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シュトラウスのオペラ「薔薇の騎士」公演

2007年10月29日、ヴィーン国立歌劇場にて。

Der Rosenkavalier
Komödie in drei Aufzügen von Hugo von Hofmannsthal
Musik von Richard Strauss

Dirigent: Peter Schneider
Nach einer Inszenierung von Otto Schenk
Bühnenbild: Rudolf Heinrich
Kostüme: Erni Kniepert

Die Feldmarschallin: Soile Isokoski
Der Baron Ochs: Kurt Rydl
Octavian: Elina Garanca
Herr von Faninal: Peter Weber
Sophie: Malin Hartelius
Jungfer Marianne: Simina Ivan
Valzacchi: Benedikt Kobel
Annina: Janina Baechle
Ein Polizeikommissar: Alfred Šramek
Der Haushofmeister bei der Feldmarschallin: Johann Reinprecht
Der Haushofmeister bei Faninal: Peter Jelosits
Ein Notar: Alfred Šramek
Ein Sänger:Ho-yoon Chung

イソコスキ、リドル、ガランチャ、ハルテリウスといった主要歌手が好調でとても楽しめました。ただガランチャとリドル以外はやや声量が小さく、時にはオーケストラの音にかき消され気味だったのがちょっと残念でした。そのため第1幕でのマーシャリンとオクタヴィアンのやりとりや2重唱がちょっと聴きづらく、指揮のシュナイダーがもう少しオケの音量をコントロールして欲しかったと思います。でもそういうことを除けばシュトラウスの音楽が美しく演奏されて満足でしたが。第3幕の3人の女性による3重唱の場面ではオケももともと小さめの音量の部分だったので美しい3重唱にはことのほか感動しました。

今日のガランチャは終始好調で昨年の「皇帝ティートの慈悲」で魅了してくれた調子に戻ったものと思われます。イソコスキはマーシャリンの心の微妙な動きや変化をとても巧妙に表現し、舞台に緊張感を与えてくれるすばらしい歌唱でした。もう少し声量があると文句なしなのですが。でも、ガランチャとの組み合わせは2004年4月にコヴェントガーデンで見たフェリシティ・ロトとアンジェリーカ・キルヒシュラーガーのコンビと甲乙をつけがたい出来と思います。リドルはそのコヴェントガーデン公演でも出演していましたが声量と迫力ある歌唱は今回も完璧と思いました。
写真は第2幕直後のカーテンコールで薔薇の騎士姿のElina Garancaとゾフィー役のMalin Harteliusです。
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次の写真は全幕終了後のカーテンコールで、左からPeter Schneider、Soile Isokoski、Kurt Rydl、Elina Garancaです。
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by dognorah | 2007-10-31 22:53 | オペラ

ランディのオペラ「聖アレッシオ」コンサート形式

2007年10月24日、バービカンホールにて。

Il Sant' Alessio
Music:Stefano Landi (1587 – 1639)

Sant' Alessio: Philippe Jaroussky (counter-tenor)
Sposa: Max Emanuel Cencic( counter-tenor)
Madre: Xavier Sabata (counter-tenor)
Curtio: Damien Guillon (counter-tenor)
Nuntio: Pascal Bertin (counter-tenor)
Martio: José Lemos (counter-tenor)
Nutrice: Jean-Paul Bonnevalle (counter-tenor)
Religione/Roma: Terry Wey (counter-tenor)
Adrasto: Ryland Angel (counter-tenor)
Angelo: David Malczuk / Beniamin Hiraux (boy soprano)
Eufemiano: Alain Buet (bass)
Demonio: Luigi de Donato (bass)
Uno del choro: Ludovic Provost (bass)

William Christie (Music Director)
Benjamin Lazar (Stage Director)
Alain Blanchot (Costumes)
Orchestra and Chorus of Les Arts Florissants
La Maîtrise de Caen children's choir

