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モーツァルトのオペラ「魔笛」公演

2008年1月28日、ROHにて。

Die Zauberflöte
Singspiel in two acts
Music: Wolfgang Amadeus Mozart
Libretto: Emanuel Schikaneder

Conductor: Roland Böer
Original Production: David McVicar
Revival Director: Lee Blakeley
Designs: John Macfarlane
Lighting: Paule Constable
The Royal Opera Chorus
The Orchestra of the Royal Opera House

Tamino: Christoph Strehl
First Lady: Anna Leese
Second Lady: Liora Grodnikaite
Third Lady: Gaynor Keeble
Papageno: Simon Keenlyside
Queen of the Night: Erika Miklósa
Monostatos: John Graham-Hall
Pamina: Genia Kühmeier
Speaker of the Temple: Thomas Allen
Sarastro: Stephen Milling
First Priest: Harry Nicoll
Second Priest: Donald Maxwell
Papagena: Kishani Jayasinghe
First Man in Armour: Robert Chafin
Second Man in Armour: Vuyani Mlinde

前の記事のマイスタージンガーをヴィーンで見て翌日の20日にロンドンに帰り、21日から1週間妻の1周忌のために大阪に旅し、帰国翌日の28日にこの公演を見るという慌ただしさでした。何を隠そう、既に切符を買っていたオペラ公演の合間を縫って法事を設定したのでした。
さて、このプロダクションは丁度5年前に見て以来です。あのときもパパゲーノはキーンリーサイドで弁者はアレンでした。しかし歌手達の出来についてはダムラウやレシュマンをはじめ余りよく憶えていません。「魔笛」はそのときが初の体験だったので筋を追うのに忙しかったのでしょう。
今回はじっくり歌唱を聴かせてもらいましたがすべて不満のない出来でした。多分ドイツ人はシュトレールとキューマイヤーだけだと思いますがあまり違和感はありません。ドイツ語が堪能な人から見ればディクションに不満なものもあるでしょうけれど。
歌手で印象的だったのは夜の女王を歌ったエリカ・ミクロサとパミーナを歌ったゲニア・キューマイヤーでした。ミクロサはなんとこの役を世界中で300回近く歌っているというハンガリー人ですがすばらしいコロラテューラで、最高音でも難なく美しく響かせてくれます。ブラヴォーです。これじゃ世界中から出演依頼が来るのは当然です。
キューマイヤーは高音部はちょっと苦しそうなところもありましたが気品のある声と歌唱は立派です。
男性ではROHの「ニーベルンクの指輪」でフンディンクを歌っていた巨漢スティーヴン・ミリングのザラストロが明るめの声ながら低音がよく出ていてなかなかのもの。キーンリーサイドの扮するパパゲーノ役は歌が少ないのが不満ですがそれを例の軽い身のこなしでたっぷり笑いを取って補っていました。腰回りが1mはあろうかという重そうなパパゲーナを軽々と両手で抱え上げて筋肉マン振りもアピール。
タミーノを歌ったクリストフ・シュトレールは初めて聞く人ですが非常に優れているというわけではないにしても気持ちよく聴かせてくれるテノールです。

演出は、序曲が始まると観客席に直径20cmぐらいの光る玉を捧げ持った女性が現れてうろうろし、舞台左側の観客席から弓を持ったタミーノが舞台上に出て行くシーンがあってちょっと神秘的な雰囲気を現出させますが、全体としてはザラストロが善で夜の女王が悪とはっきりさせるあまりどうということのない平凡なものです。2年前にエクスで見たKrystian Lupa演出のものでは体制に従順なタミーノを批判するパパゲーノやザラストロと夜の女王のどちらが善なのか曖昧にして最後は二人がカップルになるユニークなものでしたが私はそういう演出の方がモーツァルトの意図を汲んでいるような気がします。

