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オペラ「フィデリオ」公演

2007年5月27日、ROHにて。
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FIDELIO:Opera in two acts
Music: Ludwig van Beethoven
Libretto: Joseph Sonnleithner, Stephan von Breuning and Georg Friedrich Treitschke after Jean-Nicolas Bouilly's French libretto‘Léonore, ou L'Amour conjugal’

Conductor: Antonio Pappano
Director: Jürgen Flimm
Associate Director: Gina Lapinski
Set Designs: Robert Israel
Costume Designs: Florence von Gerkan
Lighting: Duane Schuler
The Royal Opera Chorus
The Orchestra of the Royal Opera House

出演
Jaquino: Robert Murray
Marzelline: Ailish Tynan
Leonore: Karita Mattila
Rocco: Eric Halfvarson
Don Pizarro: Terje Stensvold
First Prisoner: Haoyin Xue
Second Prisoner: Krzysztof Szumanski
Florestan: Endrik Wottrich
Don Fernando: Robert Lloyd

昨年コンサート形式で全曲を聴いて音楽だけで十分かなという感想を書きましたが、今日の舞台を見てそれを再確認しました。

今回の公演は2000年にMETでプレミエだった作品を借りてきての上演です。
演出はピツァロが糾弾される最後まではかなりまっとうな感じがします。舞台装置はよくできていて、刑務所の状態や地下の独房がそれらしい作りだし、コンクリート打ちっ放しという壁の質感もよく出ていました。しかし政府高官が出てきてフローレスタンが救われた後はドン・ピツァロがみんなに虐められ銃床で殴られたり壊された自分の騎乗銅像のかわりに生身で座らされたりする場面も含めて不出来な脚本にあほらしさを上塗りするような演出はかなり稚拙でちょっと情けなくなってきます。アメリカでは受けるのかも知れませんが。

歌手は総じてよく、お馴染みのカリタ・マッティラとエリック・ハーヴァーソンはいつもの安定感があって安心して聴いていられます。ただ、マッティラは後半ちょっと声に翳りが出てきて非常に満足というわけではありませんでしたが。印象深かったのはマルツェリーネを歌ったエイリシュ・タイナンとドン・ピツァロを歌ったテルイェ・ステンスフォルト。タイナンはボリス・ゴドゥノフや魔笛で聴いたことがあり、2年前にはPromsの「ナイチンゲール」に出演したものを放送で見ましたがそのときと同様今回も声、歌ともすばらしい。2年前に比べるとちょっと太ってしまったのが惜しい感じです。ステンスフォルトはROH出演は2度目ながら私は初めて見る歌手ですが、ヴァーグナー歌手らしく朗々たる声で秀逸。フローレスタンを歌ったエントリク・ヴォトリッヒはROHデビューですがくっきりした声のテノールでまずまず。
パッパーノ指揮のROH管弦楽団は前半がよくなく、序曲を聴いて「ああ、こりゃ駄目だ」と思いましたが休憩後は見違えるようによくなりました。序曲も含めて前半ははちまちま演奏で印象が悪くなりましたはもっとスケール大きくやってほしいものです。休憩後のレオノーレ序曲を期待しましたが演奏されませんでした。
各歌手のアリアや重唱、合唱はすばらしく音楽的には大変楽しめましたが、オペラとしての駄作ぶりは救いようが無いということを生舞台でも感じました。
トップの写真は終演直後の合唱団。次の写真は左からHalfvarson、Mattila、演出のFlimmです。さらにその下の写真は左からPappano、Wottrich、Stensvoldです。
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by dognorah | 2007-05-28 08:19 | オペラ

ペレアスとメリザンド

2007年5月21日、ROHにて。

PELLÉAS ET MÉLISANDE: Opera in five acts
Music: Claude Debussy
Libretto after Maurice Maeterlinck's play Pelléas et Mélisande

Conductor: Simon Rattle
Director: Stanislas Nordey
Associate Director: Arnaud Meunier
Set Designs: Emmanuel Clolus
Costume Designs: Raoul Fernandez
Lighting: Philippe Berthomé
The Royal Opera Chorus
The Orchestra of the Royal Opera House

