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オペラ「カリスト(La Calisto)」公演

2008年9月25日、ROHにて。

La Calisto
Dramma per musica in a prologue and three acts
Music: Francesco Cavalli (Edited by Professor Alvaro Torrente for Barenreiter-Verlag, Kassel)
Libretto: Giovanni Faustini, after Metamorphoses by Ovid (Book 2)

Conductor: Ivor Bolton
Director: David Alden
The Monteverdi Continuo Ensemble and members of the Orchestra of the Age of Enlightenment

CAST
Nature/Satirino/Second Fury:Dominique Visse
Eternity/Giunone:Véronique Gens
Destiny/Diana/First Fury:Monica Bacelli
Giove:Umberto Chiummo
Mercurio:Markus Werba
Calisto: Sally Matthews
Endimione: Lawrence Zazzo
Linfea: Guy de Mey
Pane: Ed Lyon
Silvano: Clive Bayley

バイエルン州立歌劇場が2005年に初演したプロダクションを借用してコヴェントガーデンでも上演したものです。ミュンヘンでは来年も上演されます。私は聴くのも見るのも初めてで、作曲家の名前すら今回が初めて聞くものです。

物語のあらすじ
ディアナの取り巻き乙女達の一人、カリストをこの世の創造主であるGioveが見初めてアプローチするのですが、カリストは一生処女でいることをディアナに要請されていることからそれを断ります。そこでGioveは部下のMercurioのアドヴァイスを入れてディアナの姿に変身して相手を油断させ、思いを遂げます。カリストは敬愛するディアナに愛されたと思いこんでいるのですが、ディアナ本人は当然知らないわけで、不可解な言葉を発するカリストを追放してしまいます。妊娠して大きなお腹を抱えたカリストを見たGioveの奥さんであるGiunoneは彼女を問いただして夫の浮気を確信し、嫉妬のあまり彼女を熊にしてしまいます。それを不憫に思ったGioveは熊としての地上での生を終えた後は天に輝く星にしてやると約束します。このほか、ディアナと羊飼いEndimioneの恋愛関係やディアナに片思いする羊飼いの神であるPaneなどが絡んでいろいろな場面が織りなします。

舞台は秀逸で大変楽しめました。服装などは現代風ながらパンや取り巻きの羊たちはそれらしい格好をしていて、舞台装置はとても美しいし、よくできた演出で笑どころも一杯(別に大笑いする訳じゃありませんが)、いいプロダクションです。ディアナの取り巻きの女性達は俳優ですが全員モデルのようなすばらしいプロポーションで、よくできた衣装と共に舞台を華やかなものにしていたのも好ましい。

音楽的にも楽しめましたが、特に感心したのがオーケストラの音と演奏。珍しい混成部隊のオケですがとても上手いと思いました。
歌手では、Endimioneを歌ったアメリカ人カウンターテノールLawrence Zazzoが一番よかったと思いますが、他の歌手達もそれなりによかったです。Sally Matthewsは第1幕ではとてもいい声でしたが、第2幕では妊婦姿の衣装が邪魔をしたのかかなり不快なヴィブラートが気になりました。第3幕では赤ん坊が生まれた後かなり回復したものの第1幕ほどではなかったです。

写真は終演後、熊のかぶり物を抱えたのSally Matthewsです。
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下の写真はLawrence Zazzoと後方にPaneのEd Lyonと左端はVéronique Gensです。
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by dognorah | 2008-09-29 21:35 | オペラ

フィルハーモニア管のシーズン開幕

2008年9月23日、RFHにて。

プログラム
バルトーク:中国の不思議な役人、組曲 Op.19
プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番ト短調 Op.63
ストラヴィンスキー:エディプス王

出演
Esa-Pekka Salonen (指揮)
Vadim Repin (ヴァイオリン)
Stephen Gould (Oedipus)
Ekaterina Gubanova (Jocasta)
Kyle Ketelsen (Creon/Messenger)
Franz-Joseph Selig (Tiresias)
Andrew Kennedy (Shephard)
Simon Russel Beale (Speaker)
Philharmonia Voices
Philharmonia Orchestra

