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オペラ「スペインの時」と「ジャンニ・スキッキ」

2007年4月24日、ROHにて。

本当は4月3日に見る予定でしたが不覚にも体調を崩して寝込んでしまったため最終日の今日見る羽目になってしまいました。どちらのオペラも1時間程度の短いものなので2本立てとなったわけですが、ジャンニ・スキッキは本来プッチーニがIl Tritticoという3部作を一晩に上演するように作曲したものの中の第3部です。なぜ作曲家の意図通りに上演しないのかよくわかりませんが、2本でも面倒なのに3本なんてやれないよ、ということでしょうか。なお今回のオペラについては既に多くの方がごらんになって感想を書かれています。あらすじに関してはロンドンの椿姫さんのブログをご参照ください。

L'HEURE ESPAGNOLE (Comédie musicale in one act)
Music: Maurice Ravel
Libretto: Maurice Ravel, after the play by Franc-Nohain

GIANNI SCHICCHI (Opera in one act)
Music: Giacomo Puccini
Libretto: Giovacchino Forzano after a passage from Dante Alighieri's narrative poem Commedia Part I: lnferno

Conductor: Antonio Pappano
Director: Richard Jones
Set Designs: John Macfarlane
Costume Designs: Nicky Gillibrand
Lighting: Mimi Jordan Sherin
Choreography: Lucy Burge
lllusionist: Paul Kieve

The Orchestra of the Royal Opera House
Concert Master Vasko Vassilev

出演
L'HEURE ESPAGNOLE
Torquemada: Bonaventura Bottone
Ramiro: Christopher Maltman
Consepcion: Christine Rice
Gonzalve: Yann Beuron
Don Inigo Gomez: Andrew Shore

GIANNI SCHICCHI
Buoso Donati: Bob Smith
Simone: Gwynne Howell
Zita: Elena Zilio
Rinuccio: Saimir Pirgu
Betto di Signa: Jeremy White
Mareo: Christopher Purves
La Ciesca: Marie McLaughlin
Gherardo: Jeffrey Lloyd-Roberts
Nella: Joan Rodgers
Gherardino: Jesus Duque
Gianni Schicchi: Bryn Terfe!
Lauretta: Dina Kuznetsova
Maestro Spinelloccio: Henry Waddington
Ser Amantio di Nicolao: Enrico Fissore
Pinellino: Nicholas Garrett
Guccio: Paul Goodwin-Groen

まず、「スペインの時」です。ラヴェルのオペラは見るのはもちろん聴くのも初めてですが、すばらしい音楽とおもしろい舞台設定で大いに楽しませて貰いました。写真は最後の場面です。
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1幕ものなので場面展開はありませんが、額縁の中に嵌めた作りの時計屋がとても美しい仕上げで様々な時計が華やかです。コメディとしての演出もよくできています。出演者はすべて演技も上手かったし。最後に筋とは無関係にショーダンサーが出てきて華やかさを盛り上げていましたが、いいですねこういうの。

