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ロッシーニのオペラ「Matilde di Shabran」

2008年10月27日、ROHにて。

Matilde di Shabran ossia Bellezza, e cuor di ferro
Melodramma giacoso in two acts
Music: Gioachino Rossini
Libretto: Jacopo Ferretti after a libretto by François- Benoît Hoffmann

Conductor: Carlo Rizzi
Director: Mario Martone
The Royal Opera Chorus
The Orchestra of the Royal Opera House

CAST
Ginardo: Carlo Lepore (Corradino's servant)
Egoldo: Robert Anthony Gardinert (a peasant)
Aliprando: Marco Vinco (Corradino's.doctor)
Isidoro: Alfonso Antoniozzi (an itinerant poet)
Corradino: Juan Diego Flórez (a nobleman, alsa known as Cuor di ferro (Iron Heart))
Edoardo: Vesselina Kasarova (a young nobleman)
Matilde di Shabran: Aleksandra Kurzak
Contessa d'Arco: Enkelejda Shkosa
Rodrigo: Bryan Secombe (captain of Corradino's guard)
Raimondo: Lopez Mark Beesley (Edoardo's father)
Udolfo: Atli Gunnarsson (gaoler)

Pesaroで開催されるRossini Opera Festivalの2004年プレミエのプロダクションを借りてきてROHで初上演したものです。ストーリーは単純で、劇としては退屈しますが音楽は誠にすばらしく、主要な役にいい歌手が配役されたならとても楽しめるものです。今回は、主要な役にフアン・ディエゴ・フローレス、ヴェッセリーナ・カサロヴァ、アレクサンドラ・クジャァク(この人はポーランド人で、名前の発音は友人がポーランド人に聞いて確認したものを教えて貰いました)という絶好調な歌唱を披露した歌手に加えて、脇役のCarlo ReporeやMarco Vincoもなかなか頑張っていて大変楽しませて貰いました。それにもまして特筆すべきはカルロ・リッチの音楽性豊かな指揮でしょう。序曲が始まってすぐに「あぁ、ロッシーニ」とつぶやきたくなる旋律ですが見事なまでに躍動感溢れる指揮に感激しました。

フローレスは前半は怒った顔で歌う場面が多いのですが、あんなに怖い顔をしていても声はいつもの独特の美声で、後半はへろへろする表情の多い場面でも同じく声は魅力たっぷりで何も言うことはなく聴いているだけで幸せになる声でした。
カサロヴァもメゾとは思えない高音をきれいに発声してもう感激もの。今年43歳の脂の乗り切った年齢とは思えない若々しい歌唱ですね。
クジャァクも高音まできれいに出ていましたが、あまりコロコロするような声ではないです。でも、最近聴いたスザンナやちょっと前のアディーナ役よりは遙かによかったです。
ドクター役のマルコ・ヴィンコというバリトンも質の高い歌唱でしたし、相棒のようにいつも一緒にいる従僕のカルロ・レポレモのバスも立派なものでした。マティルデの敵役を演じたエンカレイダ・シュコサも若くはないですがなかなかいい声をしています。

今回の演出は客席から登場する場面が多かったのですが、私の席から一人はさんで通路に立ったまま歌った詩人のアルフォンソ・アントニオッチ、結構艶のあるいい声をしているじゃないかと思ってみていたら、そこから舞台に上がったところでとんでもないドジをしでかしました。何とマイクにつながっているトランスミッターが固定位置からはずれてコードの先でぶらぶらしているのです。トランスミッターは5cm角程度の小さいものですが平土間の最前列に座っていた私にははっきり確認できました。彼はあわてず騒がずそっと掴んでもとの腰のあたりに納めていましたがコードは後ろのコートの部分を巻いてしまったので目立つ白いコードがずっと見えたまま。マイクを使っている現場を私にしっかり確認されてしまいました。通路のすぐそばで歌っているときも極近くにしても、ちょっと声が響きすぎじゃない?と思っていましたがやっぱり。彼一人だけが使っているはずはなく、恐らく全員マイクを装着していたものと思われます。因みにその後の彼は舞台裏で怒られたのか、歌唱があまりぱっとせず、やはり動揺してしまったのでしょうか。
今日の観客はかなりミーハーな人が多かったようで、フローレスやクジャァクが登場すると拍手したり、終演の幕が下りきらないうちにフラッシュをたいたり、とちょっといつもとは違う雰囲気でした。

