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マゼール指揮ヴィーンフィル演奏会

2008年5月25日、ムジークフェライン大ホールにて。

指揮: Lorin Maazel
管弦楽: Wiener Philharmoniker

プログラム
Krzysztof Penderecki: Adajio-4. Symphonie für grosses Orchester
Johannes Brahms: Symphonie Nr.2, D-Dur, op.73

このコンサートは当日切符が入手できれば行くというスタンスでした。朝まだヴィーンフィルのオフィスが開いていない時間に行って並んでいたのですが、一人の紳士が現れて切符の売買が成立したのでした。席は平土間の前から7番目の左端で80ユーロ。なお、この場合のように個人から譲って貰う場合はオフィスよりも会場のムジークフェライン入り口で相手を探すのがいいでしょう。私は運良く向こうから売りに来てくれたのですが、入り口では何人かの人が切符を売りたがっていました。
一旦ホテルに帰って11時前にムジークフェラインに行くと前をコンマスのキュッヒルさんが同僚と一緒に歩いていました。今回はヴィーンでオペラ3つとこのヴィーンフィル定期演奏会を鑑賞したのですがすべて彼がコンマスでした。他のコンマスが休暇でも取っていたのでしょうか。今日はこの後夕方から「ローエングリン」ですからコンマスはもちろんオケにとっては重労働の日です。
こういう事情で今日の指揮者がマゼールとは知りませんでした。彼は来月久し振りにロンドンに来るので(フィルハーモニア管)切符を買ってありますが、一足先にヴィーンでお目にかかれるとは予想外でした。以前は何度か彼の指揮をロンドンで聴きましたがあまりはずれはなく私の中では丸印の指揮者なのです。2001年に聴いたマーラーの5番はいまいちでしたが。

1933年生まれのポーランドの作曲家、クシシュトフ・ペンデレッキの交響曲第4番は1989年にRadio Franceの委嘱で作曲され、マゼール指揮のフランス国立放送管弦楽団によって初演されました。従ってマゼールにとっては「オハコ」のはず。
私は初体験の曲です。低弦と金管で開始され、終始金管と木管が活躍するも弦も独特の動きをします。特に第2Vnが活躍するのは珍しいと思います。終演後はマゼールは彼等を立たせて健闘を讃えていました。全体としては題名のアダージョから想像できるように叙情的な部分が多く、時には少し退屈なところもあります。各パートの楽器のリズムを楽しむ曲かなという感じです。演奏はよくコントロールされた指揮の下一糸乱れずというところ。曲が終わって最初の再登場の時にマゼールはペンデレッキその人を導いて舞台に登場しました。初演でもないのにまさか作曲家自身が呼ばれているとは知らず、驚きでした。名前は聞いて知っていましたが未だ存命中とは思いませんでした。今年75歳というのは音楽界では珍しくありませんね。マゼール共々とても元気そうでした。下の写真は挨拶するKrzysztof Pendereckiです。このように小柄で温厚そうな人です。
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インターヴァルの後はブラームスの2番。このホールでこのオケでブラームスを聴くとすれば第3番と共に第2番が私の嗜好です。期待に違わず、むせび泣くような弦をたっぷり聴くことが出来ました。美しい演奏ながら大地にどっしり腰を据えて演奏したような重厚さも感激もの。マゼールのテンポはかなりゆっくり目でしたがそれも私の好みに合致です。とにかくたっぷりヴィーンフィルの美しい弦を聴かせた後の第4楽章コーダでは凄い迫力とスケールの大きさに圧倒されました。エネルギッシュな演奏を指揮したマゼールは今年78歳、まだまだ当分元気に活躍できるでしょう。大きな拍手で何度もステージに呼び戻され、オケが退場した後も鳴りやまない拍手に再度登場という人気振りでした。ロンドンではブラームスチクルスをやりますが楽しみです。
次の写真は終演後挨拶するLorin Maazelです。
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by dognorah | 2008-05-31 00:20 | コンサート

「ローエングリン」公演

2008年5月25日、ヴィーン国立歌劇場にて。
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Lohengrin
Romantische Oper in drei Akten
Text und Musik von Richard Wagner

Dirigent: Peter Schneider
Inszenierung: Barrie Kosky
Bühnenbild und Licht: Klaus Grünberg
Kostüme: Alfred Mayerhofer
Chorleitung: Thomas Lang