1631年に作曲された作品で、主人公のアレッシオは妻も両親も捨てて精進した結果天上に召されて聖人に列せられたという単純な物語ですが、悪魔や道化なども絡んで登場人物は多いですね。9人のカウンターテノールが出演するという情報がBowlesさんからもたらされたときはオエーっとびっくりしましたが、聴いてみるとすばらしい音楽で大満足の結果となりました。歌手はそれに加えてバス3人、ボーイソプラノ二人で男ばかりです。子供合唱団の中に女の子がいたので全員男性とはなりませんでしたが。

カーンの舞台写真などを見るとすばらしく美しい装置と衣装ですが、出演者は全く同じなのにロンドンではコンサート形式です。それなりの演技をするために合奏団は舞台奥に設置されて前面に空間を作っていました。衣装も布を羽織ったり合唱団が色とりどりのTシャツ、黒の上下、上着を脱ぐなど割ときめ細かく変えてディレクターはそれなりの仕事をしていたようで、最後の挨拶の時も舞台に出てきました。

William Christieは今日はずっとチェンバロとオルガンの前に座りっぱなしで、左右に配された合唱団が歌うときだけ立ち上がって両手で指揮をしていました。管弦楽が鳴り始めたらまあいつもの音だなという感じでしたが、合唱が加わると雰囲気ががらっと変わって彼等の作る世界にどっぷりつかってしまいます。それだけで今日は質の高い音楽が聴けそうというすばらしさ。歌手も最初に出てきたTerry Weyとそれに続くPhilippe Jarousskyの柔らかく無理のない美声に感嘆。プログラムにあらすじさえ載っていない不備に不満は大きかったものの単純な筋に助けられて劇の進行を気にすることなく音楽に浸れました。

9人もいるとカウンターテノールといってもいろいろな声質があることもよく分かります。お母さん役のMadreを歌ったXavier Sabataの声は女性でいえばアルトに相当しますね。タイトルロールのPhilippe Jarousskyは声だけでなく、女装すれば完全に欺かれるであろう女性的な顔をしています。妻のSposaを歌ったMax Emanuel Cencicは外見は坊主頭ですが非常に美しい声でした。バスでは悪魔役のLuigi de Donatoがいい歌手と思いました。
カーンの舞台が見たくなります。

写真は左から二人目がアレッシオ役のPhilippe Jaroussky、右端がスポサ役のMax Emanuel Cencicです。
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by dognorah | 2007-10-27 00:33 | オペラ

ジョン・エヴェレット・ミレーの絵画に関連する音楽

2007年10月23日、St Jone’s Smith Squareにて。

Sir John Everett Millais (1829 – 1896)という画家はイギリスのラファエル前派を創設した有名な画家だそうで、現在Tate Brittenで回顧展が催されています。それにあやかって彼の活躍した時代の音楽で彼の絵にふさわしいものを選択して演奏していこうというコンサートが開かれ、演奏開始前にはTate Brittenのcuratorによる彼の絵のスライドを基にした解説もありました。なかなか面白い企画で歌の前にピアニストによる背景説明などがあり、各歌曲とも馴染みのあるなしに拘わらず凄く楽しめました。まだこの絵画展は見に行っていないのですが早く見たくなりました。各歌手のうちバスバリトンを除いてオペラでお馴染みの人たちで、特に女性歌手二人は最近もヴァーグナーのリングサイクルに出演していました。ソプラノのマクグリーヴィーはやや高音部が苦しそうではあるものの美声が心地よく概ね満足すべき歌唱、メゾソプラノのウインロジャーズは豪華なガウン姿も美しく終始完璧でいうことなし、テノールのロビンソンはブリテンの「ビリー・バッド」以来久し振りに聴きましたが調子は完璧ではなく時折声が濁っていました。バスバリトンのデイヴィーズは前半こそちょっと声が出にくい感じではあったものの後半は絶好調で艶と深みのある大声量ですばらしい印象を与えてくれました。各歌曲は独唱のこともあれば二重奏、4重奏もありヴァラエティに富んだコンサートでとても楽しい。ピアニストによる解説も面白く、こんなすばらしいコンサートに聴衆は半分の300人程度しか入っていないのはもったいないという思いです。Curatorによる解説からコンサート終了まで3時間でしたが大満足で、例によって仲間達とパブへ行ってカンバンまで語り合いました。
写真は譜面台が邪魔になっていますが左からGeraldine McGreevy、Catherine Wyn-Rogers、Timothy Robinson、Neal Davies、Graham Johnsonです。
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出演者
Geraldine McGreevy: soprano
Catherine Wyn-Rogers: mezzo-soprano
Timothy Robinson: tenor
Neal Davies: bass-baritone
Graham Johnson: piano

