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ユーロフスキー指揮ヴェルディのレクイエム

2008年4月26日、ロイヤル・フェスティヴァル・ホールにて。

ソプラノ:Barbara Frittoli
メゾソプラノ:Ildikó Komlósi
テノール:Massimo Giordano
バス:Ferruccio Furlanetto
合唱:London Philharmonic Choir, Philharmonia Chorus
管弦楽:London Philharmonic Orchestra
指揮:Vladimir Jurowski

ユーロフスキーが主席指揮者になって以来ロンドンフィルは充実した演奏をするようになった。今日も緻密なアンサンブルで力強い演奏。メリハリの付け方や表情の豊かさなどではムーティが一枚上と思うが今日の演奏も感動的名演と言えるだろう。余談ながら、LPOは今期来期のコンサートではプログラミングも魅力的で私はフィルハーモニアやLSOを凌ぐ回数の切符を買ってしまった。これもユーロフスキーがArtistic Advisorとして手腕を発揮している結果だろう。

歌手は4人とも有名歌手を揃えただけあってそれぞれすばらしい歌唱だった。ノーブルな高音を響かせたバーバラ・フリットリは2年前にリサイタルを聴いたときは結構太っていたが今年の2月にヴィーンでコジ・ファン・トゥッテを見たときはやや痩せたかなという印象だった。しかしきょうははっきり痩せたと認識できた。2年前にガラちゃん氏からフトットリと呼ばれたのがこたえたのか痩せる努力をしたのだろう。イルディコ・コムロジは3年前のセント・ポールでのレクイエムでも出演した人でそのときの彼女の美声は今でもよく憶えているが今日もすばらしい。テノールのマッシモ・ジョルダーノ恐らく初めて聴いた人だがイタリア人らしいきれいな発声で印象的だった。フェルッチオ・フルラネットは5年くらい前にROHで聴いたことがあるが豊かで美しく響く低音の持ち主だ。うまさに舌を巻く。合唱も美しくヴォリュームも充分。特に男声合唱のうまさは印象的である。

この曲を聴くのはこれで3度目と思うが通常のホールで聴くのは初めて。過去2回は共に教会だったがやはりホールの方が聴きやすい。今日はこのホールでは初めて舞台から一番遠いバルコニーのしかも最後列に座ったが音響的には特に問題なし(入場料£9)。すぐ前の席が空席だったので視覚的にはラッキーだったが、さすがに人の表情は遠すぎてよく分からないので双眼鏡を使った。

写真は右からBarbara Frittoli、Ildiko Komlosi、Vladimir Jurowski 、Massimo Giordano、Ferruccio Furlanetto。歌手は合唱隊のすぐ前という遠い位置で歌っていたがこの写真はアンコールで前面に出てきたときのもの。
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by dognorah | 2008-04-27 23:02 | コンサート

サリアホのオペラ「Adriana Mater」コンサート形式

2008年4月24日、バービカンホールにて。

Adriana Mater (UK premiere)
Music by Kaija Saariaho
Ribletto by Amin Maalouf (フランス語)

Conductor: Edward Gardner
Stage director: Kenneth Richardson
Adriana: Monica Groop (mezzo-soprano)
Refka: Solveig Kringelborn (soprano)
Tsargo: Jyrki Korhonen (bass)
Yonas: Gordon Gietz (tenor)

