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ヴォーン・ウイリアムズのオペラ「Riders to the Sea」

2008年11月28日、ENOにて。
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Riders to the Sea
Opera in one act.

Music: Ralph Vaughan Williams
Libretto: Ralph Vaughan Williams based on the Play by John Millington Synge

Conductor: Edward Gardner
Director: Fiona Shaw
Video: Dorothy Cross
Set design: Tom Pye
Orchestra of English National Opera

CAST
Susan Gritton: Sibelius's solo cantata Luonnotar
Patricia Bardon: Maurya
Kate Valentine: Cathleen
Claire Booth: Nora
Leigh Melrose: Bartley


ヴォーン・ウイリアムズの没後50年を記念して作られたニュープロダクションです。

あらすじ
ほぼ原作通りらしい。アイルランドの島に住む女モーリャはオペラの始まる前に既に夫と義父と4人の息子を海で失っている。そして残り二人の息子のうちマイケルの消息が気がかりなところへ遠くの島で溺死体が打ち上げられたというニュースがあり、後に届いた衣類からまさにマイケルだと分かる。最後の息子はフェアで馬を売りたいということで、母親の反対を押し切って馬に乗って子馬を連れて行くが途中で落馬して海に転落し溺れ死ぬ。村人が運んできた死体を前に娘達と嘆き悲しむ。

こういうストーリーを読んで、よくオペラを書く気になるなぁとヴォーン・ウイリアムズという人の性格に思いを馳せるばかりです。ちょっと凡人の及ばない深い思考があってのことなのでしょう。彼の数少ないオペラの中では一番よくできた作品と位置づけられているようです。イギリスでは人気の高い作曲家でもあり、録音はDVDも含めていくつかあります。この公演はEnglish Opera GroupとCulture Irelandという団体がスポンサーになっています。

もともと11月23日に亡くなったRichard Hickoxが指揮をすることになっていたオペラです。初日が27日という差し迫った時期にリハーサルを重ねてきた指揮者が亡くなるという危機に音楽監督のエドワード・ガードナーは敢然と立ち向かい、各紙の絶賛を博する結果を提示したのでした。1時間程度という短いオペラにしろ大したものです。
公演は全部で4回予定されていますが、27日の後は28日に2回、30日にマチネーとなっています。私は28日の9時半からのこの日2回目の公演に行ったのでした。私の座ったのはUpper Circleという3階席ですがガラガラでした。でも、下の方の高い席を見ると意外に沢山入っていました。

このプロダクションで一番評判を取ったのは演出だと思います。演出したフィオナ・ショーはアイルランドの女優(ハリー・ポッターでも出演していたそう)ですが、演出家としてもとても才能ある人だという印象を受けました。まず、ヴォーン・ウイリアムズが指定もしていないプロローグを置き、シベリウスのカンタータをスーザン・グリットンに歌わせたこと。歌の内容は生命が海によって生じ、育まれ、また海に戻るというような意味で、10分以上続いたでしょうか。確かにオペラのストーリーとよくマッチしたものです。その舞台がまた凝っていてバックにヴィデオで女性や馬と思しき動物が水中を漂う海が映され、舞台には5mぐらいの長さのボートが立てられて、彼女は妊婦の姿をして上半分の仕切りに立って歌います。ボートと海は漁師一家の男達が次々と海で命を落としていくオペラの内容をそのまま反映しているのです。

オペラでも小1時間の舞台で4回しか公演しないにしては随分お金をかけたなぁと感心するくらいよくできた舞台です。島の岩棚のようなところをしつらえ、バックはヴィデオで海になったり空になったり。最初の部分で上から渚のような水の動きのヴィデオが床を長方形に投射するのですが、その真ん中でMauryaが寝ています。夢の中で海に思いを馳せている感じです。Bartleyの水死体が村の男達によって運び込まれて彼女は嘆きの歌を歌うのですが、そのときに上から静かにひっくり返したボートが5つ降りてきます。既に亡くなった5人の息子達を表しているのでしょう。最後に再びスーザン・グリットンが出てきてカンタータの一部を歌います。

オペラとしては何もいいことが起こらないストーリーで見る方もちっとも楽しくないのですが、アイルランドの貧しい漁村ではこれが人生なんだということでしょうか。音楽も特に魅力的ということはないにしても女性達のアリアは美しい。ただ、舞台はなかなか魅力的です。