Heinrich der Vogler, deutscher König: Kwangchul Youn
Lohengrin: Klaus Florian Vogt
Elsa von Brabant: Angela Denoke
Friedrich von Telramund, brabantischer Graf: Falk Struckmann
Ortrud, seine Gemahlin: Janina Baechle
Der Heerrufer des Königs: Markus Eiche
Vier brabantische Edle: Franz Gruber
Vier brabantische Edle: Wolfram Igor Derntl
Vier brabantische Edle: Johannes Gisser
Vier brabantische Edle: Mario Steiler
Vier Edelknaben: Jung-Won Han-Gallaun
Vier Edelknaben: Maria Gusenleitner
Vier Edelknaben: Zsuzsanna Szábó
Vier Edelknaben: Arina Holecek
Vier Kammerfrauen: Yoko Ueno
Vier Kammerfrauen: Denisa Danielová
Vier Kammerfrauen: Eliza Zurmann
Vier Kammerfrauen: Karen Schubert

Orchester der Wiener Staatsoper
Chor der Wiener Staatsoper

前奏曲が始まった途端その美しい旋律を際立たせる演奏と音にウットリしました。シュナイダーの指揮は大変妥当で感銘深いものでした。

歌手はすべて上出来でしたが中でもタイトルロールを歌ったクラウス・フローリアン・フォークトは凄いヘルデンテノールです。透明感があって瑞々しい声はとても魅力的で、第1声を聴いてすぐにファンになってしまいました。いるんですねー、こういう歌手がドイツには。見た目もハンサムでアンゲラ・デノーケとのコンビは絵になる美しいカップルです。このプロダクションは2005年プレミエですがそのときはヨハン・ボータとソイル・イソコスキーだったそうですが少なくともカップルの見栄えは今回の方が遙かにすばらしいでしょう。
オルトルード役ではポラスキーが降りたのは残念ですがベヒレも充分上手い。ヨーンはパリで「トロイ人」を聴いたときは声が籠もり気味で感心しませんでしたが今日は抜けのいい低音がすばらしかった。第1幕の最初の方は声に艶のない感じでしたが次第に改善されて聴きやすい声になりました。
合唱は声を張り上げすぎる嫌いがあり、アンサンブル的に感心しない部分がありました。

演出は読替ではないものの、エルザが盲目で白い杖をついて出てきたのはどういう意味かよく分かりません。幼児が乗れるぐらいの大きさのプラスティック製トラックが終始舞台右側に置かれていましたがこれも意味不明。舞台装置と衣装は現代風でドイツ王も背広姿。ヨーンは韓国人なのでその姿は会社勤めの重役といったところ。舞台装置はすっきりしていて機能的で美しい。携帯電話の基地局アンテナのようなものが林立し(冒頭の写真参照)、天上から水滴型の造形物がぶら下がったりしているが特に違和感はなかったです。第2幕など大変メルヘンチックで独特の雰囲気が感じられます。ローエングリンというオペラに対して何も邪魔しないどころか、かえって新鮮で感動を呼べるいい舞台ではないかと思いました。

演出にいまいち分からない部分はあるものの悪くはなく、歌手やオケのすばらしい演奏と相俟ってレヴェルの高い公演でした。今回ヴィーンで見た3つのオペラの中では最も感動しました。何と言ってもこれからは出演者の中にフォークとの名前があるかどうかが気になるような歌手を体験できたのが大きいです。

写真は終演後のもので、左からPeter Schneider、Angera Denoke、Klaus Florian Vogtです。
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by dognorah | 2008-05-30 00:53 | オペラ

オペラ「ファルスタッフ」公演

2008年5月24日、ヴィーン国立歌劇場にて。

Falstaff
Commedia lirica in drei Akten von Arrigo Soito
Musik von Giuseppe Verdi

Dirigent: Marco Armiliato
Inszenierung, Raum und Licht: Marco Arturo Marelli
Kostüme: Dagmar Niefind
Chorleitung: Janko Kastelic

Sir John Falstaff: Ambrogio Maestri
Ford: Boaz Daniel
Fenton: Saimir Pirgu
Dr. Cajus: Benedikt Kobel
Bardolfo: Herwig Pecoraro
Pistola: Janusz Monarcha
Alice Ford: Ildikó Raimondi
Nannetta: Ileana Tonca
Mrs. Quickly: Elisabeth Kulman
Meg Page: Nadia Krasteva