BBC Symphony Orchestra
BBC Singers

2006年作で同年パリで初演されたもの。パリの公演はフィンランドオペラとの共同制作でフィンランドでは今年2月に初演された。今回の配役はパリとフィンランドの公演に出演した歌手を二人ずつ動員して行われた。彼等は初めて聞く名前の歌手ばかりであるが4人とも何ら不満はない出来であった。
サリアホの音楽は以前作曲者紹介の舞台を見たことがあり、そのときは難解な音楽にかなり戸惑った記憶があるものの本人を目の前で見たことで馴染みを感じていた。今回のオーケストレーションは電子楽器を多用してコンピュータを使って作曲したということだが、新鮮な音響世界で注目に値する。合唱は意味のある言葉を歌うのではなく楽器の一部として人声が使われている印象である。その効果もなかなかのもので、とにかく音楽も音も独自の境地を発現していると言える。かなり感動した。
歌手は4人とも聴衆に見える形でマイクを装着していた。これは作曲者の意図かもしれないけれど、私は大音響のオケと同じ舞台で歌わなければならない歌手に配慮して指揮者が決めたのではないかと推測した。今回の場合はマイク使用は極めて妥当と思われる。
オペラとしては筋を追っていってもレイプシーン以外はあまりアクションが無く、コンサート形式で充分原作の良さは理解できるという印象を持った。
終始、音楽には歌も含めて感銘を受けた。拍手喝采!エドワード・ガードナーはEnglish National Operaの音楽監督を昨年から引き受けた今年33歳の若い人だがすばらしい指揮者と思う。若手ではダニエル・ハーディング、ウラディミール・ユーロフスキーとともに私の応援する指揮者だ。

写真は左から4人の歌手Gordon Gietz、Jyrki Korhonen、Solveig Kringelborn、Monica Groopと指揮者のEdward Gardner。
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【あらすじ】
戦争状態にある現代の国での話し。若い村人で酔っぱらいのTsargoがAdrianaの家を訪問し、我々は以前会ってダンスをしたことがある、つきあってくれと話しかけるが拒絶される。夜になって夢の世界が展開される。AdrianaとTsargoはダンスに出かける。彼女が彼に触れると彼は瓶に変身し、彼女はそれを落として割ってしまう。
次のシーンでは軍服姿のTsargoが、敵が侵入してきたようなので偵察のために屋根に上がらせてくれとAdrianaの家に押しかけて頼む。Adrianaは拒絶するが彼は強引に押し入った挙げ句彼女を強姦する。彼女は妊娠し男の子Yonasを産む。姉のRefkaがあんな男の子を産むなんてと非難するが、彼女は「いや、この子は私の息子であり彼の息子ではない」という。17年後に、Yonasは自分の出生の経緯を知り、母親に対してTsargoを殺すと約束する。夢のシーンではYonasは家族全員を殺し銃を自分自身に向ける。現実世界ではTsargoが数年間の外国暮らしの末に故郷に帰ってくる。Adrianaは姉のRefkaから、ほっておいたらYonasは殺人を犯すことになると警告されるが「彼が父親を殺さなければならないならそうするだろう」と動じない。YonasはついにTsargoの居所を突き止め面会する。しかしTsargoが老人で盲目であることを知るや殺す意志を失う。家に帰って母親に約束を果たせなかったと謝るが、AdrianaはYonasが殺人を犯さなかったことで彼は本当に自分の息子であることを認識し、私たちは復讐されないで救われる、といい、彼等は抱擁する。
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by dognorah | 2008-04-27 09:36 | オペラ

ロンドン室内管弦楽団(LCO)コンサート

2008年4月23日、St John’sにて。

ピアノ:Pascal Rogé
指揮:Christopher Warren-Green
管弦楽:LCO

プログラム
モーツァルト:Serenade No.6 in D major K239, Serenata Notturna
モーツァルト:Piano Concerto No.12 in A major K414
プーランク:Piano Concerto
イベール:Divertissement

最初の2曲のモーツァルトは極上の演奏で特に弦の美しさが際立った。編成の少ないときのこのオケはアンサンブルがすばらしい。パスカル・ロジェのピアノもぴったりオケとマッチする美しさで至福の時を過ごせた。
後半の曲はどちらも初めて聴く曲で、プーランクがピアノ協奏曲を作曲していたとは今まで知らなかった。オケの編成も結構大きくて第1楽章などダイナミックな音楽だ。第2楽章はしっとりと始まるものの時折激しくなる。第3楽章はこれぞフランス音楽という印象を受ける色彩的なもので最後は気の利いた終わり方で聴衆の笑いを誘う。ピアノも活き活きと躍動感溢れる演奏で好ましい。もう一度聴いてみたい曲だ。
イベールはかなり賑やかで華々しい管弦楽で、時にはよく知られたメロディをいろいろ使ってパロディ的にもなるし、ジャズ風のメロディもあるしでじゃんじゃん音を掻き鳴らすという感じ。これも随分聴衆の笑いを誘っていた。最後はもうやけっぱちという感じで賑やかに終わって大歓声を受けていた。これは当分聴かなくてもいいだろう。
最近のLCOは好調でいつもいい音楽を聴かせてくれる。
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by dognorah | 2008-04-24 23:58 | コンサート

