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ニーベルンクの指輪・ジークフリート

2007年9月28日、ROHにて。
Second day of Der Ring des Nibelungen, in three acts
Music and libretto: Richard Wagner

Mime: Gerhard Siegel
Siegfried: John Treleavan
Wanderer (Wotan): John Tomlinson
Alberich: Peter Sidhom
Fafner: Phillip Ens
Woodbird: Ailish Tynan
Erda: Jane Henschel
Brünnhilde: Lisa Gasteen

前回の公演は2005年10月でした。
今回も歌手はすべてしっかりした歌唱でした。ただ、カーテンコールではリサ・ガスティーンに対して一部ブーも出ていましたが私には不満の原因がよく分かりません。
ジョン・トレリーヴァンはちょっとお太りになったようです。2年前でもジークフリートではよい出来でしたが、今回もとてもいい歌唱でした。それに加えて演技力が前より向上しているのがいいです。その調子で「神々の黄昏」でも頑張って欲しい。前回はさんざんでしたからね。
森の鳥役のアイリシュ・タイナンは美声のソプラノでなかなかよかった。前回のSarah Foxよりも上手い。

今回は2年ぶりにしても見るのが2回目ということもあり余裕を持って舞台を見ることが出来ましたが、最後にジークフリートがブリュンヒルデを覚醒させるというクライマックスがあるものの「指輪」の4夜の中では一番地味な楽劇だと思いました。主に筋の進行を説明するためにあるようなもので冗長さが感じられます。今回も演出は細かいところで変えていますが基本的にStory Tellerに徹した姿勢は変わっていません。

第1幕でWandererがミーメの住居に出現するところでは墜落した飛行機のコックピットにいつの間にか座っている設定になっているのですが、機械装置が上手く動作せずWandererの声はしても姿が現れない事故があり、ヘッドホンをつけた舞台マネージメントの女性がいきなり出てきて劇の進行を止めました。コックピットを覗き込んだり舞台下と連絡したりしていましたが解決せず、約5分であきらめてWandererの声がし始めるところから再スタート。結局Wandererは舞台袖から出現しました。ちょっと興をそがれましたがリハーサルも兼ねている公演なのでやむを得ません。
写真は左からJane Henschel、John Tomlinson、John Treleavan、Lisa Gasteenです。
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by dognorah | 2007-09-30 09:54 | オペラ

キーシン+ロンドン響演奏会

2007年9月27日、バービカンにて。

Evgeny Kissin: piano
Colin Davis: conductor
London Symphony Orchestra

プログラム
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番
ベートーヴェン:交響曲第3番

指揮者コリン・デイヴィスは今年80歳だそうですが、とても元気で両曲とも立派な演奏を披露してくれました。LSOは久し振りに聴きましたが音色といいアンサンブルといい今日は絶好調。
ピアノ協奏曲はキーシンも期待に違わぬヴィルトゥオーゾの演奏でしたが、私は今日は特に右手の弱音の美しさに感心しました。協奏曲なのでアンコールは1曲だけのはず、何かしっかりした曲をと期待しましたがこれははずれ。ベートーヴェンの何か小曲を弾いておしまいでした。
英雄交響曲は実演で聴くのは久し振りですが、実に堂々としたちょっと非の打ち所のない立派な演奏でした。私の全く個人的な好みに基づいて欲を言えば第1楽章でもう少しカンタービレを利かしたリリシズムがあればと言うところです。

写真はColin DavisとEvgeny Kissinです。
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今日はこのコンサートのスポンサーである東芝さんのご厚意で招待いただき感謝です。もう20年もLSOをサポートしてきているとのことでしたが好不況に関わりなく芸術をサポートする姿勢に頭が下がります。演奏会後のパーティにはキーシンが両親やピアノの先生と共に出席し大勢のファンを喜ばせていました。
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by dognorah | 2007-09-30 07:27 | コンサート

ニーベルンクの指輪・ヴァルキューレ

2007年9月26日、ROHにて。

Die Walküre
First day of Der Ring des Nibelungen, in three acts
Music and libretto: Richard Wagner

Siegmund: Simon O'Neill
Sieglinde: Eva-Maria Westbroek
Hunding: Stephen Milling
Wotan: John Tomlinson
Brünnhilde: Lisa Gasteen
Fricka: Rosalind Plowright