Orchester der Wiener Staatsoper
Chor der Wiener Staatsoper

タイトルロールのアンブロージョ・マエストリは声量があるもののややだみ声的であまり愉快な声ではありません。太っているから選ばれたのでしょうが歌唱の方を重点にキャストを選んで貰いたいものです。他の歌手は概ねスムーズな歌唱で文句なし。特にフェントンを歌ったセミール・ピルギュとナンネッタを歌ったイレアナ・トンカはすばらしい出来でした。見た目にもスマートなカップルで二人が舞台で歌っているときは聴いている方もとても幸せでした。
アルミリアート指揮のオケは美しいヴェルディで、リズム感もよく、この人のイタリアものはいつものように安心して聴いていられます。
舞台は2003年のプロダクションで、チープなものですが機能的にはよくできています。しかしファルスタッフの衣装がひどすぎてまるで浮浪者みたいなのはいただけません。他の登場人物はかなりまともなのに。第3幕の演出はあまりスムーズではなく冗長感が感じられます。
次の写真は左からNadia Krasteva、Ambrogio Maestri、Benedikt Kobel、Marco Armiliato、Elisabeth Kulmanです。
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その次の写真は左からIleana Tonca、Saimir Pirgu、Elisabeth Kulmanです。
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by dognorah | 2008-05-29 00:10 | オペラ

サロメ公演

2008年5月23日、ヴィーン国立歌劇場にて。

Salome
Musikdrama in einem Aufzug nach Oscar Wildes gleichnamiger Dichtung
Deutsche Übersetzung: Hedwig Lachmann
Musik von Richard Strauss

Dirigent: Stefan Soltesz
Inszenierung: Boleslaw Barlog
Buhnenbild und KostOme: Jürgen Rose

Herodes: Wolfgang Schmidt
Herodias: Daniela Denschlag
Salome: Eva Johansson
Jochanaan: Terje Stensvold
Narraboth: Marian Talaba
Ein Page der Herodias: Roxana Constantinescu
Erster Jude: Cosmin Itrim
Zweiter Jude: Alexander Kaimbacher
Dritter Jude: Michael Roider
Vierter Jude: Benedikt Kobel
Fünfter Jude: Walter Fink
Erster Nazarener: Janusz Monarcha
Zweiter Nazarener: Clemens Unterreiner
Erster Solda:t Dan Paul Dumitrescu
Zweiter Soldat: Goran Simić
Ein Cappadocier: Hiro Ijichi
Ein Sklave: Johann Reinprecht

Orchester der Wiener Staatsoper

c0057725_345314.jpg当初の発表ではサロメはNylundが歌うはずでしたがいつの間にかEva Johansson(左の写真)に変わっていました。このキャストで今まで聴いたことがあるのはDaniela Denschlagだけです。

サロメを歌ったヨハンソンは時折すばらしい声を聴かせてくれますが全音域でそれがあるわけではなく、高めの強い音域に限られます。この声がいつも出ているなら凄い歌手でしょう。最高音域は掠れて出ず、また時々地声のような魅力のない声も出ていましたが、演技も含めて全体としてはまあまあ受容できる範囲でした。肌色の全身下着の上から7枚のヴェールを着ているので裸になることはありません。尤もあまり裸になって欲しくない体型ですが(^^;
ヘロデ王を歌ったシュミットはすばらしいテノールで3月にROHで見たサロメで歌っていたモーザーに比べると格段によかった。ヘロディアスを歌ったデンシュラグは美声ながら声を張り上げるところではちょっと無理があるのか汚れが目立つのが惜しい。
ヨカナーンを歌ったシュテンスフォルトはどこか北欧の人でしょうか、声量はあるし声質もまあまあでなかなかよい歌手です。ナラボートを歌ったタラバは水準以下のテノールと思いました。
ショルテスの指揮は全体にちょっとオケを鳴らせすぎの感があり、アンサンブルの乱れが目立つ大味な音楽でした。弱奏部などもう少し叙情的にやって欲しい。
演出は正統的で特に文句はありません。舞台もちょっと古そうですがかなりよくできているものです。ところでこれはいつのプロダクションでしょうか?プログラムにヴィーンでのサロメ上演についてというページがあって過去のプロダクションの記述があるのですが、最後は1972年のカール・ベーム指揮のものとなっています。ということは36年前の演出?