プログラム
Giacomo Meyerbeer: Rondeau du page
Charles Villiers Stanford: La Belle Dame sans merci
Traditional arr. Beethoven: Charlie is my darling
Robert Schumann: Herzeleid
Traditional arr. Stevenson: The Last Rose of Summer
Gabriel Fauré: Automne
Roger Quilter: Blow, blow thou winter wind
Eva Dell’Acqua: The Minuet
Sir William Sterndale Bennett: May-Dew
Michel W. Balfe: Come into the Garden, Maude
Sir Arthur Somervell: Birds in the high hall garden
Roger Quilter: Now sleeps the crimson Petal
Sir Arthur Sullivan: The Lost Chord
Sir Arthur Sullivan: The Modern Major General
Sir Arthur Sullivan: When a wooer goes a-wooing
Liza Lehmann: In a Persian Garden (22 songs)
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by dognorah | 2007-10-25 21:14 | コンサート

シレジアン弦楽四重奏団演奏会

2007年10月22日、St Jone’s Smith Squareにて。

Silesian String Quartet

プログラム
Karol Szymanowski: Quartet No.2, op.56
Andrej Panufnik: Quartet No.2
Franz Schubert: Quartet No.14

Silesian SQは1978年設立のポーランドの団体でかなりのテクニックを備えている中堅どころと見ました。主に20世紀音楽を得意としており、これまで1000回以上のコンサートをこなしてきたそうです。
今日のメインはポーランドの作曲家シマノフスキとポーランド系イギリス人パヌフニクと思われますが、格調高い演奏と思いました。私はパヌフニクの方がより現代的で好きでしたが。
しかしアンコールに演奏されたPaderewskiの曲(何か聞き取れなかった)が圧巻。弦楽器のあらゆるところを弓でなぞって奇妙な音を出しながらも全体としてはちゃんと音楽になっているとてもモダンな曲で、迫力ある演奏でした。
聴衆にはかなりのポーランド人がいた模様。終演後近くのパブへ行ったらやはり彼等も何人か来ていました。暫しポーランドについての話題で彼等と盛り上がりました。
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by dognorah | 2007-10-24 23:01 | コンサート

UK初演ヴァイオリンソロ曲と映画「アンドレイ・リュブレフ」

2007年10月21日、バービカンシネマ2にて。

ソ連時代に共産党政権から弾圧を受けながら名作を作ったとされるAndrei Tarkovsky監督の映画「Andrei Rublev」を見ました。普通だったら見ない映画ですが、急遽映画上演の直前に日本人作曲家がこの映画からインスピレーションを得て作曲したヴァイオリンソロ曲「Rublev’s Door」が演奏されることになったことから行くことにしたのです。しかもそういうイヴェントを企画し推進した人がmixiで親しくさせていただいている山崎スピカさんであり、ヴァイオリニストをその方に紹介したのが私なので。