(Valkyries)
Gerhilde: Geraldine McGreevy
Ortlinde: Elaine McKril1
Waltraute: Claire Powell
Schwertleite: Rebecca de Pont Davies
Helmwige: Iréne Theorin
Siegrune: Sarah Castle
Grimgerde: Clare Shearer
Rossweisse: Elizabeth Sikora

いやー、すばらしい公演でした。演出が手直しされ、トップクラスの歌手が6人揃うとこんなにも大きな感動を与えてくれるんだと実感しました。ロンドンはこの秋初めて夜の気温が一桁になり、今まで暑くもなく寒くもない快適な気候だったのがバスを待っている間は風に当たるとさすがの私も少し寒いぞと感じましたが、心の中はぽかぽかと暖まり、ベッドに入ってからも興奮してなかなか寝付くことができませんでした。それぐらい凄かったヴァルキューレなのです。

今回の主要歌手のうちで初めて聴く人はサイモン・オニールだけですが、いいテノールを出演させてくれました。柔らかい高音の艶と伸びが魅力的で歌も演技も上手く、ぞっこん惚れました。1971年ニュージーランド生まれでまだ36歳、アメリカで主に活躍しているようです。このジークムントの相手役はエファ=マリア・ウェストブルックですが、これまたすばらしい歌唱で、同じ1971年生まれですから双子の兄弟としても理想的な配役です。彼女があちこちでいろんな役を歌っている公演報告を聞いても皆さん絶賛していますね。私は「ムツェンスク郡のマクベス夫人」ですばらしいカーチャ役を聴いただけですが、安定して美しい声が出せるソプラノで、この人が出るなら間違いないという感じです。彼女も歌だけでなく演技が上手い。これに加えて2年半前のフンディング役に更に磨きをかけたスティーヴン・ミリングが絡み合って類い希な第1幕となりました。もう、舞台に釘付けです。そして驚きなのが管弦楽。あのオケがヴァーグナーを濃厚で芳醇な音と極めてレヴェルの高い演奏で圧倒してくれました。パッパーノも2回目で一皮むけたか。

第2幕は冒頭のブリュンヒルデが登場する部分をちょっと演出変えていました。ブリュンヒルデ役のリサ・ガスティーンを最後に見たのは昨年4月の「神々の黄昏」ですが、それまで見る度に太っていった彼女、今回はちょっと痩せた印象です。少なくとも太るのはストップしましたね。舞台の一部を横切っているトネリコの根っこをひょいと飛び越えたりして身軽さをアピールしていました。そのせいか声も金属的な響きが少なくなっていい方向です。今日は声も滑らかで好調だったと思います。
フリッカ役のロザリンド・プロウライトは、前回と同様亭主に小言ばかり言ううるさい奥さんを好演。彼女の声質がヒステリックなフリッカにはぴったしです。それを受けるヴォータン役のジョン・トムリンソンも辟易しながらも一理あることを言われて彼女の意見に従わざるを得ない状況に陥る苦悩の様を好演。更にその後ブリュンヒルデと二人きりになって苦しい胸の内を吐露する場面ではすばらしい歌唱と演技力で舞台の緊張感を高め、存在感十分。この辺は演出もきめが細かくなったのかもしれませんが、引き続き凄い音を出す管弦楽との調和も含めて完成度の高い舞台となっています。この場面のリサ・ガスティーンの歌唱も賞賛以外の何者でもない出来です。

第3幕では嫌いな回転する衝立と馬の骨が前回と変わりなく出てきて改善が見られないのは残念だし、ヴァルキューレ達の騎行の音楽では例によって歌手達のヴォリュームが大きすぎて興醒めでしたが、後半のヴォータンとブリュンヒルデが二人きりになる場面ではまたしても二人の歌唱と演技で見応え聴きごたえのある舞台となりました。第2幕と第3幕を見る限りブリン・ターフェルが降りてジョン・トムリンソンになって我々観客にとってかなりよかったかもしれないと思いました。それにしても9月のはじめに急に代役が振られてよくここまで説得力のある演技ができるものだと感心しました。さすがに過去にヴォータンを歌ったことがあるヴェテランですね。今日はラインの黄金と違ってプロンプターボックスが置いてありましたが長丁場なのでやむを得ないことでしょう。