Mélisande: Angelika Kirchschlager
Golaud: Gerald Finley
Geneviève: Catherine Wyn-Rogers
Arkel: Robert Lloyd
Pelléas: Simon Keenlyside
Yniold: Tom Norrington
A shepherd/the doctor: Robert Gleadow

初めて見るオペラですが、前半の1幕から3幕までは演出不在、舞台装置も何じゃこれは?と言う訳のわからないちゃちなもので、音楽がいいだけにこれじゃコンサート形式の方が遙かにましという代物でした。
しかし第4幕の惨劇の場面では演出家はちゃんと仕事をしたらしく、舞台装置とのマッチングもよくて戦慄を覚える秀逸な出来です。血を表すどす黒い色の抽象画をあしらった衝立が何枚も手前から奥の方に並び、奥へ行くに従って幅が広くなって最後のものは舞台幅いっぱいになります。劇の進行と共に一枚ずつその衝立が上部に引き上げられるとその場面の登場人物がそこに立っているという趣向です。最後の舞台幅いっぱいの衝立が現れるとそこに剣を手にしたゴローが立っています。劇的な音楽をバックにした歌手たちのすばらしい歌唱と演技も相俟って極限まで緊張が高められた状態でストンと幕になる。さすがにここだけはブラヴォーも出ましたね。ノルデが非凡な演出家であることはよくわかりました。第5幕はまた平凡なコンサート形式的舞台でしたが照準を第4幕に合わせたということで前後の不出来な幕も許せるかなぁという感想です。

音楽的には大満足です。フィンリー、キーンリーサイド、キルヒシュラーガーをはじめ脇役たちもいい声でした。不思議な性格の女であるメリザンドをキルヒシュラーガーはとてもよく演じています。その声質も容姿もイメージを損なうことはなく的確な配役といえます。キンリーサイドと共に純粋無垢な二人の性格と関係は爽やかさを残す演技でした。猜疑心の強い中年の王子、ゴローを演じるフィンリーも全く文句なし。この辺は演出家の指導もしっかりしているのでしょう。ラトル指揮の管弦楽はすばらしく、ドビュッシーの音楽的本質をしっかり表現していたと思います。非常に楽しめました。
衣装については昨年のザルツブルグ公演以来いろいろ言われていますが、子供の持つ無垢な性格をそのまま持ち続ける大人たちによる幻想的な物語にふさわしいもので特に違和感はありません。
写真は好演したFinley、Kirchschlager、Keenlysideです。
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by dognorah | 2007-05-22 20:50 | オペラ

ヘンデルのオペラ「Amadigi di Gaula」コンサート形式

2007年5月18日、バービカンホールにて。

出演
Amadigi: Lawrence Zazzo (counter-tenor)
Dardano: Patricia Bardon (alto)
Melissa/Orgando: Simone Kermes (soprano)
Oriano: Klara Ek (soprano)

Conductor: Christopher Hogwood
Orchestra: Academy of Ancient Music

話の筋は他愛ないオペラですが、音楽的にはすばらしいもので、今日のように優れた管弦楽と粒揃いの歌手で演奏されると至福の時を味わえます。今日はイギリスの古楽器演奏団体の管弦楽でした。ホグウッド指揮のAAMは精緻で生き生きとした音楽を一分の隙もなく提示し、それに乗って各歌手が個性的で魅力的な歌唱を聴かせてくれました。やや不満があるとすればソプラノのシモーネ・ケルメスの声で、ソプラノの声に低い音域の声も重なったようなちょっと複雑な声で、表現力の幅があって劇的効果を出すには適しているとは思うのですが私は余り好きではありません。オリアノを歌ったもう一人のソプラノ、クララ・エクの声は透明で潤いがあり大好きな声です。カウンターテノールのローレンス・ザッゾの声も美しい。ダイナミックレンジがもう少しあれば迫力も出るだろうにと思いましたが。ダルダーノを歌ったパトリシア・バードンは声、歌唱ともすばらしく文句なし。
写真は左からHogwood、Zazzo、Kermes、Bardon、Ekです。
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by dognorah | 2007-05-19 09:55 | オペラ

再びロイヤルバレーの「白鳥の湖」

2007年5月15日、ROHにて。
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出演
Roberta Marquez: Odette/Odile
Johan Kobborg: Prince Siegfried
Pavel Sorokin: Conductor