写真はJuan Diego Flórez。この髭は公演に合わせて生やした自前のものでしょうか。
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次はAleksandra Kurzak。
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次は左からVesselina Kasarova、Marco Vinco、Enkelejda Shkosaです。
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最後は指揮者Carlo Rizziを挟んで。
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by dognorah | 2008-10-29 08:39 | オペラ

デンマークの室内楽団演奏会

2008年10月26日、カドガンホールにて。

The Esbjerg Ensemble

プログラム
Farrenc: Nonet, Op.38 (1850)
Poulenc: Sextet for piano and winds (1932)
Bruun: Letters to the Ocean for flute, clarinet, percussion, violin and cello (2006)
Schumann: Quintet for piano and string quartet in E flat, Op.44

この団体は1967年に結成されたデンマーク最初の室内楽団です。ユトランド半島にあるEsbjergという街を本拠にしてその名前を冠しています。コペンハーゲンじゃないところで40年以上も活動を続けているというのは凄いなぁと思いました。よほどいいスポンサーが付いているのでしょうか。レパートリーは今日のプロフラムのように古典から現代物まで幅広いもので、さして有名でもない団体がこういうプログラミングで海外遠征を行うというのも勇気ある行動でしょう。案の定全く切符の売れ行きが思わしくなく、只で配布されました。私だって只券があるよと言われなければ行かなかったでしょう。それにも拘わらずカドガンホールの聴衆は2割程度で、寂しいコンサートになりました。
にも拘わらず、彼等の演奏する音楽はとてもすばらしく、百数十人の聴衆は大いに楽しみました。
最初の曲はフランスの女流作曲家Louise Farrencの作品ですが、私は名前を初めて知りました。管と弦を合わせた9重奏でちょっと生ぬるい感じの音楽ですが決して悪くはなく、ゆったりと室内楽を楽しめます。プーランクの作品はもっと緩急と強弱の待避があって面白い曲です。3曲目はデンマークの現代作曲家Peter Bruun (1968-)が2年前に作曲した作品です。パーカッショニストがかなり忙しい曲ですが音量は控え目で激しい音は一切なく、音楽としては面白く楽しめます。最後のシューマンは全く正統的で立派な演奏でした。各演奏者はそれぞれ技量が優れていていいアンサンブルでした。設立してから40年の歳月が経っていますので十数人のメンバーは老若混じっていますが新人を迎えながらもちゃんとレヴェルを維持しながら活動を続けているのは立派だと思いました。
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by dognorah | 2008-10-28 22:02 | コンサート

チャイコフスキーのオペラ「イオランタ」コンサート形式

2008年10月25日、RFHにて。

Iolanta - lyric opera in 1 act
Music: Peter Ilyich Tchaikovsky
Libretto: Modest Tchaikovsky after Danish play Kong Renés Datter (King René’s Daughter) by Henrik Hertz

Vladimir Jurowski:conductor
Tatiana Monogarova:Iolanta (soprano)
Sergei Aleksashkin:King Rene (bass)
Yevgeny Shapovalov:Count Vaudemont (tenor)
Vyacheslav Pochapsky:Ibn-Hakia (bass)
Rodion Pogossov:Robert, Duke of Burgundy (baritone)
Peter Gijsbertsen:Almeric (tenor)
Maxim Mikhailov:Bertrand (bass)
Alexandra Durseneva:Martha (contralto)
Ekaterina Lekhina:Brigitta (soprano)
Julie Pasturaud:Laura (mezzo-soprano)
Moscow Conservatory Chamber Choir

チャイコフスキー最後のオペラです。上演時間は100分程度と短いですが、すばらしい音楽に感動しました。管弦楽もさることながら、主要な役の歌うアリアも美しく、聴かせどころ充分です。合唱も含めて多くのロシア人歌手を連れてきたユーロフスキーは快調そのもの、美しくも迫力ある音楽が朗々と響き、心底楽しめました。
歌手ではルネ王を演じたセルゲイ・アレクサシュキンが声質、声量ともすばらしい歌唱です。もう一人ムーア人の医者を演じたヴァチェスラフ・ポチャプスキーも聴き応えのある立派なバスでしたし、ヴォードモン伯爵を歌ったエフゲニー・シャポワロフも特にキャラクターがある訳じゃないもののなかなかいいテノールでした。タイトルロールを歌ったタチアナ・モノガロワはミュンヘンプロムスに続いて今年3回目の体験ですが、声の印象はミュンヘンの時とほぼ同じで非常に魅力的というわけではないのですが、イオランタという盲目で控え目な王女役にはとてもよく合っていました。