前回どうだったか記憶がないのですが、ヴォータンとブリュンヒルデが父娘なのに長いディープキスを交わすシーンがあり、前回見た「神々の黄昏」でもハーゲンとグートルーネの関係の描写を見てもわかりますが、演出家キース・ウォーナーはこの楽劇の中にincestのテーマが普遍的にあると確信しているのでしょう。そういえばフリッカがジークムントとジークリンデの近親相姦を道義的に問題だとヴォータンを責める場面で、ヴォータンが「お互いに愛し合っているんだから自然なことじゃないか」とかわす場面がありますが、フリッカはジークムント達のことと同時にヴォータンとブリュンヒルデのことも責めての言葉だったのかもと思い当たります。

写真は左からAntonio Pappano、Lisa Gasteen、Simon O’Neillです。
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by dognorah | 2007-09-27 21:41 | オペラ

フィルハーモニア管弦楽団今期開幕コンサート

2007年9月25日、RFHにて。

2年間改装の末今夏に再オープンしたロイヤル・フェスティヴァル・ホールをホームとするフィルハーモニア管弦楽団がホームへの復帰を祝してベートーヴェンの第9で開幕しました。

Christoph von Dohnányi: conductor
Christiane Oelze: soprano
Lilli Paasikivi: mezzo-soprano
Roberto Sacca: tenor
Egils Silins: bass
Philharmonia Chorus
Philharmonia Voices
Philharmonia Orchestra

プログラム
Hans Werner Henze: Adagio, Fuge and Mänadentanz
Ludvig van Beethoven: Symphony No.9

席は安いサイド席にしましたが、音響的には以前とほとんど変わらず。このホールは音が良くなったという話を聞いていましたが正面のちゃんとした席で聴くと違いが分かるかもしれません。久し振りに聴くフィルハーモニア管はまあいつもの音で、ロンドン交響楽団よりちょっと下の世界的には二流どころの音質です。ここの弦はオーディオ的な表現をすればちょっとくすみのある抜けきらない音で、それが特徴なのでしょうがいまいち好きになれません。木管はなかなかいいです。

ドホナーニの指揮ですが、何年か前に彼が委嘱して作曲してもらったというヘンツェの作品は完璧にコントロールされていた印象です。あまり好きな曲ではないですがオケはよく鳴っていて音響的には楽しめました。

次のベートーヴェンはややテンポの速い演奏で、第1から第3楽章まではスケールが小さいものの水準的な出来でしたが、第4楽章は不満が残りました。まず合唱が先月バヴァリアの高水準なものを聴いた後だというせいもあるかもしれませんが、ちょっと荒いアンサンブルという印象です。特に男声部。独唱はバスはよく声が出ていたものの最初の肝心なところでちょっと音を外した気がします。ソプラノはよかったもののテノールが全然駄目。メゾソプラノもあまり声が出ていない。オケが頑張っていたのに肝心の歌がこれではね。ということで凡演というべき演奏でした。
写真は全員分があまり上手く撮れなかったので美人のドイツ人ソプラノChristiane Oelzeがちゃんと写っている一枚を。
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by dognorah | 2007-09-26 22:45 | コンサート

ニーベルンクの指輪・ラインの黄金

2007年9月24日、ROHにて。

2004年から2006年にかけて新演出のニーベルンクの指輪が1夜ずつ数ヶ月の間を置いて公演されました。今年はそれを1週間以内に4夜分を公演するのですが、公式の公演は3サイクルしかありません。昨年秋に申し込んだら希望者多数で敢えなく抽選に外れてあきらめていました。ところが今年に入ってROHが救済策を発表し、非公開のドレス・リハーサルを格上げしてPreview Cycleと名付け、切符を一般販売すると言ってきたので飛びつきました。しかも価格はちゃんとした公演の半額ということです。これはスタッフが通常のリハーサルのように2階正面席に陣取ってノイズを出すかもしれないからです。
まあとにかく今日から始まったわけですが、格上げしたせいで通常のリハーサルでは普段着のオケも今日は盛装です。2階正面には大きな体の演出家キース・ウォーナーがでんと座っていました。
このサイクルは実は今月に入ってからヴォータンを歌う予定だったブリン・ターフェルが突然降りてしまい皆を驚かせる出来事がありましたがジョン・トムリンソンが代わりに引き受け、トムリンソンが歌うことになっていたハーゲンをクルト・ライドル他の代役が勤めることで何とか収まりました。