ロイヤルバレーの白鳥は2月に見たばかりですが、先日オネーギンを見たとき、コジョカルがすばらしかったので知人と相談して彼女の白鳥を見ようということになりました。ところがコジョカルが練習中に怪我をしてしまい、今日は代役のマルケスです。第2幕の詩情あふれるオデットと第3幕の父親の意図通りに王子の誘惑に成功する悪女としてのオディールはすばらしい表現でしたがやはりコジョカルで見たかった。
パヴェル・ソロキン指揮の管弦楽は美しい演奏でした。
トップの写真は、天国で結ばれたオデットと王子が現れる最終シーン。下の写真はカーテンコールのマルケスとコボーグです。共にクリックするともう少し大きくなります。
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by dognorah | 2007-05-16 21:32 | バレー

ゲルギエフ指揮LSOの「オイディプス王」他

2007年5月13日、バービカンホールにて。

出演
Conductor: Valery Gergiev
Narrator: Simon Callow
Jocaste: Zlata Bulycheva (mezzo-soprano)
Oedipus: Oleg Balashov (tenor)
Creon/Messenger: Evgeny Nikitin (baritone)
Tiresias: Fedor Kuznetsov (bass)
Sheperd: Alexander Timchenko (tenor)
Gentlemen of the London Symphony Chorus
London Symphony Orchestra

プログラム
Prokofiev: Four Portraits and Dénouement from ‘The Gambler’, op.49
Debussy: Symphonic fragments from ‘Le martyre de Saint Sébastien
Stravinsky: Oedipus Rex

今日のプログラムは全て初めて聴く曲ばかりだが、ストラヴィンスキーの「オイディプス王」に興味があって切符を買った。

最初の曲はプロコフィエフが1915年にドストエフスキーの小説に基づいて作曲したオペラThe Gamblerを管弦楽用に編集したもので1931年に出版された。普段知っている彼の音楽と違って非常に色彩的な管弦楽で、豊かで質の高い音に満ち満ちている。これはゲルギエフだからかもしれないが大変楽しめた。

ドビュッシーはゲルギエフが結構好んで演奏する作曲家であるが、彼の演奏スタイルと合っているのかもしれない。パステルカラーのメローな雰囲気や内省的で静かなパッセージなどドビュッシーの特徴がよく表現されている。

「オイディプス王」は作曲家自身によってopera-oratorioと規定されていてソフォクレスの戯曲に基づいて1927年に作曲されたもの。スフィンクスが問いかける謎を解いてスフィンクスをやっつけるあのオイディプスのことである。リブレットはラテン語で、上演するときはその国の言葉によるナレーターの解説が要所要所で入る形式を取っている。

あらすじ
ギリシャが舞台で、自分で出自が不明なオイディプスはコリントで王になることを断ってテーベにやってきて王になり、前の王の妻であるジョカスタと結婚する。テーベに疫病が流行し、神意を確かめたところ前王の殺害者がテーベの町にいるのが原因という。いろいろ調べてみると、オイディプスがかつてどこかで殺害した老人がテーベの王だったこと、そしてその王とジョカスタとの間の子供が自分であることが明らかになる。子供が将来父を殺すという予言を聞いた王が赤ん坊のオイディプスを山に捨てたのだった。知らなかったとはいえ、彼は父を殺し、母親と結婚するという2重の罪の意識に苛まれる。自殺したジョカスタの金のかんざしで自分の両目をつぶし町を出て行くという悲劇。

さすがにゲルギエフが連れてきた歌手だけあって歌はなかなか上手い。オイディプスもジョカスタもいい声だ。合唱隊はいつもの通りすばらしく、管弦楽もしっかりコントロールされている。しかしちょっと退屈な作品という印象であった。
写真は、タイトルロールを歌ったOlega Balashov。
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by dognorah | 2007-05-14 21:24 | コンサート

ベートーヴェンの交響曲第8番+第9番

2007年5月10日、カドガンホールにて。

指揮:Janusz Piotrowicz
ソプラノ:Anna Leese
アルト:Louise Poole
テノール:Shaun Dixon
バス:Krzystof Szumanski
合唱:London Concert Choir
管弦楽:Royal Philharmonic Orchestra

