Mark Rothko
Tate Modern
26.09.2008 – 1.02.2009

なお、終了後はテートの所有分はお返しに川村美術館に貸し出され、2月21日から6月7日まで「マーク・ロスコ 瞑想する絵画」という題で公開されるそうです。アメリカなどから出品された分もそこに展示されるのかどうかは分かりませんが。
ということで、テートでロスコが再び見られるのは早くとも7月以降ということになります。
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by dognorah | 2009-01-17 02:49 | 美術

ハイドン「天地創造」

2009年1月10日、バービカンホールにて。

Haydn: Die Schöpfung (The Creation)

Freiburg Baroque Orchestra
RIAS Chamber Choir
René Jacobs: conductor
Thomas Quasthoff: Raphael, Adam (bass-baritone)
Julia Kleiter: Gabriel, Eve (soprano)
Maximilian Schmitt: Uriel (tenor)

今年はハイドン没後200年記念年(他に、ヘンデル没後250年、パーセル生誕350年だそうです)。きっと公演が多いことでしょうが、早速ながら聴いてきました。
有名なオラトリオですが、実演で聴くのはこれが初めてです。

オーケストラ、合唱、独唱陣が全てすばらしい出来で、渾然一体となった演奏に大いに感動しました。元々曲がそうなんでしょうけれど実に美しい演奏で非の打ち所がありません。
フライブルグ・バロック・オーケストラはジューリオ・チェーザレ以来二度目ですが、前回と同じく今回も現存バロックオケの最高峰と思いました。アンサンブルといい、木管独奏といい、自由闊達にしてきちんと統制の取れた響きといいほとほと感心。
合唱も質の高さを誇示する出来で、女性陣の制服もなかなかお似合いです。
独唱者達は全員ドイツ人で全て初めて聴く人たちですが、3人ともとても水準が高いと思いました。ソプラノもテノールも気品が高くて柔らかい伸びのある声が魅力的ですし、トーマス・クヴァストホフはサリドマイド禍のハンディがありながら頻繁に舞台に出ている理由がよく理解できる上手い歌唱でした。小さい体なのに凄い低音も出ますし。彼は今年50歳になります。ということはあのサリドマイド禍から約50年が経ったということですね。
ソプラノのユリア・クライターは長身の美人ですが、ドレスのデザインがなかなかで、ネックレスとのマッチングもすばらしい。
写真は左からThomas Quasthoff、René Jacobs、Julia Kleiter、Maximilian Schmittです。
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by dognorah | 2009-01-11 11:04 | コンサート

フランシス・ベーコン展

Francis Bacon
11 September 08 - 4 January 09
Tate Britain

テートブリテンでやっていたフランシス・ベーコンの回顧展を終了する前に見に行った。元々この人の画風は嫌いなのだが、高値で取引されているということは何らかの魅力があるに違いないのでそれを見極めようというわけだ。美術館側はイギリスの画家として扱っているのだが彼はアイルランド人。生まれたときはしかしアイルランドはイギリスの植民地だったのでイギリス人扱いとなっているようだ。日本でも朝鮮を併合したあとはオリンピックなどで活躍した朝鮮人選手を日本人扱いしているから都合のいいように解釈するのだろう。

それはともかく、かなりの点数が展示されている絵画を時代順に見ていくとやはりインパクトはあった。彼がゲイであったことも初めて知った。グロな絵画はある表現を突き詰めていくとそうなるということも理解できた。また、ゴッホの戦争で破壊された絵画「The Artist on his Way to Tarascon」に基づく一連の絵画を見るとこの人の色彩感覚にはかなり惹かれる。
Figures in a Landscape 1956
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ということで、毛嫌いしていた画家もちょっとは親しみを憶える存在にはなったので見に行ってよかった。昔(70年代か80年代)東京のデパートで何かいい絵はないかと見て回っていたら係の人からベーコンなんていかがでしょう?と勧められたことがある。そのときの絵が例のグロな感じのもので直ちに却下したが、もし買っていたら今頃はかなり値が上がっていたに違いない。当方は投資で絵を買うという発想はなかったので所詮縁がなかったわけだが。
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by dognorah | 2009-01-06 08:10 | 美術