Das Rheingold
Preliminary evening of Das Ring der Nibelungen
Music drama in four scenes

Music and libretto: Richard Wagner
Conductor: Antonio Pappano
Director: Keith Warner
Set Designs: Stefanos Lazaridis
Costume Designs: Marie-Jeanne Lecca
Lighting: Wolfgang Göbbel
Movement Director: Claire Glaskin
Associate Set Designer: Matthew Deely
Video: Mic Pool and Dick Straker
The Orchestra of the Royal Opera House

Woglinde: Sarah Fox
Wellgunde: Heather Shipp
Flosshilde: Sarah Castle
Alberich: Peter Sidhom
Wotan: John Tomlinson
Fricka: Rosalind Plowright
Freia: Emily Magee
Fasolt: Franz-Josef Selig
Fafner: Phillip Ens
Froh: Will Hartmann
Donner: Peter Coleman-Wright
Loge: Philip Langridge
Mime: Gerhard Siegel
Erda: Jane Henschel

歌手もオケも大略良かったので、ドラマを楽しむことができました。歌手はアルベリッヒ、ヴォータン、フロッシルデとドンナーを除いて以前と全く同じ顔ぶれです。ラインの乙女達は前の方が声が良く出ていたし、フリッカも前の方が美しい声でした。男声陣は概して前より良くなっています。特にシドホムとゼーリッヒが安定した歌唱で印象的でした。

演出は基本的に前と同じですが、細部は随分いじっています。まず最初にラインの乙女達が登場するところでは、以前は舞台の上の方に上半身ヌードで出現していたのが、今回は最初から舞台中央に居てしかも全裸です。
アルベリッヒがローゲやヴォータンにけしかけられて変身するシーンでは最初は大きな怪獣になりますがそれがどんどん大きくなって最後は舞台両袖から巨大な手が出てきてローゲとヴォータンを鷲掴みにするシーンが付け加えられています。エルダの登場も舞台袖ではなくフライアが金塊に埋められていく穴から出現します。その他細々したところがかなり合理的になったような気がします。照明も随分変えたなという感じです。総合して今回の方が全体にきめ細かくなって舞台としては改善されたと思います。これから上演される3夜もいろいろ変えたに違い無く、楽しみです。
写真は、左からFranz-Josef Selig、Peter Coleman-Wright、Jane Henschel、Rosalind Plowright、Peter Sidhom、John Tomlinson、顔が半分隠れているのはPhilip Langridgeです。
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by dognorah | 2007-09-25 09:56 | オペラ

ハープ中心の室内楽コンサート

2007年9月20日、在ロンドンルーマニア文化会館にて。

Belgrave Squareにあるこの建物は以前記事にしたことのあるイタリア文化会館のすぐ近くにある。建物の造りはほとんど同じで、2階のホールがL字型になっているのも同じである。そして同様のイヴェントを催しているのも同じ。聴衆は100人未満分しか席が無く、本当の室内楽である。
今日はルーマニアの音楽家による演奏会ということであるが、行ってみるとルーマニア人はハーピストPaula Popaだけで後は彼女の出身音楽大学であるRCMの仲間達であった。若い音楽家達の技量はすばらしく、まったりとしながらも刺激的な音楽と演奏を楽しませてもらった。

Concertino Pastorale with Paula Popa and Naiades Ensemble

Programme:

Leon Rohozinski - Suite Breve for Flute, Viola and Harp
Sergiu Natra - Commentaires Sentimentaux for Flute, Viola and Harp
David Watkins - Concertino Pastorale for Harp, Flute, Clarinet and String Quartet

Felicia Donceanu - Parlando Rubato-The Legend of a flight for harp solo
Claude Debussy - Sonate for Flute, Viola and Harp
Maurice Ravel - Introduction and Allegro for Harp, Flute, Clarinet and String Quartet