同じ指揮者によるベートーヴェンサイクルの最終日でした。実物を見るのも名前を聞くのも初めての指揮者ですが、50代後半というところでしょうか。ポーランド系のイギリス人だそうです。全部暗譜でほとんど目をつぶって一心不乱に指揮をするというスタイルです。イン・テンポ気味に楽譜に忠実を心がけるという感じがします。第8番はそういう演奏スタイルが合っている曲と思いますが、とてもまっとうな演奏でしっかりまとまっていました。
第9番も高水準の演奏でした。もう少し味付けがほしいかなとは思いましたが。第4楽章では指揮者も起伏をつけて盛り上げていましたしオケもよく反応していたのですが、実演ではもっと激情を発露してもいいのじゃないかと。歌手は、陰ながら応援しているソプラノのアナ・リースが群を抜いて上手い。いつもの通り声はきれいだし声量もある。さすがにオペラ舞台で経験を積んでいるだけのことはあります。初めて見たときから比べるとかなり肉がついてきたのが気になりますが。バスのシュマンスキもROHのYoung Artist Programmeに参加して舞台経験もあるのですがバスにしてはえらく明るい声です。声量はあって最初の発声のところは無難にこなしていましたがもうちょっと低音を響かせてほしい。それにときどきリズム感が悪くなったり音を外したりといまいちでした。アルトは余り目立たず。テノールはほんとにテノールか、というくらいバリトンに近い声。ニュージーランドのヘルデンテノールと紹介されていますが、この人がヴァーグナーを歌うなら遠慮したいです。合唱はまあ水準というところです。7-80名程度でしたが舞台には全員乗れず、ギャラリーの一部を使っていました。従って今日の観客数は700名に満たなかったはずです。私はギャラリーの舞台に近いところに席を取って聴きましたが、各楽器が非常によく聞こえ、合唱が声を張り上げている裏でヴァイオリン群がこんな音を出していたのかとか普段気づかないことがいっぱいあって楽しかったです。第4楽章での低弦群の響きも迫力が感じられました。こういうのはロンドンの他のホールでは経験できないことででカドガンならではです。

写真は、手前右の緑のドレスがアナ・リース、その後ろの金髪男性が指揮者のピョートロウイクス、赤いドレスがプール、左側がディクソン、シュマンスキです。アナ・リースは初めて見たときから比べるとふてぶてしい面構えになっていてびっくりです。
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by dognorah | 2007-05-13 00:10 | コンサート

ハーディング指揮のマーラー交響曲第5番

2007年5月9日、バービカンホールにて。

指揮:Daniel Harding
管弦楽:LSO

プログラム
Wolfgang Rihm: In-Schrift
Gustav Mahler: Symphony No.5

最初の曲はドイツの現代作曲家リームの作品ですが、管弦楽にヴァイオリンとヴィオラが含まれていない特異な楽器編成の作品です。初めて聴きましたが、低弦群と金管、木管が織りなす緊張をはらんだメロディに対して打楽器群が大いに自己主張する印象で、なかなかおもしろい。こういう現代作品でもきちんと解釈して聴かせるあたり、ハーディングの多彩さをまた見せてくれた感じです。

マーラーも充実した演奏でした。この曲は今まで何度となく実演で聴いてきましたがいまいち納得できず、曲が余りいい出来ではないのだろうと思っていましたが今日の演奏で誤解も払拭されました。ハーディングは最初の曲と違って指揮棒を持たずに指揮をしていましたが (持つのと持たないのとでどういう違いが出てくるのか私には余りわかりません) 第1楽章から完全にオケをコントロールしていました。音楽的流れが自然で格調が高く完璧にマーラー音楽を咀嚼した演奏と思います。LSOの音は金管も木管も心地よい柔らかさでした。冒頭から心をを掴まれそのまま最後まで連れて行かれた感じです。第4楽章から第5楽章への受け渡しの必然性を納得できる演奏は初めての経験です。先日の第7番と共にこのところLSOとのコンビも絶好調ですね。
LSOから早速新聞評の情報が送られてきましたが、The Timesはマーラーに関してはかなり酷評、Evening Standardは逆に絶賛。私は今までThe Timesの評で納得したことがないけれど、ここの評論家はかなりひねくれている?(それとも私が?)