歌手ではマルトマンとブロンが声も歌も印象的です。マルトマンが鬘をつけてふさふさした頭にしているので最初はわからなかった(^^; でもこうして見ると結構ハンサムな人だなぁと思いましたよ。ブロンは昨年12月にバービカンでの「キリストの幼児」でボストリッジの代役で出演したときが初の体験でしたが、今日もそのとき同様すばらしい歌唱でした。クリスティーヌ・ライスはいつもズボン役で見ていたのがど派手なメーキャップで好色女房役を好演しているのにびっくり。赤いパンティを見せるなど熱演していましたがその太ももを見るにつけこんなに太った人とは今まで気づきませんでした。歌は上手いのですが私は今までの印象通り、どうもこの人の声は好みじゃないです。パッパーノ指揮の管弦楽団のラヴェルはすばらしい演奏でした。
写真は左から、ボットーネ、ブロン、ライス、マルトマン、ショアです。
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次のジャンニ・スキッキは以前のプロダクションをROHで見た記憶があります。新作といっても1幕ものじゃあまり変える余地はないような気がしますが。ということで演出的にはまぁこんなところかという感じで特に印象的ではないです。演技はこちらの方もすべて上手かったと思います。ターフェルは悪役的な所作はとても上手いし。声はちょっと迫力ありすぎる感じでした(まさかマイクなんて使ってないでしょうね)。
他の歌手では、今年の1月にヴィーンの「コジ・ファン・トゥッテ」のフェランド役で好印象を残してくれたSaimir Pirguがやはりすばらしい。ROHデビューのディナ・クズネツォワが歌う例のアリアはなかなか上手かったと思います。余り感情を込めて歌うシーンじゃないから今回のようにさらっと歌うのがいいのでしょう。しかしこのローレッタ役はこれ以外にほとんど出番がないんですよね。父親によって部屋から追い出されるものですから。
喜劇オペラとしては先の「スペインの時」の方が優れていると思いました。音楽的にもラヴェルの方に軍配です。
写真は左から、パッパーノ、クズネツォワ、ターフェル、ピルギュです。ターフェルの巨体ぶりが目立ちますね。
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最後に訃報
c0057725_033636.jpg我々日本人はいつもピットの中を見て、ここにも日本人奏者がいると気づいていました。第2ヴァイオリンプリンシパルの一之瀬康夫氏です。もう30年もここで弾いてきた人ですが、3月27日に逝去されたことが今回のプロダクションの出演者表の最後のページ全面に掲載されています。そしてこのプロダクションを彼の思い出のために捧げますと。享年65歳。ご冥福をお祈りします。LSOの第2ヴァイオリン奏者にMiya Ichinoseという人がいますが、彼のお嬢さんのようです。
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by dognorah | 2007-04-26 00:41 | オペラ

ROHのランチタイムコンサート

2007年4月23日、ROHのCrash Roomにて。

このコンサートに行くのはずいぶん久し振りです。歌手が出演の場合は人気があり、切符(当日の朝先着順で配布)の入手が困難な場合があります。今日もそうでしたが、開場間際に行列して何とか入場できました。本日は現在および過去のYoung Artists Programmeのメンバー4人によるコンサートです。いったい4人も揃えてどういう風に歌わせるのかと思ったらブラームスの4重唱だったのです。

出演
Kishani Jayasinghe: soprano (スリランカ人、現メンバー)
Lora Grodnikaite: mezzo-soprano (リトアニア人、現プリンシパルメンバー)
Edgaras Montvidas: tenor (リトアニア人、6年前に修了)
Grant Doyle: baritone (オーストラリア人、4年前に修了)

Susanna Stranders:piano
David Gowland: piano

プログラム
Johannes Brahms: Liebeslieder, Op.52 (全18曲)
Johannes Brahms: Neue Liebeslieder, Op.65 (全15曲)

歌手が4重唱なら、ピアノ伴奏も連弾です。4人の歌手と2人のピアニストを必要とする珍しい曲ですね。ずいぶん陰影に富んだ歌曲集です。歌手は曲によってソロ、2重唱、4重唱を取り混ぜて表現の幅を広げていますが、非常におもしろい曲であり演奏でした。各歌手ともよく声が出ている上に、アンサンブルもなかなかよく、かなり練習したのじゃないかと思われます。一人の歌手が歌曲集を歌うイヴェントはもちろんいいのですが、たまにはこういうコンサートも楽しいです。
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by dognorah | 2007-04-25 09:31 | コンサート

マレー・ペライアのピアノリサイタル

2007年4月23日、バービカンホールにて。

Piano: Murray Perahia

プログラム
Bach: Partita No.2 in C minor
Beethoven: Sonata in D major, ‘Pastoral’
Schumann: Fantosiestücke
Chopin: Ballade No.4 in F minor