最初の写真はタイトルロールを歌ったTatiana Monogarovaと医者役を歌ったVyacheslav Pochapskyです。
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次の写真は、左からイオランタの相手役でちょっと怖い顔のYevgeny Shapovalov、ルネ王を歌ったSergei Aleksashkin、ロベルト役のバリトンRodion Pogossovです。
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最後の写真は、左からJulie Pasturaud、Ekaterina Lekhina、Vladimir Jurowskiです。ユーロフスキーはこのように長い髪を後ろでくくる方式に変えていました。
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by dognorah | 2008-10-26 21:29 | オペラ

カンブルラン指揮フィルハーモニア管

2008年10月23日、RFHにて。

Sylvain Cambreling:指揮
Roger Muraro:ピアノ
Lauren Flanigan:ソプラノ
Philharmonia Orchestra

プログラム
Debussy: Prélude à l’après-midi d’un faune
Messiaen: Réveil des oiseaux
Messiaen: Poèmes pour Mi
Scriabin: Le poème de l’extase, Op.54

カンブルランはパリのオペラ劇場で何度か経験していますが、管弦楽コンサートを聴くのはこれが初めてです。オケのコントロールはしっかりしたもので全体に豊穣な響きでした。しかしプログラムが悪かったのか寂しい観客数でした。バルコニーは閉じ、ストール席も前の方は割と入っていたものの、通路から後ろは100人程度。

最初の曲はイメージとして持っている昼下がりのけだるさみたいなものはあまり感じられず、より洗練された演奏というかややあっさりした感じです。

2曲目(鳥たちの目覚め)はピアノと管弦楽による音楽で初めて聴く曲ですが面白い曲です。ピアノに始まって各楽器ともの高音部が主に使われますが鳥のさえずりを表しているのでしょう。音をフォローしているだけで楽しくなります。イタリア生まれの長身のピアニスト、ムラロはメシアンを得意としているそうで、なかなかのテクニシャンです。

3曲目のメシアンはつい先日ハーディングとLSOで聴いたばかりですが、オケの鳴り方がかなり違っていて興味深いものでした。カンブルランの方が派手でメリハリが利いている感じで私はこの方が好きです。ソプラノはサリー・マシューズの方が声は良かったけれど今回のローレン・フラニガンも上手い歌唱でした。しかし両方のコンサートともイギリス人とアメリカ人ソプラノでなぜかフランス語圏の人じゃないんですよね。ちょっと不思議。

スクリャービンの法悦の詩はオケの各パートとも上手くて音の饗宴をたっぷり楽しめました。コーダの盛り上げは迫力たっぷり。

写真は終演後のRoger MuraroとSylvain Cambrelingです。
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下の写真は花束を贈られたLauren Flaniganです。
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by dognorah | 2008-10-26 00:42 | コンサート