シーズン幕開けにふさわしい快調な管弦楽でした。
バルトークの組曲はこの作曲家らしい才気溢れるオーケストレーションが素敵で、演奏も溌剌として楽しめました。
プロコフィエフは、あまりらしくない優美なメロディが感じられる佳作で、気品ある美しいレーピンの音色がぴったしという感じです。第2楽章は特に美しい。また第3楽章のカスタネットが効果的で、こういう場面でカスタネットを使うという発想に感心しました。尤もそのときに流れているメロディはスペイン風なので当然かもしれませんが。
次の写真は今夜のVadim Repinです。
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インターヴァル後はストラヴィンスキーの大作オペラオラトリオOedipus rexです。始まる前までは、この曲を聴くのは初めてかなぁと思っていましたが、曲が始まってすぐに最近聴いたことがあるのを思い出しました。帰宅してから調べたら昨年5月にゲルギエフ指揮LSOで聴いていたのでした。そのときはちょっと退屈したと書いていますが、今回は緊張感が持続してあまり退屈じゃなかったです。サローネンのコントロールはよく効いていました。フィルハーモニア・ヴォイシズという男声合唱団がすばらしいハーモニーだったのも好印象です。独唱は先月バイロイトでジークフリートを歌ったスティーヴン・グールドが声量の大きさで目立ちます。ただ、黒い髭が結構伸びた顔を見て一瞬別人かと思いました。頭髪だって黒いし。バイロイトの舞台ではメーキャップで両方とも薄い茶色にしてあったし、髭も薄かったのです。おまけに今回は譜面を読むために眼鏡をかけていましたのでイメージは全く異なりました。つい先日までROHのドン・ジョヴァンニに出演していたカイル・ケテルセンが、エーッと言うぐらい声が響かず、ちょっとびっくりしました。尤もROHでは舞台すぐそばで聴いていたのですが(今回はバルコニー)。メゾソプラノのエカテリーナ・グバノワはよく通る声でしたし、他の歌手もまずまず。
下の写真は、左からStephen Gould、Kyle Ketelsen、Ekaterina Gubanovaです。
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by dognorah | 2008-09-25 01:26 | コンサート

久し振りにコンピュータネタ

(1)ウイルス対策ソフト
今まで使っていたセキュリティソフトのカスペルスキーの期限が切れたので、噂に聞いていた無料のウイルス対策ソフトであるavast! 4 Home Editionをインストールしてみた。
私はこの手の対策ソフトは今までノートン、マカフィー、カスペルスキーと使ってきたがいずれも重くてPCに多大の負荷をかける上に、何か作業を開始する度にウイルスチェックが始まるので煩わしくてまともには使っていられない。それで邪道ではあるがPCに二つのOSをインストールしておき、普段あまり使わないOS(Windows XP英語版)の方にウイルス対策ソフトをインストールしておく。そして定期的にこのOSを立ち上げて、普段使っているOS(Windows XP日本語版)がインストールされているドライヴをスキャンするのである。だからリアルタイムでウイルスをチェックしているわけではないが、Windows Security Updateは自動できちんとやっているせいか今のところ特に問題は生じていない。このアヴァストも今まで使ってきたものに比べると作業中に邪魔だという印象はやや薄いが、それでも同時に動作させると煩わしいこともあるので、やはり使い方は同様にしている。

さて、このアヴァストというソフトで件のドライヴをスキャンしてみたら、いくつかのトロイの木馬を見つけたという。その中の一つは長年使ってきたあるソフトで、今までの大手のウイルス対策ソフトおよびマイクロソフト提供のWindows Defenderで安全と見なされてきたものである。この結果はちょっとそのまま受け入れられないので、スペインの会社が提供しているVirus Total という無料サイトにこのトロイの木馬と認定されたファイルをアップロードして調べて貰った。このサイトは世界中で出回っているウイルス対策ソフト36種類をこれに適用して結果を報告してくれたが、36種中5種類の対策ソフトがトロイの木馬乃至は疑わしい動作をするヤツというレポートだった。やはり名前のよく知られた対策ソフトは全て白と認定している。ということでそのまま何もせずに相変わらず使い続けているが、多分問題ないだろう。こういうこともあるからそれを知った上でこの種のソフトは使うもの。何といっても無料で毎日パターンファイルをアップデートしてくれるのは便利である。

