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by dognorah | 2007-01-20 20:20

「トリスタンとイゾルデ」公演

2007年1月14日、ヴィーン国立歌劇場にて。

Tristan und Isolde
Handlung in drei Aufzügen
Text und Musik von Richard Wagner

Dirigent: Leif Segerstam
Inszenierung: Günter Krämer
Bühnenbild: Gisbert Jäkel
Kostüme: Falk Bauer
Chorleitung: Ernst Dunshirn

Tristan: Peter Seiffert
König Marke: Kurt Rydl
Isolde: Deborah Polaski
Kurwenal: Peter Weber
Melot: Clemens Unterreiner
Brangäne: Janina Baechle
Ein Hirt: Peter Jelosits
Stimme des Seemanns: John Dickie
Steuermann: Wolfgang Bankl

Orchester der Wiener Staatsoper
Chor der Wiener Staatsoper

約5年振りにこの演目を見ました。パリでポラスキーのトロイ人を見てぜひこの人のイゾルデを聴きたいと思っていたのが意外に短期間でそのチャンスが巡って来ました。
このプロダクションは昨日のコジ・ファン・トゥッテと同様2003年にプレミエだったものです。舞台は象徴的なつくりですが、長方形を多用したモダンなデザインが美しい。第1幕はちょっと最近流行のキチンのイメージを感じさせる淡いトルコブルー、白、黒といった色使いです。
トリスタンが戦闘で殺したアイルランドの将軍モロルドの遺骸を象徴する鎧兜一体が終始舞台に置かれて過去の出来事がトリスタンとイゾルデの二人に心理的な影を落としている様が表現されているなど、わかりやすい演出です。またブランゲーネは最初毒杯を用意するのですが途中で気を変えてもう一方の杯に例の惚れ薬を仕込み、二人が乾杯しようとするときに跳んできて毒杯の方を倒し、仕方なしに二人がもう一方の杯をシェアする設定にしているなど芸の細かいこともやります。わかりやすいといえば第2幕ではメロットが終始柱の陰に隠れてイゾルデを見張っています。トリスタンとイゾルデが愛の交歓を歌う場面では舞台中央が柱と共にプールのように沈み、代わりに情念を表しているのか糸杉と思われる形のものが数本せり上がってくるのも音楽とよくマッチしていると思いました。衣装は女性二人の分だけ作ったのかしらという印象です。イゾルデはたっぷりと布地を使った長いお引きずりのドレスなのに、男声は全て現代風でトリスタンは分厚いコートを引っ掛けての演技のため大汗をかいていました。

歌手では、最初のイゾルデの発声から舞台を支配したポラスキーはさすが。気品のある立ち姿と共にぞくぞくします。しかし第3幕の愛の死ではちょっと声量が落ちてしまって管弦楽にかき消され気味だったのは残念です。
トリスタンを歌ったペーター・ザイフェルトがまたすばらしいヘルデンテノールで、声量があって艶のある声は惚れ惚れしました。コヴェントガーデンでもこういう人がジークフリートを歌ってくれたらなぁと羨望の溜息。最初から最後まで声量もそのままでした。
次いで感心したのがブランゲーネを歌ったJanina Baechle(ヤニナ・ベヒレとでも発音するんでしょうか)。先月聴いたアラベラで端役を歌っていた人です。ヴィーンというところは端役を歌うかと思うと主役級を歌ったりとめまぐるしいですね。ちょっといいなと思ったらすぐ抜擢するのでしょうか。だとすれば歌手にとってはとても励みになりますね。とにかくこの人も終始すばらしい歌唱で、ポラスキーといいコンビでした。
男声陣ではクルト・ライドルが先月聴いたドン・カルロの大審問官のときよりよい出来だったと思います。
残念なのはクルヴェナールを歌った歌手が全くだめで、声量を出そうとすると籠るような声になって聞き苦しくワーグナー向きじゃないです。