次の写真はカーテンコールで左からWolfgang Schmidt、Daniela Denschlag、Terje Stensvoldです。
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by dognorah | 2008-05-28 03:07 | オペラ

ヴェルディのオペラ「シモン・ボッカネグラ」公演

2008年5月22日、ROHにて。
この日からオペラ4連チャンだったため記事が遅れてしまいました。
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Simon Boccanegra
Opera in a prologue and three acts

Music: Giuseppe Verdi
Libretto: Francesco Maria Piave (with additions by Giuseppe Montanelli) after the play by Antonio Garcfa Gutierrez, revised by Arrigo Boito

Conductor: John Eliot Gardiner
Director: lan Judge
Set designs: John Gunter
Costume designs: Deirdre Clancy
Lighting design: Nigel Levings
The Royal Opera Chorus
The Orchestra of the Royal Opera House

Cast
Paolo Albiani: Marco Vratogna
Pietro: Krzysztof Szumanskit
Simon Boccanegra: Lucio Gallo
Jacopo Fiesco: Roberto Scandiuzzi
Amelia Grimaldi: Anja Harteros
Gabriele Adorno: Marcus Haddock
Amelia's maidservant: Louise Armit
Captain: Elliot Goldie

ROHでは私は2002年にElijar Moshinsky演出によるプロダクションを見ていますが、今回はその演出ではなくなぜかその前1997年のIan Judge演出のものを使っています。モシンスキーのものは列柱の並ぶ美しいテラスなどが印象的な舞台でしたが、このジャッジの斜めになった柱というか傾いた造形(上の写真参照)の割と重厚な舞台を使ったものもかなりいいものです。音楽とのマッチングもとてもよかったのであるいは指揮者の意向で古い演出が復活したのかもしれません。

さてこのオペラを指揮するのは今回が初めてというガーディナーですが、これが何と感動的名演でした。私はアバドがフィレンツェ音楽祭で指揮したDVDを持っていて、名演だと聴き惚れていたのですが今日のガーディナーの演奏はそれに勝るとも劣らない出来でした。実を言うとモーツァルトなどでは結構優れた指揮に接してきたものの、彼がヴェルディを?と疑問詞が付くくらい未知数というかもっとひどく言えば「大丈夫かいな」と失礼なことを考えていたのです。2日後にヴィーンで会った友人も聞いてびっくりしていましたからこういう感じを持ったのは私だけじゃないと思います。オケの音もよかったし歌手とのアンサンブルもバランスも言うことなしです。これから彼は古楽系だけではなく19世紀20世紀と守備範囲を広げていくのでしょうか。こういうレヴェルの演奏をしてくれるなら大歓迎です。

歌手はタイトルロールのルチオ・ガロが迫力ある歌唱で満足。演技も含めて表現力が凄い。アメリア役のアンヤ・ハルテロスは今回初めて聴く歌手ですが、若い頃のアンジェラ・ゲオルギューのように美声で美人でスタイルのいい人です。1972年生まれのドイツ人だそうで、上り坂のソプラノですね。今回はニーナ・シュテンメが降りたために起用されました。第1幕ではちょっと力強さがありませんでしたが2幕以降はその欠点もなくなり、聴いているのが楽しくなる歌唱でした。
フィエスコ役のロベルト・スカンディウッチも代役ですが、これもめっけもののバス歌手で歌唱、演技とも完全にこなれていて文句なしのうまさです。彼はこの役をレパートリーにしていて過去に何度か歌ったことがあるようです。パオロ役のマルコ・ヴラトーニャは低音陣の中では一段落ちる感じです。アドルノ役のテノール、マーカス・ハドックは上手な歌唱とやや暗めの声を持った人です。時々ハッとするすばらしい声が聴けますが全体としてはそれほど魅力がある訳じゃありません。

まあとにかくオペラ全体としてはとても感動できる出来で、従来それほど好きでもなかったのに、このオペラの魅力にすっかり取り憑かれてしまいました。

次の写真は左からRoberto Scandiutti、Lucio Gallo、Anja Harteros、半分しか映っていないのがMarcus Haddock。ハルテロスは何度かドレスを替えますが、この赤よりブルー系がよく似合います。
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by dognorah | 2008-05-27 09:46 | オペラ

