「ほっ」と。キャンペーン

<   2008年 03月 ( 13 )   > この月の画像一覧

サクソフォンのコンサート

2008年3月27日、Hyde Park Chapelにて。

Michaela Stapleton:サクソフォン
Naoko Makino:ピアノ

プログラム
Claude Debussy:Rhapsodie
Mark Anthony Turnage:Two Elegies Framing a Shout
Gabriel Pierné:Canzonetta
Ryo Noda:Maï
Jules Demersserman:Fantaisie sur un Thème Original

クラシック独奏者としては珍しいサクソフォン。第2曲目のターナイジの作品はソプラノサックスで演奏するものだがピアノ伴奏も含めて現代音楽らしいユニークなフレーズが面白い。ある場面でサックスがピアノの内部に向けて吹くシーンがあり、そのときはピアニストはペダルを踏んでいるので弦がサックスの音あるいは吹き出される空気に反応して微妙な音を出す。ソプラノサックスならではのプロセスはアイデアだしなかなか面白い。

第4曲の日本人作曲家の作品は尺八の音をアルトサックスで表現するという意図のもとに書かれたものということだ。敵に攻められた侍が自分の家族や部下を守るために自害する物語に合わせて作曲されたと解説していた。確かに尺八の音に近い。後で演奏者にそう伝えたら大変喜んでいた。本人は尺八を見たことも音を聴いたこともないらしいので。
演奏者は両方ともRoyal College of Musicの学生。
[PR]
by dognorah | 2008-03-29 09:58 | コンサート

モネ、カンディンスキー、ロスコと後継者達展

オペラを見るために頻繁にヴィーンを訪問すると見所も大体見てしまって、昼間は時間をもてあます。そういうときに入れ替わり立ち替わりいろいろな特別展を美術館がやってくれるのは非常にありがたい。入場料が結構高くて馬鹿にならないけれど。
c0057725_1343937.jpg

「抽象への道のり」と題して有名画家3人の名前があったので入場した。油絵ではこの3人の作品はそれぞれ1点ずつあっただけで、他の多くはオーストリアの現代画家を中心にしている。この3人の名前がなかったらあまり訪れる人もいないだろうから主催者も商売上手だ。しかし3つの作品はいずれも1級品で、それだけでも見る価値は十分にある。特にバーゼルから借用したモネの睡蓮は今まで見たこともないモダンな表現で、抽象の先駆けと主催者が主張するのもうなずける。200x180cmと大きめの作品で、会場で目にしたとたんぐっと惹きつけられた。上に掲げた小さな写真では分かりにくいかもしれない。睡蓮の絵としても大変魅力的だが無駄を排した表現には軽い衝撃を受ける位のエネルギーを感じる。1916-19年に描かれたもので、彼が亡くなる1926年よりかなり前の作品なのでまだ力も充実しているけれど更にそれを発展させるにはちょっと気力が続かなかったのだろう。もう少し若い頃にこういう境地に達していたら抽象の道をどんどん切り開いたかもしれない。晩年にこの手の絵を描くのはセザンヌにも認められたが二人の巨匠に相通じるものがあるのは面白い。セザンヌのあの1枚も会場にあってしかるべきだろう。
カンディンスキーのものは1936年に描かれたCompositionでこちらはモスクワから借りたもの。大変丁寧に描かれたもので魅力的な絵だ。ロスコのも一目で彼の作品と分かるもので1960年作。力の充実を感じる。スイスのコレクション。
他の作家にはもちろん有名な人も(サム・フランシスやピエト・モンドリアンなど)いて、それなりに面白いが私にとって馴染みのない画家達の作品も力作揃いで全体としてまあまあ楽しめた。

Monet – Kandinsky – Rothko und die Folgen
Wege der abstrakten Malerei
28.02 – 29.06.2008
Ba-Ca Kunstforum, Wien
[PR]
by dognorah | 2008-03-26 01:35 | 美術

ティーレマン指揮の「パルジファル」

2008年3月29日、ヴィーン国立歌劇場にて。

Parsifal
Bühnenweihfestspiel in drei Aufzügen
Text und Musik von Richard Wagner

Dirigent: Christian Thielemann
Inszenierung: Christine Mielitz
Ausstattung: Stefan Mayer
Chorleitung: Thomas Lang