ボストリッジ+内田の「冬の旅」

2008年10月21日、バービカンホールにて。

Schubert: Winterreise, D911

Ian Bostridge: tenor
Mitsuko Uchida: piano

ボストリッジの歌唱はすばらしく、内田のピアノも控え目ながらつかず離れずの息の合ったもので感動しました。
ボストリッジは感情のほとばしりをそのまま歌にぶつけるような激しさもあれば息を潜めて細やかな思いを伝える声のコントロールも完璧で、心から詩と歌に共感した表現が見事。ピアノの前で体を動かしながらそれぞれの曲の思いを伝えるため発声はあっちを向いたりこっちを向いたりでしたが、聴いている方はじっと立って歌うより面白いです。
舞台の割と奥で歌ったので唾も飛んでこず比較的前の方にいる客に向かって歌う仕草が多かったので私もロンドンの椿姫さんやPrimroseさんのように最前列の席を確保するんだったとちょっと後悔。
内田さんは眼鏡をかけて譜面を見ながらの演奏でしたが、抑えめながらいつもの百面相的表情で、しかも歌詞に合わせて本人もぱくぱく口を動かしていました。まさか声は出ていなかったでしょうけれど。私の隣に座っていたイギリス人の年配の男性はコンサート前にプログラムを見て「え?ピアノは日本人だって?何で?」なんてつぶやいていましたが、終了後は私の耳元で「あの日本人ピアニストはすばらしいね!」と言っていました。多分この高名なピアニストのことを全く知らなかったのでしょう。
この曲は今までレコードでしか聴いたことがなく、実演を聴くのは今回が初めてでしたが、やはり実演がずっとすばらしい。私はこの曲の演出付きのボストリッジのDVD(ピアノはJulius Drake)も持っていますが今回の演奏の方がいいです。
今夜の客は9割以上入るという人気コンサートで、通して演奏される24曲の合間に多くの人から咳が無遠慮に出てちょっとうるさいなぁという感じではありましたがそれでも演奏者と同じ空間を共有出来る実演がいいです。内田さんはそんな咳にお構いなしに次の曲の冒頭をさっさと弾いて咳を止めていましたが、そうでもしないと間があきすぎてしまいますね。
今回は歌詞の対訳を見ながら詩の内容もじっくりと読みましたが、シューベルトが感動しただけに詩もすばらしいもので、ヴィルヘルム・ミューラーという詩人に俄に興味が湧きました。「美しき水車屋の娘」と共に失恋ばっかりしていたような印象ですが、1794年生まれで1827年に亡くなっていますから33年しか生きていません。死因はちょっと調べたのですが分からず。一方のシューベルトは1797年生まれで1828年に亡くなっていますから、やはり31歳という若死に。こちらは死因は分かっていて腸チフスとのこと。この人は梅毒にもかかっていたそうでシューマンと同様若い頃に遊びすぎたのでしょうか。ミューラーとはほぼ同年代で共感することが多かったのでしょう。プログラムの解説によると、最初はミューラーの詩を12だけ入手して作曲後、更に12の詩があることが分かって詩の内容が前後しているものの先の12曲が既に出版屋に回っている事情から内容は無視して後の12曲を付け足したものということのようです。従って詩だけ読んでいくとちょっとちぐはぐな印象になります。

写真は終演後、花束を受け取って挨拶するMitsuko UchidaとIan Bostridgeです。ボストリッジの花束にはなぜか季節外れのあじさいがあるのが変ですね。
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by dognorah | 2008-10-22 23:29 | コンサート

ケント・ナガノ指揮フィルハーモニア管

2008年10月16日、RFHにて。

プログラム
メシアン:La Transfiguration de Notre-Seigneur Jésus-Christ

演奏
Kent Nagano: 指揮
Pierre-Laurent Aimard: ピアノ
Kenneth Smith: フルート
Mark Va De Wiel: クラリネット
Karen Stephenson: チェロ
David Corkhill: 打楽器
Kevin Mathway: 打楽器
Peter Fry: 打楽器
BBC Symphony Chorus
Philharmonia Voices
Philharmonia Orchestra

今年7月にプロムスで同じ曲を聴いています。そのときはもう聴くことはないだろうと書いたのですが、実はこの切符を買っていたのを忘れていたのでした。同じBBCのコーラスが出演ですがコーラス全体としてはプロムスの時よりずっと編成は小さくアンサンブル的にはこちらの方がずっと良かったです。
そして、ナガノの指揮はよりわかりやすく、冒頭から引き込まれるような音です。全体にメリハリが利いています。フィルハーモニア管もすばらしい音で、特に弦楽器はとても美しかった。聴くのが2回目ということもあるかもしれませんが、より明確に作曲の意図が分かったような気がします。合唱のメロディがやや単調なのはそういう曲なので仕方がなく、果たしてこれ以上の演奏があるのかという印象です。
写真は終演後のケント・ナガノです。
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by dognorah | 2008-10-20 07:56 | コンサート

Jette Parker Young Artists Programme 2008

今週はROHの若手育成のための標記プログラムに採用されている人たちの発表会が何度か開催されます。歌手は10人いますがそのうち4人が今年9月に採用された人たちで、任期は2年です。
今日はその発表会の第1回目で、登場した歌手達は次の7人で、新人は全員参加です。私がこのプログラムのことを知って以来日本人が採用されたのは初めてです。韓国人や中国人はいるのに何で日本人はいないのかと思っていましたがやっと実現しました。彼女は大阪音大の出身で新国立劇場とネーデルランドオペラで研修を受け、オペラはこれまで新国立劇場、アテネの劇場、バンコクのオペラ劇場などで歌った経験があるそうです。

ソプラノ
Pumeza Matshikiza (南アフリカ)
Simona Mihai (ルーマニア、新人))
Eri Nakamura (日本、新人)
Anita Watson(オーストラリア)