しかし今夜の公演で圧倒的だったのはレイフ・セーゲルスタム指揮の管弦楽でしょう。昨日と一昨日のモーツァルトのオペラのときは自身の定期公演のために不在だった歌劇場管弦楽団の主要メンバー、つまりヴィーンフィルが今日は戻ってきて、重厚で繊細なアンサンブルによりこれぞワーグナーという官能的な響きを余すところなく提示してくれたのです。今夜の公演はK+K&kのブログでも書かれているようにちゃんとリハーサルをしているので充実した演奏になったのでしょう。このフィンランド人指揮者は圧倒的な印象を残してくれました。第1幕終了時からブラヴォーが飛び交ったくらい聴衆の反応もすごかったです。目をつぶって聴いているだけで血湧き肉踊るような興奮と感銘を受けることが出来る音と演奏でした。ロンドンでもかなり演奏をしたことがあるみたいですが、今まで経験できなかったので次回は逃さないようにしたい人です。会場で知り合った某テレビ局のクラシック担当ディレクターの話ですと、彼は日本へも頻繁に行き人気の指揮者のようですが、身の回りにあまり気を使わない人で滅多にシャワーも浴びないとかで、周りの人たちが迷惑しているそうです(^^;

さて、次回はどこかでヴァルトラウト・マイヤーのイゾルデを聴いてみたいものです。

写真は左から、ライドル、ポラスキ、セーゲルスタム、ベヒレ、ザイフェルトです。
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by dognorah | 2007-01-19 23:11 | オペラ

ヴィーンフィル定期演奏会(2006/7年度第5回)

2007年1月14日、楽友協会大ホールにて。

指揮:Mariss Jansons
管弦楽:Wiener Philharmoniker

プログラム
ストラヴィンスキー:バレー組曲ペトルーシュカ(Petruschka)
ドヴォルザーク:交響曲第8番ト長調作品88

あこがれのMusikvereinsaalで初めてヴィーンフィルを聴きました。いつもTVで見ている豪華なホールを目の当たりにして改めてその豪華さに感嘆。それにしては楽員が座る椅子や譜面立ては擦り切れた年代ものでしたが。ホール内座席数は立ち見を除いて約1700席で、意外に大きいホールという印象です。私の席は非常に悪い席でしたが電話でヴィーンフィルのオフィスに席を問い合わせたときはここしかなかったのです。舞台の上、オケの後方(Podium)なので、ペトルーシュカでは目の前に打楽器群がかたまり、指揮者の顔が隙間から見える程度の視界です。第1ヴァイオリン最前列は全く見えず、楽員が入場したときに今日のコンサートマスターが今年のニューイヤーコンサートでもコンサートマスターを勤めた人であることが分っただけです。

演奏はすばらしいものでした。ペトルーシュカでは打楽器奏者に対してキューを発するヤンソンスの指揮ぶりは興味深いもので鋭い眼光で各奏者を見据えて合図を送ります。ティンパニーの連打のときは真剣に数を数えている風で、絶妙なタイミングでさっと他の楽器を導入させる様は見ているほうも音楽に乗せられる感じです。

ドヴォルザークの演奏はスケールの大きい深みのあるもので、気宇壮大であると共に美しくも繊細、アンサンブルの密度も高く、大変感動しました。同曲のこれまでの最高の体験でした。同じスラブ人の作品ということもあって完全に曲に共感している様が見て取れました。ヤンソンスとヴィーンフィルが火花を散らしながら真剣勝負という趣です。いやー、凄かった。

終わってから廊下で楽屋に引き上げる第1ヴァイオリンのKさんとすれ違い、声をかけたところ昨年6月にロンドンで会ったことを憶えてくれていました。奥様も一緒だったので一昨日の「フィガロ」に出演されていたことを話題にしましたが、Kさんによるとこの定期演奏会(夜と昼2回ずつの4回)のために昨日と一昨日はヴィーンフィルのメンバーはオペラ劇場には出演しなかったとのこと。しかし、本日はこの昼間の定期演奏に加えて夜の「トリスタンとイゾルデ」も演奏するんだそうです。ハードスケジュールですね。

後の定期演奏会の予定を見たら3月末はティーレマンがブルックナーの8番を演奏するんですね。ものすごく興味をそそられますが他の予定が入っているので聴きに来るのは無理です。残念!
写真は拍手に応えて楽員に立つよう要請するヤンソンスです。
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by dognorah | 2007-01-18 21:51 | コンサート

「コジ・ファン・トゥッテ」公演

2007年1月13日、ヴィーン国立歌劇場にて。

Cosí fan tutte
Opera buffa in zwei Akten von Lorenzo da Ponte
Musik von Wolfgang Amadeus Mozart