楽器の構成がハープ中心という変わったものなのですべて初めて聴く曲達であったけれど、あまり聞いたことのない作曲家達の作品はそれぞれ面白かった。
ハープという楽器は大編成のオーケストラの中にいるとなかなかその音だけを聞き出すのは難しいけれど、こうして近くで聞いてみると結構音量があるのにびっくりする。最初の2曲とドビュッシーのものはフルート、ヴィオラ、ハープのアンサンブルであるが、この3つの楽器の音の融け合い方が美しく、バランスの取れた響きであることを認識できた。いろいろな作曲家が作品を残しているということはそれを念頭に置いてのことなのだろう。
3曲目のワトキンスは現役の英国作曲家で今日は来ていて開始前に自作の解説をした。曲は親しみやすいメロディが美しく奏でられるかと思うと雑音のように他の楽器が邪魔したり、フルートやクラリネットの柔らかい音色が心地よく響いたりと結構才気煥発な印象を受ける。
今日の主役ポーラ・ポーパの独奏で後半が始まったが、聴きごたえのある曲であり演奏だった。考えてみれば多分これが初めて聴くソロハープだろう。
ドビュッシーの作品は楽器のアンサンブルとしてはこれまでに演奏された曲より一枚上で非常に洗練されている。
最後のラヴェルはさすがというかちょっと作曲家として格が違うという印象を受けた。まず深い精神性を感じる。各楽器はかなり饒舌で自由奔放な印象も受けるけど音楽に気品がある。10分そこそこの短い曲ながらこの日演奏された中では一番の高みにある感じがした。

インターヴァルではワインが振る舞われ初対面の聴衆同士で話が弾み予定より大幅に後半の開始が遅れたくらい。ベラルーシ、ガーナ、中国、英国人達と前半に聴いた曲の感想など話し合ったがみんな観点が違うから面白い。中国人が、こんな立派な建物を維持しているルーマニアってそんなにお金があるのかねぇと納得いかない顔つき。確かに共産政権崩壊後、貧しいと伝えられていたけれどその後頑張ったのかしら。いずれにしてもこれだけのイヴェントを開催してくれるのは我々にとってはすばらしいこと、心から今後の発展を祈りたい。
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by dognorah | 2007-09-21 23:14 | コンサート

Albertina美術館の近代美術新コレクション

2007年5月にオーストリーはもちろん欧州でも有数の美術コレクションとされるRita and Herbert Batliner財団が保有する約500点の美術品がヴィーンのアルベルティーナ美術館に永久貸与されることになったそうです。これによってオーストリーの美術館に欠けていた近代美術作品が非常に充実することになりました。

今回、その中から約250点が「モネからピカソまで」という題で初めて一般公開されることになり、早速見てきました。近代の美樹史で重要な活動をほぼすべて網羅する充実したコレクションで圧倒されました。個々の作品についてはすべてが第1級というわけではありませんが見応え十分な作品も多いです。お勧めです。

ジャコメッティが彫刻だけじゃなく絵画も結構描いていること、点描画というイメージのあるシニャックの水彩画が確かな筆致とバランスの取れた色遣いでとても魅力的な作品であることなどを初めて知りました。
すべての画像が入手できるわけではないのですが、気に入った絵を何点か貼り付けます。

La Seine à Chatou:Vlaminck, Maurice de 1906
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Les Petites Montagnes Mauresques:Cross, Henri Edmond 1909
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Saffron:Rothko, Mark 1957
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Monet bis Picasso
14.9.2007 – 6.4.2008
Albertina, Wien
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by dognorah | 2007-09-20 21:08 | 美術

マスネーのオペラ「ヴェルテル」

2007年9月16日、ヴィーン国立歌劇場にて。
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今回滞在中のヴィーンはロンドンと同じく快晴で、温度は暑くもなく寒くもない理想的な天候でした。自然史博物館の中央ドームの上に聳え立つ像も青空を背景にくっきり。これはアポロでしょうか。
中の絵画は割と最近見たばかりだし上天気なのでこの博物館をパスして久し振りにシェーンブルン宮殿まで行って庭園を散歩しました。Tシャツ一枚で快適。芝生では人慣れした茶色のリスが動き回っています。イギリスでもスコットランドではこのリスを見ることが出来ますが、イングランドでは北米から持ち込まれた灰色のリスに駆逐されて普通には見ることが出来ません。
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ニューイヤーコンサートの映像にも登場したことのある温室もついでに見ましたが取り立てて見るべきものもないようです。それより温室の外に植えてあったこの木に注目しました。赤系と黄色系の花が同時に咲くんですね。Lantanaという名前だそうです。
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さんざん歩いた後、午後の遅い時間に庭園内の動物園に近いレストランで食事して夜のオペラに備えました。