アンコール
Brahms: Intermezzo Op.118-2
Chopin: Etude in C sharp minor, Op.10-4

昨年彼のロンドンでのコンサートは病気のためにすべてキャンセルされましたが、今年は復活です。昔からCDで彼のシューベルトを主に聴いていて、一度実演に接したい人だと思っていましたがやっと実現しました。

1曲目のバッハが始まったとたん、その質の高い音楽空間の虜となりました。圧巻です。バッハのこの音楽が持つポテンシャルの凄さを目の前に広げて見せてくれた感じです。あらゆる次元を超越して心を打つ高みにある演奏でした。参りました!とひれ伏すしかありません。そしてこれは本日一番の出来という印象でした。
ベートーヴェンの第15番のソナタは初めて聴きますが、演奏会で取り上げられることもあまりないような気がします。余り派手ではなくしっとりとした「田園」というタイトルにふさわしい曲と思います。微妙なニュアンスが丁寧に表現された美しい演奏でした。彼のピアノタッチはちゃんと芯がありながら何か柔らかいもので覆われているような音質で決して硬質ではありません。それがこの曲にはふさわしい。
次のシューマンの幻想小曲も初めて聴く曲だろうと思うのですが、聴いていて心地よい音楽ではあるものの私には余りぴんと来なかったです。
ここまで比較的長い曲を弾き終えたのでショパンは弾き飛ばすかと思ったらそうでもなく丁寧に弾かれた美しい演奏でした。

愛想の余りよくないピアニストですが、あっさりと2曲続けてアンコールを弾いてくれました。ブラームスの曲名は同じ会場にいたY氏に教えて貰いました。ショパンはその場ではエチュードかなというぐらいしかわかりませんでしたが、帰宅してからCDを聴いて恐らくこれだろうと推量したものです。ショパンが終わったら熱狂的な歓声と拍手でしたがこれ以上はなく、終了。
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by dognorah | 2007-04-24 23:53 | コンサート

ヘンデルのオペラGiulio Cesare(コンサート形式)

2007年4月19日、バービカンホールにて。

Freiburg Baroque Orchestra
René Jacobs: conductor

Giulio Cesare: An opera in three acts (sung in Italian with English surtitles)
Music by George Frideric Handel
Libretto by Nicola Francesco Haym after Giacomo Francesco Bussani

Cast in order of appearance
Giulio Cesare: Marijana Mijanovic (contralto)
Curio: Klemens Sander (bass)
Cornelia: Kristina Hammarström (mezzo-soprano)
Sesto: Malena Ernman (mezzo-soprano)
Achilla: Nicolas Rivenq (bass)
Cleopatra: Veronica Cangemi (soprano)
Nireno: David Hansen (counter-tenor)
Tolomeo: Christophe Dumaux (counter-tenor)

Egyptians and conspirators sung by the soloists

登場人物はすべて歴史上実在した人たちながらストーリーはフィクションとのこと。Julius Caesarはラテン語のドイツ読みではユリウス・カエサル、英語ではジュリアス・シーザー、イタリア語ではジューリオ・チェーザレとなるんですね。

しかし長いオペラでヘンデル特有の繰り返しも多く、鑑賞を全うするのも一苦労です。7時に始まったコンサートが終了したのが11時15分でした。ちょっと冗長に過ぎる嫌いがあるものの各アリアはなかなか美しく聴き応えがあります。今日の出演者がすべて非常に歌唱も声もよく、それがあったから最後まで聴くことが出来たようなもので、もしこれで不満な歌手がいたら挫折したかも。私の苦手のカウンターテノールもすごく上手く、特にトロメオを歌ったデュモーは先日聴いたベジュン・メータに引けをとらないすばらしい歌唱でした。さすがルネ・ヤーコブス、いい歌手ばかり集めた感じです。しかしこの長いオペラで第3幕になると皆さんちょっとお疲れ気味なのかクレオパトラやトロメオの声の状態がやや落ちてきましたが。