Dirigentin : Julia Jones
Inszenierung : Roberto de Simone
Bühnenbild : Mauro Carosi
Kostüme : Odette Nicoletti
Chorleitung : Thomas Lang

Fiordiligi : Ricarda Merbeth
Dorabella : Elina Garanča
Guglielmo : Adrian Eröd
Ferrando : Saimir Pirgu
Despina : Simina Ivan
Don Alfonso : Ildebrando D'Arcangelo

Orchester der Wiener Staatsoper
Chor der Wiener Staatsoper

これは2003年にプレミエだったプロダクションですがなかなかすばらしい舞台で、今まで見たこのオペラの中では最も気に入りました。変にいじる演出ではなく衣装も時代的ですが美しくデザインされているので抵抗なくオペラに引き込まれます。背景のペンキ絵も丁寧に描かれ美しい港湾の奥行き感が十分に出ています。円筒形の一部を何枚か使って動かすことで庭になったり部屋になったりする工夫も好ましい。

6人の歌手の中ではデスピーナ役が残念ながら一段落ちますが、後の5人は全て水準が高くすばらしい出来です。当初の配役ではこのデスピーナを昨日スザンナを歌ったタツレスクだったのですがスザンナに予定されていたArchibaldという歌手が降りたために皺寄せが来てしまったようです。タツレスクが歌っていればプロダクションとしては完璧だったでしょう。
まずお目当てのガランチャですが、過去2回振られているだけに予定通り出演してくれてうれしかった。けれども調子は完璧ではないと見ました。あのセスト役で聴いたときにたっぷり潤いのある声に魅了されたのですが、今日は時々その潤いがなくなって乾いた声になることがあって、やはり完全復調ではないようです。でもかなりの歌唱で本来の声が聴けたので、これから出演回数を減らして調子を整えていけば元に戻るのではないかと期待しています。7月のコヴェントガーデンで同じドラベラ役を歌いますので楽しみです。
ドイツのソプラノRicarda Merbethは高音まで素直に伸びる美声がすばらしく、歌唱の上手さでもレヴェルの高い人です。ガランチャも人気がありますが拍手はこの人のほうが盛大で、それが納得できる出来でした。
相手役のテノールとバリトンも文句なしの上手さであり、声でした。バリトンのAdrian Erödは昨夏エクスで聴いた魔笛でパパゲーノをやった人で、今回ともども感銘を与えてくれましたので相当な実力の持ち主という印象です。
そして、これまた私のお気に入りのイルデブランド・ダルカンジェロですが、彼は決して裏切らないことが今回も明らかになりました。この劇場でのドン・アルフォンソ役デビューなのですが深みのある低音と上手い演技で安心して聴いていられます。老け役のメーキャップも上手く出来ていました。

指揮のジュリア・ジョーンズは1961年生まれのイギリスの女流指揮者ですが、教育こそマンチェスター、ブリストル、ロンドンで受けたものの80年代半ばから主にドイツのオペラ劇場で活躍しているそうで、今回初めて名前を聞きました。モーツァルトを得意としているようです。全体にテンポがゆったりとした指揮で特に第1楽章前半は遅くて、聴いていてあまり乗れなかったのですが、その後は躍動感が出てきて楽しめるモーツァルトとなりました。しかしイギリスで聞いたことがないイギリス人指揮者にこういうところで出会うというのも面白いですね。

写真は左から、Julia Jones(指揮者)、Ricarda Merbeth(フィオルディギーリ)、Saimir Pirgu(フェランド)、Elina Garanča(ドラベラ)、Ildebrando D'Arcangelo(ドン・アルフォンソ)、Simina Ivan(デスピーナ)、Adrian Eröd(グリエルモ)です。
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by dognorah | 2007-01-17 20:40 | オペラ

「フィガロの結婚」公演

2007年1月12日、ヴィーン国立歌劇場にて。

Le nozze di Figaro
Commedia per musica in vier Akten von Lorenzo da Ponte nach Pierre-Augustin Beaumarchais
Musik von Wolfgang A. Mozart

Dirigent: Philippe Jordan
Inszenierung und Ausstattung: Jean-Pierre Ponnelle
Chorleitung: Thomas Lang