(2)Windows XP Service Pack 3
合計で3台のPCにこれをインストールしてみたが、結果は大変好ましいものなので、人様にも推奨できるという印象である。
あるPCは起動時に頻繁にクラッシュしてブルー画面を出し続けているが、これをインストールしてから大幅にクラッシュが減った。クラッシュの原因はドライヴァーの不具合という報告がマイクロソフトから来るのみでどのドライヴァーが悪いかなどの詳細は不明で、それは今でも変わらない。しかしその後の定期的なSecurity Updateを繰り返しているとまたクラッシュが増えてきた。一回一回適用されるアップデートがあまり完全なものじゃないのだろうという気がする。

一台ノートブックPCがあるが、これはこまめなSecurity Updateを繰り返しているうちに、システムトレーのバッテリーの状態を示すアイコンが消えてしまうという不具合に悩まされてきた。それがこのサーヴィスパックで解消した。その後のSecurity Updateでも問題なく表示されている。

(3)携帯電話関係
PCとは関係ないがついでに。私はあまり携帯電話を使用しないので、毎月プロヴァイダーに支払う固定料金が勿体ないと感じていた。そこでプリペイド型すなわちPay As You Goというものに切り替えた。いろいろ調べたらVodafon系のAsda Mobileというネットワークがお得なので番号も元のヤツを移して快調に使用している。通話料金は良心的で、1分8ペンス(約15円)で、テキストは一通4ペンス。海外へかけると1分20ペンス。また、インターネットも使えるがこちらも安くはなく、KB当たり0.2ペンス。欧州に旅行中も使えるが、そのときの料金は高くてEU内のどこへかけても1分35ペンス。
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by dognorah | 2008-09-23 23:57 | コンピュータ

プッチーニ「西部の娘」公演

2008年9月19日、ROHにて。

La fanciulla del West
Opera in three acts
Music: Giacomo Puccini
Libretto: Guelfo Civinini and Carlo Zangarini after David Belasco's The Girl of the Golden West

Conductor: Antonio Pappano
Director: Piero Faggioni
Set designs: Kenneth Adam
Costume designs and lighting design: Piero Faggioni
The Royal Opera Chorus
The Orchestra of the Royal Opera House

CAST
Minnie:Eva-Maria Westbroek
Dick Johnson (Ramirez) a bandit:José Cura
Jack Rance a sheriff:Silvano Carroli
Nick a waiter:Bonaventura Bottone
Ashby agent for the Wells Fargo Transport Company:Eric Halfvarson
Jake Wallace a roving minstrel:Vuyani Mlinde
Sonora:Daniel Sutin
Trin:Hubert Francis
Bello:Kostas Smoriginas
Happy:Quentin Hayes
Joe:Harry Nicoll
Larkens:Andrew Foster-Williams
Harry:Robert Murray
Sid:Adrian Clarke
Billy Jackrabbit a Red Indian:Graeme Danby
Wowkle Minnie's Indian servant:Clare Shearer
José Castro a member of Ramirez's band:Jeremy White
Pony Express Rider:Lee Hickenbottom

このプロダクションが再演されるのは2005年10月以来3年振りです。あらすじはそのときの記事に書きました。ラミレス役は前回もホセ・クーラでした。そして、クーラの歌唱は前回を上回る出来でこんな好調なクーラを聴いたのは久し振りのことです。文句なしの出来で大満足です。こんなに好調なら今回はパスしようと思ったトゥーランドットも行こうかしら。
そして今回の相手役ミニーを演じたエファ=マリア・ウェストブルックもすばらしいとしか言いようがありません。この人を聴くのは2年前のムツェンスク郡のマクベス夫人昨年のROHのジークリンデ先月のバイロイトのジークリンデに次いで4回目ですが、全てレヴェルの高い出来だったので、いつも安定して優れた歌唱を聴かせてくれる人ですね。
しかしもう一人重要な役のシェリフ、ジャック・ランスを歌ったシルヴァーノ・カロリがいけません。声量がない上に声も歌唱も魅力に乏しく、おまけに演技も上手ではありません。唯一この人にだけ終演後はブーが出ていました。他の脇役陣もよかっただけにただ一人凹んでいるのは目立ちました。イタリアの歌手ですね。3年前はアメリカ人バリトンのマーク・デラヴァンが歌いましたがずっとよかったと思います。