歌手はすべて暗譜で、結構指揮者の後ろで演技もします。セストがトロメオを絞め殺すところでは、格闘した挙句に後ろから首を絞めるのですが、女性歌手が男性歌手を絞め殺すシーンなので観客が失笑するも、絞め殺されたトロメオがばたーんと大きな音を立てて仰向けに倒れる迫真の演技では大拍手(^^)

フライブルグ・バロック管弦楽団は初めて聴きましたが今まで聴いたバロックオーケストラの中では一番すばらしいと思いました。ヤーコブスの指揮は淀みがなくテンポ感も自然で、歌手も歌いやすそう。
下の女性の写真は、左からHammarström、Ernman、Mijanovic、Cangemiです。男性の写真は、左からSander、Rivenq、Hansen、Dumaux、Jacobsです。
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あらすじ
カエサルはローマ内で敵対していたポンペイの軍をギリシャで破り、エジプトに逃れたポンペイを追ってくる。そこではクレオパトラと弟のトロメオが統治している。
カエサルの到着を歓迎してトロメオの腹心であるアキラが出迎えるが、おみやげにポンペイの首を差し出す。カエサルは意外な状況に驚き受け取りを拒否する。それを見ていたポンペイの妻コルネリアと息子のセストはトロメオに対して復讐を誓う。トロメオはカエサルを王宮内の部屋に泊めてもてなす。アキラはトロメオにカエサルを殺すことを提案し、自分が首尾よく成し遂げたときは褒美にコルネリアを呉れるように頼む。クレオパトラはトロメオのやり方に不満でカエサルと組もうと決意し、侍女であると偽って彼に近づく。コルネリアとセストも復習の機会を狙ってクレオパトラ側につく。王宮内でトロメオに遭遇して襲うが逆に逮捕されてセストは牢に入れられ、コルネリアは後宮に閉じこめられる。セストは牢から逃げて再びトロメオを襲うがアキラに阻まれてまた失敗。
クレオパトラはカエサルと密会して彼の心を取り込むことに成功するも、カエサルの腹心キュリオがトロメオの裏切りを注進し逃げるように促す。カエサルは海に飛び込んでどこかの海岸にたどり着き、クレオパトラはローマ軍内に逃げ込む。
コルネリアを貰えると思っていたアキラは、トロメオから美人なので自分が貰うことにしたと言われて逆上、反旗を翻してクレオパトラ側につくも敗戦し、クレオパトラは捕えられて自分は瀕死の重傷を負う。死ぬ間際に軍の指揮権を表す指輪をセストに託した上、王宮内に通じる秘密の通路のありかを教える。カエサルに出会ったセストがその指輪を渡し、カエサルは軍を再編して王宮内に攻め込む。王宮内でトロメオがコルネリアに対して自分の女になれと迫っているところにセストが現れトロメオを殺す。カエサルはクレオパトラを牢から解放する。エジプト王朝はクレオパトラのものになりカエサルのローマに忠誠を誓う。
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by dognorah | 2007-04-20 22:44 | オペラ

London Soloists Chamber Orchestra演奏会

2007年4月18日、カドガンホールにて。
久し振りに私の好きなカドガンホールに行きました。このオケは名前の通りソリストとしての実力を持ったプレーヤーたちの集まりで、ほとんどが賞を取った経験のある若い人たちで構成されている室内管弦楽団です。演奏はさすがに上手い。特に木管部のまろやかな音色には感心しました。

ヴァイオリン:Vilde Frang
指揮:Nicholas Collon

プログラム
ロッシーニ:歌劇ウイリアム・テル序曲
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調 作品64
ラヴェル:チガーヌ
ドヴォルザーク:交響曲第8番ト短調 作品88