かいつまんで経緯を述べますと、
・作曲家は日本で活躍されている糀場富美子(こうじば・とみこ)氏。
・山崎さんがちょっと前に友人からその曲「リュブレフの扉」の譜面をプレゼントされた。
・アマチュアながら子供の頃からチェロを弾いていらっしゃる山崎さんはその曲の雰囲気に惹かれた。
・山崎さんはロンドンのどこかでこれを演奏してもらう機会はないかと考えていたところ、糀場さんがインスピレーションを受けた映画が10月21日にバービカンシネマで上映されることを発見。
・山崎さんがバービカン側と連絡を取って映画関連イヴェントとして「リュブレフの扉」を演奏する場を設けたらどうだろうと提案したところ好意的な興味を示してくれた。
・先般日本に一時帰国した折に山崎さんが糀場さんに電話連絡を取ったところ彼女も、是非UK初演を実現させて欲しい、との強いサポートを得た。
・山崎さんから誰か演奏してくれるヴァイオリニストを紹介して欲しいとの依頼が私に来た。
・以前友人宅のパーティで会って以来時々メールをやりとりしていた植田梨沙さんというRAMの学生さんをご紹介。
・時間的余裕が10日もないのに植田さんはRAMの教授とも相談の上演奏を引き受けて下さった。

ということで21日の午後2時45分より滞りなくBarbican Cinema 2の舞台でこの曲のUK初演が植田梨沙さんによってなされたのでした。映画そのものは1967年のソ連時代に作られた白黒の地味なものなので観客は100人程度と少なかったけれど、約7分の演奏後は暖かい拍手がありました。植田さんの演奏は集中力が感じられる立派なもので響きも美しかったと思います。曲は当然現代的な響きながら不協和音が多用されることもなく、思索の内面を表現するような物静かな印象です。所々共感を覚えるようなパッセージもあるのですがその後見た映画との関連性については時間的経過(映画は3時間!)もあってよく分からなかったというのが正直なところです。

映画は15世紀のロシアの実在人物アンドレイ・リュブレフのイコン画家としての活動を絡ませながら当時のロシアの暴力に満ち満ちた世相を表現したものという印象です。白黒の映像が美しい場面がいろいろあり雨のシーン(川とか馬も)が多いのも特徴と言えましょう。体制側の暴力で民衆が苦しむというメッセージが読み取れないこともなく、それが共産政権をして弾圧させたのかも。ただ、この映画をもう一度見ようという気にはなりませんが。
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画像は入場前に配られたパンフレットの表と裏のスキャンです。UK初演のヴァイオリンソロ曲が映画の前に演奏されること、作曲家のこと、演奏者のことなどが紹介されていますが、このままでは読みにくいのでそれぞれの文章だけ活字で紹介いたしましょう。

(表の左下)
+ UK premiere! Rublev's Door
Composed for solo violin by Tomiko Kohjiba, and performed live by Lisa Ueda
Japan 2006 7 mins

(裏の左下)
UK Premiere!
Rublev's Door
Japan 2006 Composer Tomiko Kohjiba 7-8 min
The Barbican is thrilled to present the UK premier of Rublev's Door, created for solo violin by leading Japanese composer Tomiko Kohjiba. Produced for the 20th anniversary of the death of director Andrei Tarkovsky (1932-86), the piece was influenced by his 1967 film Andrei Rublev and designed to expresses the depth of universal existence through the solo violin.
The world premiere was performed by Nobuko Kaiwa at the Exhibition of Contemporary Music 2006 at Tokyo Opera City Recital Hall.
Rublev's Door is now available through Zen-on Music, Japan.

(裏の右上)
Lisa Ueda
Solo violin
Lisa started playing the violin at the age of four, studying with Miyuki Emura and Hisako Tsuji and has subsequently performed all over the world, including Japan, London, Boston Tanglewood, Toronto, Shanghai, Munich, Geneva, and Vienna.
Awarded an ABRSM International Scholarship in 2005, Lisa is currently at the Royal Academy of Music with Richard Deakin and has recently been received an "Upcoming young artist" nomination
Lisa eagerly accepted the opportunity to perform this piece at the Barbican and hopes that through the composer, Tomiko Kohjiba, she can communicate the mood and atmosphere of the forthcoming film.
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by dognorah | 2007-10-23 01:24 | コンサート

ドニゼッティのオペラ「リタ」公演

2007年10月20日、ROHのLinbury Studio Theatre にて。

Rita
ou Le Mari battu
Opera comica in un atto

Music: Gaetano Donizetti
Libretto: Gustavo Vaéz

Conductor Andrew Griffiths
Director Thomas Guthrie
Design:r Kevin Knight
SOUTH BANK SINFONIA