Werther
Lyrisches Drama in vier Akten von Edouard Blau, Paul Milliet und Georges Hartmann nach dem Roman ‘Die Leiden des jungen Werthers’ von Johann Wolfgang von Goethe

Musik: Jules Massenet
Dirigent: Miguel Gomez-Martinez
Inszenierung: Andrei Serban
Bühne: Peter Pabst
Kostüme: Peter Pabst, Petra Reinhardt

Werther: Stefano Secco
Albert: Adrian Eröd
Le Bailli: Janusz Monarcha
Charlotte: Elina Garanča
Sophie: Jane Archibald
Schmidt: Benedikt Kobel
Johann: Dan Paul Dumitrescu
Orchester der Wiener Staatsoper
Chor der Wiener Staatsoper

このプロダクションは2005年がプレミエで、そのときはマルセロ・アルバレスとガランチャの共演で、DVDにもなっています。そのDVDで予習をしてこれに臨んだのでした。
舞台は最初から最後まで中央に幹周り10mぐらいありそうな大木が設置され、木を利用した2階部分と階段があります。第1幕は夏なのでしょう、緑の葉が豊富に付いています。第2幕ではそれが黄葉になり、第3幕第2場ではすべての葉は落ち、雪もうっすら積もってヴェルテルが恋をしてから失恋で自殺するまでの時間の経過が表現されます。時代設定は1950年ぐらいでしょうか、古めかしい白黒TVが出てきます。ドラマの進行はわかりやすく、演劇としては十分こなれたものという印象を受けました。

歌手では事前に、当初予定されていたタイトルロールのGiuseppe Sabbatiniが降りてStefano Seccoが代役となることを知り、ややがっかり。セッコはこの6月にリセウの「マノン」で聴いたばかりだし、サバティーニは昨年12月に「ロメオとジュリエット」で聴いて以来注目していたテノールだったからです。案の定舞台にセッコが出てきて第一声を聴くとリセウの時よりも悪い出来と思いました。しかし第2幕、第3幕と進行していくとだんだん調子を上げていき、彼本来の美声が聴けるようになりました。第3幕ではガランチャともよくバランスして迫力のある歌唱も聴けました。しかしそれでも完璧じゃない出来です。前夜のホセ・ブロスのすばらしい記憶が鮮明なことも影響していますが、時折声が汚れる感じがぬぐえません。この人は昨年5月にパリで見た「シモン・ボッカネグラ」で初めて経験したのですが、伸びのある美声が印象的でした。これで3度目ですがだんだん好感度が落ちてくる感じでちょっと残念です。
そして、ガランチャ演じるシャルロッテ。この人も第1幕は余り調子がよくなく、他の歌手も総じて調子が乗らない様子でどうなるのかと心配しましたが、やはり第2幕から調子が上がり第3幕では絶好調となりました。多分負担のかかる第3幕になるまではちょっと抑え気味に歌っていたのでしょう。その第3幕に設定したクライマックスでは彼女の持てるパワーを全力投入で、特に第1場でヴェルテルに恋い焦がれての葛藤場面では迫真の歌唱。彼女を特徴付けるあの深みと潤いのある声が朗々と響き、演技力も相俟って感動の舞台となりました。あの声を出し続けるのはやはりスタミナを要するんですね。前半をセーヴしないと無理ということでしょう。
アルベールを演じるアドリアン・エレードはなかなか優れた座付きのバリトンで、聴くのはこれで4度目ですが、今回はまあまあという調子で、1月の「コジ・ファン・トゥッテ」ほどの出来じゃありませんでした。
ミゲル・ゴメス=マルティネス指揮の管弦楽はすばらしい出来で、第3幕の盛り上がりに大いに寄与しました。叙情性と劇性のメリハリがはっきりしておりドラマの盛り上げ方は職人技と感じました。DVDでは味わえない実演の迫力が最大限に発揮された印象です。それにしても留守部隊オケ、今日も美しい音色で立派な演奏です。
写真は左から指揮者Miguel Gomez-Martinez、Elina Garanča、Stefano Seccoです。
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あらすじ
アルベールと婚約中のシャルロッテを見初めたヴェルテルは愛を告白するが、亡き母の前で約束した結婚だから止めるわけにはいかないとシャルロッテはそれを拒絶する。
結婚後に再会したとき再びシャルロッテに迫るがまた拒絶。その間のやりとりを垣間見た夫のアルベールは彼女の揺れ動く心に疑念を抱く。絶望したヴェルテルは自殺を決意し、アルベールにピストルを貸してくれと依頼する。彼はヴェルテルの意図を知りながら敢えて貸す。永遠の別離の意志を聞かされたシャルロッテは気になってヴェルテルを捜し回り、ベッドに血だらけで横たわる彼を発見。感情をむき出しにした彼女は息絶え絶えのヴェルテルと激しく抱き合いキスを交わす。妻の後をつけて物陰から様子を見ていたアルベールはショックを受け、ヴェルテルが絶命した後泣きながら取りすがってくるシャルロッテを振り払ってその場を去る。
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by dognorah | 2007-09-19 20:12 | オペラ