歌手は全て特に文句を付ける必要のない出来で、パトリシア・バードンの好演を始め特に女性歌手は頑張っているという印象でした。

トップの写真は終演後の舞台です。
次の写真は母娘3人で、左からKate Valentine、Patricia Bardon、Claire Boothです。
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その次はEdward GardnerとSuzan Grittonです。
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by dognorah | 2008-11-30 07:43 | オペラ

オッフェンバックのオペラ「ホフマン物語」公演

2008年11月25日、ROHにて。
終演後、大歓声に応えるRolando Villazón。
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Les Contes d'Hoffmann
Opera in three acts with prologue and epilogue
Music: Jacques Offenbach
Libretto: Jules Barbier and Michel Carré after E.T.A. Hoffmann

Conductor: Antonio Pappano
Original production: John Schlesinger
Revival Director Christopher Cowell
Set designs William Dudley

The Royal Opera Chorus
The Orchestra of the Royal Opera House

CAST
The Muse of Poetry/ Nicklausse: Kristine Jepson
Councillor Undorf/ Coppelius/ Dappertutto/ Miracle: Gidon Saks
Andres/ Cochenille/ Pittichinaccio/ Frantz: Graham Clark
Luther: Lynton Black
Hermann: Changhan Lim
Nathanael: Ji-Min Park
Hoffmann: Rolando Villazón
Spalanzani: Robin Leggate
Olympia: Ekaterina Lekhina
Giulietta: Christine Rice
Schlemil: Kostas Smoriginas
Antonia: Katie Van Kooten
Crespel: Matthew Rose
Spirit of Antonia's mother: Gaynor Keeble
Stella: Olga Sabadoch

私がこのプロダクションを見たのは2004年1月で、その後の公演をスキップしたので約5年ぶりに再見したことになります。5年前もホフマンはビリャソンでした。そのときは奇しくもこの日曜に60歳で心臓発作を起こして亡くなったリチャード・ヒコックスの指揮でした。遅ればせながらご冥福をお祈りしたいと思います。今日の舞台はROHによって亡きヒコックスに捧げられました。因縁と言いますか、実は5年前もこの舞台を演出したシュレージンジャーがその少し前に亡くなっており、公演は彼への追悼となりました。
5年前と同じく今日もオペラはとても楽しめました。改めてこのオッフェンバックのオペラは音楽もストーリーもよく書けているなぁと思った次第です。ヴェニスの運河でゴンドラが行き交う舞台装置など演出もよくできているし。

パッパーノの指揮は旋律がよく鳴って歌手との息もぴったりでよい出来だったと思います。第1幕と第2幕は特に必要もないのにあらかじめ指揮台の下で待機していて、拍手をさせずにいきなり音楽を開始したのは恐らくヒコックス追悼の思いからでしょう。第3幕はいつも通りオケを立たせて拍手に応えていましたが。

歌手ですが、ビリャソンは全く好調で気持ちがいい歌唱です。演技も上手かった。カーテンコールでは大歓声を貰って例のごとく大喜びしてジャンプしながら幕の中へ駆け込んでパッパーノに抱きついていました(私は右サイドの席だったので幕の合わせ目から中がよく見えたのです)。他の男性歌手は凸凹はありましたがまあ水準を保つ出来だったでしょう。新人デビューのChanghan Limは特に印象的ではないものの無難、同じ韓国人先輩Ji-Min Parkはビリャソンとの二重唱を含めて結構歌う量が多い役でしたが堂々と持ち前の美声を発揮していました。ちょっと優等生的でキャラクターがない印象ではありましたが、これはもう少し重要な役を歌わせて貰わないと発揮できないのかもしれません。
下の写真は左からChanghan Lim、ステラ役のOlga Sabadoch、Ji-Min Park、一杯飲み屋の親父Lynton Black。
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女性歌手は全般に水準が高く、エカテリーナ・レキーナはオランピアの超高音がよく出ていたし、久し振りに聴くケイティ・ヴァン・クーテンはすばらしい美声でした。ニクラウス役のクリスティン・ジェプソンも安定した歌唱でした。ジュリエッタ役のクリスティン・ライスは悪くはないもののあまり印象的な歌唱ではありませんでしたが。
下の最初の写真は、オランピアを見事に歌ったEkaterina Lekhina。顔が写っていませんが右に立つ男声はスパランザニ役のRobin Leggate。
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次は、ジュリエッタ役のChristine Rice。
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次は、アントニア役のKatie Van Kooten。左側の男声は父親役を演じたMatthew Rose。左端の顔が隠れている女声は母親の精を演じたGaynor Keeble。
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最後の写真は、Rolando Villazónを挟んで右端がKristine Jepson。左端は悪者役を4役演じたGidon Saks。
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by dognorah | 2008-11-28 01:17 | オペラ