Graf Almaviva: Simon Keenlyside
Gräfin Almaviva: Krassimira Stoyanova
Susanna: Laura Tatulescu
Figaro: Erwin Schrott
Cherubino: Michaela Selinger
Marcellina: Daniela Denschlag
Basilio: Michael Roider
Don Curzio: Cosmin Ifrim
Bartolo: Ain Anger
Antonio: Eijiro Kai
Barbarina: lleana Tonca
Ein Bauernmädchen: Barbara Reiter

Orchester der Wiener Staatsoper
Chor der Wiener Staatsoper

舞台装置がちょっと古めかしさを感じる物ながらしっかりと作りこんである美しいものです。プレミエがなんと30年前の1977年。古いはずです。でもよくできているプロダクションで、このオペラを鑑賞するには何の違和感もなくモーツァルトの世界を堪能出来ます。第4幕の庭のシーンが美しくて特に印象的でした。

出演した歌手が揃いも揃って標準以上の出来だったので音楽的にも十分楽しめました。フィガロを歌ったシュロットは昨年2月のコヴェントガーデンで同役を聴いていますが、そのときの方が今回より滑らかな歌唱だった印象があります。
スザンナを歌ったラウラ・タツレスクは先月見たドン・カルロではTebaldoという端役をやっていたのが大抜擢されたようで、期待を裏切らない見事な歌唱でした。1981年生れのルーマニア人だそうです。しかしこの役もコヴェントガーデンで聴いたミア・パーソンの方が陰影の濃い表現で一枚上という感じがします。
伯爵を歌ったキーンリーサイドはドン・カルロのロドリーゴ役のときと比べるとちょっと調子が落ちている気がします。怒っている場面で例のど迫力が聴けるかと思ったら声が滑らかでなく普通の怒鳴り声になってしまってあまり迫力がなかった。ここはジェラルド・フィンリーが勝ります。しかしフィンリーはまじめすぎるのでこのコメディではキーンリーサイドのおどけぶりがよりふさわしいとは思いました。
伯爵夫人は当初予定のレシュマンが降りてクラシミーナ・ストヤノワという初めて聞く人が歌いましたが、声の感じがレシュマンそっくりでしかも歌唱は彼女より上手いのではないかというすばらしさです。
ケルビーノを歌ったゼーリンガーも先月のロメオとジュリエットでStephanoという端役をやったメゾ・ソプラノですが、これもとてもうまかった。
その他、マルチェリーナ、バジリオ、バルトロ、アントニオ、バルバリーナも全て満足で、これらの役はコヴェントガーデンのものよりかなり上のレヴェルでした。バルバリーナを歌ったイレアナ・トンカもルーマニア人でタツレスクと背丈もかわいさもほぼ同じで、ちょっと見分けがつきにくいです。

フィリップ・ジョルダンの指揮は活き活きしたモーツァルトでテンポ感もよく音響的にも心地よいもので、今夜の公演は非常に楽しめました。
写真は左からキーンリーサイド、テツレスク、ジョルダン、ストヤノワ、シュロット、デンシュラグ、ゼーリンガーです。
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by dognorah | 2007-01-16 22:45 | オペラ

ドニゼッティのオペラ「連隊の娘」

2007年1月11日、ROHにて。本日が新演出(ヴィーンとMETとの共同制作)のプレミエです。

La Fille du regiment
Music: Gaetano Donizetti
Libretto: Jules-Henri Vernoy de Saint-Georges and Jean-François-Alfred Bayard

Conductor: Bruno Campanella
Director: Laurent Pelly
Set designs: Chantal Thomas
Costume designs: Laurent Pelly
Lighting: Joël Adam
Choreography: Laura Scozzi

Marie: Natalie Dessay
Tonio: Juan Diego Flórez
La Marquise de Berkenfeld: Felicity Palmer
Sulpice Pingot: Alessandro Corbelli
Hortensius: Donald Maxwell
La Duchesse de Crackentorp: Dawn French