テノール
Robert Anthony Gardiner (イギリス、新人)
Ji-Min Park (韓国)

バリトン
Changhan Lim (韓国、新人)

プログラムは全てオペラアリアからソロおよびデュエットでした。注目の日本人ソプラノ中村さんはマスネーのマノンから第2幕のアリア ‘Adieu, notre petite table’、モーツァルトのフィガロの結婚から第3幕の伯爵夫人とスザンナのデュエットでスザンナ、ドニゼッティのドン・パスクアーレ第1幕からのNorinaとDr Malatestaのデュエットの3曲を歌いましたが、素直で声量のある声はなかなかすばらしく、4人のソプラノの中では一番の出来と思いました。特にノリーナの歌唱での盛り上がりは凄くて、技術的にはかなり出来上がっている印象です。この後水曜日にもリサイタルで出演するので楽しみです。是非2年間の研修の後は国際的に活躍出来るレヴェルになって欲しいものです。

他の歌手ではイギリスの新人テノールのガーディナーが韓国のパークに引けを取らない出来なのと、韓国の新人バリトンのリンが凄い歌唱で目立っていました。リンはバスバリトンというべき声質でしょう。上手いです。2年生の中ではやはり今まで舞台上でも好演してきたパークが抜群のうまさでした。
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by dognorah | 2008-10-14 21:12 | オペラ

ヴァン・ゴッホ展 – Albertina美術館

ヴィーンのアルベルティーナがアムステルダムのヴァン・ゴッホ美術館の協力を得て企画した展覧会で、1990年にアムステルダムで開催された没後100年記念展以来の規模ということです。購入したカタログによると油彩、水彩、素描を併せて140点が展示されていました。Webページでは油絵50点、水彩と素描併せて100点の合計150点と謳っていますが貸して貰えなかった作品もあるのでしょう。1881年以降没する1890年までのゴッホのユニークな色使いの油絵画家としての面とデッサン、イラスト画家としての面に焦点を当てた企画ということです。ざっと油絵だけ見ても超有名な作品は皆無ですが、世界中の美術館やコレクターに協力を仰いで集められた作品は今まで見たことがないものが多く、大変充実したものだと思いました。特に、焦点を当てたという彼の素描はすばらしい作品が多く、私が最初に入った部屋で見た次のペン画には圧倒的感銘を受け、これの開催時期に合わせてオペラの切符を取った甲斐があったと心底思いました。草の一本一本を丁寧に精緻に描いた作品から、元々彼が画家ではなくイラストレーターになりたかったという思いが伝わってくるようです。

Marsh with Water Lilies, June 1881, Etten 23.5 x31.4cm Pencil, reed pen, pen and black ink, Virginia Museum of Fine Arts
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同じような時期に制作された他の素描もすばらしくて、ペンと鉛筆を使った線の確かな筆致に溜息が出ます。

油絵では次の絵が一番気に入りました。写真ではわかりにくいのですが、中央左寄りに描かれた木が葉っぱの一枚一枚まで精緻に描かれた印象で、かなりのエネルギを感じるため空とフィールドなどは付け足しのように思えてきます。力強い絵です。

A Lane near Arles, May 1888, Arles 61x50cm Oil on canvas, Pommersches Landesmuseum, Greifswald
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Van Gogh
Albertina, Wien
5 September 2008 – 8 December 2008
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by dognorah | 2008-10-14 04:01 | 美術

シュトラウスのオペラ「Capriccio」

2008年10月9日、ヴィーン国立歌劇場にて。
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Capriccio
Ein Kanversationsstück für Musik
Text von Clemens Krauss und Richard Strauss
Musik von Richard Strauss

Dirigent: Philippe Jordan
Inszenierung, Bühne und Licht: Marco Arturo Marelli
Kostome: Dagmar Niefind
Choreographie: Lukas Gaudernak

CAST
Die Gräfin: Renée Fleming
Der Graf: Bo Skovhus
Flamand: Jörg Schneider (Michael Schade の代役)
Olivier: Adrian Eröd
La Roche: Wolfgang Bankl
Die Schauspielerin Clairon: Angelika Kirchschlager
Monsieur Taupe: Peter Jelosits
Eine italienische Sängerin: Jane Archibald
Ein italienischer Tenor:. Ho-yoon Chung
Der Haushofmeister: Clemens Unterreiner