指揮者は常任のDavid Josefowitzが降りて代わりにコロンというケンブリッジ大学を2004年に卒業したばかりの若い人で、急な代役で引き受けた割には慣れた指揮ぶりで、恐らく最初からこの若者に指揮をさせる意向だったのでしょう。なかなか優れた演奏をする指揮者と思いました。写真は演奏会終了後のものです。
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ヴァイオリン独奏者のフラングはノルウェー人でまだ20歳ですが長身の美人で、これも優れたヴァイオリニストです。教科書的に非の打ち所のない演奏で、朗々と響く甘い音色が心地よいし、一心不乱に音楽に打ち込む真摯な演奏態度が好ましく、目をつぶって演奏するときのギリシャ彫刻を思わせる崇高なな表情は非常に魅力的で聴いているこちらも啓示を受けるがごとくです。私も含めて大勢がブラヴォーを献上しました。余りにもポピュラーな曲なので普段は何気なく聞き流すことが多いのですが、こうした正統的でがっちりした演奏を聴くとメンコンというのはやはりヴァイオリン協奏曲としては比類のない優れた作品と思わざるを得ません。
写真は協奏曲終了後のフラングです。
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次のチガーヌも彼女が独奏しましたが、見事な指捌き弓捌きで相当なテクニックを持っているところも認識させてくれました。曲自体もいい出来です。

ドヴォルザークの交響曲は室内管弦楽団とは思えないほどダイナミックで音量的にも頑張っていましたし演奏自体とてもしっかりした骨格を感じましたがやはりフルオーケストラに比べると弦の厚みや陰影に富む表現には限りがあり、曲そのものは楽しめたもののちょっとイメージとは違うという感じです。メンデルスゾーンの協奏曲ではちょうどよいスケールでしたが。

今日のコンサートは切符の売れ行きが余りよくなかったらしく、直前に200枚(800席程度のホールで!)がある筋から無料放出されてお相伴にあずかりました。感謝です。
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by dognorah | 2007-04-19 20:30 | コンサート

ベネズエラ人画家の個展

c0057725_20155612.jpg一般公開に先駆けて開催されたプレヴューに誘われて仲間たちと行ってきた。場所はWarren Street駅近くのベネズエラ大使館に付属するBoíivar Hallで、ここでは美術展だけでなく音楽会などいろいろな文化的催し物が開催される。主に自国の文化活動を紹介するものであるが。ちなみに今回初めて知ったのであるが、この国の英語による正式名称はThe Bolivarian Republic of Venezuelaと言うらしい。

今回の画家の名前はCipriano Martínezといい、ベネズエラ生まれだがイギリスに来て1999年にChelsea College of Art & Designの修士課程を修了、その後イギリスで制作に励んでいる。代表作は左に掲げたような絵で、今回20点ほど展示されていた作品も似たようなコンセプトである。絵そのものは余り理解できなかったが、その場にいた画家の解説によるとあるイメージを奥に秘めた表現であるとのこと。下の写真は自分の作品の前で熱っぽく語るマルティネス氏。
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絵は余りよくわからなかったものの、振る舞われたワインを飲みながら各国の人たちと楽しいひとときを過ごした。今回集まった人たちはえらくインターナショナルで、私が話をした人たちだけでもイギリス人はもちろんフランス人、イタリア人、ギリシャ人、チリ人、コロンビア人、フィンランド人、インド人、中国人等々。日本人は私一人だけ。

この後数人に、もっといいワインを飲みに行こうと誘われてさらにもう一つのプレヴューに闖入した。場所はそこからオクスフォードサーカス方面に行ったところにあるSpectrum Londonという画廊で、スコットランド人画家のFrank McFaddenと彼の師であるPeter Howsonの作品を展示していた。たとえば次のような作品であるが、これもよくわからない。趣味的には先ほどの絵の方が合うが、同行したイタリア人はいたく感心して、金があれば買いたいといっていた。
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なお、ここで出されたワインはオーストラリアワインで、先ほどのベネズエラワインの方がおいしかった。
わからない作品でも大勢でワインを飲みながらああだこうだと鑑賞するのは楽しいことで、今後もこういうイヴェントには参加していこうと思っている。
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by dognorah | 2007-04-18 20:27 | 美術