今回は2回目なので音楽はより楽しめました。台本があまりよくできていなくて退屈なオペラですが、プッチーニらしい美しいメロディはあちこちに散りばめてあり、主役3人のアリアも聴き応えがあるものです。パッパーノの指揮も前回よりかなり叙情性を強調していたように思います。今回プッチーニの音楽で特に印象的だったのは第2幕でミニーとシェリフがラミレスの身柄と彼女自身を賭けてポーカーの勝負をするところで、バックに流れる音楽は単にバスのピチカートだけという場面。演じる人たちと聴衆の心臓の鼓動のようにも聞こえるもので緊迫感が満ち満ちていました。実は指揮者はこのときお休みしてバス奏者に任せていました。私の席はオケの真横だったので全て見えるのです。余談ですが、この演出は3幕とも暗闇から幕が上がっていきなり音楽が始まるもので、パッパーノはあらかじめ指揮台の横で待機していました。さすがに第3幕だけはいつものように登場してオケを立たせて拍手を受けていましたが。

さて今回は大いにステージについて不満があります。何と舞台前面にネットが張ってあって、最初から最後までそのままなのです。まるで鳥かごの中を見るみたいに舞台を見なければならず、見難いことこの上なしという状況でした。私のようにサイドに座っている者だけでなく平土間最前列に座っている人もものすごく見難いとこぼしていました。何のためにこうしたのかは全く不明で、ただでさえ暗い照明の舞台がますます暗くなるし、第一、鬱陶しくて仕方がないです。3年前はAmphitheatreから見たのでネットに気付かなかったのかあるいは今回だけなのか。恐らく今回だけなのでしょうけれど、やめて欲しいものです。おまけにカーテンコールも全く照明がそのままなのでクーラとウェストブルックの写真も次のようにひどいことになりました。時にはカメラの焦点がネットに合ってしまったりでさんざんです。
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ウェストブルックの右の方にいるのはボナヴェンチュラ・ボットーネです。

今日はロンドンの椿姫さん、日本からいらしたSardanapalusさんとりょーさん、それにNYからいらしたMさんといっしょになり、35分ずつ2回もあったインターヴァルは全く退屈せずに済みました。楽しい会話に感謝です。
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by dognorah | 2008-09-21 04:38 | オペラ

キーンリーサイドの「ドン・ジョヴァンニ」公演

2008年9月10日、ROHにて。

Don Giovanni
Opera buffa in two acts
Music: Wolfgang Amadeus Mozart
Libretto: Lorenzo da Ponte

Conductor: Charles Mackerras
Director: Francesca Zambello

CAST
Don Giovanni: Simon Keenlyside
Donna Anna: Marina Poplavskaya
Don Ottavio: Ramón Vargas
Donna Elvira: Joyce DiDonato
Leporello: Kyle Ketelsen
Masetto: Robert Gleadow
Zerlina: Miah Persson
Commendatore: Eric Halfvarson

The Royal Opera Chorus
The Orchestra of the Royal Opera House

この日がROH公式のシーズンオープンですが、実は8日にオペラファンの裾野を広げる目的で大衆紙「Sun」の読者のための特別公演があったので、出演者にとっては初日ではありません。
それはともかくちょっと今日の公演は不調という印象でした。まずタイトルロールのキーンリーサイド、こんな調子の悪い彼を見たのは初めてというくらい声に張りがなく歌唱も魅力的じゃなかったと思います。そしてドンナ・アンナを歌ったマリア・ポプラフスカヤがそれに輪をかけたようなひどい歌唱で全く話にならない出来です。一応開演直前に、調子が悪いけど歌う旨がアナウンスされましたが、キャンセルしてアンダーに歌わせるべきだったでしょう。
ただ、他の歌手は大体が好調で、特にジョイス・ディドナートは終始安定した歌唱で絶好調でした。ラモン・バルガスも持ち前の美声を発揮していたし、カイル・ケテルセンは1年前と同様上手いし、ツェルリーナ役初登場のミア・パーソンも好ましい歌唱でした。ヤング・アーティスト・プログラム卒業後久し振りに見たロバート・グリードウも持ち前の声がよく出ていました。彼はここで本格的な役をやったのは初めてだと思いますが、順調なスタートですね。
マッケラスの指揮がこれまたあまり好調とは言えず、序曲からして平凡な音。カタログの歌なんかもう少し流暢な音運びで、きりっとして欲しかった。全体にやや退屈な演奏でした。
下の写真は、ドン・ジョヴァンニ役のSimon Keenlysideとレポレロ役のKyle Ketelsenです。
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次の写真は、ドン・オッタヴィオ役のRamón Vargasとドンナ・アンナ役のMarina Poplavskayaです。
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最後の写真は、ドンナ・エルヴィーラ役のJoyce DiDonatoとツェルリーナ役のMiah Perssonです。
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by dognorah | 2008-09-11 22:25 | オペラ