Orchester der Wiener Staatsoper

今年の6月にプレミエだったものをほぼ同じ出演者で再演したものです。因みに題名の「Capriccio」というイタリア語は、気紛れなどの意味があります。

まず特筆すべきはジョルダンの指揮。とてもよくコントロールされた美しい表現がすばらしい。前奏曲こそ眠くなるような音楽でしたが、どんどん調子を上げて最後は乗りに乗っている様が伝わってきます。この人は何度も聴いているけれど何を聴いても安心して任せられるという印象です。

歌手ではルネ・フレミングが相変わらずの美声を響かせ、最後の長大なアリアも見事でした。彼女の声がこの役に最適かどうかはよく分かりませんが。私の持っているDVDではキリ・テ・カナワが主演ですが声質は似ているという印象です。
舞台監督を演じたヴォルフガンク・バンクルもすばらしい歌唱で、終始艶のあるバスはとても心地よく響きます。
ミヒャエル・シャーデの代役は姿が似ているせいか声まで似ていてなかなか上手いものでした。詩人役を演じたアドリアン・エレートはやや調子が悪く、今まで聴いた中では最低の出来。声に艶のない時が多かった印象です。
キルヒシュラーガーは時折彼女らしい美声が聴けたものの全般的にはやや不調でした。
ボー・スコーフスは終始よい歌唱でした。しかしこの人は演技が下手だなぁという印象。

演出はよくできたものです。舞台も全体的に美しいし衣装もまあまあ。全てのオペラ関係者が退出した後、伯爵夫人が一人になる場面は特によく出来ていて、彼女のドレスや豪華なネックレスやドレスアクセサリーに使われた宝石類も舞台と非常に良くマッチした気品のあるものです。登場人物と音楽をそのままにして行われる舞台転換もスマートでよく出来ています。

オペラとしてはストーリーというものがほとんど無く、会話ばかりなのでやや退屈ですが、音楽がすばらしくてそれを補っていますので、いい歌手を揃えて上演しないと失敗する気がします。

トップの写真は終演直後に舞台上で挨拶するRenée Flemingです。
次の写真は指揮者Philippe Jordanと笑顔を交わすところ。
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次の写真はいつものカーテンコールで、彼女の右側がWolfgang BanklとAngelika Kirchschlagerです。この写真の伯爵夫人の衣装の色が一番現実に近いです。
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by dognorah | 2008-10-11 19:41 | オペラ

ハーディング指揮LSO

2008年10月8日、バービカンホールにて。

プログラム
Boulez: Livre pour cordes
Messiaen: Poèmes pour Mi
Bruckner: Symphony No.4 ‘Romantic’

演奏
Daniel Harding:指揮
Sally Matthews:ソプラノ
London Symphony Orchestra

会場は5割程度の入り。ストール席はまあまあ入っていましたがサークル席は100人に満たず、バルコニーは閉じられています。LSOのコンサートでこんなに少ないのは初めて経験しました。プログラムに魅力がないのか、それともやはり1929年以来の恐慌が近いのでしょうか。9月後半から始まった各オケの定期演奏会が軒並みこの程度の入りというのは異様です。

今日のハーディングは指揮棒を忘れたのか(まさかね)全て指揮棒なしで指揮しました。
ブーレーズの作品は弦楽合奏曲ですが、元々は弦楽四重奏曲で、作曲者自身が編曲したものです。オケの弦が調子がいいことがよく分かりました(^^;
2曲目のメシアンは、奥さんのために作った九つの詩に作曲したもので題名にあるMiというのは彼が奥さんを呼ぶときの名前だったそうです。現在ROHでCalistoに出演中のサリー・マシューズがこちらでも歌いました。声が特にいいというわけではありませんがなかなかの歌唱でした。曲も魅力的でとても充実した響きです。楽しめました。
写真は演奏後のハーディングとマシューズです。
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最後の曲は名演だったと思います。今日のLSOは各パートのトップが何人かお休みしているにも拘わらずとてもよく鳴っていました。上に述べたように弦が好調な上に金管もすばらしく、特にホルンのトップ(David Pyatt)は上手くて感心しました。演奏後ハーディングは彼一人を立たせて讃えていましたが当然でしょう。第3楽章の長い繰り返し部分で2回とも完璧な音程であり音でしたし。全体にテンポは遅めで美しく、題名通り本当にロマンティックでスケールの大きい演奏でした。ブラヴォーです。
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by dognorah | 2008-10-09 09:19 | コンサート