Amfortas: Falk Struckmann
Titurel: Ain Anger
Gurnemanz: Stephen Milling
Parsifal: Thomas Moser
Klingsor: Wolfgang Bankl
Kundry: Mihoko Fujimura
Erster Knappe: Cornelia Salje
Zweiter Knappe: Daniela Denschlag
Dritter Knappe: Alexander Kaimbacher
Vierter Knappe: Peter Jelosits
Erster Gralsritter: Gergely Németi
Zweiter Gralsritter: Clemens Unterreiner
Erstes Blumenmädchen 1. Gruppe: Ileana Tonca
Zweites Blumenmädchen 1. Gruppe: Jessica Pratt
Drittes Blumenmädchen 1. Gruppe: Sophie Marilley
Erstes Blumenmädchen 2. Gruppe: Simina Ivan
Zweites Blumenmädchen 2. Gruppe: Alexandra Reinprecht
Drittes Blumenmnädchen 2. Gruppe: Elisabeth Kulman
Stimme von oben: Daniela Denschlag

Qrchester der Wiener Staatsoper
Chor der Wiener Staatsoper

翌日はイースターの聖金曜日(劇場はお休み)なので今回の再演初日をこの日に持ってきたのでしょうか。私が切符を買ったときはイースターなんて意識もしませんでしたが。

パルジファルは割と最近ROHで聴いた演目で、あのときは歌手はよかったのに感動からはほど遠い印象でしたが、こういう風に上演すると感動できるんだと納得できる演出であり演奏でした。

演出は2004年プレミエのものです。ヴィデオ多用のモダンなものながら全体としては説得力があり感動を呼べる出来です。細かい部分もよく考えられているという印象です。舞台は第2幕を除いてはグレーを基調とした地味なもので、上下の動きが目立つ装置で悪くはないと思います。第2幕冒頭でヌード女性が出てきてすぐ引っ込むのはよく意味が分からず、単なるサーヴィスか。第2幕の花の乙女達のシーンは散漫であまりいい出来ではありませんが、彼女たちが引っ込んだ後のパルジファルとクンドリのやりとりの場面は演劇としてもよくできていると思います。

歌手は、藤村実穂子のクンドリが圧倒的にすばらしく、第2幕でのパルジファルとの長い対話は感動的です。へなへなテノールのモーザーもこの場面では彼女に触発されたのかしっかりと歌っていましたし、ティーレマンの演奏が更に彼女から力を引き出すような感じでした。彼女が雄叫びのように叫んだ後、非常に長い休止を指示して緊張感を高める彼独特のより方は本当に効果的でした。彼女は今年のバイロイトでもこの役をやるんですね。この人はまだまだポテンシャルがあるように思えてきました。

次いでシュトルックマンがよい出来で、ROHで歌ったときより迫力がありました。ミリングのグルネマンツはいいときはとてもいいのですが全体としてはムラがあり、これはトムリンソンにはかなわないです。クリングゾルを歌ったバンクルもよく声が出ていました。情けないのが題名役のトーマス・モーザーで印象は先日ROHで見たサロメと全く同じです。第1幕、第3幕では声量が無く終演後はこの人だけがブーを貰っていました。ブーの場面に出くわしたのはヴィーンでは初めてです。ヴィーンともあろうものが何でこんなテノールを使うのでしょうか。

ティーレマンですが例によってピットに入場するだけでブラヴォーが飛び交い、2幕、3幕と冒頭のブラヴォーもどんどん増えていく有様でしたが、演奏はすばらしいものでした。前奏曲では特にどうという印象ではないのですが、幕が上がると俄然オケの存在感が増し、テンポの変化、ダイナミズムの凄さもあって感動的でした。特に上に述べたように第2幕でクンドリの声はオケとも演出とも完全に噛み合い、このオペラはこうでなくてはと思わせるものでした。ティーレマンはやはり凄い!