ランラン+ハーディング+LSO

2007年4月12日、バービカンホールにて。

Piano: Lang Lang
Conductor: Daniel Harding
London Symphony Orchestra

プログラム
Pierre Boulez: Mémoriale
Maurice Ravel: Piano Concerto in G
A work by a contemporary composer (world premier)
Hector Berlioz: Symphonie fantastique

ハーディングは今日はオールフランス音楽で勝負です。最初の曲は室内楽的小編成+フルート独奏という構成で、静かで美しい小品でした。

ラヴェルのピアノ協奏曲では、ランランはいつものようにリラックスしていかにも楽しんでいますという風情で弾いていましたがいい演奏でした。特に第2楽章のアダージョはクリアなタッチで表現される描写がことのほか美しく、管弦楽もぴったりそれに合わせて表情豊かに色付けをします。第1楽章では管弦楽も結構ラヴェルらしい色彩感が出ていましたし、第3楽章では小気味よいテンポで躍動感十分。大変楽しめました。
写真に見るようにランランはいつもの服です。
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休憩後は予告なしで挿入された現代曲の世界初演がありました。40歳ぐらいの長身の作曲家(名前を聞取れず)が舞台で解説していましたが、5分ぐらいの管弦楽で私は自然の季節変化をとらえた映像のバックグラウンド音楽にぴったしという印象を持ちました。

メインの幻想交響曲ですが、前半は欲求不満、後半は満足という演奏でした。第1楽章と第2楽章はどうも練習での指揮ぶりと違うのか、遅いテンポについていけずに戸惑うオケという感じで、笛吹けど踊らずの状態。ダイナミックレンジの狭い音しか出ず、ちょっと不満。しかし第3楽章に入ってからは指揮と管弦楽がぴったりと合って音もちゃんと出るようになり、やっと聴いているほうも音楽にのめり込むことが出来ました。そのままの調子で第4,第5楽章と進んで最後は一糸乱れず壮大なコーダでした。最初からこうだったらかなりの名演になったでしょうに。

このプロセスは今年1月のハーディング指揮ドレスデン歌劇場管弦楽団の時と同じで、この指揮者の欠点かもしれないなと思いましたが、もっと器用なオケならちゃんと彼の本番での気紛れについていけるだろうし、本人も世界の一流オケでそれを経験しているのでついやってしまうのかも知れません。
写真は大歓声に応えるハーディングとLSOです。
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by dognorah | 2007-04-13 23:51 | コンサート

ロイヤルバレーのマイヤリンク(Mayerling)

4月10日、ROHにて。

MAYERLING: Ballet in three acts
Music: Franz Liszt Arranged and orchestrated by John Lanchbery
Choreography: Kenneth MacMillan
Designs: Nicholas Georgiadis
Scenario: Gillian Freeman
Lighting: John B. Read
Staging: Grant Coyle, Monica Mason, Monica Parker
Principal Coaching: Lesley Collier, Jonathan Cope, Donald MacLeary, Monica Mason, Monica Parker
Conductor: Martin Yates
The Orchestra of the Royal Opera House

ダンサー
Crown Prince Rudo/f of Austria-Hungary: Johan Kobborg
Baroness Mary Vetsera: Alina Cojocaru
Princess Stephanie: Roberta Marquez
Emperor Franz Josef of Austria-Hungary: Christopher Saunders
Empress Elisabeth: Isabel McMeekan
Countess Marie Larisch: Laura Morera
Baroness Helene Vetsera: Genesia Rosato
Bratfisch: Jonathan Howells
Archduchess Sophie: Sandra Conley
Mitzi Caspar: Deirdre Chapman
Colonel 'Bay' Middleton: Valeri Hristov
Four Hungarian Officers: Zachary Faruque, Kenta Kura, Ludovic Ondiviela, Andrej Uspenski
Katherina Schratt: Elizabeth Sikora
Alfred Grünfeld: Paul Stobart
Count Hoyos: Johannes Stepanek
Count Eduard Taafe: Alastair Marriott
Princess Louise: Natasha Oughtred
Prince Philipp of Coburg: David Pickering
Princess Gisela: Christina Elida Salerno
Princess Valerie: Francesca Filpi
Princess Valerie as a child: Romany Pajdak
Mary Vetsera as a child:..Alina Cojocaru
Loschek: Michael Stojko
Count Larisch: Bennet Gartside