写真は左からErika Miklósa、Simon Keenlyside、Christoph Strehl、Genia Kühmeier、指揮者とその後ろがStephen Milling。
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by dognorah | 2008-01-29 22:07 | オペラ

「ニュルンベルクのマイスタージンガー」公演

2008年1月19日、ヴィーン国立歌劇場にて。
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Die Meistersinger von Nürnberg
Oper in drei Aufzügen von Richard Wagner

Dirigent Christian Thielemann
Nach einer Inszenierung von Otto Schenk
Bühnenbild und Kostüme Jürgen Rose
Chorleitung Thomas Lang

Walther von Stolzing:. Johan Botha
David: Michael Schade
Eva: Ricarda Merbeth
Magdalene: Michaela Selinger
Hans Sachs: Falk Struckmann
Veit Pogner: Ain Anger
Sixtus Beckmesser: Adrian Eröd
Kunz Vogelgesang: Alexander Kaimbacher
Konrad Nachtigall: Marcus Pelz
Fritz Kothner: Wolfgang Koch.
Balthasar Zorn: Cosmin Ifrim
Ulrich Eißlinger: Michael Roider
Augustin Moser: Peter Jelosits
Hermann Ortei: Clemens Unterreiner
Hans Schwarz: Alfred Sramek
Hans Foltz: Janusz Monarcha
Ein Nachtwächter Wolfgang Bankl

Orchester der Wiener Staatsoper
Chor der Wiener Staatsoper

題名通り名歌手揃いで感心しました。これだけ登場人物がいてもちゃんと歌う役は最初の7人ぐらいですが、その7人はもうみんな馴染みの歌手ばかりで過去の経験からして安心して聴ける人たちばかりです。
ヨハン・ボータは2003年にROHでラダメス、2007年にヴィーンでアポロを聴きましたがひょっとして今回が一番いい出来かも。どこかの田舎のおっさんみたいな風貌でとても恋愛の主人公には見えませんが柔らかく張りのある声はなかなかのもの。ミヒャエル・シャーデもいつもの美声が調子よく出ていました。リカルダ・メルベートは昨年フィオルディリギとダフネで聴いてとてもいい印象を持っていた人ですが、今回もすばらしいの一言。ミヒャエラ・ゼーリンガーもケルビーノなど2度経験していますがいい歌手で、今回再認識しました。ガランチャが「ナキソス島のアリアドネ」の「作曲家」をレパートリーにしないという決断をして降りてしまいましたが3月の作曲家は代わりにこの人が歌うことになっています。
ファルク・シュトルックマンですが、上演前に調子が悪いけど歌うというアナウンスがありました。事実最初はイガイガした声で、やはりよくないなぁという印象でしたが劇が進むにつれてどんどんよくなり12月にROHで聴いたアンフォルタスよりいいと言えるまで回復しました。アイン・アンガーも特にいいという印象ではないですが決して悪くなく、水準以上でしょう。アドリアン・エレートのベックメッサーはすばらしく、演技も上手くてホントにいつもこの人には感心させられます。

指揮のティーレマンは初めて経験しましたが凄い人気で、ピットに入って来るなりブラヴォーの嵐です。演奏の方は序曲がおやと思うぐらい金管と弦のバランスが悪くちょっとぎくしゃくしていましたが劇の進行と共にどんどんよくなりました。ダイナミックに決めるかと思えばかなり長く間を取ったりとメリハリもあるし、たゆとう流れがうねりを持って迫ってくるし良くなったアンサンブルと共にヴァーグナーを堪能させてくれました。ただ終わった後の圧倒的感銘というと昨年1月に聴いたセーゲルスタムの「トリスタンとイゾルデ」の方が上でしたが。

演出は1975年にプレミエだったもので既に30数年が過ぎていて3幕1場までは古めかしさを感じさせる舞台装置ですが、3幕2場の圧倒的スケールと美しさは冒頭の写真で見る通り印象的です。古典的な演出ですが何ら無理が無く素直に劇に集中できます。
今日の演奏はTV収録されていましたので近々放送があるかもです。
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by dognorah | 2008-01-21 19:58 | オペラ