このパルジファル、バイロイトでは一切拍手をしないしきたりだそうですが、ヴィーンではプログラムに第1幕終了後だけ拍手をしないで欲しいと書いてありました。それを知らない人たちが拍手をしましたがすぐに「シー!シー!」と制止されて拍手は無し。しかし第2幕と最後は普通に拍手があり、それぞれカーテンコールもありました。
最初の写真は第2幕のカーテンコールのもので、左からThomas Moser、Mihoko Fujimura、Wolfgang Banklです。藤村さんは長い髪の毛をしていますが第3幕では鬘で短い髪の姿に変わります。下の写真は左からThomas Moser、Mihoko Fujimura、Stephen Milling、Christian Thielemann、Falk Struckmannです。
c0057725_23591634.jpg

c0057725_00223.jpg

[PR]
by dognorah | 2008-03-24 00:08 | オペラ

ヴェルディのオペラ「運命の力」

2008年3月19日、ヴィーン国立歌劇場にて。
最終公演を終えて成功を喜び合うメータとシュテンメ
c0057725_1013356.jpg

La forza del destino
Oper in vier Akten
Text von Francesco Maria Piave und Antonio Ghislanzoni
Musik von Giuseppe Verdi

Dirigent: Zubin Mehta
Inszenierung: David Pountney
Ausstattung: Richard Hudson
Chorleitung: Thomas Lang
Choreographie: Beate Vollack
Licht: Fabrice Kebour
Video: fettFilm

Marchese di Calatrava: Alastair Miles
Padre Guardiano: Alastair Miles
Leonora: Nina Stemme
Don Carlo: Carlos Álvarez
Alvaro: Salvatore Licitra
Fra Melitone: Tiziano Bracci
Preziosilla: Nadia Krasteva
Mastro Trabuco: Michael Roider
Ein Alkalde: Dan Paul Dumitrescu
Chirurgus: Clemens Unterreiner
Curra: Elisabeta Marin

Orchester der Wiener Staatsoper
Chor der Wiener Staatsoper

今回の公演は新演出(3月1日プレミエ)で、今日がその最終日でした。その演出はヴィデオを多用したもので、車輪の回転、ピストルの回転、弾丸の偶然を強調する軌跡、爆撃機による戦争の場面などですが割と単純で分かりやすいものです。舞台は非常に現代的と言うほどではないもののシンプルな作りで、場面によっては紗幕を頻繁に使って(何が目的なのかはよく分かりません)いました。常に傾いたL字型の舞台が置かれていて(写真参照)それが場面転換と共に回転して、別の場面ですよと言わんばかり。想像力で補える範囲ではあります。出演者はほとんどの時間この傾いた舞台上で演技しなければならず、ちょっと苦痛かもしれません。
c0057725_1014175.jpg

舞台の割に衣装は一部凝っていて、第2幕のダンスシーンは人海戦術的に多数のダンサーが西部劇もどきの格好で踊るものの演技面では特に新味は感じられませんでした。オペラそのものはまともに演じられるので現代の演出としてはまあまあというところでしょうか。

歌手ですがなんと言ってもニーナ・シュテンメが絶好調と思える出来ですばらしい。始まってすぐにレオノーラのアリアがありますが惚れ惚れする出来だったのに、すぐさまメードが声をかけるタイミングだったので拍手は入らず。メータの作戦か。
アルバレスとリチートラも立派な歌唱で問題なし。アルバレスは「シモン・ボッカネグラ」で聴いて以来ですがバスバリトン的な声で迫力のないアラステア・マイルズより低音でドスが利いていました。リチートラは2004年にROHでやったこのオペラで同じ役で聴いて以来です。前回は記憶が定かじゃないのですが今回は声がよく出ているものの私はそれほど好きな声質ではありません。先日聴いた「エフゲニー・オネーギン」でのベチャラの方が好みです。アラステア・マイルズはロンドンではお馴染みのイギリス人歌手ですが、主役3人の声量にかなわずといったところです。プレチオジラを歌ったナディア・クラステワは水準といったところです。