とてもよく出来たプロダクションです。お笑いどころ満載で楽しくわかりやすい演出です。
これに加えて歌手陣が好調でしたのでもう言うことなし。特にフローレスは100点満点でしょう。先月のリサイタルでアンコールに歌ったアリア“Amici miei, che allegro giorno!”では拍手と歓声がなりやまず数分間も続いたのはコヴェントガーデンでは珍しいこと。
ナタリー・ドゥセも前半は時々高音が乾き気味の感じがしましたが後半はやはり絶好調となり、各アリアとも盛大な拍手でした。第1幕最後のアリア“Convien partir”など上手さが際立つ名唱で心にジーンと来ます。演技もうまい人で二十歳前後の娘役にふさわしいアクション振り。その動作だけで笑わせてくれます。これで実年齢がもう少し若かったらフローレスとのコンビもぴったしだったでしょうけれど。コルベリもいつもどおりのうまさです。

写真はいつものように終演後挨拶する歌手陣です。
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by dognorah | 2007-01-12 09:44 | オペラ

マーラーの交響曲第9番演奏会

2007年1月10日、バービカンホールにて。

指揮:ダニエル・ハーディング(Daniel Harding)
管弦楽:ドレスデン歌劇場管弦楽団(Dresden Staatskapelle)

新年期待のコンサートだったがちょっと失望の演奏。
第1楽章は非常にゆっくりしたテンポで始まるものの、どうもオケの統制が取れていない感じ。アンサンブルは悪いし、各パートがばらばらな感じ。第2楽章もあまり変わらない傾向である。
マーラーはどこへ行った?
第3楽章の中間部からやっと油が乗ってきた感じで指揮者とオケが一体になって演奏する様が見て取れた。第4楽章もその流れで、この楽章でようやく本来の演奏か。ピアニッシモが続く終曲部の緊張感はなかなかのもの。

このコンビで1月7、8、9日と本拠地ドレスデンで本番があり、10日のフライトでロンドンにやってきて直ちにコンサート。既に十分本拠地で演奏しているし、到着してすぐに簡単なリハーサルをやったと思われるが、私の耳で聴いた感じでは練習不足のような印象である。一方、ドレスデン歌劇場のスケジュールを見るとこの日もオペラ(こうもり)を公演している。ということはオケ主力は歌劇場で演奏し、2軍がロンドンにやってきたか。会場で会ったブログ仲間も知った顔のトップ奏者がいなかったと証言しているし。もしそうだとしたらロンドンの聴衆を馬鹿にしていることになる。今日のこの管弦楽団のレヴェルは明らかにロンドンのメジャーオーケストラより落ちる。
写真は終演後のもの。
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会場を出た後はブログを介して知り合いになった方々と近くのレストランへ行って食事をしましたが、こちらが滅法楽しかったので救われました。
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by dognorah | 2007-01-11 20:57 | コンサート

クラリネット3重奏の演奏会

2007年1月9日、Purcell Roomにて。
Park Lane Group (PLG)という若手の音楽家を支援する組織によるYoung Artists New Year Seriesが現在Purcell Roomで開催中ですが、既に今年で51回目だそうです。総勢32人の演奏家による60作品が演奏されます。現代音楽を中心にプログラムを組んで53人の作曲家を網羅、初演が9作品含まれています。

今日のコンサートは以前記事にしたピアニストの森麻衣子さんが所属するAquilon Trioが出演するので久しぶりに聴きに行きました。一昨年にROHのランチタイムコンサートで聴いたことがあり感銘を受けていますし、ヴァイオリンのソロ演奏会にも行っていますのでお馴染のメンバーと言えます。

Aquilon Trio
Eulalie Charland : violin
Massimo Di Trolio : clarinet
Maiko Mori : piano

プログラム
Thea Musgrave (1928 -) : Pierrot (1985)
Timothy Salter (1942 -) : Shadows I (2006), II (1999)
Béla Bartók (1881 – 1945) : Contrasts (1938)

c0057725_10234281.jpg1曲目は、スコットランド生まれで現在はアメリカに住んでいるマスグレイヴ(左の写真)の作品。寂しい思いをしているPierrotがClumbineという女性に恋をするものの彼女が後で現れたHrlequinという男声になびいてしまってまた寂しい状態にもどるという話をもとに作曲されています。Pierrotをヴァイオリン、Columbineをクラリネット、Harlequinをピアノがそれぞれ表現しています。こういう筋がついているということで出演者も仮面をかぶって演奏しました。ヴァイオリンは白い半面で、左目の下の方に黒い涙が一滴描かれたもの、クラリネットは黒、ピアニストは赤と緑(だったかな)のカラフルなもの。そしてクラリネット奏者とヴァイオリニストは曲の進行と共に演奏場所を変えたり、自分の主題のときは立ち上がって演奏するなどかなり凝った行動をしました。音楽だけ聴いていても楽しめる曲ですが筋を想像しながら聴くのもまた一興です。演奏時間20分程度。