ロイヤルバレー「Mixed Programme」ドレスリハーサル

2008年4月22日、ROHにて。

演奏はすべてBarry Wordsworth指揮のThe Orchestra of the Royal Opera House。
(1)Serenade
Music: Pyotr Il’yich Tchaikovsky
Choreography: George Balanchine
出演
Marianela Nuñez
Lauren Cuthbertson
Mara Galeazzi
Fedelico Bonelli
Rupert Pennefather
その他

シンプルながら優雅なドレスでチャイコフスキーの美しいメロディに乗って流れるように踊られる素敵な振り付けである。ボネリとニュネスがやはりすばらしい。
写真は最前列左からMarianela NuñezとLauren Cuthbertson(多分)。次列はFedelico Bonelli。その次の列の右端に小林光がいる。
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(2)Rushes, Fragments of a Lost Story
Music: Sergey Prokofiev
Choreography: Kim Brandstrup
出演
Alina Cpjocaru
Laura Morera
Carlos Acosta
その他

ROHが委嘱した作品で世界初演。舞台は白い糸によるすだれで奥行きが3つのスペースに区切られている。時々最前面のすだれにヴィデオで④、③、②,①と映画開始時のような丸数字が投影されて次のアクションが始まる。恐らく一番手前のスペースが現在ですだれの向こうが過去か。ダンサーは自由にすだれを通過できる。アコスタが赤いワンピースを着たモレラを追いかけるものの振られる雰囲気。逆にグレーのワンピース姿のコジョカルがアコスタを追いかけるが彼は気がない風。そのアクションの最中に奥のスペースで5-6組のカップルが様々な踊りを披露する。すべてバレーというよりモダンダンスである。衣装はすべて現代風のありきたりのもの。アコスタと二人の女性が時にアクロバティックなダンスを見せるがやや退屈。また見たいとは思わなかった。
写真は左からLaura Morera、Carlos Acosta、Alina Cpjocaru。
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(3)Homage to The Queen
Music: Malcolm Arnold
Choreography: David Bintley、 Michael Corder、 Christopher Wheelden、 Frederick Ashton、Christopher Newton
出演
Leanne Benjamin
Federico Bonelli
Miyako Yoshida
Sarah Lamb
Eric Underwood
Kenta Kura
Alexandra Ansanelli
David Makhateli
その他

豪華な衣装と舞台で視覚的には本日一番。Earth、Water、Fire、Airの4部で構成されており、それぞれプリンシパルが登場するので見所の多いバレーである。The Queen of the Waterに予定されていたコジョカルが降りて代わりに吉田都が登場。彼女を見るのは久し振りなのでこの交代は良かった。またKenta KuraがSpirit of Fire役で結構ダンスの量が多くこんなに彼のダンスを見たのは初めて。
最初の写真は最終場面Apotheosisで4部の出演者がすべて集まって固まったところ。トップにリフトされているのは左からSarah Lamb、Alexandra Ansanelli、Miyako Yoshida、Leanne Benjaminである。
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次の写真はThe Queen of the EarthのLeanne BenjaminとMiyako Yoshida。男性ダンサーの名前は?
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次はKenta KuraとDavid Makhateli。
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次はThe Queen of the Air役のAlexandra AnsanelliとDavid Makhateli。
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by dognorah | 2008-04-24 08:37 | バレー