演奏ですが、メータはコンサートではこれまで堅実ではあるもののあまり感動することのない指揮者という印象でしたが、初めて接したオペラ指揮ではなかなかできる人であることが分かりました。序曲はごく普通といった出来で特に感心しませんでしたが舞台が始まると歌手とよく噛み合った演奏で聴衆の心を捉え、この劇的なオペラを豪華な音で堪能させてくれました。
下の写真は左からCarlos Álvarez、Nadia Krasteva 、Zubin Mehta、Nina Stemme、Salvatore Licitra、Alastair Miles、Tiziano Bracciです。
c0057725_10144735.jpg

[PR]
by dognorah | 2008-03-23 10:16 | オペラ

モロッコ旅行2、 マラケシュの印象

(マラケシュの象徴クトゥビア)
c0057725_8563477.jpg

空港から街まで6kmと近い。観光案内所でもらった街の地図にもその位置が載っているほどだ。新市街(ギリーズ)と旧市街(メディナ)で構成されているが見るべきポイントはほとんどメディナにありメディナ自体が世界遺産に指定されている。新市街は道幅も広くオレンジの街路樹が沢山植えられていて近代的に整備されている。車の交通量は相当なものだが古い車が多い上に排気ガス規制は全くないらしく、久し振りに悪臭を嗅いでちょっと不愉快な気分になる。ホテルからメディナまで歩いていったがオートバイも含めてもうもうたる排気ガスに辟易した。メディナは高い塀に囲まれていて沢山ある門の近くの一部を除いて細い道路が網の目のように入り組んでいる。そこを大勢の人、自転車、オートバイ、ロバの引く荷車、馬車、自動車が雑多に行き交い、歩きにくいことこの上なし。
このメディナのほぼ真ん中にジャマ・エル・フナ(Djemaa el Fna)広場という広いスペースがあるがここには昼間はフレッシュオレンジジュースを売っている屋台やドライフルーツを売っている屋台などが沢山あるもののスペースは結構空いている。ところが夕方になると食事をさせる屋台がどんどん建てられて、夕食の頃になるとそれが秩序だってぎっしり埋まる。
c0057725_8574480.jpg

c0057725_8592764.jpg

当然大勢の人が集まり、客の呼び込みも激しく各テーブルの周りはすぐに人で一杯になる。メニューも各国語で用意してあり、日本語のものもあったのには恐れ入った。値段は安いとは言えないがreasonableではある。我々のように一人100DH(1DHは約15円)も食べるのは珍しいようで、店側が感謝してミントティーをサーヴィスしてくれた。地元の人たちの食べ方を見ていると、一家でやって来て沢山の種類をオーダーするも食べるのは早くすぐに他の客と入れ替わる。それが延々と深夜まで続くそうで広場は常に熱気で溢れている。食べ物の種類はその辺のレストランより遙かに豊富で、魚もあるし羊の頭(脳みそを食べるらしい)もある。魚はヒラメの揚げたのを食べてみたが意外に新鮮でおいしかった。残念なのは酒類は一切置いていないことで、それがあれば一杯飲み屋と同じでぐだぐだと時間をつぶせるのだがとbibinga氏と嘆き合った。食べるだけだから食事はすぐに終わってしまう。回転が速いわけだ。もしアルコールを置いたら売り上げはある程度上がるけれど長時間居座られるリスクもあり、どっちがいいのかは考えどころだろう。まあイスラムの掟に従っていた方が摩擦が少ないから現状やむを得ずか。しかし、食事の後は何をする?正直時間をもてあましてしまった。ワインやビールはホテルに帰ればあるが、ホテルのレストランは我々の泊まったところは高くてまずいの典型でどうしょうもない。しようがないからバーでビールを飲んで一日の反省?を語り合うのが関の山。

この広場の北側には規模の大きいスークがあり、網の目のような細い通路を挟んで各種の商店が軒を連ねている。上野のアメ横の規模を大きくしたようなものか。店は金物屋とか革製品など商品ごとにかたまっている。珍しい形態だから興味深く見て回ったが観光客にとってはあまり魅力的な商品はない。何も買わなかったが歩いているとあちこちから日本語で呼び込みの声がかかる。それほど日本人が買い物するのか?フランス人観光客がたまに商品を物色している様を見ることはあるが、商売繁盛という印象は全くなく、よく生活が成り立つなぁと心配してしまう。
[PR]
by dognorah | 2008-03-19 09:01 | 旅行