ハイティンク指揮シカゴ交響楽団

2008年9月8日、RAHにて。Prom 71。

今年のPROMSも今週限りで終了ですが、今日が私の行く最後です。

プログラム
Mark-Anthony Turnage:Chicago Remains (UK Premier)
Mahler:Symphony No.6 in A minor

演奏
Chicago Symphony Orchestra
指揮:Bernard Haitink

最初の曲は1960年生まれのイギリスの作曲家に委嘱された新作で、世界初演はシカゴで演奏されましたが、今回がイギリス初演です。開始は、ジャン、ジャン、ジャンと打楽器主体に物々しく始まります。全編を通して流れるメロディはスムーズで悪くない曲ですが、特に感銘したというほどでもなく、もう一度聴きたいか?と問われると、別にぃーというところ(^^; 演奏時間はプログラムによると約16分。
次の写真は舞台に現れたターネイジ氏と、右はハイティンクです。
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マーラーは期待通りすばらしい演奏でした。ハイティンクらしいカチッとした輪郭の演奏で格調高いもの。激情のほとばしりというものはなく、全編至って冷静なのもいつもの彼らしいスタンスです。第2楽章はスケルツォで、アンダンテは第3楽章に置かれた伝統的な順序で、ついでに弦の配置もチェロが右側最前列に来るもので、共に最近流行のスタイルではないです。第4楽章に、木槌で板をどかんと叩くところがありますが(今回は2回叩いた)、奏者は華奢な中国系の女性でした。今まで見た演奏ではいつも男声がよいしょとやっていましたが女性が叩いたのは初めて見ました。この「楽器」もCSOのものは結構凝った作りになっていて、女性が叩いたにしてはかなりそれらしい大きな音がしたので何か工夫がしてあるのでしょう。ハイティンクは自分も一緒に叩くみたいに腰を折り曲げてキューを出していたのがおかしかった。
アメリカの雄CSOの音はすばらしく、豊かな低弦、柔らかい音色の豊麗な金管群、洗練された音色とアンサンブルの弦と木管、どれを取っても満足すべきもので、たった1回のコンサートを比べただけですが、先日のヨーロッパの雄BPOにはっきり勝る音でした。私が今年PROMSで経験したオケのベストです。
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by dognorah | 2008-09-09 22:19 | コンサート

メシアンのオペラ「アッシジの聖フランチェスコ」コンサート形式

2008年9月7日、RAHにて。
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指揮のIngo Metzmacher。写真で感じていたイメージより温かそうな人だった。

Saint François d'Assise
作曲とリブレット:Olivier Messiaen

演奏
The Netherlands Opera

Rod Gilfry: St Francis (baritone)
Heidi Grant Murphy: Angel (soprano)
Hubert Delamboye: Leper (tenor)
Henk Neven: Brother Leo (baritone)
Charles Workman: Brother Masseo (tenor)
Donald Kaasch: Brother Elias (tenor)
Armand Arapian: Brother Bernard (baritone)
Jan Willem Balijet: Brother Sylvester (baritone)
André Morsch: Brother Rufus (baritone)

Chorus of The Netherlands Opera
Martin Wright chorus master
The Hague Philharmonic
Ingo Metzmacher: conductor

13世紀のイタリアの高僧、聖フランチェスコを題材にした宗教オペラ。3幕8場で構成されていますがオペラとしてのアクションは乏しく、聖フランチェスコの説教的台詞(繰り返しが多い)が延々と歌われる趣です。にもかかわらずインターヴァルを入れて演奏時間は6時間近くに及ぶ大作です。今年の6月にアムステルダムのネーデルランド・オペラで上演されたものを出演者のほとんどをそのままにしてコンサート形式で再現されたものです。