ベッリーニのオペラ「清教徒」公演

2007年9月15日、ヴィーン国立歌劇場にて。

I puritani
Opera seria in drei Teilen von Carlo Graf Pepoli

Musik: Vincenzo Bellini
Dirigent: Michael Halász
Inszenierung: John Dew
Buhnenbild: Heinz Balthes
Kostüme: José Manuel Vasquez

Elvira: Edita Gruberova
Arturo Talbo: José Bros
Giorgio Valton: Vitalij Kowaljow
Riccardo Forth: Gabriele Viviani
Bruno Roberton: Marian Talaba
Gualtiero Valton: In-Sung Sim
Enrichetta di Francia: Adrineh Simonian

Orchester der Wiener Staatsoper
Chor der Wiener Staatsoper

このプロダクションは13-4年前にプレミエだったものですが、舞台は極めてシンプルです。第1幕では舞台後方に聖者の大きい石像が10体近く並べられていますが、その首はすべてもぎ取られて舞台両端に転がされています。第2幕以降はほとんど舞台装置はありません。全幕を通して舞台は暗めに設定されています。悲劇にはふさわしい気がしますがそこに至る過程では華やかな場面があってもいいのじゃないかと思います。登場人物の衣装は、スコットランドのキルトで作ったロングスカートのような感じでしたが舞台はイングランドでそれはあり得ないしと思って見ていると、それは侍の袴だと気づきました。そういえばと思って彼等が腰につけている剣を双眼鏡でよく見るとまさに日本刀!リッカルドがアルトゥーロに挑む場面では両者共日本刀を両手で持つあのスタイルで対峙していました。何でこういうスタイルにしたのかはよくわかりませんが、演出家は日本の時代劇からヒントを得たのでしょうか。初めて見る男性歌手ばかりで、清教徒側の騎士はすべて同じようないでたちなので区別しにくく、誰が誰だかもう少しわかるように特徴を持たせてほしいと思いました。

エディタ・グルベローヴァは1946年スロヴァキア生まれだそうですから今年61歳になりますが、まだ驚くべき美声です。時折最高音が苦しそうで、出そうもないと見て取るとさっと音程を下げたり、外すか外さないか綱渡り的な場面もあって100%完璧というわけではありませんが、アリアのまとめ方はさすがに年季ものでどんな場面でもその美声をもっと聴きたいと思わせる魅力があります。ファンもよく承知でしばしば長く続く歓声と拍手でドラマは頻繁に中断されます。カーテンコールも非常に長いものでした。

このエルヴィーラに対する相手役アルトゥーロを歌ったホセ・ブロスがまたすばらしいテノールでベルカント的美声を朗々と発する様に惚れ惚れしました。伸びがあって柔らかく甘い声が響くのです。こういう人がいるからロンドン以外でオペラを見る必要があると言えます。彼は1965年バルセロナ生まれですから今年42歳。あまりハンサムではないけれど、何でもっと有名じゃないのかと思うくらいです。過去の評判では余りよく書かれていないのを見ましたので、ムラがあるのかもしれません。