内田光子の弾き振り

2008年11月24日、RFHにて。

演奏
内田光子:ピアノと指揮
Chamber Orchestra of Europe

プログラム
Stravinsky: Apollon Musagète
Mozart: Piano Concerto No.23, K488
Mozart: Piano Concerto No.24, K491

内田さんというのはやはり人気があるようで2900席のロイヤル・フェスティヴァル・ホールがぎっしり。多分9割以上の席が埋まっていたでしょう。インターヴァルのロビーも大混雑。

1曲目は弦楽合奏曲なので指揮者なしです。1928年にバレー用に作曲されたもので、新古典主義時代の作品らしくあまり現代音楽的ではなく、極めて心地よい弦楽合奏曲です。ロイヤルバレーで上演されたことはありますが私は見ていないので多分初めて聴く曲です。このオケも多分聴くのは初めてですが、なかなか合奏能力の高い団体という印象を受けました。

次は彼女の弾き振りが2曲。私は映像では見たことがあるものの実演で彼女の弾き振りというのは初めてです。ピアノを縦に置いて彼女は背を向けて演奏。しまった、コーラス席で聴くんだった。妖怪変化みたいな豊かな彼女の表情が真正面から見れたのに。

最初の23番は第1,第2楽章ともやや輪郭のはっきりしない演奏でしたが、第3楽章になって俄然精気が感じられるすばらしい演奏になりました。そしてインターヴァル後の24番が圧巻!厳かな中にも哀愁が感じられる短調の曲の性格がくっきり浮き彫りになり、一音一音に惹きつけられる緊張感がたまりません。ピアノとオケの息もぴったりで、彼女の指揮もなかなかのものです。とても満足度の高い演奏でした。

次のヴィデオは終演後の拍手喝采に応える内田さんです。ダブルクリックしてTouTubeのページに飛び、画面右下のhigh quality modeを選ぶと画質はよくなります。

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by dognorah | 2008-11-27 00:48 | コンサート

プロコフィエフ「ロメオとジュリエット」全曲

2008年11月21日、バービカンホールにて。

Sergey Prokofiev: Romeo and Juliet - complete ballet, Op64
指揮:Valery Gergiev
London Symphony Orchestra

ゲルギエフの至芸に感服しました。いつものようにダイナミックレンジの広い音でしたが弦も管もすばらしい音色で、この作品の持つすばらしさをやや饒舌ながら完璧に表現したのじゃないかという印象です。色彩豊かだし連綿と続く音楽の紡ぎ方が見事。ステージ上にバレーはなくとも全く退屈せずに聴き入ることが出来ました。バレーの舞台は遅刻したので第2幕と第3幕を見ただけですが、ヴィデオでは何度か見ています。でも、今日聴いてこんな音があったっけ?という状態でした。私の場合はやはり舞台があるとそれに注意が行ってしまって音の印象が薄まることが多いようです。オケは大編成で、ピットに入れるにはちょっと規模が大きすぎるものでした。

オケの音がすばらしかったのはひょっとして今日発売のGramophoneという雑誌でLSOが世界で4番目にすばらしいオケだとリストされて張り切ったせいかしら?なんて冗談を言ってしまいました。新聞記事によると 3人のイギリス人、2人のアメリカ人、2人のアジア人批評家に加え、Le Monde (フランス), Die Welt (ドイツ), De Telegraaf (オランダ), Die Presse (オーストリー)の批評家も加えた11人で世界中のオケをランク付けしてトップ20を選んだそう。トップがコンセルトヘボー、2番がベルリンフィル、3番がヴィーンフィルで、その次にLSOが来たということです。Gramophoneはイギリスの雑誌なのでかなり贔屓目に見たか。因みに20のオケは上記新聞記事に掲載されています。日本からは斉藤記念オーケストラが19番目にランクされているだけです。また、アメリカ人批評家がいるにも拘わらず全体的にアメリカオケの評価が低いのが意外です。
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by dognorah | 2008-11-22 10:31 | コンサート