舞台に上がったオケを見てその編成の大きさにびっくりしました。ステージに全ての楽器を置けなくて左右の2階ボックス席の一部にもオンド・マルトノーなどの楽器を置いていましたが、アムステルダム上演時の映像を見るとさすがにピットは使わずにメインステージ奥に配置されていました(因みにこの舞台は工事現場の足場みたいな感じで全く美しくありません。コンサート形式に毛が生えた程度)。

音楽は例によって多彩な打楽器群が大活躍するいかにもメシアンらしいもので、キリスト教信者でもない私には台詞はあまり興味がなくても充分音楽だけで長時間楽しめるものでした。

メッツマッハー指揮するオケはさすがに6月いっぱい演奏してきただけあって手慣れたものです。すばらしいアンサンブルで魅力的な音楽をたっぷり鳴らしてくれた感じです。いい指揮者と思います。ガラガラの会場(それでも2000人ぐらいはいたか)にもかかわらず第3幕開始時には指揮者への賛辞が賑やかで演奏する側にとってもやりがいがあったことでしょう。彼は来年1月から2月にかけてコヴェントガーデンでコルンゴルトの「死の都」を指揮するので楽しみです。

歌手ではタイトルロールのバリトンはまあまあの出来、長丁場のせいで第2幕では後半声が掠れたり音程がふらついたりしていましたが、第3幕では水を飲みながらも歌いおおせました。聴く側にとってはもう少し声量が欲しい(出演者の中では小さい方)ところですが、説教というのはそう声を張り上げるものではないのでこんなところでしょうか。声量といえばLeper役のテノールは相当なもので張りのある声をがんがん発していましたが、虐げられてきた者が鬱憤を吐き出す場面にふさわしいものでした。天使役のソプラノも天使らしい気品のある声で上手かったと思いますが、欲を言えばもう少し声の通りがよければというところです。アムステルダムの舞台ではカミラ・ティリングが歌っていますが、潤いのある声が魅力的です。

写真は終演後の歌手達。中央がタイトルロールのRod Gilfry、右はHeidi Grant Murphy。
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by dognorah | 2008-09-08 22:46 | オペラ

ユーロフスキー指揮LPO(Prom68)

2008年9月5日、RAHにて。

プログラム
リムスキーコルサコフ:Kashchey the Immortal(オペラ、不死身のカシェイ)
ストラヴィンスキー:火の鳥(全曲)

演奏
Vyacheslav Voynarovsky: Kashchey (tenor)
Tatiana Monogarova: Princess (soprano)
Pavel Baransky: Ivan Korolevich (baritone)
Elena Manistina: Kashcheyevna (mezzo-soprano)
Mikhail Petrenko: Storm Knight (bass)

BBC Singers
London Philharmonic Orchestra
Vladimir Jurowski conductor

今日のコンサートは同じロシアの民話を題材にした二つの作品を演奏するという趣旨で構成されたものです。どちらの作品も悪役のカシェイに捕らわれたお姫様を王子が助けるというものですが、その手助けをするのがリムスキーコルサコフのオペラでは嵐の騎士、ストラヴィンスキーのバレー音楽では火の鳥です。

Kashchey the Immortalというオペラは上演時間は70分程度の1幕ものです。初めて聴きましたが音楽的には大変美しく、なかなかすばらしいものです。歌手達の水準も高かったと思います。中でもメゾソプラノのエレーナ・マニスティーナは声も歌唱もすばらしく、声量もあります。ソプラノもなかなかですし美しい容姿が印象を押し上げています。テノールは何でこんなに太っているんだという巨漢。ロイヤルオペラなら首になりそうなくらい。
次の写真は左から、Mikhail Petrenko、Pavel Baransky、Elena Manistina、Tatiana Monogarova、Vyacheslav Voynarovsky、Vladimir Jurowskiです。
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2曲目の「火の鳥」は華麗な音が各パートから出てくる洗練された演奏で、今回もユーロフスキーのオケコントロールのすばらしさを実感させてくれましたが、この曲の全体としてのアプローチはややまとまりに欠けた嫌いがあります。