Rita: Anita Watson (soprano)
Beppe: Haoyin Xue (tenor)
Gaspara: Krzysztof Szumanski (bass-baritone)

上演時間約50分の短い1幕物オペラですが3人の登場人物にはそれぞれアリアがいくつか割り当てられていてとても楽しい喜劇です。今日は監督、指揮、歌手はすべてROHの若手育成プログラムYoung Artists Programme (YAP)に属しているメンバーで、彼等がプロデュースした舞台です。舞台や動きもよくできていました。

あらすじ
カナダ行きの船が難破して乗っていた亭主ガスパラが死んだと思ったリタはベッペという男と再婚して別の土地でカフェを経営している。前は亭主関白で不幸だったリタは今は気の弱い亭主を奴隷のように扱って気ままな生活。ところが実はガスパラは生きていて、妻が火事で死んだと信じて別の女と再婚するためにリタの死亡証明書を取りに来る。一休みするためにカフェに立ち寄ったガスパラはリタとばったり会い、ベッペを含めた3人は仰天する。男二人は互いに相手にリタを譲ろうとするが決まらず、くじ引きで決着することになった。結果はガスパラが元の鞘に収まることになり、ベッペはせいせいした顔で出て行こうとする。内心は別の女と結婚したいガスパラはリタを騙してたった一通残っている結婚証明書を巻きあげ、それを破り捨ててカナダへ向かう。リタはベッペを説得してこのまま結婚生活を続けることを承知させ、ハッピーエンド。

3人の歌手はYAPに参加して2年目の人たちですが演技も含めてかなり上手い。特に感心したのがバスバリトンのスマンスキです。この人はこんなに上手かったっけというぐらい上達したのか、滑らかな発声と歌唱で本舞台でも通用する歌手になっていました。ソプラノのワトソンは以前の記憶がありませんが華やかな声がよく出ていてまずまずの出来。テノールのXue(ズエと発音するのでしょうか)は以前と比べてあまり上達していない印象です。今年入った韓国人のJi-Min Parkがすばらしいので恐らく彼に追い越されるでしょう。
終演後ROH音楽監督のパッパーノが臨席していたことを発見。歌手のスマンスキなどしてやったりというところでしょう。

写真は左からKrzysztof Szumanski、Anita Watson、Haoyin Xueです。
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by dognorah | 2007-10-22 08:01 | オペラ

ドヴォルザーク特集

2007年10月18日、St George’s Church, Hanover Squareにて。

Dvorak: Cello Concerto, Op.104
Dvorak: Symphony No.8, Op.33

Cello: Aleksei Kiseliov
Conductor: Andrew Gourlay
Hanover Square Chamber Orchestra

チェリストはベラルーシ生まれの22歳の新鋭。RCMでマスターコース在学中。
指揮者はジャマイカ生まれのイギリス人でRCMを卒業後指揮活動をしている。まだ20代と思われる。
オーケストラも若いメンバーばかりで元気いっぱいの演奏で小さな教会が飽和しそうなくらい。木管達の弱音部がもう少し小さい音で鳴らせればいいのだが。オケはこの6月にも聴いたけれど今日の方がいい出来のように思う。
曲は両方とも金管が外しそうになったりアンサンブルの乱れなどもちょっとあったもののこれらのポピュラーな名曲を十分楽しめるレヴェルだった。聴いていて思ったけれど少々下手でも生の演奏というのは例え世界的名オーケストラの録音といえども及ばないエネルギーがある。独奏者も上手かったけれど、指揮者もツボを押さえた立派な指揮だった。

コンサート終了後は仲間と教会裏のパブへ。オケのメンバーも楽器を抱えたまま沢山飲みに来ていた。
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by dognorah | 2007-10-19 23:38 | コンサート