シャルル・デュトワ指揮フィルハーモニア管

2008年11月11日、RFHにて。

Charles Dutoit:指揮
Rafal Blechacz:ピアノ
Philharmonia Orchestra

プログラム
Ravel: Suite, Ma mère l’oye
Chopin: Piano Concerto No.1
Stravinsky: Le sacre du printemps

今日は結構客の入りがよい。隣のおばさんは前半で帰ってしまったからピアニストのラファウ・ブレハッチがお目当てだったか。私は久し振りにデュトワを聴いてやろうと思って来たのでした。

2005年のショパンコンクール優勝者ブレハッチが舞台に登場したとき少年かと思ったぐらい小さい人でした。ちょっと神経質そうな表情にふさわしく繊細なピアノを奏でる人です。ピアノ独奏が入る部分ではカチッとした芯のある音でテンポも自然体、流れがスムーズで思わず引き込まれてしまいます。覇気、気高さも大いに感じられ、何よりもこの曲にふさわしい初々しさが発散されていて大変楽しめました。アンコールは多分何かショパンの小品ではないかと思いますが、礼儀正しく弾く前にコンサートマスターに了解を求めていました。

デュトワの指揮は期待した通り色彩感豊かで洗練された音を引き出していて、特に「春の祭典」では本当に活き活きした指揮振りで聴いている方も心躍るリズム処理でした。
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by dognorah | 2008-11-18 22:42 | コンサート

リヒャルト・シュトラウス「エレクトラ」公演

2008年11月12日、ROHにて。

Elektra
Tragedy in one act
Music: Richard Strauss
Libretto: Hugo von Hofmannsthal

Conductor: Mark Elder
Director and set designs: Charles Edwards
Costume designs: Brigitte Reiffenstuel
Lighting design: Charles Edwards
Movement director: Leah Hausman

The Royal Opera Chorus
The Orchestra of the Royal Opera House

CAST
First Maid:Frances McCafferty
Second Maid:Monika-Evelin Liiv
Third Maid:Kathleen Wilkinson
Fourth Maid:Elizabeth Woollett
Fifth Maid:Eri Nakamura
Overseer: Miriam Murphy
Elektra:Susan Bullock
Chrysothemis:Anne Schwanewilms
Klytamnestra:Jane Henschel
Confidante:Louise Armit
Trainbearer:Dervla Ramsay
Young Servant:Alfie Boe
Old Servant:Jeremy White
Orest:Johan Reuter
Orest's companion:Vuyani Mlindet
Agisth:Frank van Aken

コヴェントガーデンでは5年ぶりの再演です。しかし幕が開いて驚いたのは、演出をかなり手直ししていること。前は暗めの舞台の中央付近にアガメムノンの大きな石像が倒壊したものが置かれていて、エレクトラはそれに上って腰を下ろし、父への思慕を歌っていたのが、それはなくなって舞台左側に置かれた事務机付近が彼女の居場所となっているし、照明はかなり明るい蛍光灯のような色合いです。床も壁も全てとても汚い設定にしていますが、そのあたりの記憶はいまいちはっきりしません。アガメムノンの思い出に関してはあまり大きくない胸像が布に包まれて大事にエレクトラによって保管されています。最後に奥の壁がパカンと開くのは同じですが、その向こうに見える情景もちょっと違うような。更にオレストがクリテムネストラの死体付近から拾ったギリシャ演劇で使う仮面をエレクトラに手渡し、彼女がそれを顔に着けるとなぜか血を流して死んでしまう場面も以前はなかったような。というわけでROHが好きな血だらけの舞台になるわけです。表現したいことを更に突き詰めた結果こうなったのでしょうが、前の演出の方がよかったように思います。

今回の音楽的表現ではまずマーク・エルダーの憑かれたような激しくも緻密な演奏に圧倒的感銘を受けました。オケはピットだけでは足りず、左右のサークル席をつぶして右側に打楽器群を置き、左側は床を取ってピットからの金管が最大限響くように工夫されていました。私はその床の取り払われた部分近くに座っていたせいもあってちょっと金管が響きすぎではありましたが、迫力はありました。