ハンガリーの若きヴィオラ奏者

2008年4月21日、ハンガリー文化センターにて。

c0057725_21271285.jpgVeronika Tóth: viola
Gusztáv Fenyô: piano

プログラム
Dmitri Shostakovich: Viola Sonata, op.134
Bela Bartok: Rhapsody No.1 Lassu
Bela Bartok: Sonatine, Bear Dance (medvetanc) – Finale
Zoltan Kodály: Adagio
Franz Liszt: Romance oubliee
Georges Enesco: Concert Piece

ヴェロニカ・トートは20代前半と思われるが基礎音楽教育はブダペストで受けた後現在Royal Scottish Academy of Music and Dramaでまだ学ぶ身。ピアノ伴奏者は同校のピアノ科教授。

サロンで聴くせいかヴィオラ一つの発する音量はかなりのヴォリュームで窓の下の道路の雑音も気にならない。美しく溌剌とした音色だった。プログラムの中では最初のショスタコーヴィッチの作品が殊の外すばらしく、この人がまじめに音楽を書くとこのように深みのあるものになるんだと思い知らされた。あまり聴いていない音楽だとは思うが本日の彼女の演奏で大満足できた。すばらしい音楽性の持ち主だ。
後のプログラムではエネスコの音楽が聴きごたえがあった。

部屋が狭いのでインターヴァル時の混雑を避けるため演奏が始まる前に階段の踊り場に用意されたワインを頂いて気分をほぐす。次回は4月28日にやはり若いフルーティストのリサイタルである。
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by dognorah | 2008-04-23 21:30 | コンサート

ヘンデルのオペラ Flavio (コンサート形式)

2008年4月17日、バービカンホールにて。

Handel: Flavio, re de’ Langobardi

Academy of Ancient Music
Christopher Hogwood: conductor
Iestyn Davies: Flavio (countertenor)
Karina Gauvin(Sandrine Piauの代役): Emilia (soprano)
James Gilchrist: Ugone (tenor)
James Rutherford: Lotario (bass-baritone)
Robin Blaze: Guido (countertenor)
Maite Beaumont: Vitige (mezzo-soprano)
Renata Pokupić: Teodata (mezzo-soprano)

ヘンデルのオペラを鑑賞するのもこれで恐らく6つめでかなりの数になりました。ただし舞台上演はヘラクレス一つだけで後はすべてコンサート形式ですが。過去にいい思いをしたために上演があると行くことにしているのでこれからも増えて将来的にはモーツァルトを凌ぐかもしれません。以前に比べるとロンドンでの上演数も増えているような気がします。そういう状況で2009年5月17日にはバービカンホールとロイヤルフェスティヴァルホールでバッティングするという憂うべき事態になっています。バービカンではArianna in Cretaを今回のホグウッドが上演し、かたやロイヤルフェスティヴァルホールではミンコフスキー率いるチューリッヒオペラが来てAgrippinaを上演することになっています。どちらが先にプログラムを固めたのか知りませんが、日程をずらせば両方とも満員になるだろうに、これじゃ共倒れではありませんか。こういうことがあるから両者ともどんどん前倒しで切符を販売するんでしょうが、協調できないものでしょうかね。歌手ではキルヒシュラーガーとカサロヴァの対決になりますが、私は先に情報が入ったバービカンの切符を買ってしまったのでミンコフスキーはあきらめざるを得ません。

それはさておき、今回のオペラは音楽的にはとても楽しめたのですが、ヘンデル音楽の出来は今までの作品に比べてちょっと弱い感じがしました。ホグウッドの指揮はさすがといわざるを得ない出来で、安心して聴いていられます。彼は昨年5月にここでAmadigi di Gaula を上演し、来年は上に書きましたようにArianna in Cretaを上演してヘンデルの死後250年に合わせてこの3つのオペラの上演を完結させる計画です。
歌手では題名役のカウンターテノール、イェスティン・デイヴィースは美声な上に声量もあり歌も上手いです。聴いた後、心に余韻が残る感じでした。もう一人のカウンターテノール、ロビン・ブレイズは歌唱に芯が無くごく並の歌手という印象です。ヴィティーゲ役のメゾソプラノ、マイテ・ボーモントは良く響く美声で上手い歌唱です。これに比べるともう一人のメゾソプラノ、レナータ・ポクピッチは顔の表情が多彩で魅力的なのですが歌唱はやや力弱く、タメがない感じがします。エミリア役のソプラノ、カリナ・ゴーヴァンは相変わらず素敵な声でいい歌唱です。印象としては2月の「ティート・マンリオ」の時より更に太ったような。ウゴーネ役のジェイムズ・ジルクライストはいいテノールで声量もあって印象的でした。バスバリトンのジェイムズ・ラザフォードも文句のない声でした。