下の写真は「今日もうまくいったじゃん」と話しかける第1ヴァイオリン奏者に対して相好を崩してうなずくハーディングといったところでしょうか。
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by dognorah | 2007-05-12 03:26 | コンサート

アンジェラ・ゲオルギューのコンサート

2007年5月8日、バービカンホールにて。

出演
Angela Gheorghiu (soprano)
Ion Marin (conductor)
LSO

プログラム
Verdi Overture: Nabucco
Giordani 'Caro mio ben'
Handel 'Lascia ch'io pianga' from Rinaldo
Mascagni Intermezzo from Cavalleria rusticana
Leoncavallo 'Stridono lassù’ from Pagliacci
Puccini 'Ch'il bel sogno di Doretta’ from La rondine
(interval)
Puccini 'In quelle trine morbide' from Manon Lescaut
Bizet Habanera from Carmen
Tchaikovsky Fantasy Overture: Romeo and Juliet
Puccini 'O mio babbino caro' from Gianni Schicchi
Puccini 'Un bel dì vedremo' from Madama Bufferfly

(encore)
Grigoriu "Musica" from Waves of the Danube
Lerner & Lowe "I could have danced all night" from My Fair Lady
Lara "Granada"

歌は前半4曲、後半4曲、アンコール3曲でしたが美声と歌のうまさは健在でした。アンコールも含めて手抜きというか余り意欲的なプログラムじゃないですが、ファンはこういうポピュラーなものを聴いていれば悪くはないでしょう。2回も着替えて髪型も変えてサーヴィスしていましたし。写真はロンドンの椿姫さんがきれいに撮られているのでそれを参照ください。

カルメンのハバネラはちょっと彼女の上品すぎる声だとイメージが違いますね。最後の「ある晴れた日に」は逆に可憐な蝶々さんという感じがよく出ていて、もし彼女がこの役で出演するなら見に行ってもいいなと思わせるものでした。好きな声なのでコンサートは楽しめましたが、イタリア語の発音というのはこんなものでしょうかねぇ。テキストを見ながら聴いているとなんか随分曖昧というか誤魔化しているように聞こえましたが。
アンコールは余りおもしろくないです。ちゃんとしたオペラアリアを歌ってほしい。
パリのコンサートのように最後にアラーニャが花束を持って現れることはなかったです。
指揮のイオン・マリンという人は彼女が連れてきたルーマニア人ですが、なかなか上手い人です。LSOからいい音を引き出していました。指揮台でのアクションが大きいのかドスンドスンとノイズを出しているのが気になりますが。
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by dognorah | 2007-05-11 09:58 | コンサート

松本さやか/あすか姉妹のピアノデュオコンサート

2007年4月28日、St Mary’s Church Ealingにて。

プログラム
Gershwin: Rhapsody in Blue (ソロ:あすか、伴奏:さやか)
Liszt: Hungarian Rhapsody S.244 No.2 (ソロ:あすか、arranged by Aska Matsumoto)
Raphmaninov: Rhapsody on a Theme of Paganini, op43 (ソロ:さやか、伴奏:あすか)

Rhapsodiesと銘打って開催されたこのコンサートはロンドン在住のピアニスト松本さやかさん(1979年生まれ)と東京在住の松本あすかさん(1981年生まれ) 姉妹の企画です。共に幼少の頃から国際的に演奏活動をした経験があり、各種の賞を受賞して現在はそれぞれの地で演奏活動を行っています。さやかさんが純粋にクラシック音楽の道を歩むのに対して、あすかさんはジャズの要素も取り入れた演奏に興味を向け、現在は鍵盤ハーモニカも併用して独自のトークコンサートを行っているそうです。

いやー、楽しいコンサートでした。二人ともピアノのテクニックがすばらしく、打鍵も鋭くシャープで2台のピアノによる変化に富んだ音の競演は聴き物でした。使われたピアノはスタインウェーとヤマハでしたが、ヤマハの方が派手な音がするのにもびっくり。最初はピアニストの性格が出ているのかと思いましたが交代しても印象は同じでしたのでピアノの性格が違うんですね。

ラプソディー・イン・ブルーは最初のクラリネットのグリッサンド部分をあすかさんが鍵盤ハーモニカで表現し、次いでピアノソロに入りましたが、彼女はなかなかのエンタテイナーと思います。対向して置かれたピアノでの演奏で二人はアイコンタクトを取りながら共演というより競演という言葉の方がふさわしい煽り合う感じの火花を散らす演奏でした。