エレクトラを歌ったスーザン・ブロックは集中力満点の密度の濃い歌唱で、これも迫力満点。声質は金属的であまり好きな声ではありませんが、立派な表現でした。妹のクリソテミスは5年前と同じアンネ・シュヴァーネヴィルムスですが、ブロックとは全く違う声質のソプラノが心地よい声で、普通の女でいたいという性格もよく表現されていたと思います。クリテムネストラを歌ったジェーン・ヘンシェルは以前より更に太ったのじゃないかという印象ですが、歌は相変わらず上手く、こういう役にはうってつけですね。男声ではヨハン・ロイターが歌うオレストがすばらしい声でした。エギストはいまいちです。
今夜はもう一人注目の歌手が出ています。それは第5のメードを歌った中村恵理さん。彼女はこのエレクトラがROHへのデビュー作品でしたが、すばらしい歌唱でした。この役は他のメードがエレクトラの悪口を言う中で彼女の肩を持つもので、結構長く歌います。舞台ではそのせいでみんなからリンチを受けるのですが背中を鞭で打たれてこれまた血だらけになり、そのまま舞台で最後まで倒れているという演出。
下の写真は左からJane Henschel、Susan Bullock、Mark Elder、Anne Schwanewilmsです。
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次の写真は立派なデビューを果たしたEri Nakamuraです。
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by dognorah | 2008-11-16 22:53 | オペラ

マグダレーナ・コジェナのリサイタル

2008年11月9日、バービカンホールにて。

Magdalena Kožená:メゾソプラノ
Malcolm Martineau:ピアノ

“Songs My Mother Taught Me”という題で開催されたコジェナのお国ものリサイタルです。全てチェコ語の歌ですが、何とか歌詞を見ながら着いていけるものですね。全部で39曲プラスアンコール2曲で41曲です。些細なことですが本当は40曲プラスアンコール2曲が予定されていました。多分ピアノ伴奏者のミスか何かでヤナーチェクが1曲(Musiciansという歌)抜けてしまいました。多くの人が歌詞を見ながらフォローしていたので気付いた人もいたでしょう。
それはともかく、あまり馴染みのないチェコの音楽でしたが彼女が歌う分には声がすばらしいので全く退屈ではなく楽しめました。
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プログラムは下記の順で歌われました。全て英語に翻訳した題名です。
Schulhoff
Folksongs and Dances from the Tìšínsko Region:
・When I was on mummy's lap
・Come and sit in my trap
・I want to dance the Cossack dance
・She was grazing her oxen
Eben
Little Sorrows:
・Crying in one’s sleep
・Love
・Breadcrumbs
・Cigarette smoke
・Miserable day
Novák
Fairytale of the Heart, Op.8:
・Melancholy Song
・Isn’t it a dream?
・Evening
・Autumn Mood
・Once the day is over
Janáček
Moravian Folk Poetry in Songs:
・The Little Bench
・GameWarden
・Little Apple
・Uneasy
Silesian Songs from Helena Salichova’s Collection:
・Hey, what nightingale is this one?
・In the black wood
Dvořák
Love Songs, Op.83:
・Oh, our love does not bloom
・Death dwells in so many a heart
・Now I falter past the house
・I know that in sweat hope
・Gentle slumber reigns over the countryside
・Here in the forest by a brook
・In the sweet power of your eyes
・Oh, dear matchless soul
Martinů
Songs on Two Pages:
・A Girl from Moravia
・Our Neighbour’s Stable
・Hope
・The Watchman
・Secret Love
・The Roadside Cross
・The Lads from Zvolen
Dvořák
Evening Songs, Op. 3:
・I dreamt you were dead
Gypsy Melodies, Op. 55:
・And the wood is quiet all around
・Songs My Mother Taught Me
・The strings are tuned
アンコール
・なんとかWedding云々と聞こえましたが曲名不明
・これも彼女の好きな歌とか言っていましたが曲名不明
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by dognorah | 2008-11-14 09:55 | コンサート

ロッシーニのミサ曲「Petite messe solennelle」

2008年11月8日、バービカンホールにて。

Gioachino Rossini: Petite messe solennelle (1863,1866-7)