「眠れる森の美女」ドレスリハーサル

2008年3月13日、ROHにて。1年半前にも同じ演目のドレスリハーサルを見ていますが今日のオーロラ姫はタマラ・ロホです。

The Sleeping Beauty

出演
Princess Aurora: Tamara Rojo
Prince Florimund: Federico Bonelli
The Lilac Fairy: Marianela Nuñez
Princess Florine: Sarah Lamb
The Bluebird: Yohei Sasaki
他多数

ロホとボネリは共に安定していてすばらしいダンスでした。ロホの気品のある表情も美しいし。ヌネスは前回も同じ役でしたが今日もぬかりなし。ラムと佐々木のコンビもソロ、パドゥドゥ共に見応えがありました。しかし豪華な舞台ですね。指揮も前回と同じValerie Ovsyanikovでしたが今日は前回より大人しめの音楽作りでまあ普通の出来でした。この曲に関しては私はもう少し華やかな演奏の方が好きなんですが。
写真はカーテンコールのTamara RojoとFederico Bonelliです。
c0057725_8165015.jpg

[PR]
by dognorah | 2008-03-14 08:17 | バレー

ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)について

The London Hellenic Societyという在ロンドンギリシャ人のコミュニティ主催で“Lafkadio Hearn The Greek Poet of Japan”という題の講演がThe Hellenic Centreであったので聴いてきた。講師はNicholas Sophianosという人で英語で講演。

ハーンの名前はよく知っていたが、ギリシャ系とはついぞ知らなかった。今頃ギリシャ人が騒ぐのはちょっと遅すぎる嫌いはあるが一応彼の母親はギリシャ人で、彼はギリシャ生まれである。ただし2歳までそこにいただけで後は父の実家であるアイルランドのダブリンに移り住んでいる。しかし4歳の時に父母は別れ、両親から捨てられた彼は親戚に育てられ、その後イギリスの学校に行くも学業半ばでアメリカに渡り、紆余曲折の末40歳の時にアメリカで知り合った大使館関係者を頼って日本にたどり着く。松江で英語教師などをやりながらそこで家庭を築き54歳のときに東京で没。怪談を始め著作がいろいろあるので日本では割と知られた存在だと思うけどギリシャでは無名らしい。そこで誰かが日本で有名な立派なギリシャ人がいたんだと騒いでこういう講演会が開催されることになったのだろう。
講演は彼の著作の朗読を交えて生涯を概観する形式で当時の彼の写真をスライドで投影して行われた。私は名前を知っているだけだったので興味深く聴かせてもらった。波乱の生涯という感じがした。

公演後はレセプションがありワインとおいしいおつまみがふんだんに供されたので暫し出席者の皆さんと歓談したが、私が会場では唯一の日本人だったので多くの人から質問攻めにあってしまった。また造船などで日本に長期滞在したことがあるという人が意外に多く、片言の日本語でも結構話しかけられた。皆さんこぞって日本での生活は楽しかったと懐かしそうに話す。
主催者の方が「もっと日本人の方に来ていただこうと思って日本大使館に情報を送って協力を依頼したけれど無視されたらしい」と嘆いていた。どうやら私が到着したときえらく歓迎ムードだったのは大使館関係者と誤解したからか。私はギリシャ人の友人から聞いて知ったのだけれど日本語コミュニティ紙にも一切こんな情報は載っていなかった。ちょっとマイナーな話題かもしれないから仕方がないだろう。お陰でこちらはもてもてで楽しい夜だったが。
[PR]
by dognorah | 2008-03-13 18:50

新星ピアニスト アレックス・コブリンのリサイタル

2008年3月11日、ウイグモアホールにて。

Alex Kobrin: piano
c0057725_2232367.jpg

Haydn: Sonata No.33 in C minor, Hob.16/20
Beethoven: Sonata No.4 in E flat, Op.7
Chopin: Ballade No.1 in G minor, Op.23
Chopin: Impromptus No.1 in A flat, Op.29
Chopin: Impromptus No.2 in F sharp, Op.36
Chopin: Impromptus No.3 in G flat, Op.51
Chopin: Fantasie impromptu in C sharp minor, Op.66
Chopin: Ballade No.4 in F minor, Op.52