下の最初の写真は左からMaite Beaumont、Renata Pokupić、Karina Gauvinです。
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次の写真は左からChristopher Hogwood、Iestyn Davies、Robin Blaze、James Gilchrist、James Rutherfordです。
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【あらすじ】
紀元7世紀のミラノでの悲喜劇。ロンバルディアの王フラヴィアの宮廷に仕えるウゴーネには妙齢の息子グイドと娘テオダータがいる。グイドは同じく宮廷に仕えるロタリオの娘エミリアと恋仲で婚約している。またテオダータは若い宮廷吏ヴィティーゲと密かに相思相愛の仲である。ウゴーネはグイドとエミリアの婚約の件をフラヴィアに報告するときにテオダータをフラヴィアに紹介する。フラヴィアは后がいるにも拘わらずテオダータに一目惚れし、ヴィティーゲに仲介の労を執るように命令する。一方、フラヴィアはブリテン島の総督が辞任したので後任にロタリオを任命すると宣言していた。しかしテオダータという美しい娘を獲得する下心があって総督としてウゴーネを任命することに変更してしまう。これに怒ったロタリオは王に盾突けない鬱憤晴らしにウゴーネを殴って娘のエミリアに婚約を破棄しろと迫る。殴られたウゴーネは名誉が傷つけられたとして息子のグイドに仇を取るように頼む。グイドはエミリアの強い愛を確かめてからロタリオに決闘を挑み、彼を殺してしまう。息を引き取る間際に犯人の名前を聞いたエミリアは激怒してグイドを責め、王に裁きを求める。王はグイドを死刑にすると約束する。一方では執拗にテオダータに攻勢をかける。やきもきしたヴィティーゲは彼女に言うことを聞く振りをするようにアドヴァイスする。しかし王が離婚してテオダータを女王にすると提案すると彼女は有頂天になってホイホイと王に従う。ひどいじゃないかとヴィティーゲが彼女を捕まえて責めているのを物陰から聞いた王はすべてを察し、彼等を結婚させようと心に決める。
エミリアの方は、父の仇とはいえさすがに恋人が死刑になるということで大きな葛藤を感じていた。そこに王がグイドの首を持ってこいと官吏に命令すると大きなショックを受けて失神しそうになる。ところが持ってこられたのは生きたままのグイドで、その瞬間彼女は彼を許す気持ちになり二人はよりを戻す。
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by dognorah | 2008-04-19 10:04 | オペラ

From Russia展

Henri Matisse: The Dance (1910) 260 x 391cm Hermitage
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20世紀初頭のロシアの美術蒐集家セルゲイ・シチューキン(Sergei Shchukin)とイワン・モロゾフ(Ivan Morozof)が集めたフランスの美術品とそのコレクションの影響を受けたロシアの画家達の作品を集めた展覧会。終了1週間前になってやっと見に行った。

これは、ロシアによる反体制活動家をロンドンで暗殺した事件を契機に悪化した英露関係を背景に今年1月の開始直前になってロシアが絵を貸してやらないと通告して大騒ぎになったものの関係者の努力で無事開催の運びとなった曰く付きのものである。ロシア側の表向きの貸し渋り理由は1917年の革命時に国家が没収したシチューキン達の絵に対してその子孫が返還要求をしていてロンドンで差し押さえ請求がなされかねないと危惧したためらしい。そのために主催のロイヤル・アカデミーはロンドンの裁判所から、いかなる差し押さえ請求も認めないという保証を貰って開催にこぎ着けたのだった。