中華料理のMasterchef 2008

City of WestminsterというLondonの地方行政府であるBorough(バラと発音する)の一つで、東京でいえば港区か千代田区に相当するところが主催する中華料理人の腕を競うイヴェントが5月20日にヴィクトリア駅近くのWestminster Kingsway Collegeであった。参加するシェフはWestminster区の中華料理店から派遣されたプロで、Group 1、Group 2、飲茶の三つのカテゴリーに分けられるが応募店は事前に保健衛生の観点から審査を受けて合格しないと駄目。コンテストは90分以内に決められた5種類の料理を作り審判が味だけでなく作業中のシェフの保健衛生的振る舞いや現場の散らかし具合なども含めて審査して優勝者を決めるところがイギリス的だ。

我々見学者は審査の過程などどうでもよく、無料で供されるランチが目的(笑)
300人近く集まった見学者全員に満足行くまで食べさせてくれる。このランチはしかしシェフが作るものではなくこのカレッジの料理学校部門の生徒が作ってくれたもの。でも味はなかなかのもので只メシにしては大満足。しかもワインやビール、ソフトドリンクスがほぼ飲み放題!羽目を外して飲む人はいないけれど、私のグループの面々はソフトドリンク以外にワインをグラス3杯は飲んでいた。終了後も丸テーブルを囲んで盛り上がっていたら、もう時間だからと6時過ぎに追い出されたけれど。

すべての審査が終了した後は表彰式と、鳴り物入りの獅子舞踊りが披露された。獅子舞の頭をかぶっている人と打楽器の2名は中国人だったけれど、後は全部白人だった。どこでも異国の芸能に興味を持つ人は沢山いるものだ。優勝はRoyal China Clubというベーカーストリートにある有名な店のシェフでさすが。飲茶部門は確か中華街にあるGolden Dragonだったと思う。

ところでこのイヴェントは結構費用がかかると思われるが、スポンサーとCity of Westminsterが負担している。中華街を始め数え切れないほどの中華料理店を抱える行政府としては税金の上がりもかなりのものになるだろう。それを一部こういう形で市民に還元するのは当たり前という感じがするが、日本ではちょっと体験できない還元と思う。City of Westminsterに住んでいないのに恩恵を被ったものとして感謝したい。
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by dognorah | 2008-05-21 19:26 | グルメ

Viv McLeanピアノリサイタル

2008年5月18日、Wigmore Hallにて。

プログラム
Johannes Brahms: Three Intermezzi, Op.117
Johannes Brahms: Two Rhapsodies, Op.79
Franz Liszt: Six Consolations, S 172
Franz Schubert: Sonata in B flat major, D 960

ヴィヴ・マクリーンは73年生まれのイギリス人である。バルセロナで開催されたMaria Canals International Piano Competitionで2002年に優勝して以来世界中でコンサートピアニストとして活躍中とのこと。日本でもリサイタルをやったことがあって、その模様はCDにもなっているらしい。今後の予定でも日本を再訪することになっている。