ハーディング指揮LSOのヤナーチェク

2007年10月14日、バービカンにて。

プログラム
Janáček: Sinfonietta
Janáček: Jenůfa Act II (concert performance)

出演
Angela Denoke: Jenůfa
Elizabeth Connell: The Kostelnička
Christopher Ventris: Števa
David Kuebler: Laca
Daniel Harding: conductor
London Symphony Orchestra

1曲目のシンフォニエッタは今年3月にラトル指揮のベルリンフィルで聴いたのが名演と思いましたが、今回のハーディング指揮LSOはラトルの洗練さには及ばないものの野性味溢れる力強さが前面に出た好演でした。金管は当然エクストラを多数雇ったのでしょうけれどいいアンサンブルでよく鳴っていました。

イェヌーファというオペラはまだ見たことも聴いたこともなく、コンサート形式の第2幕だけとはいえこれが初体験です。凄い音楽ですね。ハーディング指揮のLSOはダイナミックな音による劇的な部分と繊細な部分が表現力豊かに調和して申し分ない出来だったのではないでしょうか。

歌手では二人のソプラノが好調でした。デノーケはいつ聴いても安定している人という印象を持っていますが今夜も例外でなく、逆境にありながらも生まれた赤ん坊を愛する思いがひしひしと伝わる名唱でした。気高ささえ感じられます。対するコネルは名誉を守ろうとして時にはヒステリックになる母親を強烈な声で表現。私は初めて聴く人ですが1946年南アフリカ生まれのソプラノ・ドラマティコ、61歳なのにまだまだ高音まで大きな声量で貫禄十分、体型的にも適役でした。
ソプラノに比べると二人のテノールはやや弱く、特にケブラーはちょっと冴えない声でした。
このオペラ、早く舞台も見てみたい。
写真は左からDavid Kuebler、Christopher Ventris、Elizabeth Connell、Angela Denoke、Daniel Hardingです。
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今日は地味なプログラムのせいか客の入りが悪く、事前にメールで1階席にアップグレードしてあげるというオファーが来ました。当日自分の買ったサークル席に入場しようとしたときもそういわれましたが断ってサークル席へ。そこより上のバルコニー席は全員オファーを受け入れたのでしょう誰も座っていません。サークル席も多くの人がオファーを受け入れたようで私も含めて拒否した人が十数人だけ。数日前のドヴォルザーク特集では同じハーディング指揮で満員だったとのこと。ヤナーチェクはまだまだ人気がないようです。
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by dognorah | 2007-10-15 21:14 | コンサート

ロイヤルバレー「La Bayadère」公演

2007年10月13日、ROHにて。

La Bayadère (The Temple Dancer)
Ballet in three acts

Music: Ludwig Minkus orchestrated by John Lanchbery
Choreography: Natalia Makarova after Marius Petipa
Production conceived and directed by Natalia Makarova
Set designs: Pier Luigi Samaritani
Costume designs: Yolanda Sonnabend
Conductor: Valeriy Ovsyanikov
The Orchestra of the Royal Opera House

Nikiya: Alina Cojocaru
Solor: Zachary Faruque
Gamzatti: Laura Morera
The High Brahmin: Alastair Marriott
Rajah: David Drew
Magdaveya: Steven McRae
Aya: Genesia Rosato
Solar’s friend: Bennet Gartside
The Bronze Idol: Yohei Sasaki

前期に怪我をして暫く休んでいたアリーナ・コジョカルが久し振りに元気な姿を見せてくれました。しかし今度はパートナーのヨハン・コボルグが怪我をしてしまったようで今日は休場。

バヤデールというバレーは初めて見ましたがなかなか盛りだくさんな内容でバレー団のダンスを堪能できました。主役のニキヤはジゼルと同様死んでからも亡霊となってたっぷり踊ってくれるのもいい。

第1幕第3場でニキヤの恋人ソロルがガムザッティと結婚することになったことを祝う宴で踊りを強要される場面でのコジョカルの憂愁を帯びた動作と表情にはぐっと来ました。真っ赤なドレスもよく似合って彼女のダンスを際立たせます。恋人から花束を贈られたと誤解して喜びに切り替える表現の可愛いこと。