次のリストはあすかさんがジャズ風にアレンジしたもので、時には靴を床に打ち鳴らすなど彼女の個性がたっぷり発揮された演奏となっていますが、これも目の覚めるようなピアノ演奏で、そのテクニックに感心しました。

最後はさやかさんが大好きだというラフマニノフ。あすかさんが管弦楽部分を伴奏しての演奏です。本日一番クラシック音楽らしいプログラムですね。実演で聴くのは初めての曲です。馴染みのあるメロディや豪快なパッセージが織り交ぜられた魅力的な曲ですが情熱的なピアノ演奏で終始惹きつけられました。

アンコールはハンガリー音楽として有名なモンティ作曲「チャルダーシュ」をあすかさんの鍵盤ハーモニカとさやかさんのピアノで演奏、途中手拍子も入り、盛り上がって終了。あすかさんは舞台から客席奥まで歩いていって大きな身振りで演奏し、ここでもエンタテイナーぶりを大いに発揮。
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二人とも相手に負けてたまるかという思いでピアノを練習してきたのでしょうね、外見に似合わず勝ち気な性格とお見受けしました。写真は、終了後のレセプションでの一こま。左からあすかさん、手伝いの弟さん、さやかさんです。
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by dognorah | 2007-05-10 23:34 | コンサート

Italian Culture Institute主催のコンサート

2007年5月3日、ICIにて。

演奏
Alessandro Maffucci – tenor
Roberto Russo – piano

プログラム
Robert Schumann: Diechterliebe op.48
Francesco Paolo Tosti: Due piccolo notturni
Michael Stimpson: Dall’alba al tramonto
Alberto Evaristo Ginastera: Cinco Canciones Populares Argentinas

今夜のコンサートはイタリアから迎えたテノール歌手と伴奏ピアニストによる“From Dawn to Sunset”というタイトルで開催されました。場所はBelgrave Squareという各国の大使館や領事館が軒を連ねている高級住宅街にあるItalian Cultural Instituteの2階広間です。予約しておけば誰でも無料で聴くことが出来ます。終了後はワインなど飲み物によるレセプションもあります。ICIはイタリア文科省の出先機関で、イタリア文化をイギリスに紹介するのが役目のようです。下の写真はインターヴァルにバルコニーに出て周りを撮ったものですが、ご覧のように各国の旗があちこちに見られます。
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テノール歌手マッフッチはイタリアの多分地方オペラだと思いますがピンカートンやアルフレードなどテノールの主要な役は大方演じた経験があるようです。ドイツとイタリア、アルゼンチンの歌曲にも興味があって今日のような内容のプログラムになりました。終演後のレセプション時に話したところ、日本でも歌ったことがあるとのこと。確か名古屋で蝶々夫人か何かで出演したとか。

1曲目のシューマンは最初の方ではちょっと神経質になっていたのかやや遅いテンポで余り調子が乗らない歌い方でしたが途中からかなり乗ってきました。声はなかなかいいのですが、音程がちょっと不安定なところがあり、特に弱音では聴いていて冷や冷やするところもありました。トスティでもそれが感じられましたが、スティンプソンの歌曲では全くそれがなく、終始安定して脂ののった歌い方でした。このスティンプソンはイギリスの現存作曲家で60代か70代と思われる人ですが、今夜は会場に来ていて解説をしました。曲はマッフッチの委嘱で作曲したもので、本人が望んだのでイタリアの詩人ジョヴァンニ・パスコリの詩に作曲したそうです。よくできた曲で、シューマンは別にして前後の作品より遙かにいいものでした。ドラマティックな起伏に富み、美しいメロディもある佳作と思います。演奏時間も25分で、後半のメインでした。最後のジナステラのアルゼンチン歌曲は生気あふれる曲や物思いに沈むような暗い曲など多彩。以前ROHの津波ギャラコンサートでマルセロ・アルバレスが故郷の歌を歌ったときに感じましたが、アルゼンチンの歌というのはなかなか聴き応えがあります。
この歌手はしっとりした歌よりも陽気でメリハリのきいた歌の方が合っていると思いました。
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by dognorah | 2007-05-09 23:20 | コンサート