長身のスキンヘッドで怖そうなお兄さんだが、気はあまり強くなさそうで第1曲目の最初のインテルメッツォはちょっと上がっている感じで、慎重に弾きすぎるせいかぎこちなく、聴いている方も大丈夫かいなという気にさせられたが第2インテルメッツォからは持ち直し、感銘を与える演奏だった。ゆったりしたテンポの豊かで含蓄ある音がすばらしく、スタインウェーのポテンシャルを最大限引き出している印象で聴いている方もリッチな気分になる。次のラプソディでは更に調子を上げた演奏でこれは大物という感じだ。フォルティッシモでも音の純度が高く気持ちのいい衝撃が感じられる。
次のリストは切々と歌うような物静かな音楽が連綿と続く(題名からして当然だが)美しいものだが質の高い音がここでもよく活かされている。
インターヴァル後はシューベルトの最後のソナタ、演奏時間40分近い大曲である。ここでも急がずじっくり訥々と音を紡いでいく。聴く方も持続される緊張感に縛られながら音楽に身を委ねる。ウーン、聴き応えがある。長い第1楽章だけで満腹になりそう。第2楽章もその調子で、第3楽章はスケルツォなので速いテンポで演奏される。第4楽章はその流れをそのままにアレグロに突入、やはりかなり速めのテンポだが結構揺れる。両楽章とも高音部の美しさが印象的な演奏だ。最後は速いテンポでダイナミックに終了。ブラヴォーが飛び交う。立派な演奏だった。
アンコールは2曲だったが、恐らくシューベルトの何かと思われる。
写真は終演後挨拶するViv McLean。
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このところピアノはウイグモア・ホールで聴くことが多いがいつも感心させられる演奏が繰り広げられる。ほとんどは1階席しか使われないので聴衆が500人に満たない空間は落ち着けるし、何よりも大ホールよりも遙かに楽しめる音の良さ。1901年にドイツのピアノメーカーBechsteinによってピアノ用に造られたホールなのでいいのは当たり前である。そしてこれだけしか席がないのにコンサートがやたら多いせいかシフのような有名ピアニストでもない限り切符は余っているから当日思い立って行っても入場できるし。
日本から旅行や出張で来られた方が何か音楽を聴きたいというときにもお薦めの会場です。
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by dognorah | 2008-05-20 08:19 | コンサート

Sibila Konstantinovaピアノリサイタル

2008年5月15日、Purcell Roomにて。

フィルハーモニア管弦楽団が主催する若い有能な音楽家に与える奨学金制度Martin Musical Scholarship Fund受賞記念リサイタルである。

プログラム
Leoš Janáček: In the Mist
Frédéric Chopin: Andante Spionato et Grande Polonaise Brillante, Op.22
Enrique Granados: Goyescas
Sergei Prokofiv: Sonata in A, No.6, Op.82

c0057725_19525581.jpgシビラ・コンスタンティノワは1982年生まれのブルガリア人。18歳までは故国で音楽教育を受け、その後奨学金を受けてロンドンでGuildhall School of Music and Dramaに学ぶ。この賞以外にもいろいろな奨学金を授与されて現在もロンドンで研鑽を積んでいる。

最初のヤナーチェクは曲は初めて聴くが、短いながらも4部で構成されているメランコリックで且つ輝かしさを持つもの。魅力的な曲ながら演奏もすばらしく、彼女の才能の確かさを感じさせるもの。しなやかなタッチで醸される音の何と高貴で美しいものだろう。心の奥にひたひたと入り込んでくるものがある。
ショパンは前半のアンダンテ・スピアナートが細やかで美しい。後半は爽やかで軽やか、とても楽しめた。
グラナドスの曲はよく分からず。彼女はこの作曲家が好きなのかアンコールも彼の小品を弾いていた。
本日一番長い曲である(といっても30分足らずだが)プロコフィエフは第1,2楽章がやや単調であまり楽しめず。しかし第3、第4楽章で曲に引き込まれた。最後は華やかに終了。指の冴えがすばらしい。

すべてを通しての感想は最初のヤナーチェクが一番よかったというところ。上の写真は終演後に挨拶するコンスタンティノワ。このように長身ですらっとした魅力的な女性である。
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by dognorah | 2008-05-19 19:54 | コンサート

Classical Brit Awards 2008

今年の表記式典は5月8日にロイヤル・アルバート・ホールで開催されたのだが昨日ようやくその模様がTV放送された。当初はブリン・ターフェルやナイジェル・ケネディもアナ・ネトレプコやアンドレア・ボチェリなどと出演するはずだったが二人とも辞退したらしい。ターフェルの事情はどこにも書いていないが、ケネディの場合は新聞種になっていた。本人が張り切って、じゃあベートーヴェンかモーツァルトのVnコンチェルトの一部を演奏しようかと提案したらそんな長い時間は取れないという主催側の難色に、ではジプシー音楽の小品をthe quartet Bondという女性4人グループと一緒に演奏しましょうと提案し、彼女たちとリハーサルも行った。しかし主催者は我々の審査も受けていないようなカルテットの出演は困ると言いだし、とうとう彼は怒って出演を取りやめたということだ。

このClassical Brit Awardsというものがどういう位置付けか知らないが、TV中継を見る限り本当のクラシック音楽界の人たちの出演は限られていてポピュラー音楽界からかなりの人が紛れ込まされている感じだ。何でミュージカルの大御所ロイド・ウェーバーなんぞが舞台に出てくるのか分からない。限りなくクラシック色を薄めて大衆に膾炙しようとしている印象だ。