指揮:Riccardo Chailly
ソプラノ:Alexandrina Pendatchanska
メゾソプラノ:Manuela Custer
テノール:Stefano Secco
バス:Mirco Palazzi
Leipzig Gewandhaus Orchestra
Leipzig Gewandhaus Choir
Leipzig Opera Chorus

合唱隊も来たのでライプチッヒからの引っ越し公演の様相です。今まで聴いたこともない珍しい曲で、例によって客の入りは6-7割ぐらい。演奏時間80分ぐらいの大曲で、結構聴き応えのあるミサ曲です。感動したというほどではないですが音楽としては楽しめました。途中、第1ヴァイオリンが捻るようなロッシーニとしては聞き慣れない近代的な音を出すのが印象的です。
合唱は最初から女声群がよく、男声群はもたつき気味でしたが途中から男声もペースを取り戻して立派な合唱となりました。独唱はなかなかよくて、特にソプラノとテノールはしっかり。バスは高音部がきれいですが肝心の低音部がエネルギー不足。この人はバリトンに近い気がします。ちょっと驚いたのは、オペラで何度も見ているステファーノ・セッコの素顔で、額が禿げ上がっているだけではなく後頭部も禿げが目立つ上、髭も生やしていてえらく老けて見えたこと。この人は確かまだ30代半ばのはず。オペラではいつも鬘をかぶっていたんだ。
写真は左から、Alexandrina Pendatchanska、Manuela Custer、Riccardo Chailly、Stefano Secco、Mirco Palazzi。
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by dognorah | 2008-11-14 07:31 | コンサート

ヤナーチェク「利口な女狐の物語」

2008年11月7日、Paris Opéra Bastilleにて。
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LEOŠ JANÁČEK (1854-1928)
LA PETITE RENARDE RUSÉE (PŘíHODY LIŠKY BYSTROUŠKY)
OPÉRA EN TROIS ACTES
LIVRET DU COMPOSITEUR D'APRES LIŠKA BYSTROUŠKA DE RUDOLF TÌSNOHLíDEK

指揮: Dennis Russell Davies
演出: André Engel

森番: Jukka Rasilainen
森番の妻 / フクロウ: Michèle Lagrange
校長: David Kuebler
牧師: Roland Bracht
行商人: Paul Gay
女狐: Elena Tsallagova
雄狐:Hannah.Esther Minutillo
居酒屋の主人: Nicolas Marie
その妻: Anne-Sophie Ducret
飼い犬: Letitia Singleton
雄鳥 / カケス: Elisa Cenni
雌鳥: Natacha Constantin
キツツキ: Xenia Fenice d'Ambrosio
蚊: Paul Crémazy
穴熊: Slawomir Szychowiak

初めて見るオペラで、あらすじだけ頭に入れて臨みましたが、メルヘン調ではありますがオーソドックスな演出で学芸会みたいにわかりやすい舞台だったので難なくストーリーを追えました。そのせいか子供の聴衆も結構見かけました。彼等にとっても楽しかったことでしょう。私も楽しめました。

音楽はヤナーチェックらしい魅力的で気の利いた旋律が各所に現れるものの、他のオペラ作品のように非常に美しくて感動的というほどでもないと思いました。

歌手は誰一人として知っている人は出ていませんが、全体としてはまあまあの出来でしょう。女狐を歌ったロシア人ソプラノ、エレーナ・ツァラゴワは声のよく通る好感の持てる歌唱でした。雄狐を歌ったメゾソプラノも悪くないです。ただ男声陣は全体にあまり冴えず。森番を歌ったバリトンは3幕では声がよく出ていましたがそれまではあまり張りのある声ではありませんでした。

トップの写真は終演後の舞台で、このようにメルヘン調です。
次の写真はタイトルロールのElena Tsallagovaです。
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次は雄狐役を好演したHannah.Esther Minutilloです。
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by dognorah | 2008-11-14 03:08 | オペラ

パリの「トリスタンとイゾルデ」公演

2008年11月6日、Paris Opéra Bastilleにて。

指揮:Semyon Bychkov
演出:Peter Sellars

トリスタン:Clifton Forbis
イゾルデ:Waltraud Meier
マルケ王:Franz-Josef Selig
クルヴェナール:Alexander Macro-Buhrmester
ブランゲーネ:Ekaterina Gubanova
メロート:Ralf Lukas
若い水夫/牧人:Bernard Richter
舵手:Robert Gleadow