ネトレプコ早くも病気で「椿姫」をキャンセル

2008年1月17日、ROHにて。

14日の初日、あれだけ元気にすばらしい歌唱を披露してくれたネトレプコがなんと気管支炎を患って17日の第2回公演を休演してしまいました。ロンドンに来る前からその気があったそうで、それがぶり返したとか。残念無念。初日の余りの完璧さに天が嫉妬したか。

代役は急遽ニューヨークから夜行便で飛んできたErmonela Jaho(エルモネラ・ヤオと読むらしい)というアルバニア生まれの人ですが、17歳の時からヴィオレッタを歌ってきたそうです。今までにミュンヘン、ナポリ、トリエステ、マルセイユ、リルで同役を歌ったということはかなりの実力者と思われます。年齢は見たところ30代半ばぐらい。かなりやせ形で容姿的にはヴィオレッタにふさわしい人です。目が鋭く、時としてかなり怖い顔になります。写真は彼女のホームページlにありますが美人の部類でしょう。

歌唱ですが、これがなかなかのものでさすがにネトレプコの代役という基準で選んだだけのことはあります。とても上手いです。声質はコロラトゥーラ・レッジェロでネトレプコのリリコ・スピントとは対照的です。もし最初からこの人が歌っていたら今回のヴィオレッタはよかったなぁと言っていたでしょう。しかしネトレプコを聴いてしまった耳は最大限の賛辞を贈るわけには行きません。
まず、声量はネトレプコにかないません。高音は難なく出る美しい声ですが、中音からやや上あたりでのヴィブラートが気になります。スペクトル的にいえばネトレプコの声は一つのスムーズな形の山であるのに対して、ヤオのそれは多くの鋭い山が束になったような感じです。その山の束が時々分散してしまうんでしょう。
しかし今朝夜行便で到着したということは最良のコンディションではなかったはずで、演技の特訓も受けなければならなかったでしょうし大変過酷な条件だったと言えるでしょう。それにも拘わらずこのレヴェルの歌唱は大変立派で、しかも演技が実にスムーズでネトレプコのそれとほとんど違わなかったというのも驚きです。現代のソプラノ歌手の中ではトップクラスと言えるでしょう。

その他の歌手では、カウフマンは初日より今日の方が調子がよかったようです。しかし舞台上で自分の歌わないときに時折咳をしており、今後の舞台が心配です。キスシーンもあるしネトレプコから気管支炎を移されたかな?
ホロストフスキーも今日の方が固さが無くなってスムーズでした。しかしやはりこの人のイタリアものはどうもねぇ。「エフゲニー・オネーギン」の記事でも同じことを書きましたが、彼はロシアものに徹すべきです。
Gastoneを歌ったJi-Min Parkはほぼ同じか初日の方がややよかったか。Floraを歌ったMonika-Evelin Liivは初日同様よく声が出ていました。

管弦楽は初日の方がよかったような。今回はオケサイドで聴いたので指揮者の顔はよく見えましたが、ベニーニは結構指揮中にノイズを出す人であることが分かりました。時折うるさく感じます。楽団員の譜面もよく見えるのですが所々紙が貼ってあり、かなり音楽をカットしていることも分かりました。時にはまるまる1ページも!
写真はしゃがんで拍手に応えるErmonela Jahoです。
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by dognorah | 2008-01-18 20:48 | オペラ

ネトレプコの椿姫公演

2008年1月14日、ROHにて。

La traviata
Opera in three acts
Music Giuseppe Verdi
Libretto Francesco Maria Piave after Alexandre Dumas fils's play La Dame aux camelias

Conductor: Maurizio Benini
Original Production: Richard Eyre
Revival Director: Patrick Young
Designs: Bob Crowley
The Royal Opera Chorus
The Orchestra of the Royal Opera House