コブリンは1980年モスクワ生まれ。1993年にブゾーニ国際ピアノコンクールで優勝し、2005年にヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールでNancy Lee and Perry Bass Gold Medalを授与された。その後全米ツアーなど世界各地でリサイタルとオーケストラ共演をこなしている。

いいピアニストだと思いました。本人はショパンを得意としているようですが、私はショパンよりもハイドンやベートーヴェンに感心しました。ハイドンは朴訥というよりもちょっと饒舌な音色だったかもしれませんがそれが魅力的でした。ベートーヴェンの演奏はダイナミズムを押さえた内省的なスタイルで第2楽章など美しい表現がすばらしい。初期の作品でもこんなに魅力的な曲なんだと思い知らされました。ショパンでは最初のバラードでテクニックの冴えを見せる軽快な演奏、続く即興曲でも指捌きがすばらしくつぶら立ちのくっきりした音はとても好ましい。ただ全般的に特に際立った解釈ということはなかった気がします。一部、音の汚れが気になったところもあります。

ロンドンは多分これがデビューですが、既にバーミンガムやリヴァプールではオケと共演しています。今年の夏にはPromsにデビューするとのことで、一応注目されている演奏家なのでしょう。今後の活躍が楽しみな人だと思います。
本人の希望なのでしょう、舞台が通常よりも暗めで写真もちょっと冴えない出来になってしまいました。
[PR]
by dognorah | 2008-03-13 02:25 | コンサート

エフゲニー・オネーギン公演

2008年3月10日、ROHにて。

Eugene Onegin
Lyric scenes in three acts
Music: Pyotr II'yich Tchaikovsky
Libretto: Pyotr lI'yich Tchaikovsky and Konstantin Stepanovich Shilovsky (after the verse novel by Alexander Sergeyevich Pushkin)

Conductor:Jiří Bělohlávek
Original Director: Steven Pimlott
Revival Director: Elaine Kidd
Designs: Antony McDonald
Lighting design: Peter Mumford
Original choreography and movement: Linda Dobell
Revival choreography and movement: Sarah Fahie
The Royal Opera Chorus
The Orchestra of the Royal Opera House

Tatyana: Hibla Gerzmava
Olga:Ekaterina Semenchuk
Madame Larina: Diana Montague
Filipyevna: Elizabeth Sikora
A peasant singer: Elliot Goldie
Lensky: Piotr Beczala
Eugene Onegin: Gerald Finley
Monsieur Triquet: Robin Leggate
Trifon Petrovich: Jonathan Fisher
Zaretsky: Vuyani Mlinde
Guillot:Richard Campbell
Prince Gremin:Hans-Peter König

2006年3月にプレミエだったプロダクションの初の再演です。あのときはホロストフスキーとビリャソンの共演でしたが、今回のジェラルド・フィンリーとピョートル・ベチャラのコンビの方が遙かにいいです。特にベチャラはすばらしく、イタリアオペラのベルカント満開的歌唱には惚れ惚れ!いい声です。歌手としてはビリャソンより1-2枚上でしょう。決闘前の長いアリアも感動的名唱でここで彼の役が終わってしまうのはとても惜しい。フィンリーはいつものように安定した揺るぎのない歌唱で安心して聴いていられます。ホロストフスキーのように前半セーヴしてスタミナを保つするなんてこともしないので気持ちよく最初から最後まで聴けます。
タチアナを歌ったヒブラ・ゲルツマワとオルガを歌ったエカテリーナ・セメンチュクは共にロシア人で今回がROHデビューだそうですが二人ともすばらしい歌唱で大満足。オペラはこの二人の2重唱で始まりますが、なんと美しい開始でしょう。バックを流れる音楽もすばらしく、チャイコフスキーならではの叙情的なメロディに完全にプーシキン+チャイコフスキーの世界に誘われます。その後すぐに彼等のお母さんとナースが加わって4重唱となりますがそれもまた美しく、冒頭からとても幸せな気分です。タチアナの手紙のシーンも2年前はやや冗長と感じたのに今回はちっとも長いとは感じず、彼女の完璧な歌唱に心を奪われました。今回はいくつかの役がダブルキャストですが、この人の歌う日を選んで大正解でした(もう一人の方は私的にはドンナ・アンナですっかり味噌をつけたポプラフスカヤ)。恥じらう娘時代と第3幕でプリンス・グレミン夫人となった姿の落ち着いた美貌の妻との対照もオネーギンの言葉通り驚きの変貌でした。
プリンス・グレミンを歌ったハンス=ペーテル・ケーニッヒは初めて聴く歌手ですが長いアリアをどっしりした低音で歌い上げ、満足すべき歌唱でした。