この演目を見るのは2月のマドリード8月のバイロイトに続いて今年3回目ですが、何度見てもいいものだと思いました。ヴァーグナーの中では一番好きな演目と言えそうです。

さて、開演前のキャスト表でマイヤーの出演を確認してやれやれと思ったら、マイクを持った人がステージに出てくるではありませんか!
やはりマイヤーのことで、彼女は調子が悪いけど歌うとのこと。
でも、第1幕が始まると「これで調子が悪いって?」とびっくりするぐらい快調そのもの。品のある美しい声でした。最初からそんなに飛ばして大丈夫?
第2幕も悪くなく、ニュアンス豊かな歌唱に惚れ惚れしました。ここでの高音は特に美しい。
ところがところが第3幕開始直前にまたマイク男が現れたのです。彼女は口パク演技をし、舞台袖で代役が歌うという形式となってしまいました。代役さんの名前は聞き取れませんでしたが(隣のフランス人も聞き取れないと言っていました)恐らくアンダーでしょう。マイヤーの2倍くらいありそうな立派な体格で、声はよく出るもののちょっと叫びすぎの感あり。しかし愛の死では抑制が利いてまあまあ。それにしてもマイヤーで聴きたかった。マイヤーは多分最初から第3幕を歌わないつもりだったのであれだけ第1幕と第2幕に力を注げたのでしょう。

トリスタンを歌ったクリフトン・フォービスはアメリカ生まれのテノールで、かなり頭は薄くて一見老けて見えますが年齢は恐らく40代後半か。私は初めて聴く人だと思います。第1幕ではよい面と悪い面が混交している感じでしたが、第2幕ではかなりよく、第3幕は非常によかった。死に際にそんなに声を張り上げられるかと言いたくなるほどの大声量ですばらしい歌唱でした。

ブランゲーネを歌ったエカテリーナ・グバノワは潤いのある美声で声量もあり、終始文句のない声を響かせてくれました。
クルヴェナールを歌ったアレクサンダー・マクロ=ブーメスターはごく普通のバリトンで印象は薄いです。
マルケ王を歌ったフランツ=ヨーゼフ・ゼーリッヒは昨年9月のROHのラインの黄金でFasoltを歌ったドイツのバスです。第2幕では立派な歌唱で大いに満足しましたが、第3幕はごく普通の出来であまり感心しません。
二役をこなした若いテノールはとてもいい声をしています。舵手というほんのちょい役に何とROHの研修生だったロバート・グリードウが出ていてびっくり。必死で歌えるところを探しているんでしょうね。ちゃんとカーテンコールにも出てきました。

指揮のセミヨン・ビシュコフ、音楽の自然な流れがとてもまっとうなもので、いい出来だったと思います。

ピーター・セラーズの演出は90%がヴィデオによるもので、舞台そのものは真っ黒な壁だけです。小道具はダブルベッドサイズの台だけで、それが船の中ではイゾルデの居室になり、第2幕では二人の居場所になり、第3幕ではトリスタンの死の床になります。従ってコンサート形式とあまり違いません。ただ、歌手や楽器を左右のバルコニー席またはその近くで演奏させて空間的効果は結構ありましたが。ヴィデオはなかなか手が込んでいて、トリスタンとイゾルデを表す二人の俳優が主に出てきます。共に全裸になって禊ぎを受けたり水の中で戯れたりしますが、そこへ至る過程で遠方から手前に向かって規則正しく歩いてきたりするなど、実際の舞台に合わせていろいろ表現していますが、時には非常に具体的に舞台を表しているだけというシーンもあります。わかりやすい内容と思いますが観客は舞台とスクリーンの両方を見ないといけなくてフランス人のように字幕も読む人は結構忙しいですね。ヴィデオの内容は特に第1幕は演出家の冴えが感じられて悪くありませんが、私はやはり舞台上で舞台装置を使って演出して欲しいと思います。
照明は全般的に大変暗く、カーテンコールでもそのままなので写真はあきらめました。その代わりカーテンコールのヴィデオを紹介します。
指揮者のビシュコフが入る前では、左からリヒター、マクロ=ブーメスター、ゼーリッヒ、フォービス、マイヤー、代役ソプラノ、グバノワ、ルーカス、グリードウです。


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by dognorah | 2008-11-11 04:14 | オペラ