c0057725_10244132.jpg2曲目はヨークシャー生まれで現在ロンドン在住のソールターの小品。演奏が始まるまで結構長い空白があったのですが出てきた3人を見て納得。1曲目は黒のTシャツとパンツ姿に仮面だったのが3人とも演奏会用のおしゃれなドレスに着替えていたのでした。曲は前半が世界初演だそうで、作曲家も会場に来ていました。クラリネットはバスを使います。他の楽器も余り高音は使わないので耳に心地よい低音を中心とした聴きやすい曲で、余り現代音楽的ではありません。演奏時間7-8分。

3曲目はこのグループの定番でしょうか、以前にも聴きましたが、さすがにバルトーク、曲の深みが違うという感じです。一番聴き応えがあります。演奏時間20分足らず。

今日は全体にクラリネットの活躍が目立つという印象でした。現代曲ばかり3曲、いいですね。写真は演奏会後のもの。左から、Charland、Mori、Di Trolioです。
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by dognorah | 2007-01-10 10:28 | コンサート

Florian Uhlig ピアノリサイタル

2007年1月8日、St James教会にて。

The Beethoven Piano Society of Europe(BPSE)なんて組織があるんですね。1993年設立で、ピアニストやピアノを愛する人々のために国際的フォーラムを形成し、ベートーヴェンのピアノ音楽の権威ある解釈と音楽を広めることを目的とする云々・・・
欧州プレジデントはアルフレッド・ブレンデル、副プレジデントにはマルタ・アルゲリッチやパウル・バドゥラ・スコダ(まだ生きていたんですね)など錚々たる名前があります。財政的にはメンバーの会費とイギリスの宝くじ売り上げの分け前などに加えてベーゼンドルファーの協賛金があります。そう言えば今日のコンサート会場のセント・ジェームズ教会には貸与されたベーゼンドルファーのフルコンサートグランドがあります(すばらしい音です)。

c0057725_1091936.jpg今日のピアニストフローリアン・ウーリッヒ(左の写真)は1974年デュッセルドルフ生れのドイツ人です。ドイツで基礎教育を受けたあとロンドンに留学、RCMとRAMという競合する二つの音楽大学を出た後国際的に活躍している人です。独奏者としてリサイタル、協奏曲に出演する一方室内楽や伴奏もこなし、かの有名なヘルマン・プライというテノール歌手の最後のパートナーだったそうです。CDもバッハから20世紀音楽まで各種出しているものの非常に有名というわけではありませんね。腕が立ち表現力の豊かな人という印象です。



プログラム
Wolfgang Amadeus Mozart(1756-1791):
・Sonata in E flat major, K282
・8 Variations in F major on the march from “Les Mariages Samnites” by A.E.M. Grétry, K352

Ludwich van Beethoven(1770-1827):
・8 Variations in C major on “Une fièvre brûlante” from “Richard Coeur de Lion” by A.E.M. Grétry, WoO 72
・Sonata in C major, op.53 “Waldstein”

なかなか凝ったプログラミングと思います。二人の作曲家が同じグレトリ(1741-1813)の作品をもとに書いた8つの変奏曲を見つけてきて橋渡しとして、最後にメインのヴァルトシュタインで締めくくってBPSEの面目を立てる、という感じです。なお私はグレトリという作曲家の名前は初めて聞きました。

演奏もモーツァルトとベートーヴェンの性格付けをしっかりと表現した面白いものでした。最初のモーツァルトK282は12-3分の短い作品ながらメヌエットを二つ含む4楽章構成です。明るいながらどこか哀愁を感じさせる美しい曲。今にも壊れそうなガラス製品をいつくしむような丁寧な表現が素敵でした。
次の8つの変奏曲は特に魅力的というわけではないですが楽しめます。演奏時間はやはり12-3分。その次のベートーヴェンのものは約半分の長さです。モーツァルトのまろやかな音で紡いだものと違ってこちらは溌剌さと才気煥発さを感じます。変化に富んでダイナミックでもあります。演奏会としてはこちらの方が映えるでしょう。