コボルグの代役を務めたザチャリー・ファルクはPrincipalの代役としては随分格下のFirst Artistですがソロ部分でのダンスは力強くジャンプも十分高いのでなかなか見栄えがしました。しかしニキヤやガムザッティと組んだときはややもたもたする場面もあってまだまだという感じです。

佐々木洋平のThe Bronze Idolは決めるところをびしっと決めてしっかりしたダンスでした。第2幕のコールドダンスは振りも美しいしよく揃っていて美しい音楽をバックに見栄えがしました。ただ、第2幕と第3幕は前面に紗幕を下ろしっぱなしなのはあまりいただけない演出です。
写真はAlina CojocaruとバックはAlastair Marriott。
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by dognorah | 2007-10-14 21:32 | バレー

David Greilsammerピアノリサイタル

2007年10月12日、ウイグモアホールにて。

プログラム
・Jean-Philippe Rameau(1683-1764): Gavotte et six doubles part I : variations 1-3 (1728)
・Györgi Ligeti(1923-2006): Musica Ricercata, 7th movement (1953)
・Jean-Philippe Rameau(1683-1764): Gavotte et six doubles part II: variations 4-6 (1728)

・W.A Mozart(1756-1791): Rondo in A minor, K.511 (1787)

・J.S Bach(1685-1750): Chromatic Fantasy and Fugue part I Fantasy (1730)
・John Adams(b. 1947): China Gates (1977)
・J.S Bach(1685-1750): Chromatic Fantasy and Fugue part II Fugue (1730)

・Robert Schumann(1810-1856): Davidsbündlertänze, Op. 6: Part I, Part II (1837)

c0057725_22554352.jpgダヴィッド・グレイルサマー(左の写真は彼のホームページより拝借)はイスラエルのピアニストで1977年生まれです。全く知らない演奏家なので普通だったら行かないコンサートですが、売れない切符をディスカウントするというオファーがあったので軽い気持ちで行きました。ところが聴いてびっくり、すばらしい演奏に陶然となりました。使用したピアノはスタインウエーですが音の美しさはピアノからフォルテまで特筆に値するものです。最初のラモーが始まってすぐに静かな佇まいの中に独特の雰囲気を湛える音のつむぎ方に心を打たれました。溜息が出ます。

そしてこのプログラミングの妙!ラモーの第1部と第2部の間にリゲティを、バッハの間にアダムスを間奏曲のように挿入しているのです。プログラムに書いてある演奏家の解説によると挿入したのはMinimalism音楽であり、それがバロックと織りなして音楽世界が大きく拡がるのだと。
演奏開始前に主催者から、前半のラモーからバッハまで休みなしに演奏するというアナウンスがありました。各曲をよく知らないといつ次の曲に移ったのかよく分かりませんが、彼は帯のように長い楽譜を用意して、そのパートの演奏が終わると一枚ずつ床に捨てていくので何とか切れ目は分かります。その意図は新旧の音楽が邂逅して生まれる上記の効果をモーツァルトも動員して提示したかったのでしょう。

今夜の彼の意図は後半のシューマンの選曲でも表現されており、ダヴィッド同盟曲集ではフローレスタンとオイセビウスという動と静を表す二人を念頭に書かれた曲であるからしてその両者のせめぎ合いで独特の音楽が醸し出されていくのだということらしいです。私がその意図を理解したかどうかはともかく、流れてくる音楽はここでもすばらしく、豊麗な音、芯のある力強いフォルテ、得もいわれぬ美しいピアノ、説得力ある旋律の流れなどで40分間釘付けです。終了後はStanding Ovationの大拍手でした。
アンコールはサンサーンスのソナタの第2楽章とリゲティの何か。

今日来た人は本当にラッキーでした。もしこのピアニストのコンサートが身近であるなら何は置いても聴きに行くことをお勧めします。
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by dognorah | 2007-10-13 23:04 | コンサート