Violetta Valery: Anna Netrebko
Alfredo Germont: Jonas Kaufmann
Giorgio Germont: Dmitri Hvorostovsky
Flora Bervoix: Monika-Evelin Liiv
Gastone de Letorières: Ji-Min Park
Marquis d'Obigny: Kostas Smoriginas
Baron Douphol: Eddie Wade
Doctor Grenvil: Mark Beesley
Annina: Sarah Pring
Giuseppe: Neil Gillespie
Messenger: Charbel Mattar
Servant: Jonathan Coad

とても期待の持てる配役陣ですがその期待を裏切らないすばらしい公演でした。指揮者以外はイタリア人はゼロ。ロシア人、ドイツ人、エストニア人、リトアニア人、韓国人それにイギリス人という布陣。ヴェルディにしろこの演目にしろ完全にインターナショナルな人気度からすれば本家以外はどこでやってもそんなものでしょう。
まずネトレプコ。絶好調といってもいい出来でした。どんなピアニッシモでも掠れることのない声のなんとすばらしい艶でしょう。すべての音域で非の打つどころのない歌唱といえるでしょう。第1幕最後のe Strano!からSempre Kiberaに至る独唱など比類のない美しさで早くも耐えきれずに感涙。あまりにもすばらしかったのでここで彼女がキャンセルしても結構と思えたくらいです。インターヴァルに会ったM氏も「ここで家に帰ってもいいかな」と思ったとのことです。このプロダクションは舞台装置が豪華でとてもよくできたものですがその中で彼女の美しさが一段と栄えます。そして彼女の表情や立ち居振る舞いも場面にぴったり。

カウフマンの歌唱も立派でした。この人を2004年11月の「La Rondine」で初めて聴いたときはその美声に惚れ惚れしたものですが、その後のレパートリーの拡大のせいか声の陰影を優先させる歌唱に変化してきたように思えます。2006年12月の「カルメン」で私はそれに気付きましたが、絶叫型のテノールではなく歌のニュアンスをとても大事に表現する歌手ですね。声そのものは魅力的ですが、全音域で艶があるというわけではなく所々掠れが目立つことがあります。でもピアノからピアニッシモでの表現はすばらしい。スマートな体型はアルフレード役にはぴったりです。

ホロストフスキーの声はジェルモン役にはかなり軽いしちょっと明るすぎる嫌いはありますが歌唱そのものは立派でした。ただこの人のちょっと籠もるような歌い方はあまり好きじゃありませんが。ジェルモン役としては2006年1月に聴いたŽeliko Lučičを始め彼以上の歌手はいくらでもいるでしょう。

その他の歌手では、今年からYoung Artists Programmeに参加している3人の若手はなかなかよくやっているという印象ですが、特に韓国人のJi-Min Parkは今日もすばらしく、イタリアものにふさわしい軽めのテノールは第1幕冒頭ではカウフマンより目立っていました。この人は将来主役を歌うようになるでしょう。

ベニーニ指揮の管弦楽も特筆もので、美しいアンサンブルだったし弦の微妙な表現にはウットリしました。
ということで公演はとてもハイレヴェルで、終演後はROHでは珍しくStanding ovationとなりました。写真は左からAnna Netrebko、Jonas Kaufmann、Dmitri Hvorostovsky、Maurizio Beniniです。
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by dognorah | 2008-01-15 21:16 | オペラ