最後のヴァルトシュタインはテンポを揺らしながらも速めのテンポで非常にダイナミックな演奏で始まりました。ややせわしないという印象を受けるもののユニークなスタイルで聴いていて惹きつけられます。第1楽章は何よりも躍動感がすばらしい。つい体で拍子を取りたくなる感じです。楽章最後のフォルティッシモでは思い切り鍵盤を叩くものだからピアノがゆらゆらっと揺れましたね。
第2楽章はさすがに打って変わって遅めのテンポでゆったりと鳴らします。がっちりした低音部の上で高音が美しくやはりダイナミックに演奏され、深みを感じさせます。
第3楽章はまた飛ばすのかなと思いきや、ごく常識的な緩急とダイナミズムでした。ちょっと第1楽章に比べるとユニークさは出せなかった感じです。
欲をいえば全体にもう少し情感が欲しいというかロマンティックな味付けを濃くして欲しいかなとは思いましたが、ダイナミックで歯切れの良いある意味若々しい演奏はそれはそれで感銘を与えてくれました。満足感のあるコンサートでした。
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by dognorah | 2007-01-09 10:25 | コンサート

ラウティオピアノトリオ演奏会

2007年1月5日、セント・ジェームズ教会にて。

Rautio Piano Trio
Jane Gordon (violin)
Katherine Jenkinson (cello)
Jan Rautio (piano)
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リーダーのラウティオは1980年ロシア生れ、モスクワで音楽教育を受けたあとRCMに留学。卒業後RAMでpostgraduateとして更に勉強中です。ヴァイオリニストとチェリストも共にRAMに在籍中。トリオとしては2004年に結成し、UK内でコンサート活動を展開中で既に多くの賞と奨学金を得ています。

プログラム
Mozart:Trio in C, K548
Judith Weir:Piano Trio 2 (2003-4)

約2週間振りにコンサートを聴きましたが、やはり眼前で演奏される生の音楽はすばらしいなぁとあらためて感激。
古典と現代曲の組み合わせもいい感じです。モーツァルトのこの曲、構成のしっかりした充実した出来と思いますがとても楽しませてもらいました。かなり自由奔放に3人の奏者が演奏して入るように見えながらアンサンブルもしっかりしたものです。音としてはピアノの美しさが特に目立ちましたが、いつか彼の独奏ピアノを聴いてみたいものです。

c0057725_753794.jpg2曲目は現代英国作曲家ウイアー(左の写真)の作品。曲はもちろん名前も初めて聞く人です。1954年スコットランド生まれで、ケンブリッジ大学卒業。現在はロンドン在住。バーミンガム市交響楽団専属作曲家であったり、グラスゴー、オクスフォード、プリンストンなどの大学で教鞭を取ったこともあるそうです。作品は器楽曲はもちろん、オペラも数曲あるようですが、本人は歌が好きで、ジェシー・ノーマンの依頼で作曲したりしたこともあります。

演奏者の解説によるとこの曲は古い物語をもとに作曲されたものだとか。3楽章から出来ていて、それぞれ次のような題名がついています。
(1)How Grass and Trees Become Enlightened
(2)Your Light may go Out
(3)Open your own Treasure House
最後にピアノ鍵盤の蓋をバタンと閉めて終わりますがそういう指示なのだそうです。音楽は特に不協和音がいっぱいというわけではないけれど、やっぱり現代曲だと思わせる構成だしメロディです。弦もピアノも結構最高音部を多用します。長閑ではなく現代人向きのきびきびとした運びです。第2楽章などかなり不安感を感じさせるメロディで緊張感いっぱい。第3楽章は一番不協和音が多いかもしれないですが、本当に昔物語を語っているような趣で、音のヴァリエーションを楽しめます。最後は弦とピアノでノイズのようなユニゾンを間歇的に奏で、ピアノの蓋がバタンと閉まって終るのも全く違和感はなかったです。やはり現代人の提示するものにはとても共感できます。
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by dognorah | 2007-01-06 07:17 | コンサート