オーストリーハンガリー帝国の皇太子が1889年にヴィーン郊外のマイヤリンクという村で17歳の愛人と心中した事実を題材にしたお話。私は10数年前に観光でその館を訪問した記憶がありますが、そのときはあまり気にもとめない史実でした。

音楽が珍しくリストの作品を使っており、チャイコフスキーのような華やかさはないものの重厚で聴き応えのある音楽で、リストらしくピアノの音が第3幕に入っています。チェンバロならよく見ますがグランドピアノが狭いピットの中にででーんと置かれている様は珍しいものです。ついでに言うと今夜の管弦楽演奏は音も含めて(金管がちょっと、という場面もありましたが)すばらしく、音楽だけでも十分楽しめました。

今夜は記念すべき第100回目の公演でしたが、値段の高いストール席にかなりの空席がありました。人気的には地味な作品なのでしょう。バレーにしてはちょっと人間関係が複雑で不必要と思われる場面もてんこ盛りで、ハンガリーの分離主義者が絡む政治的背景もあります。上のキャスト表に見られるように登場人物が多すぎて誰が誰なのかを判断するのに手間取るくらい。恐らくルドルフ王子が死に至る過程の心理描写を克明にしようとしたためでしょう。それをバレーで表現するというのはかなり困難な仕事と思いました。相手役のメアリーにしても簡単に死に憧れる状態になることの表現は易しくないだろうし、事実二人のバレーとしての動作はいつものように見応えがあってもあまり説得力のあるものには思えませんでした。その点先日見たオネーギンはわかりやすいし、二人のダンスも心理面も含めて完成度がより高いものでしたが。

舞台の仕草はかなり官能的なもので、初めてメアリーがルドルフのアパートで密会するときはルドルフがメアリーの上半身を裸にする場面があってどきっとします。観客側からはコジョカルの背中しか見えませんでしたが。

写真は舞台挨拶するコジョカルとコボーグです(クリックするともう少し鮮明になります)。
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by dognorah | 2007-04-11 20:48 | バレー

ROHの来期のオペラ演目

世界初演が委嘱作品のThe Minotaur、新演出がSalomeとDon Carlo、他劇場との共同制作でROHでは初登場のIphigény en Tauride、L’elisir d’amore、The Rake’s Progressで、後はすべて再演ものです。

シーズン開幕がIphigény en Tauride の9月10日というのは異例の早さです。ただしオケはThe Age of EnlightenmentなのでROHオケはまだお休みです。

出演歌手を見ると、私の好きなネトレプコやガランチャが出てくれるのでうれしいのですが、ほかにはあまり話題になるような名歌手は来ませんね。ちょっと前にパッパーノと会談したという中嶋彰子さんは今回も名前が見あたりません。

一般的な人気で言えば、なんと言っても目玉は来年1月の椿姫をネトレプコ+カウフマン+ホロストフスキーが歌うもの(Aキャスト)でしょう。カウフマンはビヤソンよりも遙かにいい歌手なのでこれはうれしい組み合わせです。これのBキャストはアンセルム+カストロノーヴォで全く魅力なし。これで同じ料金だなんてかなり不条理ですぜ。

c0057725_0204124.jpg次いで話題にしたいのは新作のサロメ。David McVicarの演出。タイトルロールはドイツのソプラノNadja Michaelという私のまったく知らない人。左の写真を見るとなかなかの美人ですね。ヨカナーンはこれも私の知らないMichael Volleというドイツのバリトンです。最近のMcVicarはかなりおとなしい演出が目立ちますのではたしてどうなることやら。