余談: 「火の鳥」の演奏中にホール内にまるで巨大な換気扇が回るような雑音が数回にわたって響き渡り、ちょっと気をそがれました。誰がこんな雑音をと聴衆の皆さんもきょろきょろしていましたが、演奏後ホールの外に出て納得。道路の水浸しさ加減から尋常じゃない豪雨が演奏中にロンドンを見舞ったことがわかりました。このホールはドーム天井なので屋根に当たる雨の音が響いたというわけです。
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by dognorah | 2008-09-06 22:28 | コンサート

ラトル指揮BPOのメシアン(Prom 64)

2008年9月2日、RAHにて。

プログラム
ヴァーグナー:トリスタンとイゾルデの前奏曲と愛の死
メシアン:トゥランガリラ交響曲

演奏
ピアノ: Pierre-Laurent Airmard
Ondes Martenot: Tristan Murail
指揮: Sir Simon Rattle
Belriner Philharmoniker

今日のロンドンは気温は20度近くありましたが風がやや強く、体感温度的には結構寒さを感じました。プロムスも残り少なくなってきましたがいよいよベルリンフィルの登場です。会場はアリーナも含めてほぼ満席。

最初の曲、前奏曲と愛の死は、これがベルリンフィル?という印象の意外とも思える貧しい音(特に低弦)で私的にはあまり盛り上がらない演奏でした。演奏後に意見を交換した友人達も一様によくなかったという感想で、あるプロの音楽家のコメントによると最後のトランペットのC音がふらついていた、とのことで全般に調子が万全ではなかった感じです。多分今日ベルリンからロンドンに到着してリハーサルもそこそこに臨んだせいでしょうか。帰宅してからラジオの録音を聞いた限りでは、ラトルの曲への取り組み方はテンポも含めて大変リーゾナブルという印象でしたが。

しかしインターヴァル後のメシアンはすばらしい演奏でした。片手間に楽しめるような音楽ではなく聴く方も緊張を強いられる音楽ですがラトルの解釈はとても分かりやすいもので、つい2ヶ月前にも同じ曲をロイヤル・コンセルトヘボーで聴いていますがそのときよりかなりこの曲の良さが理解できました。しかしオケの音の良さはコンセルトヘボーの方が上でしたが。
今回の演奏で特筆すべきはピアノのエマールです。まるで協奏曲のようにピアノの役割が大きい曲ですが、このピアニストあっての優れた演奏だったと言うことも出来ましょう。それぐらい彼の演奏は印象的でした。このピアニストで思い出すのは我が畏友bibinga氏の体験されたエマールのピアノリサイタルのことで、エマールはメシアンの解釈では第一人者なのでしょう。

演奏終了後ホールの外で友人を待っていたら目の前をコンサートマスターの安永徹さんがヴァイオリンケースを下げて、すたすたとセーター姿でバスに向かって歩いていきました。もう燕尾服から着替えた!凄い早業。今期限りでBPOから引退して日本を活動の場にするという記事を見ましたが本当だとすると欧州でこういう重要ポストに就いている日本人は少ないのでかなり寂しいです。今回がBPOとロンドンに来る最後かも。1951年生まれだからまだ定年ではないと思いますが、若いうちに日本に帰るということでしょうか。

写真は終演後挨拶するSir Simon RattleとPierre-Laurent Airmard、右側は本日のコンサートマスターである安永徹。
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by dognorah | 2008-09-03 23:20 | コンサート

バイロイトの新総裁決まる

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(写真はNord Bayerischer Kurierから拝借)

9月1日の理事会でKatharina Wagner(写真右)とEva Wagner-Pasquierのコンビが理事会で新総裁として選ばれた。24票のうち22票(棄権2票)を得ての圧勝。Nike WagnerとGerard Mortier組はMortierがNew York City Operaの総裁にも就任して2足わらじになるのが嫌われたらしい。2015年までは既に現行体制が決めてしまっているので新総裁色が出るのはそれ以降ということになる。あまり仲がよくないとか噂されていた二人の姉妹はインタヴューではそんな気配は全く見せてはいない。主導権を取ってしゃべるのはKatharinaの方で、弱冠30歳(Evaは63歳)とは思えない自信たっぷりな受け答えだった。Public Relations関連は自分がやりたい、多分Evaはその案を受け入れるだろうとのこと。
さてどうなっていきますか。結果は数年後のお楽しみ。
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by dognorah | 2008-09-02 08:03 | オペラ