絵画はフランスのものが約50点、ロシアのものが約75点であるがロシアものは当然としてフランスものでも初めて見る作品が多かった。有名画家ではセザンヌ5点、マティス5点、ゴーギャン5点、ピカソ5点(すべて駄作)など。
呼び物のマティスもすばらしいが私は特にゴーギャンに魅入られた。5点とも初めて見る力作で過去に見た彼の作品の中でも最高峰に属するのではないかと思うぐらいすばらしい。セザンヌもさすがで特に「Woman in Blue」は力強いタッチに感銘。マティスは「The Red Room (Harmony in Red)」は文句なしに彼の最高傑作の一つと思うが、写真やポスターで見ていた「The Dance」(冒頭の写真)はあまり期待していなかったのが実物を目の当たりにすると躍動感溢れるリズムは見る者の心を捉えるエネルギーに満ちていることが強く感じられ、やはり傑作の一つであることが確信できた。他の作品では、Maurice Denisというほとんど知らない作家の作品が独特の雰囲気で見入ってしまう。

Paul Gauguin: Matamoe (1892) 115 x 86cm Pushkin Museum
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Paul Gauguin: Sacred Spring (1894) 74 x 100cm Hermitage
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Paul Cezanne: Woman in Blue (c1900) 90 x 73.5 Hermitage
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Henri Matisse: Harmony in Red (1908) 180 x 220cm Hermitage
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Maurice Denis: Sacred Grove (1897) 156.3 x 178.5cm Hermitage
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ロシアの作品もかなりの魅力的な絵があった。カンディンスキーのムルナウの絵もミュンターとは一線を画す色遣いのものがあって新鮮だった。一つ感心したのは1915年に既に下の絵のような抽象画がKazumir Malevichという画家から発表されていたこと。

Kazumir Malevich: Red Square (1915) 53 x 53cm State Russian Museum
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見応えのあるこの展示は4月18日で終了する。
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by dognorah | 2008-04-16 08:26 | 美術

エッシェンバッハ指揮LPO

2008年4月13日、ロイヤル・フェスティヴァル・ホールにて。

メゾソプラノ:Petra Lang (藤村実穂子の代役)
テノール:Nikolai Schukoff
指揮:Christoph Eschenbach
管弦楽:London Philharmonic Orchestra

プログラム
シューベルト:交響曲第8番
マーラー:Das Lied von der Erde (大地の歌)

未完成交響曲はゆっくり目のテンポで一音一音を大切にするように丁寧に演奏されたが管弦楽の持続した緊張力により第1楽章はどっしりした印象で名演であった。第2楽章もその延長であったがやや間延びした印象であったのが惜しい。全体としてはそこそこすばらしいものであったが。欧州一流どころには及ばないものの、このオケもこれほどの音を出すとは意外だった。やはり指揮者を選ばないと駄目という見本か。なお、編成は後のマーラーのせいか大きく、コントラバスが10本もあった。従って低音の充実はすばらしかった。

大地の歌は健康上の理由で藤村が降り、ラングが歌ったがすばらしい歌唱だった。対照的にテノールは声質があまり魅力のない声だし声量もなくてあまりいただけなかった。第1楽章は特に管弦楽と共に荒れ気味で感心しなかった。全体的には第4楽章ぐらいから乗ってきた感じでマーラーを強く感じる。圧巻はやはり第6楽章でここだけ繰り返して聴きたいほどだ。管弦楽とメゾソプラノの融合もすばらしい上に突出した彼女の声と感動的表現力に圧倒される。美しい。エッシェンバッハ指揮の管弦楽も渾身の演奏だったと思う。ブラヴォー!