これも新作のイタリア語版「ドン・カルロ」はなんと20年ぶりの公演だそうです(フランス語版は96年に上演している)。ビヤソン、キーンリーサイド、ハーフヴァーソンなどが出演します。エリザベッタはROH育ちのポプラフスカヤ、エボリ王女はソニア・ガナッシというイタリア人メゾ、フィリップ2世はこれもイタリア人バスのフェルッチオ・フルラネットです。

ナキソス島のアリアドネという私の分類であまり評価の高くないオペラに属しますが、ROHの金で減量を果たしたヴォイトが出演させてもらえるのと人気のガランチャが出るのとでやはり話題ではあるでしょう。

ヴァーグナーではリンク以外にパルジファルがハイティンク指揮で上演されるのはうれしいことです。

詳しくはhttp://info.royaloperahouse.org/News/Index.cfm?ccs=1133をご覧ください。
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by dognorah | 2007-04-06 00:31 | オペラ

ビエロフラーヴェク指揮BBC交響楽団の「マーラー第3番」

2007年4月4日、バービカンホールにて。

Gustav Mahler: Symphony No 3 in D minor (1893-6)
Part One
1 Kräftig. Entschieden [Powerful. Resolute]

PartTwo
2 Tempo di Menuetto. Sehr mässig. Ja nicht eilen! [Very steady. Don't hurry!]
3 Comodo. Scherzando. Ohne Hast [Unhurried]
4 Sehr langsam [Very slow]. Misterioso. Durchaus ppp [As quiet as possible]
5 Lustig im Tempo und keck im Ausdruck [At a jaunty tempo with bold expression]
6 Langsam. Ruhevoll. Empfunden [Slow. Peaceful. With feeling]

出演者
Jiří Bělohlávek conductor
Jane Irwin mezzo-soprano
BBC Symphony Chorus
The Choristers of Westminster Cathedral
BBC Symphony Orchestra

この曲を聴くのは昨年6月以来です。指揮者ビエロフラーヴェクは一昨年の主席指揮者就任前の聴衆との会談で、来期はマーラーの3番をやるぞ、と言っていましたがやっと実現したわけです。予告していてしかも今期唯一(多分)のマーラーだけあってすばらしい出来でした。
第1楽章冒頭のホルンがしっかりとした音でゆったりと始まりますが全体に巨人が地響きを立てて悠揚と迫り来るようなスケールが大きい演奏です。弦も管もアンサンブルよくしっかりと音を響かせていましたが、こういう音を引き出すビエロフラーヴェクはやはり相当優れた指揮者と思わずにはいられません。第1楽章と第6楽章が特に壮大で第6楽章の緩徐部分の美しさも並々ならぬもので感動的です。メゾソプラノも美しい声でしっとりした表現が好ましい。
c0057725_19454991.jpg全曲を通して金管が大活躍しますがそれが舞台裏のトランペットも含めておおむね好調、特にトロンボーンセクションは際立っていて、その中でもトップ奏者である女性(Helen Vollam)の吹く音は4人の奏者の中で群を抜く存在感でした。終演後に彼女が指揮者から指名されて起立したときは聴衆から大ブラヴォーを貰ったのは当然です(右の写真)。
とにかく1時間40分にわたる長大な曲をだれることもなく聴衆を惹きつけたすばらしい演奏でした。名演と言うべきでしょう。下の写真で、後方に写っている赤い制服のかわいい少年たちはWestminster Cathedralの合唱団です。
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これでここ1ヶ月足らずの間に2,3,4,7番と4曲もマーラーの交響曲を聴いてしまい、それがすべていい演奏だったので幸せです。
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by dognorah | 2007-04-05 19:55 | コンサート