それはともかく私がこの番組を見た動機は最新のネトレプコ映像を見たいからである。彼女が出席したのは賞をあげるからといわれたためだろう。Female Artist of The Yearという賞があって、ノミネートされたNatalie CleinというチェリストとAngela Hewittというピアニストを押さえて彼女が表彰された。アニー・レノックスからトロフィーを貰って短いスピーチをするが、それは以下のYouTubeで見られる。しかし露出度の多いこのドレスはねぇ。アナウンサーもdramatic fashionとコメントしている。妊娠が進んで随分乳房が大きくなったのがよく分かる。
Anna Netrebko receives Classical Brit Awards 2008


また式典の最後には盲目のテノールアンドレア・ボチェリと椿姫の乾杯の歌を共演している。そのアリアは次のYouTubeをご覧頂きたい。ここでは黒のまっとうなドレスに着替えてゴージャスなネックレスをつけ、ちょっと妊婦とは分からない格好である。
Anna Netrebko sings "Brindisi" with Andrea Bocelli

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by dognorah | 2008-05-17 01:17 | テレビ放送

モーツァルトのオペラ「イドメネオ」コンサート形式

2008年5月14日、バービカンホールにて。

Mozart: Idomeneo, re di Creta
Opera seria in 3 acts
Munich version, with the addition of Elettra’s aria, ‘D’Oreste, d’Aiace’
Libretto: Giambattista Varesco after Antoine Danchet

Ian Bostridge: Idomeneo (tenor)
Emma Bell: Elettra (soprano)
Jurgita Adamonyte: Idamante (mezzo-soprano)
Kate Royal: Ilia (soprano)
Benjamin Hulett: Arbace (tenor)
Paul Badley: High Priest (tenor)
Charles Pott: A Voice (bass)
Opera Seria Chorus
Europa Galante
Fabio Biondi: conductor

イタリアの管弦楽とほとんどがイギリス人歌手による上演です。このオペラはまだ舞台では見たことがないので残念ですがまずはコンサート形式で体験です。


まず歌手陣は、イアン・ボストリッジとジュルギータ・アダモニテが終始安定したすばらしい歌唱でした。アダモニテはリトアニア人で唯一の非イギリス人でした。声は柔らかさと深みのある美声で私の大好きなタイプです。
エマ・ベルは怒りのエレクトラ役で張り切りすぎたのかスムーズさに欠ける歌唱で今までの彼女を知るものとしてはかなり意外な声でした。しかし幕が進むにつれてよくなり最後の捨て台詞的なアリアD’Oreste, d’Aiaceは迫力ある立派な歌唱で大きな拍手を貰っていました。外見も長い金髪の鬘などかぶっているので最初は彼女とは気付かなかったです。
ケイト・ロイヤルも絶好調というわけではなく持ち前の美しい声はよく出ているものの時折ヴィブラートが混じって聞き苦しくなるときがありました。彼女も少しずつよくなりましたが最後までヴィブラートが混じる状態です。
もう一人のテノール、ベンジャミン・ヒューレットはあまり歌う場面が多くないもののとてもいいテノールであることを印象づける歌唱でした。現在はハンブルク州立歌劇場に所属しているようです。
合唱は第1幕ではあまりアピールできる歌唱ではなかったけれど第2幕以降はまあ普通の出来と言うところです。
管弦楽はやはり第1幕前半では本調子ではなくアンサンブルはあまり良くなかったけれどそれ以降は楽器がホールになじんだのか持ち直してすばらしいモーツァルトとなりました。古楽演奏団体で指揮者がヴァイオリン片手にというスタイルは始めてみましたがビオンディは活き活きした音楽を作っていて好感が持てます。
ということで全体としてはかなり楽しめた公演でした。
下の最初の写真は終演直後のもので、左からFabio Biondi、Ian Bostridge、Kate Royal、Jurgita Adamonyte、Emma Bell、Benjamin Hulettです。
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次の写真は美女3人を写したもの。左からEmma Bell、Kate Royal、Jurgita Adamonyteです。
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by dognorah | 2008-05-15 22:27 | オペラ