写真は終演後のNikolai Schukoff、Christoph Eschenbach、Petra Lang。
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by dognorah | 2008-04-15 07:35 | コンサート

ロンドンで京劇「滑油山」を見る

Slippery Mountain
by Not So Loud Theatre Company

Director: Paddy Cunneen
Di Zhang Wang: Ghaffar Pourazar
Mulian: Eriko Shimada
Liu Qing Ti: Ming Lu
Attendants: Emilia Brodie, Peter Savizon, Charlie Tighe, Chie
Musisians: Joanna Qiu, Joe Townsend

c0057725_1284090.jpg先日ウイグモアホールでセルビア人ピアニストDorian Grinerのリサイタル(大変すばらしかった)を聴きに行ったときにインターヴァルで、ある日本人女性から現在ロンドンで京劇をやっているので見に来ないかと誘われた。彼女も出演しているとのこと。
それで4月9日に見に行ったが結構楽しめた。

場所は中華街にあるNew World Restaurantの2階。客はテーブルで食事しながら観劇できる。
俳優とスタッフはNot So Loud Theatre Companyというイギリス人中心の劇団の人たちで、それに中国人一人、日本人二人、イラン人一人が加わって公演された。楽団には胡弓を弾く中国人も一人いる。俳優の中国人、日本人一人、イラン人は京劇に入れ込んでいてしょっちゅう北京に勉強に行っているらしい。中国語をしゃべるのは中国人とイラン人だけで後の出演者は英語でフォローして観客に筋が分かるように工夫している。

話の筋は、仏教の教えに背いて罪を犯した女 Li Qing Ti が滑油山で一生修行することになっているのを僧侶として修行中の息子 Mulian が連れ戻しに行くというもので、下界から来たものを追い払う悪魔達を蹴散らしたものの師匠のDi Zhang Wangから許されずあきらめる。

悪魔達との戦いシーンは剣を両手で振りかざす日本人女性Chieさんと棒を一本扱うイラン人Ghaffar Pourazarによって舞われたが、さすがに北京で習ってきただけのことはある迫力あるもので全編の白眉だった。このシーンがあってこそ京劇というものだ(私は京劇は見たことがないが、南京で似たようなものである越劇というのを見たことがある)。。日本人女性の両手による剣捌きが特に見事である。二人の呼吸もぴったりと合っていて京劇の様式美を垣間見ることができた。バックの音楽もすばらしかった。公演は3月18日から始まっており、この週末の4月13日で終わる。

終演後、日本人出演者の方々と話したが、Chieさんが京劇に入れ込んでいる方で、Shimadaさんは西洋オペラをやるソプラノである。またイラン人はもともとIT技術者だったのが京劇に取り憑かれて頻繁に中国に行くようになったとのこと。
ロンドンで公演することになった経緯は聞き損なったが、日本の能と同じように誰か熱心にぜひロンドンで紹介したいとプロモートした方がいたのとNot So Loudのように地元で協力してくれる人たちが見つかったことで実現したのだろうが、関係者の努力に賛辞を贈りたい。
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by dognorah | 2008-04-11 01:35 | 観劇

今日のワイン

c0057725_823962.jpg久し振りにワインの記事です。
イタリアはトスカナのピノ・グリージオという品種で作られたそのままの名前の白ワイン。大手メーカーのBanfiという会社が作った2006年もの。値段はMajestic Wineで£8.99(約1800円)。色は普通の麦わら色。最初のアタックは熟した桃などのフルーツの香り。味は爽やかさとコクが同居したような心地よいもので、思わず「旨い!」と叫びたくなるおいしさ。安物のピノ・グリージオは酸味が勝ることが多いがこれは酸味は前面には出てこず果実味の後ろに隠れている。アフターも結構長い。口中にはやや苦みが残る気配。
昨年飲んだとき印象に残っていたので残りのもう一本を今日飲んでみて、値段に充分以上見合うおいしさということを確信した。チキンをオリーヴオイル主体のソースにマリネーして野菜類と共にローストしたものと合わせたがいいマッチングだった。

名称:Pinot Grigio 2006
ブドウ畑:San Angero, Montalcino, Toscana
醸造:Banfi社

なおラベルの写真は2005年のものですがデザインは同じです。
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by dognorah | 2008-04-08 08:04 | ワイン