ルネッサンスのシエナ展

c0057725_10293855.jpgロンドンのナショナルギャラリーで開催中の(といっても1月13日で終了だが)美術展に行ってきた。私にはほとんど馴染みのない美術なので、各展示物の解説をすべて読むと共にオーディオガイドも借りて勉強するつもりでじっくり見て回ったら絵画、彫刻、デッサンなど116点も展示されているので3時間もかかってしまった。
個性を重んじる気風のシエナの画家達が伝統的絵画手法を大事にしながらも自由な発想を組み合わせることにより個性的な発展を遂げたのが後年フィレンツェの影響を徐々に受けていく様がよく分かった展示だった。
都市として独立を保っていた時代の聖母子像や受胎告知の絵画が何点か展示されているが、マリアの顔が結構世俗的な描かれているものがあって面白い。写真が入手できなくて残念だが、例えばNeroccio de’ Landiの描く受胎告知ではマリアが「あら、困ったことになってしまったわ。どうしようかしら」と読めそうな表情をしているし、Francesco di Giorgioのそれでは単純に驚愕の表情だけとか。
多くの聖母子像の中では上に掲げたSano di Pietroのものが際立って美しく、感銘を受けた。これはシエナの銀行(Banca Monte dei Paschi)が所有しているらしい。
その他、宗教とは関係なく物語絵巻風に何枚かの連作が丁寧に描かれたものがいくつかあり、解説をじっくり聴きながら見るとなかなか楽しい。こういった絵は有産階級の家に飾られるためのものだが、流行り廃りがあって市民の好みが直接反映されているらしい。

一通り展示を見終わって、なかなかしっかりした構成に感銘した。世界中からよくこれだけ集めたものだ。予定されながらも痛みが激しいからとロンドンに持って来れなかったものが2点ほどあって、それは写真で展示されていたが。
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by dognorah | 2008-01-12 10:33 | 美術

新春室内楽コンサート

2007年1月7日、ウイグモアホールにて。

Pharos Trustというキプロスの財団主催で開催された室内楽コンサートが本年最初のコンサートになりました。毎年5月から7月にかけてニコシアでPharos International Chamber Music Festivalというのを開催しており、そのコンサートで協力した演奏家がロンドンで公演するときもこうしてバックアップしているようです。それもこのウイグモアホールで10周年という長さ。今日の演奏家は多数がロンドン在住ながらキプロス生まれのアルメニア人とかロシア人、リトアニア人など多彩な国籍の人たちで、11人の演奏家が様々な組み合わせで4曲を演奏しました。充実したプログラムで演奏時間は2時間半以上でした。

プログラム
Boccherini: String Quintet in C ‘La musica notturna delle strade di Madrid
演奏: Chilingirian Quartet+David Geringas (cello)

Brahms: Piano Quartet No. 3 in C minor Op. 60
演奏: Yuri Zhislin (violin)、Alexander Zemtsov (viola)、Alexander Chaushian (cello)、Martino Tirimo (piano)

Rachmaninov: Trio élégiaque No. 1 in G minor Op. posth
演奏: Yuri Zhislin (violin)、Alexander Chaushian (cello)、Ashley Wass (piano)

Dvořák: Piano Quintet in A Op. 81
演奏: Levon Chilingirian (violin)、Yuri Zhislin (violin)、Alexander Zemtsov (viola)、David Geringas (cello)、Bengt Forsberg (piano)