指揮のビエロフラーヴェクはこれが彼のROHデビューだそうですが、控え目ながら終始美しくオケを響かせ、このオペラにふさわしい叙情性を強調した音楽作りでした。なかなかいい出来だったと思います。

演出は演目にふさわしい叙情的な背景や舞踏会のシーン、プリンス・グレミンを中心としたサンクト・ペテルブルグのシーン、最後の図書室での二人の葛藤などよく練られたものと改めて感心するものでした。残念ながらこの演出家スティーヴン・ピムロットは昨年2月に肺ガンで亡くなったそうです。まだ53歳と若かったのに。今回のリヴァイヴァル公演は彼の思い出に捧げられました。

とにかく大好きなこのオペラ、レヴェルの高い公演を見れて幸せです。
写真は左からPiotr Beczala、Gerald Finley、Jiří Bělohlávek、Hibla Gerzmavaです。
c0057725_028954.jpg

[PR]
by dognorah | 2008-03-11 23:55 | オペラ

「サロメ」再見

2008年3月6日、ROHにて。写真は指揮者Philippe Jordan。
c0057725_33207.jpg

bibinga氏がバルコニーのボックス席を押さえて友人3人を招いて下さった中に混ぜてもらい、2回目の鑑賞となりました。このプロダクションを中2日で見たのに舞台の緊張感のせいでまたまた釘付けとなりました。
今回の席はオケピットを見下ろす位置で舞台はやや見にくいものの指揮者の動作がよく見えて音楽がよりダイナミックに体験できるという印象でした。ジョルダンの指揮は今日もすばらしかったと思います。

歌手では、ナラボートを歌ったヨーゼフ・カイザーが喉の調子が悪いのか前回に比べて声が荒れ気味でした。ヘロデ役のトーマス・モーザーは前半結構声が出ていて今日は調子がいいじゃないかと喜んだのですが「7つのヴェールの踊り」以降また前回のようにヴォリュームが無くなりやや失望。ヨハナーン役のミヒャエル・フォレは快調で前回より迫力ある声で大満足。その他の歌手達は主役も含めてほぼ前回と同じ。

演出では今日は「7つのヴェールの踊り」の場面をじっくりと見てみたのですが演出の意図はいまいち分からず。ヴェールは7つ脱ぐということはせず最初着ていたドレスを脱いでスリップ姿になるものの途中で華やかなレースのドレスを着てヘロデとワルツを踊るというようなシーンもあり、最後はそのドレスを脱いで再びスリップ姿になりオペラ終了までずっとそのままです。舞台上の動きは二人がいろいろな動作をする中、左から右へ次々と扉の開いた壁が移動していきます。その壁2枚で構成される部屋の数が7つ!最後の部屋に置いてある洗面台に張った水をサロメがじゃぶじゃぶとまき散らし、スリップも少し濡れてちょっとだけ肌が透けて見える状態になって終わり。最初の方では小さな女の子が持っているような人形を二人でキャッチボールしたりもし、途中部屋が移動している間それぞれのシーンに関連するヴィデオの投影があったりと結構細かいことをやっているので見ている側は飽きることはありません。なおダンスは振り付けらしい振り付けはなされていない印象です。一応Choreographerの名前は載っているのですが。
これ以外のシーンでも役者達がいろいろ意味ありげな動作をするというのもマクヴィカー節ですが、そういう点も含めて印象深い舞台です。
写真は左からThomas Moser、Nadja Michael、Michael Volleです。
c0057725_3324618.jpg

[PR]
by dognorah | 2008-03-08 03:36 | オペラ