低音陣も立派で、文句なし。その中でちょっとしか歌う場面がないエルヴィーラのお父さん役の韓国人In-Sung Simがなかなかのバスで、もっと聴きたいと思いました。

管弦楽は、現在中国方面に国立歌劇場がツアーに行っているということで見慣れないコンサートマスターと留守部隊による演奏ですが、いつものいい音を響かせていました。文句なし。

写真は左から指揮者のMichael Halász、Edita Gruberova、José Brosです。
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あらすじ
17世紀半ばのイギリス清教徒革命時代を背景にした物語。クロムウェル率いる清教徒軍がStuart王朝を倒すのであるが王党派に属するアルトゥーロと清教徒軍のヴァルトン卿の娘エルヴィーラは恋仲。一方、清教徒側の騎士リッカルドもエルヴィーラを愛している。ヴァルトン卿の兄弟であるジョルジオは、敵側の人間ではあるけれど娘の希望を叶えてアルトゥーロとの結婚を許すようにヴァルトン卿を説得することに成功する。
アルトゥーロは結婚式当日、ヴァルトン卿が連れ歩いている女性が気になり聞き質すと処刑されたチャールズ1世の未亡人、すなわち彼にとっては女王であることが判明する。王党派の騎士としては放置できず、エルヴィーラのために用意された花嫁用のヴェールを彼女にかぶせて二人で脱出する。
それを知ったエルヴィーラは正気を失い、狂乱の場を演じる。
イギリス議会によって死刑を宣告されているアルトゥーロはエルヴィーラのことが気になって密かに舞い戻る。家の近くで詩を歌うことで彼女を引き寄せ両者は再会する。逃走の理由を説明して許しを請い、エルヴィーラは再び正気に戻る。しかしそこに清教徒軍が来て彼は捕らわれる。リッカルドの執念で死刑を免れない状況の下に伝令が来て、ステュアート王朝崩壊によりすべての政治犯に恩赦を与える旨宣言される。エルヴィーラとアルトゥーロは抱き合い幸せな瞬間を迎えるが、嫉妬に狂ったリッカルドが二人を引き離した上、アルトゥーロを刺殺する。エルヴィーラはアルトゥーロの亡骸に取りすがって悲嘆に暮れ、幕。
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by dognorah | 2007-09-18 23:48 | オペラ

PROMS Last Nightのネトレプコ

9月8日に公演された今年のプロムスの最終公演はネトレプコが初出演するという豪華版でしたが、短い曲を沢山やるコンサートはあまり好みじゃないし、第一あの雰囲気は音楽を楽しむにはちょっとという感じでいつもTVで見ています。ネトレプコは調子が戻ったみたいで(ちょっと太ったのが気になりますが)とてもすばらしい出来でした。録画したのでここにアップしようとしたのですが、exciteではなかなかうまくいかず窮余の策としてYou Tubeにアップしてそれにリンクすることにしました。しかし、exciteはそれを直接ここにリンクすることも許してくれず、仕方がないのでURLを記します。You Tubeにアップするのは初めてだったのですが、もともとの放送が16:9のワイドなのにYou Tubeにアップすると強制的に4:3にされてしまって横が縮んだ見苦しい画面になることに気づき、それを修正するのに四苦八苦してしまいました。しかしようやく解決できましたので、彼女の歌った3曲をここにリンクします。ただし最初の「夢遊病の女」は長すぎてYou Tubeの規定(100MB以内、10分以内)からはみ出してしまうので前半だけにしました。なお、オケはビエロフラーヴェク指揮BBC交響楽団です。

(1)Bellini: La sonnambulaから第2幕のアリア
(2)Lehar: GiuditaからMeine Lippen sie küssen
(3)R. Strauss: Morgen (with violin by Joshua Bell)

最初のBelliniのシーンは長いので前半だけアップしたのですが、リクエストがありましたので後半もアップしました。
(4)Bellini: La sonnambulaから第2幕のシーンPart 2
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by dognorah | 2007-09-13 07:36 | テレビ放送