1曲目のボッケリーニはマドリッドの大通りを行進する夜警団の様子を描写したものとのこと。彼はイタリア人ですが人生の最後の15年間はスペインで過ごし、マドリッドで亡くなったそうです。軽いタッチの親しみやすいメロディの曲です。ゲストのチェロ奏者(中央の人)が非常に上手い。
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2曲目のブラームスは本日の圧巻。重々しい開始でブラームスらしい取っつきにくさが感じられますが進行と共にどんどん彼の世界に引き込まれていきます。スケールが大きくとてつもない深みが感じられます。その流れに沿いながらも第3楽章の雰囲気は美そのもの。ピアノと弦の調和が見事です。第4楽章はゴージャスな雰囲気で活き活きしており輝かしいコーダで終了します。ブラヴォー!
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3曲目のラフマニノフは1892年の作曲で彼が19歳の時のもの。生前には出版されなかった作品で単楽章の比較的短い曲です(演奏時間15分くらい)。題名の通り何かを悲しむかのような雰囲気が全編を覆っていますがどこか優しさも秘めています。主題メロディはどこかで聴いたことがあるような親しみやすいものでそれがどんどん敷衍されていきます。最後は消え入るように終わります。美しい曲です。
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最後はドヴォルザークのピアノ5重奏曲第2番。彼の作品でよくあるように民謡を元にした郷愁を感じるメロディが頻繁に出てきてブラームスに比べると遙かに取っつきやすく感じます。特に第2楽章などそうです。にもかかわらず全体として曲はそれにとどまらず心に深く語りかけてきます。曲が訴えてくるものはブラームスのそれとは大変異質ですが。
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各曲で演奏者が異なるのでそれぞれの演奏終了後の写真を掲げました。
しかしそれにしてもこの小さなホールでこういう曲達を名手達のこなれた演奏で聴くのはなんとすばらしいことでしょう。新年にふさわしいすがすがしい気分です。
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by dognorah | 2008-01-09 07:38 | コンサート

ロッシーニのオペラ「シンデレラ」

2007年12月31日、ROHにて。

La Cenerentola; ossia La bontà in trionfo
Dramma giocoso in two acts
Music: Gioachino Rossini
Libretto: Jacopo Ferretti

Conductor: Evelino Pidò
Directors: Moshe Leiser and Patrice Caurier
Set designs: Christian Fenouillat
Costume designs: Agostino Cavalca
Lighting design: Christophe Forey
The Royal Opera Chorus
The Orchestra of the Royal Opera House

Clorinda: Elena Xanthoudakis
Tisbe: Leah-Marian Jones
Angelina: Magdalena Kožená
Alidoro: Lorenzo Regazzo
Don Magnifico: Alessandro Corbelli
Don Ramiro: Toby Spence
Dandini: Stéphane Degout

今日もROHのオケは輝かしい音で始まり、活き活きしたピドの演奏はすばらしいものでした。私にとっては彼は2003年の「ルチア」、2006年の「ドン・ジョヴァンニ」に続いて3回目の体験ですが、とても優れた指揮者だと思います。

このプロダクションは2001年に見たことがあり、あのときはまだそれほど有名ではなかったフローレスが王子役でした。今回久し振りに見て、なかなか優れた演出であり舞台装置であることを確認しました。時代設定は結構新しくてカメラやラジオ、乗用車が出てきますが内容を損ねることなく小道具として使い切っています。

歌手ですが、さすがに国際的に知られた優れた歌手ばかり揃えただけにほぼ満足すべき出来でした。私の知らない歌手はLeah-Marian Jonesだけですが、彼女も悪くなかったです。デグーがちょっと他の歌手の水準より落ちるかなというぐらい。この人は演技的にもあまり喜劇には適していないような。コジェナーもスペンスもとてもよく、コルベリに至ってはさすがにイタリア人だけあって早口部分も見事で、演技と共に際立った存在感です。レガッツォもいつもの安定感は揺るぎもせず立派な歌唱。
これでマイクを使わない生の声だったらいうことはないのですが・・・
写真は左から拍手に応えるAlessandro Corbelli、Magdalena Kožená、Toby Spenceです。
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終演後は劇場を出てテームズ側の方に歩いていったらまだ10時前だというのに主要道路はすべて歩行者天国となっており、人々で溢れ返っていた。花火が打ち上がるまでまだ2時間もあるというのに既にこの人出。この群衆に囲まれて待つなんて考えられず、さっさと帰宅して花火はTVで見ました。大晦日は欧米やアジアの多くの国は首都だけでなく主要都市ですべて盛大に花火を打ち上げますが、費用はほとんど税金で賄われているはず。除夜の鐘を聞いて静かに年の暮れを過ごすという伝統を持っている日本ではちょっと考えられませんね。
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by dognorah | 2008-01-02 08:32 | オペラ